OMC by.mina様

それはもう、どの世界の古文書を開いても、名前すら載っていない、
異世界を旅する星渡りたちにさえ、忘れ去られた国。
救われることも無く、運命を変えることも出来ず。全てはカオスの中に……


神樹の王国

広大な土地は肥え、街はよく富み、人々は豊かな暮らしを享受している。
大きな大陸の内陸部にあるため、国民の殆どが海を知らない。

神と契約を結んだ国、神の樹の民と呼ばれ、その名に違わず、国の中心には大きな神殿がある。
王侯貴族は国を治め、神殿は民を治める。その力は強く、特に数十年、数百年に一度現われる”巫女姫”と呼ばれる聖なる存在は、 人々の信仰心を集めている。

巫女姫は、神に最も近い者。代々その名は”エリューシア”と定められている。
その生はとても短く、エリューシアが民の前に姿を現すことは数回しかない。
しかし、殉死が尊ばれるこの国で、死して神と地上の民の掛け橋になる、と言われる巫女姫の存在は、 自分達の信仰を肯定するものだった。

巫女姫は過去に6人おり、それぞれ、

マルクト(王国)
イェソド(基盤)
ホド(栄光)
ネツァク(勝利)
ティファレト(美)
ケブラー(峻厳)

を象徴していた。

歴代の巫女姫たちは、死後直ちにセフィロトを登りアツィルト(神界)に至ると言う。
また、同時に神と一つになった魂がアッシャー(物質界)を駆け巡り、王国に恵みを齎す。


すでに、7番目の巫女姫ケセド(慈悲)を象徴する少女が現われ、王国はいよいよ発展していくと思われたが…。










其レハ遠イ昔ノ話。