【SMILING】
ねえ、泣かないで。
そんなに悲しい顔、しないで。
そんな顔されてたら、私まで悲しくなっちゃう。
ね、お願いだから、悲しまないで。
私、あなたが来てくれただけで、嬉しかった。
あなたが、自分のやりたいこと、今でも見つける力があるって判って、嬉しかった。
あなたが、あの時のあなたじゃもうないって判って、とっても嬉しかった。
だから、大丈夫。
あなたは、彼に操られたりしない。
彼はもう、あなたの心に手を触れること、できない。
だって、あなたはあなたなんだもの。
あなたはもう、あなた以外の誰にもなれない。
ねえ、そうでしょう?
あなたは、自分の命を懸けて、子供たちを助け出しに来てくれた。
もう時間があんまり残ってないって判ってて、それを子供たちに使ってくれた。
とってもとっても不安なのに、子供たちのために此処まで来てくれた。
それがとっても嬉しかったの。
あの時と、おんなじ、だね。
あの時、あなたは私のこと、心配して来てくれた。
自分っていう存在に、不安で仕方なかったのに。
自分っていう存在に、不審で一杯だったのに。
私のために、此処まで来てくれた。
そしてあの時、私のために、とても悲しんでくれた。
それが私、とっても嬉しかったの。
あの時のこと、全部、あなたのせいじゃなかった。
あれは私の選択したこと。
私が自分で選び取った結末。
だから、あなたのこと悪く思ったこと、一度もない。
あなたのせいじゃないんだもの。
当然でしょ?
だから、悲しまないで。
そんな悲しい顔、しないで。
お願いだから。
今度来るときには、お願い、笑ってみせて。
私、あなたのこと、何時までも見守っているから。
私、あなたのこと、何時までも思っているから。
だから、今度はとっておきの優しい笑顔。
私のために浮かべて。
今は無理でも。
何時かはあなたに笑顔が戻るって信じてるから。
あなたの素敵な笑顔。
私にもみせて。
約束よ。
ね?