民法の条文を読むときの主な用語をグループで整理しました。
文章を訂正し、根拠条文を加えました(2012・4・22)
民法用語 (4)親族 | |
用 語 | 大まかな内容 ★かっこの数字は民法の条文です。必ず確かめてください |
親族の考え方 | 民法の親族編は憲法13・14・24条の規定をそのまま当てはめたように映ります。 これは、「家」から「家族」へ単位が変化し、①個人として尊重や②法の下での平等で家族が構成されるからでしょう。 民法は、平等な男女が自由意思による合意に基づいて結婚し、形成する家族関係を基本にしています。そして、未成熟な子どもを保護し、育成の手続きにも触れ、親権の範囲や喪失も示しています。 また、法定代理人、後見人、保佐人、補助人、監督人などの選任方法のほか、親族の扶け合い(たすけあい)、夫婦の扶助、直系血族及び兄弟姉妹の扶養義務も規定しています。 |
親族の範囲 | 親族の範囲は「6親等内の血族」「配偶者」「3親等内の姻族」とされます(725)。 この区分が効果を持つのは、親族の扶け合い、結婚の制限、損害賠償を受ける近親者、責任無能力者の保護者選任、法定相続人などに及びます。 ●親等: 世代数を単位として血縁を計算すること(726) ●血族: 両親・祖父母・兄弟など親子でつながる関係 ●配偶者: 本人の夫であり妻のこと。本人と配偶者には親等がない ●姻族: 配偶者の両親・祖父母・兄弟など親子でつながる関係 (※)親族の「扶け合い」(730条)は、752条の「扶助」や877条の「扶養」と異なる |
親族の区分 | 親族は親子関係の連鎖を示しますが、本人より年長つまり世代の父母や祖父母などを「尊属」、本人より若い世代つまり子や孫を「卑属」といいます。 また、本人と血縁がある親族または配偶者と血縁がある親族を「直系」、その他の親族を「傍系」と区別します。 |
夫婦関係 | 婚姻は両性の合意に基づいて成立し、婚姻届の提出が必要です(739)。また、未成年者は親の同意が必要です(737)。結婚した未成年者は民法上は成人とみなされます(成人擬制・753)。 ただし、①二重結婚、②近親者との結婚、③尊属との結婚、④養親との結婚⑤離婚後の女性は一定期間内の結婚が禁止されています(732ー736)。人違いなどによって両者に婚姻の意思がないときは無効です(742)。 夫婦は、同居し、互いに協力し、扶助する義務があります(752条)。 ●婚姻: 婚姻届けを提出して結婚した夫婦で、法的な保護を得る。 ●内縁: 実質は結婚し、子どもを設けても婚姻届を提出していない夫婦 |
夫婦と財産 | 民法は夫婦別産制をとると言われますが、それは結婚前に財産を登記するか、結婚後に自ら得た財産に限られ「特有財産」とされます。 互いに財産がなければ分担も連帯責任も負えないから別産制というのでしょう。 1夫婦財産契約(755条): 結婚前に財産を登記しておくことが必要で、利用されていない。 2法定財産制 ①夫婦の財産の帰属(762条): 一方が婚姻前から有する又は自己の名で得た財産は「特有財産」とし、いずれか明らかでないときは共有と推定 ②婚姻費用分担(760条): 夫婦は婚姻費用を分担する ③日常家事債務(761条): 連帯して責任を負う |
離婚手続 | 合意は維持しなければ時の流れでほころびます。夫婦で解決できることは話し合いで決めるのが民法の原則です。民法は「協議離婚」と「裁判離婚」を定め、協議離婚から始めることとしています。調停離婚や審判離婚は家事審判法の離婚です。 ●協議離婚: 民法763条、合意したら「離婚届」を提出します ●調停離婚: 家庭裁判所に調停申し立てを行う。話し合いが付けば調停調書 ●審判離婚: 家庭裁判所で審判し、決定します。 ●裁判離婚: 民法770条、離婚原因がある場合は家庭裁判所で離婚判決を得ます。 ●離婚原因: ①不貞行為、②悪意遺棄、③生死不明、④強度の精神病、⑤継続しがたい重大な事由 |
離婚付随事項 | 離婚に付随して次の解決が必要です。 ●子の監護: 協議により子の監護について協議し、協議が整わない場合は家庭裁判所が定める。親権、養育費など(766) ●復氏: 婚姻前の氏に戻る(767) ●財産分与: 協議のより財産分与を請求し、整わないときは家庭裁判所に請求する。慰謝料など(768) |
