山下雅司さんが作っておられる小学校低学年と保護者向けの俳句入門です。
第75回からは内容をリニューアルして掲載しています。(連載中)   第1回〜74回は入門のページのリンクからどうぞ。



おやこの俳句教室(75)
 「おやこの俳句教室」は、毎回テーマを決めて毎月、開催します。作品づくりにかかせない季語の説明をはじめ、親子で俳句を楽しんでもらうための俳句クイズも入れてみます。おやこの俳句鑑賞にもご参加ください。甑島のトシドンとバレンタインの俳句大会は引き続き開催します。よろしくお願いします。

4月:開講

桜咲く

 今年の桜は例年よりも早い開花です。みなさん、お花見はされましたか。花と言えば、俳句では桜の花のことです。昔は梅の花だったようです。桜は梅とちがって咲いている期間がみじかい花ですね。
花を使った季語をいくつかあげてみましょう。
花時(はなどき)花冷え(はなびえ)花曇(はなぐもり)花見(はなみ)花疲(はなづかれ)花筏(はないかだ)花吹雪(はなふぶき)… 花にそれぞれの言葉がついています。ほとんど理解できると思います。
 こんな俳句があります。「花疲れ紅茶のレモン厚切りに 松村照子」。作品は、レモンを厚切りにしての紅茶で花見の疲れをとっています。花疲れは生活の俳句です。

 ここでクイズです。次の@〜Fの番号から選んでください。
「花」は( )、「花冷え」は( )、「花見」は( )。
@時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事

 そこで、桜の一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )

◇おやこの俳句鑑賞
桜咲く思い出尽きぬわが母校 山下雅司

次回5月のテーマは「遠足」です。

☆年間予定表

4月:開講
5月:俳句教室@
6月:俳句教室A
7月:俳句教室B
8月:夏休み俳句教室
9月:俳句教室C
10月:俳句教室D
11月:俳句教室E
12月第5回「甑島のトシドン」の俳句募集
1月:トシドンの俳句発表
2月:第8回バレンタイン俳句大会
3月:バレンタイン俳句発表
答はこちらからどうぞ!



おやこの俳句教室(76)
5月:遠足

 遠足は4月の季語になっています。4月から5月の気候が遠足に適したことからでしょうか。学年ごとに先生が引率しての遠足。今も変わらないのは、お母さんに作ってもらったお弁当をあける楽しみだと思います。昔と違うところは、整備された公園や水族館、動物園などへバスを使い、現地を歩いて見てまわり、またバスに乗って帰ることかもしれません。歩く時間も短くなれば、遠足という意味も変わってきそうです。次の俳句は遠い日の遠足です。

 「遠足の声ばらばらの峠越え 廣瀬直人」。

 「あすなろ一句鑑賞」でとりあげた作品ですが、遠足の情景が目に見えるようですね。学校生活のなかで遠足は楽しい一日でした。

 では、ここでクイズです。次の俳句の( )に入る言葉を@〜Fの番号から選んでください。

 一山に遠足の子の( )が満つ 榎本黙子
 @顔A声B服C風D空E足F耳

 みなさんも遠足の一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )


◇おやこの俳句鑑賞

次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

葉桜のあをの明るき空を見る 緑川美世子


☆新企画のお知らせ 【選句コーナー】の開設  新企画の投句と選句を募集します。投句とは俳句を作って出すこと、選句とは作品を選ぶことです。投句された作品を「おやこの俳句教室」に掲載後、みなさんに選んでもらうコーナーです。
 投句は5作品として、できるだけその時期の季語を使ってください。選句は1作品に簡単なコメントをつけて、「おやこの俳句鑑賞」の投稿窓口からお願いします。  作品の投稿がある場合の掲載です。多くのご投稿を待っています。
こちらのフォームからご参加ください。
答はこちらからどうぞ!



