東北ローカル線旅行記 −2008年8月4日〜8日−


その1 東京〜仙台

 8月4日午前9時、自宅を出発して東海道線、京浜東北線と乗り継いで上野まで行った。両線とも通勤の時間帯は過ぎていたが、車内は混んでいて、東海道線で目の前の立っている女性の襟足は流れる汗で濡れていた。

 関東はここのところ、正に猛暑という感じで暑さに弱い妻はここ2〜3日ぐったりとして元気がない。少しは涼しくなってくれることを祈ったが、Tシャツの胸の辺りには汗が浮き出していて、ザックを背負った背中などはもうびっしょりになっているだろう。東北に行けば少しは涼しいだろうか?

 上野発10時21分の宇都宮線に乗って宇都宮に向かった。昨日、JRの緑の窓口で北海道&東日本パスという切符を買った。JR北海道、JR東日本、青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道、北越急行の普通列車が1万円で5日間乗り放題という超格安切符だ。8日までの予定で、できれば函館まで行きたいと思っていた。

 宇都宮線は線路内に人が立ち入ったとかで約7分遅れて宇都宮を出発した。途中の駅で快速の待ち合わせをするという。そちらの方が早く宇都宮に着くので、電車を降りてホームで時刻表を見ながら待っていると
 「快速は反対側のホームですよ」と中年の男性に声をかけられた。都内を走っている私鉄などでは快速はだいたい普通の横のホームに入ってくるので、無意識のうちにそのくせが出てしまった。お礼を言い、慌てて階段を駆け上がり、反対側のホームに行くとすでに快速は行ってしまったのか、まだ来ていないのか閑散としている。嫌な予感がしたが、その通りで「次の宇都宮線の発車は2番線からです」とのアナウンスがあり、それは今まで僕たちの乗っていた電車のホームで、また慌てて階段を駆け上り、そして駆け降り、元の電車に飛び乗った。

 7分遅れで上野の出発した電車だったが、遅れをだいぶ取り戻し、黒磯行きの列車が出発するまでには、時間の余裕があったので宇都宮駅で下野山菜弁当を2つ買い、列車に乗った。車内は空いていたが、ガラガラという状態でもなく、どのボックス席もひとりまたはふたりと人が座っていた。仕方ないのでメガネをかけた大人しそうな男子高校生がひとりで座っている真向いに席を取った。

 彼は恐らく母親の作ったであろうお弁当を、上品に食べていた。それを見ていたら、僕も弁当を食べたくなり、妻に「弁当を食べよう」と言った。妻はまだあまりお腹も空いていないといい、郡山発仙台行きの列車の中で食べようと言ったけど、もう12時も過ぎているし、何よりも他人の食べるのを見ていると余計にお腹が空いて来て、「もう食べよう」ということになった。

 下野山菜弁当は茶飯の上にエビのてんぷら、金糸卵、たけのこ、ふきのとう、しめじ、しいたけ、干ぴょう、甘栗などが乗り、健康的で美味しかった。黒磯に近づくにつれて、車窓から見える風景には緑が増えていった。西那須野で昔、泊まったことのある旅館が見えたりして懐かしい気分になったりした。

 1時30分くらいに黒磯に到着、郡山行きの東北本線に乗り換えたが、この列車は2両編成で横掛けの通勤電車スタイルで妻は何とか座れたが、混んでいて僕は座れなかった。郡山までは約1時間だから、立って行ったとしてもそれほどの時間でもないので窓から見える田舎の風景を愉しんでいたら、運良く新白河で2人分の席が空き、妻と急いで移動して何とか座ることができた。座ると今までの疲れが出てきたので、少し眠ろうと思って目を閉じたが、いつものように眠れず、また目を開けて風景を見たりということを繰り返した。

 郡山から仙台行きの東北本線に乗り換えた。普通列車の旅というのは楽しい。乗り換え、乗り換えで大変ではあるが、車窓からの風景だけでなく、いろいろな人が乗り降りする車内の光景もまた面白い。これでもかというくらい小さな駅への停車を繰り返し、5時過ぎ、列車は仙台に着いた。

 仙台駅は明後日から始まる七夕祭りの飾りで彩られていた。その前で記念写真を撮った。人の多く歩いているところで、カメラに向かったポーズをとるのは気恥ずかしい。時間が時間だけにまずは今夜の宿を決めなくてはいけない。駅前から街を見回すと東横インの看板が目に入ってきた。東横インなら料金も手頃だし、朝食は無料なので早速電話を入れてみたが、満室ということで断られてしまった。七夕祭りは明後日からなのに、部屋が取れないとは…嫌な気がした。

 その後、いくつかのホテルに電話をかけたが、満室だったり、或いは料金が高かったりしてなかなか決まらない。妻が「駅の反対側(東口)の方が賑やかではないから、部屋が空いているところがあるかも」というので、今度は東口方面のホテルに電話をかけ、駅からちょっと離れたところにある小さなホテルに部屋をとることができた。

 このホテルはあとから知ったのだけど仙台より仙石線の榴ヶ岡に近く、明日、松島の行く予定の僕たちにとっては都合のいい場所にあった。チェックインした後、しばらく休憩して夕食をとりに仙台の街に出た。日もだいぶ落ちたこともあって、外気はまずまず涼しくて、妻とふたりほっとした。仙台駅地下にある飲食街でふたりともそば定食を食べ、街を散策した。

 街も笹飾りであふれていた。仙台は宇都宮に比べて、その中心街は大きな店舗ばかりで個人商店があまり見受けられないため、妻は「面白くない」と言った。青葉城址まで行ってみようということになり、夜道を歩いた。中心街から外れていくと、個人商店もぽつぽつと出てきて、何か商売をしたいと思っている妻は興味深げにそれらを見ていた。

 青葉城址まではかなりの距離があり、広瀬川を渡り、その入口くらいにある仙台国際センターまでで折り返した。また来た道を歩くのかと思うと、疲れが倍になった気がしたが、北海道&東日本パスを持っていることに気づき、あおば通り駅からホテル近くの榴ヶ岡駅まで仙石線で帰った。(2008.9.7)

―つづく―


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