北海道旅行記 2002 その1


8月2日 出発…猛暑からの脱出

 北海道行きのフェリーはこの不況のせいだろうか、関東からだと苫小牧行きだけになってしまった。便は夕便と夜便があり、夜便は今までと同じ時間帯の23時30分発だが、夕便は18時30分と早い出発になる。北海道に着く時間も夜便だと19時を越えてしまいその日の行動はかなり限られるが、夕便だと13時30分なので半日行動ができる。今度は行きも帰りも夕便を使うことにした。帰りは夜便の方が北海道に居られる時間は長くなるのだが、大洗に着く時間が遅くなってしまい翌日から仕事をする身にとっては辛くなってしまうからだ。こんなことで体を庇おうとするのは年をとったせいかもしれないなと思った。

 出航が18時30分だから午後4時くらいに大洗のフェリー埠頭に着いていればいいのだが、余裕を持って家を10時過ぎに出た。東京はここ2日、猛暑で完全に夏バテ気味になってしまった。食欲が全くなく、冷たい飲み物ばっかりついつい飲んでしまうということを繰り返した。体力もめっきり落ちている感じがして、これで北海道を走り抜くことができるのか不安になってしまう。だけど、まずこの猛暑の中を大洗まで走らないといけない。北海道に行くまでは軽装で走ろうかと考えたが、今回はできるだけ短時間で大洗まで行きたいため高速を使う。高速を走るとなれば軽装ではだめだ。暑いがジャケットを着て走らないといけない。

 10時過ぎからバイクに荷物をつけ始め、出発したのは10時30分くらいだった。今日は幸いなことにそれ程カンカン照りといった天気でもなく、薄曇りのため多少は暑さが和らいでいる。家にもっとも近い首都高大井南のインターから高速に乗った。混んでいるかな?と思ったがそれ程の混雑もなく順調に流れた。だけど、セローは80km/hくらいだとそれ程ストレスを感じないが、それ以上のスピードになると振動が大きくなり快適とはいえない乗り心地になってしまう。やはり高速はこのバイクには似合わない。

 首都高から東関道に入っても順調に流れた今日が金曜日だったのも幸運だったかもしれない。週末だったら海に向かう車でかなり混雑するはずだ。大栄のSAで一休みをした。バイクを降りると両手がしびれていることに気づいた。バイクの振動のせいだろうか?このしびれがとれるまでゆっくりしていようと思った。ここで昼食でもと思ったが、まだ時間がちょっと早かったのとSAの食事はあまりおいしくないから、高速を下りてから何処かおいしそうな店でとろうと思った。走っているとそんなに感じないが止まってしまうとやはり暑い。特にジャケットを着ているため汗がじわじわと出てくる。他人からはこの暑いのに何で?と奇異の目で見られている感じだ。

 大栄のインターで高速を下り、国道51号に出る。ここからは大洗まで国道51号をずっと走っていけばいい。この国道は流れもよく、順調に走ることができた。本当だったら国道6号を走ったほうが距離的には大洗までは短いのだが、距離的には遠回りでもこの国道51号経由の方が早い。高速から下りてすぐにバイクにガソリンを入れた。次は自分に補給をしないといけないと思いながら走ったがなかなか良さそうな店が見つからなかった。時間的にはかなり早いので何処かに寄って行こうかと思ったりしたけど、大洗がどんどんと近づいてきてしまった。コンビニに寄って水を買った。フェリーの中で酔い止めの薬や夜の水分補給のためだ。結局、昼食をとったのは大洗にかなり近い大洋村に入ってからだった。中華屋さんで野菜炒め定食を食べた。旅に出るとどうしても野菜を食べる機会が少なくなるので今のうちに食べておいたほうがいいだろうと思った。時間はもう1時30分近くになっていた。

 海岸線に出てからは工事が所々行われていたりして渋滞していた箇所もあったが、おおむね流れはよく、気持ちよく走ることが出来た。大洗の海岸には多数の海水浴客が遊んでいた。そんな大洗の海を横目に見ながらフェリー乗り場に入った。時間はまだ2時30分をちょっと過ぎたくらいだった。本当に順調に走れたと思った。この暑さが心配だったが、とにかく走っていればそんなに暑さは感じない。関東の猛暑を何とかくぐり抜けた気がした。

 フェリー乗り場に着くと係員の指示にしたがってバイクを駐車場に止め、必要事項を申し込み書に書き、銀行の振込用紙の控えといっしょに窓口に出して乗船の手続きをした。あとはもう乗船までは何もすることはない。待合室のベンチでウトウトと眠った。時間が早いせいかまだバイクは3〜4台しか来ていない。今年はフェリーも減ってしまったから混むかと思ったがそうでもないのかもしれない。年々、バイクや自転車で自由な旅をする人が減っているような気がする。関東からの長距離フェリーも今はこの大洗から苫小牧に行く便だけになってしまった。社会が徐々にシステム化されていく過程で人間まで次第に自由な心を失い始めているのかもしれない。

 午後4時30分くらいからバイクの乗船が始まった。アナウンスが入ってバイクが止まっている駐車場に行くとかなりのバイクがあった。何かほっとする。やはりフェリーが苫小牧だけになってしまったことで関東周辺のライダーは集中するのだろう。車の数もいつもよりかなり多いような気がする。まずはバイクの乗船から始まる。バイクはいつも最初に乗船になる。しかし下船は逆になってしまうため最後だ。今回は車の数が多いためかF2という通常の甲板より一つ下の甲板にバイクを乗せることになった。ここからは階段を使って客室まで上がった。2等寝台を予約していたが、広い寝台に乗れることになり、ゆっくりできそうだ。まずはいつものように風呂に直行した。大きな湯船が2つもある大浴場でサウナまでついている。今回はサウナ中心に入浴した。

 入浴の後、買った水で酔い止めの薬を飲み、出航の瞬間を見るため甲板に上がった。長い時間浴室にいたため出航の時間はもうすぐだ。始めて北海道にフェリーで渡った時はこの出航の時はほんとに胸が高まった。今はもうかなり慣れてしまったため、そんな気持ちにはならないが、出航の時は何とも言えない気持ちになる。岸で係員の人が3人並んで手を振っていたのがとても印象的だった。

 この後はすぐにレストランが開くので夕食をとりにいったが何とメニューが1600円のバイキングだけになっていた。この1600円は痛いけど何も食料を持っていない以上ここで食べないわけにはいかない。前にあった軽食コーナーもやっていないようだ。バイキングではいろいろなものが並んでいたがそれ程おいしいと感じるものはなかった。一番おいしかったのはデザートの夕張メロンだったように思う。あと、コーヒーが飲めたのはよかった。コーヒーを飲むと落ち着いた気分になる。

 夕食の後、寝台に戻って地図を見て明日走るコースの確認をした。だけど、まだどうしようか迷っている。こんなことは今までなかったことだ。これは会社でアルバイトをしているAさんに会いたいため、うまく接点を見つけようとしているからだ。だけど、Aさんの予定も今の時点ではそんなに詳しくわからないのでどうしようもない。北海道に上陸してから電話で詰めるしかないだろう。そんなことを考えながら地図を見ていたら眠くなったのでまだ10時だがちょっと目をつぶったら眠ってしまった。目が覚めたときはもう朝だと思ったが、時計をみたらまだ11時をちょっと回ったところだった。わずか1時間くらいなのに熟睡した感じがした。歯を磨いて今度は本当の眠りについた。つづく…


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