おやこの俳句教室(77)
6月:梅雨(つゆ)の季節

 梅雨は6月から7月中旬にかけて雨期のことです。梅雨(ばいう)として中国から伝わって江戸時代に「つゆ」と呼ばれるようになったそうです。語源はさまざまですから調べてみてください。
 さて、梅雨の季語をみてみましょう。「走り梅雨」「黒南風」「梅雨入」「梅雨じめり」「梅雨空」「梅雨寒」「梅雨の蝶」「梅雨出水」「梅雨晴間」「梅雨の星」「荒梅雨」「空梅雨」「梅雨明」「白南風」。今年は例年よりも早い梅雨入りとなりました。食中毒や体調にも気をつけなければなりません。
 アジサイの花があざやかです。入梅のころはホタルも飛んでいます。カビもはえてきます。またカタツムリやナメクジも6月の季語です。雨の少ない梅雨を空梅雨と言いますが、今年はどうでしょうか。

 では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。

部屋ごとにしづけさありて梅雨きざす 能村登四郎
 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事

 みなさんも梅雨の一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )


◇おやこの俳句鑑賞

次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

空梅雨の島々を見て船は航く 高浜虚子


【投句コーナー】
  母の日や飛行機雲の幾重にも 
  こどもの日ただ黙々とウォーキング
  清流の白き流れよ風五月
  囀りや日の温もりを全身に
  摘みたての蓬選りをり島の女
 (投句・山下雅司)

*選句は1作品に簡単なコメントをつけて、「おやこの俳句鑑賞」の投稿窓口からお願いします。
引き続き、投句もお待ちしております。(真帆)
こちらのフォームからご参加ください。
クイズの答はこちらからどうぞ!



おやこの俳句教室(78)
7月:投稿はあわてずに! 
 
 投句された俳句の中から1句を選ぶコーナーが今月から始まります。選句は、はじめての人と経験者で、その眼力やスピードに違いはあるかもしれませんが、いい作品には多くの人が共感を持つものです。簡単なコメントを添えて気軽に選句をお願いします。 
 さて、投句する人は俳句を作ったら、俳句になっているか確かめてみましょう。字の誤りや季語の重なりなどは時々あります。うっかりミスもあります。 
 前回、投句したあとに気がついた私の作品です。頭のなかではAを書いたつもりで@のような投句となりました。 
 
@「清流の白き流れよ風五月」 
A「清流の白き水音風五月」 
 「流れ」でなく、「水音」だったのです。ややもすると、このような誤りはおこると思います。あわてずに、再確認をしてからの投稿を心がけたいと思います。今回は投稿のミスを取り上げました。 


 では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。 

 美しき緑走れり夏料理 星野立子 
 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事 

 みなさんも7月の一句を作ってみましょう。 
 作品「                 」 
 作者(      ) 

◇おやこの俳句鑑賞 
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。 

水遊び胸まで濡れて母を呼ぶ 大串章 

【投句コーナー】 
黒日傘閉ぢ一本の影となる
照坊主吊るされしまま三日過ぐ
足の指くひと引き寄せ熱砂踏む
薔薇垣を抜けて異界のひとと逢ふ
文字摺草祈りは天に届くまで
(投句 古崎真帆)

【選句コーナー】 (前回の投句から作者一人につき一句を選んでみましょう)

こうじさん 選
摘みたての蓬選りをり島の女 山下雅司
島の風景の中にふるさとの季節、新鮮さを感じました。

古崎真帆 選
こどもの日ただ黙々とウォーキング 山下雅司
こどもの日ということで、父と子でウォーキングしている姿を思い描きました。最初は日常のことを話しながら足取りも軽く歩いていた二人ですが、次第に疲れてくるし話題もなくなって、それでもやめようと切り出せずに、ただ黙々と歩き続けています。でも、父はそんな我が子の様子を、「がんばるなあ、いつのまにか逞しくなった」などと見守りつつ歩いているのでしょう。

*選句は1作品に簡単なコメントをつけて、「おやこの俳句鑑賞」の投稿窓口からお願いします。
引き続き、投句もお待ちしております。(真帆) こちらのフォームからご参加ください。
クイズの答はこちらからどうぞ!



