沼津あれこれ
2008/03/29 沼津は干物の町じゃない


トップに戻る 目次に戻る 沼津の中の伊豆 富士山の記録

前頁へ 次頁へ


 ふるさとが沼津と言うと必ず「うまい魚がありますね」とか、「ひものの生産が全国一の町ですね」と持ち出される。それがどうしたとムッとする。食べ物や生産順位でしかものごとをとらえられないのかと呆れる。住民が魚とひもの、そして寿司しか食べないと決めつけられるのもサシミやひものを食べないわたしには腹立たしい。沼津は東京の市場と結びついた立地で伊豆半島の西海岸の漁場で獲った魚を集荷しているのであって、近くの海で水上げした魚ではない。また、ひものは江戸時代から工夫した加工技術を生かした産業で、原材料となるアジは全国各地から仕入れている。まして水産業は沼津市のごく一部にすぎず、静岡県東部を代表する商工業都市だというのが忘れられている。【詳しくは沼津市役所の統計デー夕をごらんください。主要データが掲載されています。http://www.city.numazu.shizuoka.jp/】

知名度の低さと住民

 東名高速のインターチェンジ、東海道本線や御殿場線の駅があるのに東海道新幹線の熱海駅や三島駅ほど知られていないのが沼津である。東海道五十三次の宿場町や城下町で、明治初期には兵学校があり、大学・高専のほかに高校は11校(県立4、市立1、私立6)ある。この他に名前は沼津だが隣町へ移転した県立高校が1つある。人口20万人にしては学校や予備校の多い町のわりにスポーツ以外は目立った人物が生まれない不思議がつきまとう。観光ガイドに必ず登場する若山牧水や井上靖はよそ者である。横浜まで鈍行で2時間を要せず、東京へ通勤する者もいる。そして同じ県内の静岡市や浜松市は他国だと思っているのが沼津の住民である。

文楽にも《沼津の段》がある

 給油と洗車で立ち寄ったガソリンスタンドでひまつぶしにテレビを眺めるとやたらと《沼津》が出てくる。何かと思えばNHK教育テレビの「日本の古典芸能」の再放送である。文楽というから落語の延長と思ったら人形浄瑠璃である。《伊賀越道中双六・沼津の段》というのもムッとした。東海道五十三次の宿場町の沼津を何とこころえるか、無礼者! ま、そんなことに異を立てるのも大人気ない。富士山や千本松原(せんぼんまつばら)も出てくるからまぎれもなくわたしのふるさとである。【本屋でNHKのテキストを確かめたら、この番組は来月から新しいテーマで放送されるようだ。文楽の《沼津の段》についてのウエッブサイトは別記します。】


順位や食べ物で語るな!

 決めつけと誤解をまき散らすのは口害だろう。ふるさとを生産物の順位で決めつけられるのは不快である。歴史も知らず生半可なサル知恵でもの知りぶるヤカラにむしずがはしる。観光地めぐりの経験でしかものごとをとらえないのも浅はかでないか。わたしは旅に出る前はその土地の歴史やいわれを確め、観光ガイドに出ている資料を確める。食べ物や観光施設は後まわしにする。そんなものは金をもらって書いたちょうちん記事にすぎない。でも、そういう記事を鵜のみにして自慢するもの知りもあふれている。【余計なことですがホームページの「沼津の中の伊豆」をあわせて読んでいただければ幸いです。 http://www5f.biglobe.ne.jp/~nobu-yamada/izumokuji.html】


沼津の長所と短所

 評論めいたことはしたくないもののわたしが他の地域へ出向たり、他の地域の出身者と比べて感じることを並べてみよう。

 第1は風光明媚なことだろう。富士山と駿河湾に挟まれた平地にあるから昔から旅人に好印象を与え、それが縁で東海道本線や御殿場線もつながり別荘や御用邸もできた。でもそれがご機嫌取りして他人の財布を当てにする気質を生んでいる。

 第2は気候温暖なことだ。海と山に挟まれてからっ風は吹いても雪はめったに降らない。でもそれが生ぬるくて、忍耐心の欠けるわたしのような人間を生むのも皮肉である。こつこつ調べるより他人のやることを批評する口先の徒も多い。

 第3は公害反対に動いたことだ。1960年代に石油コンビナー卜建設が持ち上がった時にそれを中断させた。すでに四日市で公害の被害が顕在化し、降りの市の製紙工場の煤煙(ばいえん)も知っていたからだろう。ちなみに隣りの市は後年へドロの悪臭で全国的に有名になった。

