〜FINAL FANTASY 7〜

【日々是平穏】

   

ある昼下がり、ザックスの自室にて。

<ク:クラウド、ザ:ザックス>

ク:なあ、ザックス。ちょっと聞いても良いか?
ザ:ああん?何だ?
ク:あそこにある、あれ。あの赤いグローブ、前からあそこにあるヤツだけど・・・。
ザ:あれがどうかしたか?
ク:いや、妙に使い込まれている気がするんだけど、俺の気のせいか?
ザ:おまえ・・・。グローブっていや、使うもんに決まってるだろ? 使わないで飾っておくって、どういうことよ?
ク:いや、俺が聞きたいのはそういうことじゃなくて!あのグローブが使い込まれているのって何でだって不思議に思ったわけで・・・。
ザ:ああ、そういうことね。俺って、ゴンガガなんていう田舎出身じゃん?で、おまえと知り合う少し前頃って、荒れに荒れてたわけ。
ク:何か話違わないか?
ザ:まあ、おとなしく聞いてろよ。そのうち話繋がるからさ。で、その時所属していた部署のやつら、みんな都会出身者ばかりで、何かっちゃあ俺のことバカにするわけ。判るだろ?その辺のこと。
ク:う・・・ん、まあ・・・・・・。
ザ:で、温厚な俺もついつい切れちゃったりすることあった訳よ。何せ、あの頃、俺、すっげえ荒れてたし。
ク:ザックスが・・・温厚・・・。・・・・・・。
ザ:で、つい、うっかり、奴ら殴っちまったんだわ。そん時、俺って一番下っ端だったもんで、もう大変。あのまんまだったら俺、絶対営巣に放り込まれてぼこられてたと思う。
ク:実際、何があったんだ?
ザ:そん時の隊長、えっらく話のわかるおっさんでさ、俺がそいつらにいびられてたのしっかり判ってたわけ。で、結局お咎め無しにしてくれたんだよな。あ〜、あの頃の俺っていい上官持ってて、ほんっと、幸せだったな〜。それに比べて今の上官と来たら、人使い荒いわなんだで・・・・・・。
ク:で!その話のどこがグローブに繋がるんだよ!
ザ:もうちょっと待てよ。これからそこに話が行くんだから。
ク:俺はそんなに気が長くないの、知ってるよな?ザックス。
ザ:へ〜へ〜、そんなん重々承知しております。
ク:だったら早く話せ!
ザ:クラウドってば、どうしてこう情緒がないのかね〜、俺、これからのおまえが心配だよ。
ク:それとこれとは関係ないだろ!
ザ:いてぇ。何も拳で殴らなくてもいいだろう。俺の柔なボディが壊れちまう。
ク:これくらいで壊れるような身体してから、ソルジャーなんか出来るわけないだろう!いいから、早く話せよ!
ザ:労ってもくれないのね。
ク:何か言ったか?
ザ:いえ、何も言ってません。話、続けさせて頂きます。で、その時隊長が優しく言ってくれたわけ。これからも色々あるとは思うが、相手を病院送りの目に遭わせるのだけは止めろ、せめて一時的に戦闘不能に陥るくらいに手加減してやれってっさ。でも、俺ってば手加減するのすっげぇ下手で、どうしても上手くいかないんだわ。一人、二人って部隊から人間減っていくの見かねたおっさんが、ある日無言で差し出したのが、これ。
ク:この、赤いグローブなのか?
ザ:そうそう。手加減できないならこのグローブ填めろって、くれたんだよ。しかも新品のブランド品だぜ!すっげえ気前が良いと思わねぇ?
ク:そういう、問題なのか?その隊長も隊長・・・だよな。
ザ:何かいったか?
ク:いや、何も言ってない。それよりザックス、話はそれで終わりでいいのか?
ザ:あ?そうだった。で、このグローブ使うと、今まで全然できなかった寸止めとかの感覚が理解できるようになって、俺も必要以上に半殺しの目に遭わせずにすんだっていう話だ。これ、使うようになってから入院するやつ、激減したって隊長喜んでたし。めでたしめでたしってヤツだな。
ク:ザックス。ちなみにその隊長の名前は?今後のために教えてくれないか。
ザ:おっさんの名前?ちょっと待てよ、確か・・・・・・。

翌日、自分の部隊の指揮を執る隊長の顔を複雑な表情で見守るクラウドの姿がありましたとさ。

 

END

 

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