バスターソードの丘に、教会から摘んできた花を手向ける。
それだけで、殺風景だった丘に華やかさが添えられる。
剣の傍らにしゃがみ込んだまま視線を上げれば、ミッドガルの廃墟の向こうに微かに町並みが見える。
ミッドガルの廃墟に寄り添うように、東部から広がりを見せ始めた街、エッジ。
此処で暮らすようになってから、色々なことが、本当に色々なことがあった。
エアリス。
そしてザックス。
以前はその名前を思い浮かべるだけでも、自分にとっては禁忌だった。
それが今は鈍い痛みと共に思い出せるくらいにはなった。
二人の名前を心に思い描けるようになっただけでも、大分進歩したと言えるだろう。
罪の意識は消えない。
消えることはない。
罪を抱いていることを理解したまま、自分はこれからも生きていく。
その自覚を抱けただけでも、自分は幾分成長したのだろう。
何時か必ず、二人の許に帰る日が来るけれど。
それまでは力の限り精一杯生き抜いてみせる。
今度二人に会ったとき。
それまでの人生を誇らしく語れるように。
二人の厚意に報いることが出来るように。
自分の総てをかけて精一杯この生を紡いでいこう。
未来へ向かって。
END
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