2015 紀伊半島旅行記


その5 8月7日 近江八幡〜横浜

 旅行最終日、妻は明日から仕事のため、できるだけ早く帰ることを心がけた。8時35分発の東海道線で琵琶湖の東岸を北上し、9時前に米原に着いた。まだ、親戚や職場の人たちのお土産を買っていなかったので、何処で買うかと悩んだ。

 あまり、横浜に近いところで買っても有難味はでないし…、名古屋辺りがいいのではないかと思ったが、できれば今まで訪れたところのない場所にしたいと思い、結局、時刻表と相談し、豊原で途中下車することにした。妻は、やや不安気であったが、豊橋なら大きい駅だし、お土産の種類も多いと思った。

 米原から特別快速で豊橋には11時半くらいに着いた。昼食を取り、お土産を買うにはちょうどいい時間である。駅の改札を出て、駅ビルの中にある食堂で昼食を取り、その後、お土産を買いに行った。

 豊橋を13時23分発の東海道線で出発し、浜松、島田と乗り継ぎ、熱海に17時に着いた。妻も、僕も、このままでは味気ないので熱海で途中下車して、街をぶらぶらすることにした。僕は今まで比較的近くにある熱海をじっくりと歩いたことがなかった。何回か訪れてはいるが、それは通過するだけだったり、目的がはっきりしていて、本来の‘旅’という感じはなかった。

 まずは、海の方へ行ってみようと、アーカード街を抜け、坂道を下り始めたが、いつまで歩いても海にでないような気がして、また帰りはこの坂道を登らなければならないという当たり前の事実に気づき、途中で引き返し、アーケードの商店街を見て回ることにした。

 親戚や職場のお土産は買ったけど、まだ自分たちの旅の記念品を買っていないということで、お土産物屋に入った。棚にあるものを、ひとつひとつ見ていくと、美しいガラスのペンダントがあった。ヴェネチアン・グラスである。妻が気に入ったようだったので、好きなものを選んでもらい、それを旅の記念品にすることにした。妻は物を買うとき、すぐに決められない性質で、悩んでいた。僕も、「これがいいんじゃないかな?」と意見をいったが、妻の好みとは違うようで、余計に悩み始めた。

 そのうち店員さんがソワソワしだした。気づけば、18時近くになっている。都会からすれば、まだ十分に早い時間だが、どうやら閉店時間を過ぎてしまっているらしい。後から知ったのだが、僕たちが、店に入ったくらい(17時半)が閉店時間だったのである。ただ。急かせるのもイヤなので待っていると、ようやく決めたらしく、グリーンを基調として中に葉の模様の入ったペンダントを選んだ。

 お土産物屋を出て、今度はその向かい側にあった和菓子屋さんでまんじゅうを買い、アーケード街の中央に置かれていたベンチに座って食べた。妻が、ベンチに座って何かを食べたいといったのである。それは、お腹がすいたというより、そういう想い出を残したいということのようだった。そういえば、以前に観たテレビ番組によると、男性は旅で新しいものをみたいと思い、女性は想い出を残したいと思うそうである。まんじゅうを食べ終え、熱海駅に向かい、東海道線に乗り帰路に着いた。(2016.7.19)

―終わり―


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