そば猪口コレクションT

猪口は本来来客の接待用のとき、年中行事の祝儀のとき、婚礼の祝儀の膳にといった慶賀の折折りに主として利用する器で、絵付けも松竹梅・鶴亀・寿づくしなどが多いのもその用途に応ずるためだった。そして「あえもの」などを盛る、向付として使用されていた猪口を、ざるそば用のだし入れに利用しだした。「そば猪口」と呼ばれ出したのは明治以降のことらしい。とにかく絵柄は千差万別。植物・動物・風景・人物・幾何学文と数え切れないほどである。大きさも産地も伊万里を始めとしていろいろ。個人的にはやや小振りで、手の中にすっくりと馴染むのが好みである。小さいながらも一つの宇宙がある。
番号  写     真 絵 柄 時代  紹   介 高さcm 口径 cm 底径 cm 購入場所 値 段  円
 1 扇面 江戸初期 扇は末広の佳名を持ち、その片鱗を絵付に残している。 6.0 7.4 4.5 東寺 10000
 2 一本柳と若松 中期 大きな曲線で幹を描き、若草を覆うように葉が広がっている。 6.5 8.0 5.0 9000
 3 花弁地紋菊花散らし 後期 四弁花連続紋で、白地に井桁、賽の目文様を散らす。 6.0 8.0 6.0 須磨寺 12000
 4 格子に楓 後期 絣からヒントを得た絵柄か。呉須はコバルトに近い明るさ。 6.2 7.8 6.0 神戸骨董祭 8000
 5 丸文 後期 円はいろいろな夢を蔵している。これは草に露をあしらったもの。
6.0 
8.5 5.5 あわぢ屋 8000
 6 菊一輪 後期 なかなか写実的。ロクロ、器形とも完成している。余白美がいい。 6.2 7.7 6.0 須磨寺 11000
 7 弧線地紋と撫子 後期 地紋は葉の変形とも見られる。花の姿・色ともに愛らしい。 6.5 8.5 6.2 須磨寺 10000
 8 市松文 後期 そば猪口に多いパターン。斜線と四弁花の組み合わせ。 6.0 7.8 6.3 アート啓 8000
 9 双紫陽花 後期 花を一つずつ丹念に描いており、かえって図案化が目立つ。 6.2 7.7 6.3 須磨寺 8000
10 松竹梅(窓絵) 後期 発色が見事な松竹梅の窓絵。窓を開けて庭を眺めたのだろう。 6.0 7.5 6.0 京都骨董祭 15000
11 草花立湧文 中期 花の形はしているが、佛教美術の宝雲を変化させたものか。  6.5  8.0  5.8 一塵房 15000
12 藤幔幕図 中期 藤の花房に五弁の創作花だが、花見の席の一日楽土だ。  6.0  6.2  5.0 京都骨董祭 10000
13 入り江の芦 後期 岬を離れて飛ぶ鳥の群、番傘か、雨模様が想像できる。  6.0  7.5  6.5 5000
14 並び水仙 初期 水仙は一花開き、蕾を一・二描き添えるのが普通である。  6.3  7.5  5.5 アート啓 10000
15 野菊と秋草 中期 みな仲良く並んでいるような、画工の気持ちが偲ばれる絵柄。  6.2  7.5  5.3 須磨寺 8000
16 矢来竹 初期 端反り、生掛けの古作。筆法は簡潔ながらも生命感がある。  5.5  8.0  4.5 東寺 25000
17 芦辺の鷺 後期 木の下に泥鰌がいるのかもしれない。黒鷺なのが面白い。  6.5  7.8  6.0 一塵房 13500
18 輪宝と羊歯と波 後期 荒波を乗り切る輪宝を図案化。羊歯の生命力と合わせた吉祥文。  5.7  6.5  5.6 日月 10000
19 蕨手唐草 後期 裾の連弁模様から植物系だが、瘤の描き方は古式。青みは強い。  5.9  5.9  5.5 鉄斎堂 10000
20 松に小梅 中期 梅の幹も枝も直線的で、初期の趣。余白とシャープさが光る。  5.9  6.2  4.9 須磨寺 14000