おやこの俳句教室(79)
8月:夏休み俳句教室 
 
 毎回の俳句クイズでは、時候、天文、生活、地理、植物、動物などを選んでもらうことにしています。夏の俳句教室では「生活」の季語を挙げてみましょう。今回は食べ物にしぼります。みなさんはいくつ知ってますか。お父さんやお母さんの大好きな物もあるかもしれません。

アイスクリーム
アイスキャンディー
甘酒(あまざけ)
苺ミルク(いちごみるく)
梅酒(うめしゅ)
梅干(うめぼし)
干瓢干す(かんぴょうほす)
胡瓜もみ(きゅうりもみ)
葛饅頭(くずまんじゅう)
葛餅(くずもち)
氷水(こおりみず)
サイダー
鴫焼(しぎやき)
焼酎(しょうちゅう)
白玉(しらたま)
ソーダ水
心太(ところてん)
泥鰌鍋(どじょうなべ)
土用鰻(どよううなぎ)
茄子漬(なすづけ)
夏料理(なつりょうり)
生ビール
冷麦(ひやむぎ)
冷西瓜(ひやしすいか)
冷素麺(ひやそうめん)
冷奴(ひややっこ)
冷麦(ひやむぎ)
豆飯(まめめし)
蜜豆(みつまめ)
ラムネ

 生活の季語だけでも実感する俳句です。俳句は生活に生きています。ふだんに使っている言葉を大切にしましょう。  


 では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。 

 登山する健脚なれど心せよ 高浜虚子 
 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事 

 みなさんも8月の一句を作ってみましょう。 
 作品「                 」 
 作者(      ) 

◇おやこの俳句鑑賞 
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。 

風入れて肩かるくする夏衣 林翔 

【投句コーナー】 
蝉が鳴く爆心地より蝉が鳴く
爆心地訪ふ夏の日よ父は亡き
長崎の夜景平和の灯りかな
青葡萄振り向きざまに見つけたり
蝉しきり鳴くや水門近き木に
(投句 山下雅司)

【選句コーナー】 (前回の投句から作者一人につき一句を選んでみましょう)

こうじさん 選
足の指くひと引き寄せ熱砂踏む 古崎真帆
熱くても砂浜は裸足がいいです、前に進むのに指を引き起こしていたあの感触を思い出します。幼い頃なのか いつの頃だったかと。

山下雅司 選
足の指くひと引き寄せ熱砂踏む 古崎真帆
海水浴の砂浜を思い出す。波打ち際まで駆けだした。立ち止まっていると掲句のごとく足の指を引き寄せないと立っておれない。
私には「熱砂」の俳句がないのでこの夏は作ってみたくなった。

*選句は1作品に簡単なコメントをつけて、「おやこの俳句鑑賞」の投稿窓口からお願いします。
投句コーナーへのご参加もお待ちしております。(真帆) こちらのフォームからご参加ください。
クイズの答はこちらからどうぞ!



おやこの俳句教室(80)
9月:青の俳句にチャレンジ! 
 
「第15回南九州市かわなべ青の俳句大会」の作品締め切りが近づいてきました。今年は9月13日(金)です。
 応募の締め切りが夏休み後であることもあってか、どうしても夏の作品が多くなりがちです。1年を通した各学校の俳句づくりでも、いざ投句となると夏の作品に偏るのかもしれませんが、美しい日本語で四季をつづることこそ、青の俳句の願いだと思います。
 夏に冬の作品を作るわけにはいきません。俳句は、その季節を詠むことが大切です。自分が選句に悩むほど、多くの俳句をまず作るところから上達が始まります。感動したことをメモして文字に残しましょう。きっと、人の心を打つ俳句の素材になると思います。
 ここで、青の俳句大会のきっかけになった句碑を紹介します。

〔句碑の風景〕

「風と競ふ帰郷のこころ青稲田 耕二」

 1999年4月、鹿児島県川辺町の岩屋公園に建立された福永耕二先生の句碑。この句碑建立の年、「少年少女かわなべ青の俳句大会」は誕生しました。時代は変わっても四季が俳句をよみがえらせます。青田は夏の季語で、成長した稲の苗がみわたすかぎり青一色になった田のことです。故郷に住んでいる父母を思う子の心境、「風と競ふ」という作者の思い「こころ」が伝わってきます。  


 では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。 

 秋あざみ振りむけば海きらきらす 野澤節子 
 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事 

 みなさんも9月の一句を作ってみましょう。 
 作品「                 」 
 作者(      ) 

