民法あれこれ図解編 
共有にかかわる基礎知識
トップページに戻る  目次ページに戻る


 も く じ

 1 所有権の共有形態

  共有物の変更・利用・改良・保存

 3 民法上の「共有」と建物区分所有法の共有部分の「共有
 

 相続財産の取得、節税対策、資金の運用などで所有権を共有する場合があります。
 一緒に所有することに伴い本人が意図しない負担、たとえば管理費用や税金の連帯納付のほか、離婚に伴う住宅ローンの返済や財産分与などに問題が生じますので整理します。
 不動産は一戸建てとは限りませんので、ここでは民法の物権編だけでなく
特別法のマンション法(建物の区分所有等に関する法律)を持ち出しているので注意してください。同じ用語でも法律の目的によって意味内容が異なります。
 なお、共有は合有や総有を含めて解説されますが民法の条文には「共有」しかありません。


 1 所有権の共有形態

角丸四角形:             基本的なこと
・民法の条文(249〜264)があるのは共有だけで、合有、総有は出てこない。
・共同相続(898・899)は学説が分かれ、判例は分割可能財産を「共有」。
・マンションの所有関係は特別法の区分財産所有法で定められています。
角丸四角形: 民法の条文リスト
・共有物の使用(249)・・・・・共有物の全部について持分に応じた使用
・共有持分の割合の推定(250)・・・共有者の持分は相等しいと推定
・共有物の変更(251)・・・・・他の共有者の同意を得て共有物を変更する
・共有物の管理(252)・・・・・共有者の持分の価格に従い、過半数の可決
・共有物に関する負担(253)・・・管理費用の負担、相当の償金で持分取得
・共有物についての債権(254)・・・特定承継人にも行使できる
・持分の放棄及び共有者の死亡(255)・・・その持分は他の共有者に帰属
・共有物の分割請求(256)・・・共有者はいつでも共有物の分割請求ができる
・裁判による共有物の分割(258)・・・協議が整わないとき。競売命令も可能
・共有に関する債権の弁済(259)・・・条文を読んでください
・共有物の分割への参加(260)・・・自己の費用で参加。対抗要件
・分割における共有者の担保責任(261)・・・持分に応じて担保責任
・共有物に関する証書(262)、共有の性質を有する入会権(263)、準共有(264)
角丸四角形: 共 有
複数の人がひとつの物に所有権を分割して所有すること。
この分割割合が持分です。
例:夫婦の財産





角丸四角形: 合 有
各人が持分を持つが、持分権の譲渡や分割請求が制限や禁止される。

例:組合財産





角丸四角形:    総 有
個々の構成員は持分を持たず、団体が管理・処分権限を持つ、共同所有形態です。
例 入会権、権利能力なき社団の財産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










                          文頭に戻る


  共有物の変更・利用・改良・保存

 

定  義

要  件

具体例

変更(251

性質や形を物理的に変更させる

共有者全員の同意

共有物の売却

利用(252

共有物を変更させずに収益を図る

持分の価格の過半数

物全部の賃貸

改良(252

使用価値や交換価値を高める改良

土地の整地や建物の改修

保存
 (
252但書)

共有物の現状を維持する

各共有者が単独で負担

共有物の補修

                          文頭に戻る


 3 民法上の「共有」と建物区分所有法の共有部分の「共有」

          ●土地(敷地)・・・・・・・敷地利用権
          ●建物(専有部分)・・・・・区分所有権
           建物(共有部分)・・・・・共有持分権

 

   民法上の共有

  区分所有法の共有部分

共有物の使用

共有物の全部について持分に応じて使用ができる

持分に関係なく、共用部分全体を使用することができる

持分の割合

相等しいものと推定

専有部分の床面積の割合

持分の処分

できる

持分だけの処分はできない

共有物の保存

各共有者が単独意で行える

各共有者が単独意で行える

共有物の管理

持分の価格の半数で決する

区分所有者及び議決権の各過半数による総会決議

共有物の変更

全員の同意が必要

区分所有者及び議決権の3/4以上による総会決議

共有物の処分

全員の同意が必要

共用部分だけを処分できない

費用の負担

持分に応じて負担する

持分に応じて負担する

共有物の分割請求

できる

できない

文頭に戻る