たかがクルマのことだけど

やっぱりセダンがいい


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 クルマの定期点検に子どもを連れて出かけた。ショールームをうろつくと外車めいたセダンが外に飾ってある。室内をのぞき込めばセールス担当が「てごろなお値段の車種もございます」と近寄る。まわりは相変わらず箱型のワゴン車ばかりだ。

 セールスの誘いを振り切って席に戻ると、「お母さんが来ないわけだ。また新しいクルマをほしがって」と娘が言い出す。「天井の低いクルマにはあきたでしょ」と女房と同じことを並べる。無視してカタログを眺めると「借金を増やさないでよ」とクギをさす。うるさい娘だ。出がけにスネ始めた母親と同じことをぬかすな。

 最近はBMWのセダンが目立つ。同じドイツのベンツよりもひきしまって、地味なクルマだ。高速道路でもきびきびした走りで、鈍重な感じはしない。ヒップアップな後ろ姿も嫌味がない。展示されていたセダンもそういうスタイルだ。

 ワゴン車に2年乗ってきた。カーブが続く山道では相変わらず違和感がつきまとう。鼻先が短いから視点が手前にきて先を読むドライブがしにくい。右にカーブするときにはピラーが視界を妨げるのもむかつく。違和感がつきまとうのは7台もセダンに乗ってきたからだろう。

 見栄えだけでなく、運転のしやすさ(ドライバビリティー)ではセダンのほうが安定している。カーブを曲るときの車体の安定性、あるいは客室とトランクの区別もセダンが勝る。これはわたしがドライバーだから思うことだ。

 人と物の移動や運搬の手段としてなら、たくさん積めて広々としたワゴンも捨てがたい。でも、それだけでクルマがあるわけではない。一時は姿を消していたセダンが復活したのは運転する楽しみや運転のしやすさが見直されたからだろう。

 セールスが持ってきたセダン車のカタログを眺めていると子どもはウサンくさそうな目をする。当分ワゴン車に乗り続ける気で定期点検に出向いたのを忘れては困る。それにしても、こいつらはいつになったら運転免許を取るつもりだ。孫の送り迎えに親父を使うつもりだろか。(2006/03/21)


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