◇おやこの俳句鑑賞 
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。 

捨てきれぬものにふるさと曼珠沙華 鈴木真砂女 

【投句コーナー】 
風の影受け流しをり稲の花
一瞬と永遠の間のいなびかり
秋暑し湖底の村へ続く道
苦瓜の爆ぜるにまかせ閉ざす窓
みちのくのほんたうのそら早稲実る
(投句 古崎真帆)

【選句コーナー】 (前回の投句から作者一人につき一句を選んでみましょう)※到着順に掲載しました。

みうさん 選
蝉が鳴く爆心地より蝉が鳴く 山下雅司
黙祷を捧げている間、耳の奥に蝉の泣き声だけが響いてきます。
 あの夏、あの瞬間も沢山のセミたちが鳴いていたはずです。人間だけでなく無数の命が一瞬で奪われました。
 たとえ何年経とうとも決して忘れてはいけないことがある、と全身全霊で訴える声に真摯に耳を傾ける時が来ているような気がします。

こうじさん 選
長崎の夜景平和の灯りかな 山下雅司
長崎の夜景、灯りのなかに 平和の大切さを感じます。

ねーさん さん 選
青葡萄振り向きざまにみつけたり 山下雅司
夏の暑い日に暑いっなぁ〜と気だるそうに夏の空模様を眺め振り向くと青葡萄が目にとまった。まだ熟す前の硬い葡萄は、これから成長する力みなぎる感じと暑い夏を必要とする感じがこちらまで元気にしてくれるイメージでした!高校野球の高校生みたいな感じでしたので私は夏をイメージ出来ました。

古崎真帆 選
蝉が鳴く爆心地より蝉が鳴く 山下雅司
爆心地という強烈な語が、まさに句の真ん中に置かれている。そして、その語の前も後ろも「蝉が鳴く」。リフレインによって挽歌のような蝉の声が爆心地から拡がっていく。事実だけを述べているが、思いは深い。

*選句は1作品に簡単なコメントをつけて、「おやこの俳句鑑賞」の投稿窓口からお願いします。
投句コーナーへのご参加もお待ちしております。(真帆) こちらのフォームからご参加ください。
クイズの答はこちらからどうぞ!



おやこの俳句教室(81)
10月:水墨画と俳句の世界 
 
鹿児島市立美術館で9月10日〜16日まで開催の水墨画展に出かけました。 
 今回の芝龍郎先生の水墨画の中で、「もののけへの道」は屋久島が舞台です。宮崎駿監督の「もののけ姫」で有名ですね。大樹の道の奥に、霧を配した構図に見入ることでした。墨の濃淡で遠近感や明暗などを表現する水墨画。ハガキに印刷された写真とは違い、実物の迫力を目の前にして感動しました。 
 この展示会で勉強になったことが2つあります。その1つは、実際に現地に出かけて取材することの大切さです。もう1つは、何を表現したいかです。展示作品のタイトルがそれ教えてくれました。 
 俳句は水墨画とちがい文字で表現するものですが、水墨画と共通することがあります。現地に行き、季節を切り取り作品にします。じっくりと観察することが大事ですね。目にみえるもの、耳にきこえるもの、鼻でかんじるにおい、口にする味覚、肌でかんじるものが作品づくりの根底にあります。みなさんも季節を感じて作品を作りましょう。  


 では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。 

 天高し雲行く方に我も行く 高浜虚子 
 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事 

 みなさんも10月の一句を作ってみましょう。 
 作品「                 」 
 作者(      ) 

◇おやこの俳句鑑賞 
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。 

裏返る波の白さよ海桐の実 山下雅司 

【投句コーナー】 
影連れて泳ぐ鮠の子水の秋
草刈ればにわかに増ゆる赤蜻蛉
稲の花里に名も無き山いくつ
秋水の流れを急ぐ棚田かな
苦瓜の残暑にへの字への字かな
(投句 彰典さん)

【選句コーナー】 (前回の投句から作者一人につき一句を選んでみましょう)※到着順に掲載しました。

彰典さん 選
みちのくのほんたうのそら早稲実る 古崎真帆
どうしても大震災、大津波のことを思ってしまう。みちのくは大災害からどれほど回復しただろうか。みちのくが本当の空を取り戻し、実りの季節を迎えることを願ってやまない。

