たかがクルマのことだけど

先読み術が欠かせない


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 外に出るのもおっくうだから家に3日くすぶっていた。読書とギターとゲームで過ごすのも悪くない。ウインドーズパソコン付属のフリーセルに毎日10回以上挑戦して家族には「よく続けられるね」と皮肉を並べられる。ここ半年で763勝648敗で勝率54%だからたいしたものではない。連勝したと気を抜くと連敗が続く。このゲームは並べて消していくものだがどこから始めるかがポイントだ。Aの位置とカードのつながりを見極めて展開する。あとー手というところで上がれない時はムッとする。

 おととい古本屋で破格値で買ってきたピーター・コラッジオ著『ピアノ・テクニックの基本』(音楽之友社、2005年)はピアノに縁のない者が読んでも納得できる意見がある。それが「初見能力」と訳されるSightーReadig Skillsである。読み書きの基本がー語ー語づつ読むのでなくーつのグループとして認識するのと同じで、演奏を身につけるのはーつーつの音の技術でなく曲の流れを先読みする技術を体得させることだというのにうなずいた。音楽教育は初心者にそういうことを初期段階で身につけさせる配慮が欠かせないと著者は主張する。それはギターにしても同じで完奏するためには先を読んで弾くのは同じだ。日本語訳は「先読み術」としたほうが分りやすいだろう。

 この説明のたとえを持ち出せば視点の置き所だろう。手前ばかり気にすれば先は見えないし、遠くに視点を置けば見通しは増すが足元の石につまづくようなものである。ひとことでいえば、焦点を固定するのでなく移動に合わせてものごとを理解する技術だろう。楽譜の理解だけでなく完奏するにも欠かせない。これは山歩きやクルマの運転にも通じる。周りを確めずに目先ばかり気にしていたらぎこちない動きだし、事故にもつながる。状況を見極めて(読んで)進むのは欠かせない。畑ちがいの人でも重みのある意見だとうなづいた。

 そこでフリーセルに戻るとこのゲームは初見能力がけっこう試される。Aの位置ばかり気にして進むと順調のようで落し穴にはまる。カードの色分布、残ったカードの結びつきを合わせて考える必要がある。また、捨てるのではなく残しておいて結びつけたり、ー度結びつけたものをあえて分離させることも欠かせない。それだけでなく、進むたびに全体を見直すことも欠かせない。忘れてははらないのは体調と集中力である。先読みはどこにも出てくるのだがわたしはどうも勘がにぶいようだ。ともあれフリーセルは当分やめられない。(2007/10/08)