 第4はごみの分別収集に《沼津方式》を実施したことだろう。これは1975年4月から行われ資源リサイクルでは早い時期のものだ。でも行き過ぎも生まれ、細かい分別になってわずらわしさを増したり住民間の監視めいた面も生まれている。

 第5は商工業都市としての地盤沈下である。長らく伊豆半島や駿東郡をマーケットとしてきたものの交通の整備や工陽移転により沼津は求心力を失いつつある。従来は郡部とか田舎と呼んでいた地区が目立・発展した反動でもあるがこれは第1や第2にあげた長所が慢心を生み、競争力を阻害したのではなかろうか。


●これからの沼津

 財政が破綻した夕張市はもとより自治体の存立があれこれ話題にあがる昨今である。実家から離れて40年たっても気になるのがやっぱり《ふるさと》である。観光や干物生産だけでなく、地の利をいかしていかに存続するかを考えることもある。でもそれは地元の住民が決めることだろう。わたしはそれにエールを送るしかない。エゴと言われようと自分たちの環境を守るために結束しあった住民のつながりに期待したい。宿場町や城下町だった古い歴史にしがみつくのでなく、新しいものを積極的に取り入れた沼津の住民の活力を信じたい。お調子者とか新もの好きは沼津生まれのわたしにも残っているからである。

【追記】

 太宰治の『津軽』に次のような記載がある。津軽を沼津に置き換えるとわたしが思うことと同じです。
 「
私は津軽の人である。私の先祖は代々、津軽藩の百姓であった。謂わば純血種の津軽人である。だから少しも遠慮なく、このように悪口を言うのである。他国の人が、もし私のこのような悪口を聞いて、そうして安易に津軽を見くびったら、私はやっぱり不愉快に思うだろう。なんと言っても、私は津軽を愛しているのだから」(岩波文庫28−29頁)


【注】文楽の<沼津の段>にかかわるウエッブサイト

 ウィキペデア「文楽」
  http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%87%E6%A5%BD

 龍さんのブログ 沼津と【文楽】
  http://tryu.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_bf7b.html

 螺旋式3「伊賀越道中双六」沼津の段 国立劇場
  http://nejiyamasenkiti.blogspot.com/2007/12/blog-post_09.html