こうじさん 選
風の影受け流しをり稲の花 古崎真帆
稲が整然となっている風景もすきですが、風に吹かれる風景もすきです。 稲の花のように 受け流しつつと思いました。

山下雅司 選
みちのくのほんたうのそら早稲実る 古崎真帆
みちのくは米どころである。今年の早場米が実っている。作者のご親戚や知り合いも、みちのくにはおられるのか。ひらがな表記の「ほんたうのそら」が切々としてならない。

クイズの答はこちらからどうぞ!



おやこの俳句教室(82)
11月:作品集をつくろう! 
 
 俳句を作り始めて18年目となります。これまでの作品で雑誌や新聞などに掲載されたものはコピーしてノートに貼り付けています。みなさんは、どのように整理されていますか。
 短歌や俳句には日記的な要素もあると思います。その時しか出来ないものがあるからです。今回、子どもの成長を綴った作品集を作ることにしました。タイトルは「母子草〜歌と句で綴る〜」と決めました。まずはタイトルになった子どもの俳句、その俳句ができた日の短歌を添えました。次に初吟行の母子草を入れました。
 作品集にはツルがたびたび出てきます。飛来を楽しみに何度も出かけた日々が思い出されます。作品集より一句。「鶴をみて帰る勤労感謝の日」。世界にひとつだけの作品集をみなさんも作ってみましょう。  


 では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。 

 童謡もながれておはら祭りかな 山下雅司 
 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事 

 みなさんも11月の一句を作ってみましょう。 
 作品「                 」 
 作者(      ) 

◇おやこの俳句鑑賞 
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。 

小春日や時計の鳩の反り返る 緑川美世子 

【投句コーナー】
 投句:「北海道の旅・一日目」より。山下雅司

これよりは旅人となる秋の空
句集ひとつ携えて行く秋の旅
土産とす薩摩芋パイ新焼酎
色鳥や旅はジーンズ身軽にて
時計台寒々釣瓶落としかな

【選句コーナー】 (前回の投句から作者一人につき一句を選んでみましょう)※到着順に掲載しました。

こうじさん 選
秋水の流れを急ぐ棚田かな
実際に棚田を見たことはないですが、棚田の実りのなかで 秋への清い水の流れと季節の流れを感じます。
 
山下雅司 選
影連れて泳ぐ鮠の子水の秋 彰典
鮠(はや)の子が水中で素速い動きをみせた。それも影を連れて泳ぐさまを作者は見逃さなかった。水の秋を描写した絵になる俳句だ。声に出して作品を読んでみると味わい深い。

古崎真帆 選
草刈ればにわかに増ゆる赤蜻蛉 彰典
実際に書かれているのは、草を刈ったことと赤蜻蛉の数が増したことのみだが、秋のひんやりと乾きかけた草の感触や、草を刈り始めてからの時間の経過など、様々なことを想像させるふくらみのある句だと思った。丈の長い草を刈った分だけ見通しがよくなったのか、夕刻が近づいたのか,急に数を増す赤蜻蛉の鮮やかさ。郷愁を誘う大きな風景だ。

*選句は1作品に簡単なコメントをつけて、「おやこの俳句鑑賞」の投稿窓口からお願いします。
投句コーナーへのご参加もお待ちしております。(真帆) こちらのフォームからご参加ください。
クイズの答はこちらからどうぞ!



おやこの俳句教室(83)
12月:第5回「甑島のトシドン」の俳句募集 
 
  『薩摩川内市の下甑島に伝わるトシドン。「一年間の締めくくりの大みそかに、トシドンさまは、子どものいる家を訪ね、その年の行いや前の年に約束したことができたかどうか、聞かれます。ただの戒めではないのです。…
(南日本新聞、平成24年12月27日付「トシドンで年越し俳句作ろう」)』より抜粋。

   大晦日に人里を来訪するトシドンは、平成21年9月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されました。先人が残した教えを永遠に受け継いでいくため、俳句でもトシドンを残そうと始めた「甑島のトシドン」。今年もトシドンの俳句を募集します。

