たかがクルマのことだけど

ブレーキってアテになるの


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目次
 
タイヤの回転を止めるだけ
 ●かけて直ぐ停まるわけではない
 ●走行速度や路面状況で停止距離は異なる
 ●スピードのコントロールはブレーキだけじゃない
 ●他車が接近走行してるときはフットブレーキ
 ●ブレーキに頼らない運転をする


 雪道や水溜りでブレーキをかけてスピンしたり滑走した経験はありませんか。思うとおりに止まらず慌てたことが私には何度もあります。また、貨物車を運転中に急ブレーキをかけて荷物の重みで前のめりになったこともあります。有効に機能する範囲があり、かけ方によって冷や汗をかくのがブレーキです。利用方法を知り、かけるべき時にはためらわず使う・・・それがブレーキというものでしょう。

タイヤの回転を止めるだけ

 自分でタイヤ交換をした方はご存知のとおり、こんなチャチなものかと驚かされるのがブレーキです。ワイヤーが切れたら、石が詰まったら、ディスクに油がこびりついたら役立たない代物です。ドラムブレーキにせよ、ディスクブレーキにせよタイヤの回転を止めるにすぎません。クルマを止められるのはタイヤと道路の摩擦にかかっています。ムキになってブレーキを踏んでも、クルマそのものは《慣性の法則》で走ります。

 ここで知ってほしいのは、「止める」と「停まる」の違いです。タイヤの回転を「止めて」もクルマは「停まらない」ことが当然あります。摩擦がない雪道や水溜りではクルマはそのまま走り続けます。アンチブレーキロックシステムがあっても役立ちません。そして、止めるというドライバーの判断と行動が伴わなければ決して停めようがないことです。機械が勝手にやってくれるわけではありません。
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かけて直ぐ停まるわけではない

 かけたから直ぐ止まるという錯覚をしがちですが、「空走距離」がつきまといます。これはドライバーの個人差、つまり注意力と機敏さで異なります。まわりを見ていないで、グズグズしている人ほど遅くなります。危険を察知するドライバーの反応時間と機械が作動する時間が介在します。ドライバーがよそ見や無駄話をしていればいっそうタイムラグが増えます。

 もう忘れた人もいるでしょうが、ブレーキをかけてからクルマが止まるまでにはタイムラグ(時間のズレ)がつきまとい、そのズレの分の空走距離があります。
 教習所で習った公式を持ち出せば、

  ■停止距離=空走距離+制動距離

 これを時間で考えればつぎのようになります。

  ■危険を察知してからクルマが止まるまでの時間=ドライバーの判断から操作までの時間+ブレーキが機能するための時間
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走行速度や路面状況で停止距離は異なる

 高速で走るほど停止距離は大きくなる、これはドライバーの常識です。時速100kmなら最低100m、時速20kmなら20m程度というのを忘れているんでしょうか。また、高速になるほどぶつかったときの衝撃は激しいのが物理法則です。それを忘れて前のクルマに接近して走る自殺志願者や無知な人が多いのも現実です。

 クルマが停まるにはタイヤと道路の接地状況にかかっています。雨や雪のときはいつもより長い停止距離を必要とします。タイヤの性能にもかかっていますが、いつもより停止距離が延びるのはどなたもご存知のとおりです。摩擦係数とかハイドロプレーン現象も学んだはずなのにけっこう無茶をする人も多いですね。
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 ここまでは当たり前のことですが、これからは私の経験を加えます。

スピードのコントロールはブレーキだけじゃない

 速度の制御はブレーキ以外にもできます。@アクセルから足を離す、Aエンジンブレーキを使う、そしてB半クラッチを使う(マニュアル車のみ)があります。ブレーキを使えば何でもできるわけではありません。状況に応じて使い分けるのがドライバーの役目だということを忘れてはなりません。

 何かといえば機械のせいにして責任逃れを図るものですがクルマを走らせるのはドライバーです。使おうとしないからクルマが止まらないし、使いかたを間違えるから他人を危険にさらすのでしょう。使わなくても良いときには使わないのも忘れないことです。出さなくてもよい速度を出さないを忘れてほしくありません。
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他車が接近走行してるときはフットブレーキ

 エンジンブレーキや半クラッチの使用は後続車にはわかりません。互いに接近して走っているときはどのドライバーも緊張しているだけでなく速度感覚も麻痺していますから相手がわかるように努める必要があります。こういうときにハザードランプをつけるのは考えものです。フットブレーキを踏めばストップランプが点燈します。

 また、高速道路などで事故や渋滞でやむを得ず停車するときはハザードランプと合わせてフットブレーキを踏んで後続車に注意を促します。相手に分かるように何度も警告を促すことも自分の身を守るために欠かせません。
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ブレーキに頼らない運転をする

 ブレーキで危険を回避するにしてもすでに述べたように使い物にならないことはけっこうあります。回避より危険の防止に努めることが大切です。やたらと急ブレーキをかけるのは、前のクルマの責任でなく車間距離や速度を制御しない(できない)ドライバーに問題があります。

 急発進、急停車は見た目にはかっこ良いようですが、下手な運転をさらしているだけです。どんなに高性能なクルマでもドライバーの使いかたでマイナス面が出ます。品のない運転をして鼻つまみにならないことでしょう。ブレーキ以外にも速度を制御する手段はあります。はやる心を抑えるのもドライバーの資質でしょうか。
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