 てぬぐいぶくろ 文楽鑑賞教室 : 沼津
  http://tenu.at.webry.info/200712/article_5.html


沼津市役所の統計デー夕:平成18年度より

主要統計長期指標
大項目 土地 人 口 人口集中地区 事 業 所 農 業 工 業 大項目
項目 市域面積 世帯数 人口 転入 転出 社会増減 出生 死亡 自然増減 人口 面積 事業所数 従業者数 農家数 農家人口 工場数 従業者数 製造品出荷額等 項目
期日・期間 4月1日 4月1日 4月1日 年間 年間 年間 年間 年間 年間 10月1日 10月1日 調査年月日現在 調査年月日現在 2月1日 2月1日 12月31日 12月31日 12月31日 期日・期間
単位 平方キロ 世帯 平方キロ 千円 単位
昭和50年 151.179 59,669 201,408 10,197 11,864 △1,667 3,588 1,122 2,466 153,128 24.5 11,818 95,001 3,669 19,381 1,128 27,351 295,598,270 昭和50年
昭和51年 151.179 60,361 202,242 10,473 11,817 △1,344 3,236 1,091 2,145 1,097 27,463 333,511,110 昭和51年
昭和52年 151.181 61,046 203,043 10,448 11,054 △606 3,076 1,133 1,943 1,088 27,173 417,418,590 昭和52年
昭和53年 151.186 61,759 204,380 10,174 11,285 △1,111 2,977 1,161 1,816 12,509 101,201 1,095 26,812 428,917,150 昭和53年
昭和54年 151.211 62,300 205,085 10,127 11,046 △919 2,933 1,140 1,793 1,101 27,269 457,370,080 昭和54年
昭和55年 151.211 62,805 205,959 9,649 10,986 △1,337 2,661 1,176 1,485 156,067 25.7 3,394 17,346 1,159 27,846 515,266,840 昭和55年
昭和56年 151.212 63,148 206,107 10,333 10,525 △192 2,694 1,162 1,532 13,407 106,987 1,086 27,532 548,498,900 昭和56年
昭和57年 151.212 64,249 207,447 10,177 10,533 △356 2,681 1,147 1,534 1,165 30,000 579,800,320 昭和57年
昭和58年 151.216 65,259 208,625 9,613 10,149 △536 2,617 1,162 1,455 1,254 30,173 590,538,880 昭和58年
昭和59年 151.217 66,115 209,544 9,342 9,680 △338 2,593 1,255 1,338 1,191 29,045 632,656,840 昭和59年
昭和60年 151.217 67,003 210,544 9,882 10,090 △208 2,527 1,191 1,336 162,530 26.7 3,291 16,637 1,296 30,776 695,009,590 昭和60年
昭和61年 151.238 67,841 211,672 9,512 10,628 △1,116 2,534 1,215 1,319 14,046 118,390 1,266 31,161 688,868,300 昭和61年
昭和62年 151.238 68,324 211,875 9,174 10,171 △997 2,386 1,274 1,112 1,203 29,075 660,050,780 昭和62年
昭和63年 151.238 68,731 211,956 9,166 10,237 △1,071 2,273 1,290 983 1,296 31,179 804,620,310 昭和63年
平成 元年 151.238 69,378 211,868 9,631 9,668 △37 2,312 1,400 912 1,226 30,485 846,643,660 平成 元年
平成 2年 151.238 70,598 212,743 8,836 9,516 △680 2,097 1,340 757 167,649 28.1 2,506 12,700 1,287 30,597 921,694,890 平成 2年
平成 3年 151.259 71,504 212,820 9,321 9,857 △536 2,254 1,352 902 14,047 128,695 1,227 30,541 988,486,250 平成 3年
平成 4年 151.259 72,494 213,186 9,162 9,964 △802 2,095 1,444 651 1,178 30,910 945,310,580 平成 4年
平成 5年 151.269 73,486 213,035 9,192 9,668 △476 2,178 1,377 801 1,225 30,520 864,167,950 平成 5年
平成 6年 151.269 74,545 213,360 8,772 9,435 △663 2,093 1,510 583 1,090 29,190 827,002,590 平成 6年
平成 7年 151.269 75,207 213,188 8,714 10,329 △1,615 2,008 1,452 556 177,229 29.8 2,203 10,810 1,144 29,068 864,273,670 平成 7年
平成 8年 152.15 75,634 212,393 9,009 9,827 △818 2,087 1,505 582 13,933 130,471 1,063 27,369 875,185,470 平成 8年
平成 9年 152.16 76,256 212,159 8,708 10,338 △1,630 1,916 1,582 334 995 25,717 863,434,000 平成 9年
平成10年 152.16 76,704 210,863 8,549 9,937 △ 1,388 2,021 1,626 395 1,027 26,103 789,312,530 平成10年
平成11年 152.16 77,121 209,870 8,800 9,288 △ 448 1,911 1,612 229 945 24,756 704,011,040 平成11年
平成12年 152.17 77,976 209,681 8,450 9,417 △ 967 1,962 1,586 376 173,401 30 2,001 9,731 973 25,145 740,426,900 平成12年
平成13年 152.17 78,666 209,090 8,581 9,253 △ 672 1,936 1,606 330 13,016 119,163 858 22,491 742,404,320 平成13年
平成14年 152.17 79,533 208,748 8,549 9,101 △ 552 1,805 1,747 58 797 21,136 578,758,050 平成14年
平成15年 152.18 80,491 208,254 8,451 8,900 △449 1,823 1,701 122 804 21,142 576,638,910 平成15年
平成16年 152.18 81,235 207,927 8,000 8,718 △718 1,749 1,719 30 750 20,596 569,356,520 平成16年
平成17年 187.1 83,372 211,244 7,965 8,709 △744 1,740 1,795 △55 170,655 29.8 1,894 5,927 782 20,694 598,513,270 平成17年
資料 総務課 市 民 課 国勢調査 事業所・企業統計調査 農業センサス 工 業 統 計 調 査 資料
○人口の年の数値は、4月1日現在の数値であるため、社会増減及び自然増減の年間計の差とは必ずしも一致しない。○工場数、従業者数、製造品出荷額等の数値は、従業者数3人以下の事業所の数値は含まない。
○転入及び転出は市外移動のみである。○製造品出荷額等とは、製造品出荷額、加工賃収入、修理料収入の合計額である。