【募集要領】
季語:トシドン
投句:1人3句まで
締切:平成26年1月5日
発表:おやこの俳句教室(にじのたねHP)1月中旬予定

※住所、氏名、年齢、学年等を記入してください。投句された氏名(ペンネームでも可)で1句掲載します。
※「トシドンの俳句鑑賞」も同時に募集します。110字程度でお寄せください。
※ホームページ「にじのたね」に投稿窓口があります。 
 →→→投稿有難うございました。←←←


 では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。 

 トシドンに泣きべそかきし吾を思ふ  山下雅司 
 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事 

 みなさんも12月の一句を作ってみましょう。 
 作品「                 」 
 作者(      ) 

◇おやこの俳句鑑賞 
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。 

父を恋ふ心小春の日に似たる 高浜虚子 

【投句コーナー】
黒セーター纏ひ大胆不敵なる
歩をゆるめ朽葉の中の石探す
陽だまりに出でて小犬のくしやみせり
身の内の焔(ほむら)に注ぐあらばしり
霜柱底のたひらな靴が好き
 (投句:緑川美世子)


【選句コーナー】 (前回の投句から作者一人につき一句を選んでみましょう)※到着順に掲載します。

こうじさん 選
これよりは旅人となる秋の空
秋の空のすがすがしさと旅人の心境に 新たな明日を感じます。

古崎真帆 選
句集ひとつ携えて行く秋の旅   山下雅司
一人あるいは少人数での旅だろうか。嵩張らず、読む時間やペースにも融通のきく「句集」を携えて出掛けるのだ。一冊ではなく「ひとつ」と表現されていて、作者が俳句に親しんでいるのが伺える。余談だが、俳句をつくる人は皆とても勉強熱心で、どこへ行くにも歳時記を携帯し、気になれば通りすがりの方にでも話しかけて質問する。時間の隙には、先日の某氏の作品評を語りあったりしていて、傍に付いているだけで刺激になる。

*選句は1作品に簡単なコメントをつけて、「おやこの俳句鑑賞」の投稿窓口からお願いします。
投句コーナーへのご参加もお待ちしております。(真帆) こちらのフォームからご参加ください。
クイズの答はこちらからどうぞ!



おやこの俳句教室(84)
1月:第5回「甑島のトシドン」の俳句発表 
 
◇トシドンの俳句   投句作品を、一人一句掲載いたします。
             *HPから投句していただいた方は、ハンドル名で記載させていただきました。ご了承ください。(真帆)
絆ありてこそトシドンは島に在り   岩(男性) 
 
トシドンが帰った方を何度も見  岩(女性)

としどんは名のみとなりぬ過疎の島  山下邦英

年の晩もてはやされて子は受難  宮野金剛

トシドンの島に還暦迎へけり  山下雅司

トシドンや我が子に託す未来の灯 真帆

◇トシドンの俳句鑑賞

としどんの声におどろき目になみだ 川越順郎
トシドンの声におどろいた幼い子ども。そして目には、なみだが…。そのようすがすなおに作品となったのだ。松尾芭蕉翁がトシドンさまをご覧になったら、どんな俳句を作られただろうか?俳句は素直な心、その臨場感を大事にされたろう。(まさじ)

ドンドンと音が聞こえるトシドンだ 中川杏奈(小学6年 当時)
ドンドンはトシドンの鳴らす太鼓だが、「音」としたことで、まだ目の前に来てはいないけれどだんだん近づいて来る様子が実感として伝わってくる。リズムもいい。気持ちも次第に昂ってくる。(真帆)


 では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。

 餅網も焦げて四日となりにけり 石塚友二

 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事


 みなさんも1月の一句を作ってみましょう。
 作品「                 」
 作者(      )


◇おやこの俳句鑑賞
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。

白く厚く未知かぎりなし初日記 能村登四郎


【投句コーナー】
山下雅司
釣り船の漁終へ帰る十二月
この船の音が波消し冬航路
数へ日や船は後進テストして
空に舞ふ鳶高々と大みそか
冬怒濤わが身に迫るかと思ふ

【選句コーナー】(前回の投句から作者一人につき一句を選んでみましょう)※到着順に掲載します。
こうじさん 選
黒セーター纏ひ大胆不敵なる 緑川美世子
衣服でも心の持ちようは変わります。季節の移りの中で時には大胆不敵な心境になる気持ちも大切かなと思います。 
 