実子 | 妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定されます。また、婚姻成立から200日経過後又は、婚姻解消もしくは取消の日から300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎した子と推定されます(772)。 ●認知: 父親が子と認めること。拒否することもある(779) ●嫡出子: 婚姻で生まれた子 ●非嫡出子: 婚姻以外で生まれた子。当然に母子関係は生じますが、父の認知が必要です。 ●準正: 父が認知した子は、父母の結婚により嫡出子と認められる(785) |
養子関係 | 実子以外の子又は夫婦と親子関係を結ぶことを「養子縁組」といいます(727)。 養子は実父母との親子関係も併せて持ち、いずれの相続人になれます。なお、縁組障害という制限があります。 ●養子縁組: 養親となる人と養子になる人との意思が一致すること。 ●縁組障害: 縁組を制限する事由は①養親が未成年者、②養子が尊属・年長者(793ー798) ●離縁: 養子縁組を解消すること(811・814) |
普通養子と特別養子 | 養子縁組には、当事者の合意と届出で成立する「普通養子」と家庭裁判所の審判を要する「特別養子」があります。①成立、②条件、③試後養育期間、④実父母の意思、⑤養親となれる年齢、⑥養子になれる年齢、⑦実親との関係、⑧戸籍の記載、⑨離縁手続に違いがあります。 ●普通養子 ●特別養子 ①当事者の合意と届出 ①家庭裁判所の審判 ②なし ②子の利益のために必要 ③不要 ③6ヶ月 ④15歳未満の養子は法定代理人の承諾 ④父母の同意 ⑤20歳以上。単身者でも可能 ⑤25歳以上で配偶者ある者 ⑥養親より年下、尊属でない ⑥原則は6歳未満、8歳未満まで ⑦実父母との親族関係は継続 ⑦実父母との関係は断続 ⑧養子と明記 ⑧長男、次男と記載 ⑨離縁は原則自由 ⑨原則として禁止 |
親権の行使 | 親権は親の権利だけを並べていないことに注意してください。監護や教育は親の権利義務です。子を放棄したり、殺す権利は親にありません。子どもは物でなく、出生から権利能力を持つ人間です(3条)。また、子は慰謝料を得るための人質でもありません。 未成年者は父母の親権に服します。親権は、父母が婚姻中は父母が共同して行い、協議離婚や裁判離婚があった場合は父母の一方を親権者と定めます。 ●監護及び教育の権利義務(820条): 親権を行なう者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う ●居所の指定(821条): 子は、親権者が指定した場所に居所を定める ●懲戒(822条): 親権者は必要な範囲でその子を懲戒できる ●営業の許可(823条): 子は親権者の許可を得て職業を営む ●財産管理(824条・825条): 親権者は子の財産を管理し、法律行為は子を代表する ①親子の利益相反(826条①):親と子の財産管理に利害が生じる場合 ②子ども間の利益相反(826条②):複数の子の財産管理に利害が生じる場合 ●財産管理の注意義務(827条): 自己のためにするのと同一の注意 |
親権の消滅 | 親権者は多くの権利義務を有していますが、その能力を欠く者もいます。そのような親を放置しておけば子の不利益が増すとともに財産を滅失させることになります。そこで、そのような親権者を排除する規定を民法は定めています。 ●親権喪失(834条): 父又は母が、①親権を濫用し、②著しく不行跡のときは家庭裁判所は子の親族又は検察官の請求により親権の喪失宣告ができる。 ●管理権喪失(835条): 親権を行う父又は母が、管理が失当であったことにより子の財産を危うくしたときは家庭裁判所は子の親族又は検察官の請求により管理権の喪失宣告ができる。 |
親族間の扶助 | 家族制度がなくなり、親族の救け合いがなくなったと言われる民法ですが、730条は「直系血族及び同居の親族の扶け合い」、752条が「夫婦の扶助」、そして877条から881条で「直系血族及び兄弟姉妹の扶養義務」を規定しています。条文によって微妙に範囲が異なり、用語も異なりますが親族のつながりを民法は無視していません。 |