みずがき山は霧の中
2007年09月02日
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みずがき山は、南アルプスの鳳凰三山や北アルプスの燕岳に似て奇岩が多くてひときわ目立つ山梨県北杜市にある2230mの山である。足を伸ばせば長野県と山梨県の境になる金峰山2509mにつながる。30数年前に韮崎駅からバスに1時間乗り、終点のみずがき山荘から片道50分ほど富士見平小屋までをのどかに歩き、1時間半もあえいで頂上に登ったことがある。あの時以来この山は登るより眺める山だと思っている。だから今日は手前の増富ラジウム温泉の入浴で済ませるつもりだった。
◎ほったらかし温泉に寄る
早起きして先日出向いた山梨市のほったらかし温泉へ立ち寄ったが、今日も雲が多くて富士山が見えない。先日は日の出前から始まる「あっちの湯」しか入れなかったので、今日は10時から始まる「こっちの湯」と一緒に入るために一般道で3時間半かけたが、2つの湯に入った妻と娘は広さや湯加減は「あっちの湯」が良いと言い出す始末である。そこで、秩父へ向かう予定を取り止めて、みずがき山のある北杜市須玉町の増富ラジウム温泉に転進した。信州峠からあわよくば八ヶ岳や秩父の山を眺めようという虫の良い算段である。
◎みずがき湖から自然公園へ
韮崎から佐久に向かう国道141号から県道23号を進むと道幅が狭くなり妻子は不安を漏らし始める。すれ違いが困難な場所があっても舗装がされているからいつもと同じだと言いくるめて進む。みずがき湖にある道の駅でラジウム温泉までの道路状況を確かめると、「せっかく来たのなら温泉だけでなく植樹祭跡まで行ってみなさい。みずがき山が正面に見えるすばらしい場所ですよ。狭い場所もあるけどクルマで行けますよ。信州峠に行く途中にあるんですよ」とおばさんが案内図を持ち出してすすめる。天皇も訪れたなら舗装も行き届いていると妻子を丸め込んで、バス停終点先にある「みずがき山自然公園」の管理棟まで出向いたが霧に巻かれて何も見えない。それでも、渋々山歩きに付き合わされて日頃はグチを並べている妻がみずがき山のパンフレットを眺めて気に入るのも意外である。「紅葉の頃に来ればいいのよ」と言うのに呆れた。クルマで来られるというのが本音だろう。みずがき山に出向く前に確かめたラジウム温泉街の日帰り温泉「増富の湯」へ戻る途中で、雲間から岩肌の露出した山を眺めてやけに妻子が感激するのも不思議だった。
◎増富ラジュウム温泉
目的の増富の湯に入ると、黄金色の源泉の冷たさにおびえた。25℃、30℃、35℃の源泉がやけに冷たい。38度の飛び込んでようやく一息つく始末である。増富温泉のラジウムは三朝温泉と競うほど濃度が高いそうだが今までにない驚きである。妻は「ほったらかし温泉もぬるかったけどここの冷たさには驚いた」と言うから私だけではなさそうだ。娘も「入ったときは気がつかなかったが時間がたつと指先が臭う」と言い出す。そういう意外性があるものの時間が経つほどにポカポカしてきて、肌がさらさらしてくる温泉である。継続的に入浴して療養効果がでるから即効性はないのだろう。ともあれ、入浴が目的で出向いたのに森林浴や山歩きで話題が盛り上がるのも意外である。
【2007/09/02 往復360km】