山下雅司 選
霜柱底のたひらな靴が好き 緑川美世子
踏めば壊れる霜柱。それは靴につながる。それも平らな靴だ。日常の大好きな履き慣れた靴とも思ったり、俳句は想像力を喚起させる。霜柱の状態をよく知った作者の愛情とも思われてならない。

*選句は1作品に簡単なコメントをつけて、「おやこの俳句鑑賞」の投稿窓口からお願いします。
投句コーナーへのご参加もお待ちしております。(真帆) こちらのフォームからご参加ください。
クイズの答はこちらからどうぞ!



おやこの俳句教室(85)
2月:第8回バレンタインの俳句募集
 
 おやこの俳句教室(18)で初めてバレンタインの俳句を発表してより早いもので8回目。今年もバレンタインの俳句を募集します。
 昨年は、バレンタインの日に某専門学校前で安全運転を呼びかける女学生に出会い、俳句を作りました。バレンタインの日にできた俳句は、作品の良い悪いは別にして、大切な作品になると思います。
 今年は、どんな出会いで、どんな俳句ができるでしょう?。多くのみなさまのご投句を楽しみにしています。

【募集要領】
季語:バレンタイン
投句:1人3句まで
締切:平成26年2月28日
発表:HP「にじのたね」おやこの俳句教室(3月)

※住所、氏名、学年等を記入してください。投句された氏名(ペンネームでも可)で一句掲載します。
※「バレンタインの俳句鑑賞」も同時に募集します。110字程度でお寄せください。
※ホームページ「にじのたね」の投稿窓口は終了いたしました。有難うございました。。



 では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。 

 脱力もときには勇気木の芽吹く 緑川美世子 
 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事 

 みなさんも2月の一句を作ってみましょう。 
 作品「                 」 
 作者(      ) 

◇おやこの俳句鑑賞 
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。 

初午の飾り馬来る杉木立 西村数 

【投句コーナー】
  探梅五句
家猫の記憶は捨てて梅の宿
山裾は紅白の梅羽織りゐて
手摺なききざはし続く梅の里
行先は誰もが同じ梅の寺
残り根に挿したる如く梅一輪
 (投句:緑川美世子)


【選句コーナー】 (前回の投句から作者一人につき一句を選んでみましょう)※到着順に掲載します。

古崎真帆 選
数へ日や船は後進テストして   山下雅司
小さな舟は後進はせず、ぐるりと旋回するので、この船は大きな船なのだろうか。前進のために、停まることや後進することも視野に入れて綿密に調整することが大切。 「数え日」が、新年を想定しその準備期間といった意味合いの語なので、船出の準備にふさわしい。よき年となりますように。

*選句は1作品に簡単なコメントをつけて、「おやこの俳句鑑賞」の投稿窓口からお願いします。
投句コーナーへのご参加もお待ちしております。(真帆) こちらのフォームからご参加ください。
クイズの答はこちらからどうぞ!



おやこの俳句教室(86)
3月:第8回バレンタインの俳句発表

 バレンタインの俳句発表です。今回は、7人の参加となりました。ありがとうございます。3句を投稿された方の作品は、真帆さんにお願いして一句を選んでもらいました。前回同様に寸評を付けています。◇真帆▽まさじ

チョコ贈り弾み止まぬし恋ごころ おごじょ
◇ドキドキしながらチョコを贈ったのですね。渡した後も治まるどころか増々弾む気持ちを少し持て余し気味なもかもしれません。 「弾み止まぬし」を(文法的に)整理してみましょう。
▽何歳になってもときめきは大事です。弾み止まない恋心をバレンタインのチョコを贈って感じたのですね。文語体では「弾み止まらぬ」となります。

愛を撒くバレンタインの烏たち イムちゃん
◇烏とバレンタインの意外な取り合わせが面白いですね。巻き散らかした中から何かをついばんでいる烏の様子は探し物を見つけた安堵と周りから奪われまいとする緊張を感じさせます。
▽バレンタインの烏たちと奇抜な作品です。それゆえ深い思いに駆られます。愛を撒くと言われてみれば、地上で烏がゴミをあさるさまが不思議と愛らしい。

