図解編
民法図解集を作る
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2月から民法用語集を整理しました。
自由国民社の『法律用語辞典(改訂4版)』や『口語民法 補訂4版』、有斐閣の『法律学小辞典』、菅野耕毅さんの『事例民法入門 第2版』(法学書院)、神田将さんの『民法のしくみ 改訂5版』(自由国民社)のほか宅建主任者や行政書士の受験テキストを参考にしました。
全体がつかめるように配意したつもりですが用語を並べただけでは不親切です。
そこで、民法の編成(総則・物権・債権・親族・相続)に対応し、用語のつながりをもっとわかりやすくしようと始めたのが図解です。
判例集は、遠藤浩・川井健編『民法基本判例集 第3版』(勁草書房)、三木邦裕『これならわかる明解! 民法判例』(自由国民社)も購入しました。
でも、それを持ち出すのはやめました。判例を持ち出すとバイアス(偏り)を生むだけですし、その解釈はいかようにも使えるからです。
図解はあくまで民法用語集を補完するもので、全体をつかんで民法に親しめば十分でしょう。
わたしは条文に書かれてあることを重視します。それをどう読み取るかはみなさんにおまかせします。
民法の債権編の改正も迫っていますが、今の民法に何が書かれていて、何が不足し、どうのように改正されるかは条文を確かめて言えることではないでしょうか。
最近は有名な小説のあらましをまとめた本が出回っていますがわたしはこういうやり方は好みません。
その本を読んでみて良さや悪さを確かめるのが本当の読書だと思います。
聞きかじりでなく確かめるためのきっかけに用語集や図解を利用していただければ幸いです。
最初は1枚でまとめていた図解も数ページにわたるようになっています。
大切だから詳しくなるわけですが、やっぱり要点は1枚に絞るべきでしょう。
わかりやすく書くというのはけっこう面倒です。
たとえば、不法行為には損害賠償と賠償責任が条文の標題で区分されていますが、それを説明する民法学者の説明も一般不法行為と特殊不法行為の区分だけです。
特別法の無過失責任(結果責任主義)と民法の過失責任主義のはざまにあるのが賠償責任でしょうか。
門外漢でも問うことができるのは「法は誰のためにあるのか」ということです。
通常は「何のために」ですが、わたしはあえて「誰のために」と言いたい。
私人間の平等な対決が民法の基本的な考えですから、「誰のために」は矛盾した設問です。
でも、法人も人として参加する民法で、対等という発想が破綻を期しているのも現実です。
平等なはずの民法がなぜ「保護」を持ち出し、特別法で「救済」と変わるのも不思議です。
そんなささやかなこだわりをもって図解はこれからも続けていきます。