詩集などひもといてみるバレンタイン 美卯さん
◇普段はそっと本棚にしまってある詩集を何気なく取り出して読んでいます。バレンタインならではの雰囲気があります。西欧の詩人の作品集でしょうか。おしゃれでロマンチックです。
▽バレンタインの日は、人それぞれ過ごし方があると思います。本が大好きな作者は詩集をひもとくと見事な作品となりました。詩集ばかりか童話も読まれることでしょう。

バレンタイン甘い香りに誘われる こうじさん
◇バレンタインの甘い香りは、直接にはチョコレートを指すのでしょうが、さらに含みがあるのではと深読みしたくなりました。つい誘われて足が向いてしまいそうです。
▽男性はチョコをいただく側。甘い香りと素直に表現されました。誘われるに動きがありますね。バレンタインは多忙な時期ですが、しばしの休息も必要です。

教室は受験一色バレンタイン フラガールさん
◇2月中旬は受験や学年末試験の時期でもあります。バレンタインどころではなく真剣勝負の緊迫感があって、そのミスマッチが俳句になりました。大丈夫。試験が終わるころには、春が訪れています。
▽バレンタインは受験時期。学校の教室で最後の踏ん張りをする学生が目に浮かびます。バレンタインどころではありませんね。遅くまで頑張ったことでしょう。

荒天やメール届かぬバレンタイン 真帆
(自解)今年のバレンタインデーは関東では2度目の大雪が降りました。早く帰宅したいのに交通網は分断され、通信電波も不安定。こんな年もあるのだなという記録に作ってみました。
▽荒れたお天気でなかなかメールが届かない。そんなバレンタインなのです。そういえば、積雪で都心は交通マヒ、携帯もパンク状態?切れ字がみごとです。

添え書きは感謝のことばバレンタイン まさじ
◇ここ数年でさらに風習として定着してきた感のあるバレンタインギフト。感謝も愛の一形態ですね。穏やかでぬくもりのある、大人のバレンタインを過ごされました。
(自解)バレンタインの日、某会社に行くと、社長の机上にメッセージ付きの贈り物が置いてありました。添え書きには日頃の感謝が込められていたにちがいありません。

「バレンタインの俳句鑑賞」
雨もまた演出のうちバレンタイン
  雨のバレンタインデー。それも演出のうちの1つと捉えた作者。自然を受け止める大らかな姿勢の第1回作品だ。この日は大荒れだったようで、自作からもそのことが判る。俳句は出合いであり、真心と愛が溢れる。今年はどんな演出だったか。(まさじ)


では、ここでクイズです。次の俳句はどの分類に入るでしょうか。@〜Fの番号から選んでください。 

 春分のおどけ雀と目覚めけり 星野麦丘人 
 @時候A天文B生活C地理D植物E動物F行事 

 みなさんも3月の一句を作ってみましょう。 
 作品「                 」 
 作者(      ) 

◇おやこの俳句鑑賞 
次の俳句を読んで感じたことを110字程度で書いてみましょう。 

引鶴の天地を引きてゆきにけり 平井照敏


【投句コーナー】※今回はお休みです。


【選句コーナー】 (前回の投句から作者一人につき一句を選んでみましょう)※到着順に掲載します。

山下雅司選
残り根に挿したる如く梅一輪 緑川美世子
花のいのちはすごい。梅の木の残り根に一輪の梅花が咲いた。作者の「挿したる如く」という表現が残り根をクローズアップさせてくれる。

【お知らせ】
特集「春の俳句」募集!
「にじのたね」は10周年です。おやこの俳句教室は、大変お世話になっています。来月は、10周年をお祝いして「春の俳句」を募集します。みなさんの俳句をお寄せください。(まさじ)
*当HPからの投句は「おやこの俳句鑑賞」の投稿窓口からお願いします。
毎月の【投句コーナー】へのご参加もお待ちしております。(真帆) こちらのフォームからご参加ください。
クイズの答はこちらからどうぞ!