オートバイのエンジンを分解するのは初めて.しかも背面ACGの複雑なエンジン.
まず最初に悩んだのはACGシャフトのナットを回すこと.回るけど緩む手ごたえが無い.
クランクとサイレントチェーンでつながっているのでクランクを押さえてもACGシャフトがとも回りしている.
さっそく暗礁に乗り上げた気がしてくる.しょうがないのでオイルパンを外すほうに進む.
クラッチのカバーとか今回分割するクランクケースの上下にまたがってついているカバー類を見つけて取り外す.
そのあとエンジンをえいやっと傾けて(クラッチがある右側を下に)オイルパンボルトを外してゆきます.
外れたところが右の写真.オイルポンプとかストレーナが見えます.右側はシフトドラム.
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実はオイルパンの底にはスラッジとかが堆積していることを予想していたのですが,うそみたいにきれいです.
汚れをニヤニヤしながら洗い落とそうと想像していたのですが,裏切られました.
オイルストレーナ(上の写真)も汚れがほとんど噛んでいません.
以前クラッチリフタのベアリング(クラッチを切るときにクラッチスプリングを押すプレートの中央にある)
がこわれてベアリングの玉が4個行方不明だったのですが,きっちり4個見つかりました.うれしい.
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オイルパンの底の汚れがエンジンの上に行かないようにと,
右写真のように傾けてオイルパンを外そうとしたのでした.
クラッチカバーを外した部分のかどが作業台にあたるので,5mm厚のゴムのシートを挟みます.
この後はクランクケース分割に取り掛かるのでエンジンを裏返し(ヘッドを下)にします.最初は本当に
逆さまにしたのですが,ボルトを緩める際に不安定で恐ろしく,
しばらく作業したのちにエンジン前側に傾ける置き方に変えました.
前側のエンジン取り付け部(ボルト穴部)を輪止めの木で支えます.これが安定して楽に作業できました.
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分解はサービスマニュアルとにらめっこしながらです.ネジの位置や,外さなければならない部品を見ながら
作業します.オイルポンプを外さないとならなさそうで,
オイルポンプを外すには同じ駆動軸上にあるウォーターポンプも外す必要がありました.
途中で疲れてきたのかネジを落とすことが増えてきます.M6(頭が10mm)のボルトをピストンの裏側に落とし,
いいマグネットキャッチが無く苦労して拾いました.今日は2回か3回落としましたよ.
全部ボルトが抜けたと思ってプラハンで叩きます.
だけど分割する手ごたえが無いと思ったら一本外し忘れたボルトを発見.
それからは叩く音が間抜けになり,隙間が開いてきます.場所を変えながら叩くとぱっかり割れました.めでたしめでたし.
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斜めから見るとこんな感じ.大きいのはクラッチです.
一応,左からクランク,トランスミッションのメイン,カウンタの順です.
CBRはカムがギヤトレインで,1次減速もギヤです.しかし,オイルポンプ(ウォーターポンプ)はローラーチェーン,
ACGはサイレントチェーンで,ACGのシャフトにスタータが噛んでいます.
今回交換したいスタータクラッチはACGシャフトについていますが,シャフト端のナットが緩んでいません.
このあと,トランスミッションのシャフト2本を外し(持ち上げるだけ)ACGシャフトが見えてきます.
ちょっと反則ですが,ACGシャフトに噛んでいるスタータの減速ギヤとクランクケースの隙間にマイナスドライバを挟んで
回り止めして,やっとナットが緩みました.
これでACGシャフトも外れました.
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いろいろ外したあとのエンジンで,クランクシャフトとそれにつく部品ぐらいが残っています.
ACGシャフトを駆動するサイレントチェーンのテンショナのスライダの磨耗は0.8mmくらい.
まだ使えるでしょうがせっかくなので交換.
ACGシャフトのスタータクラッチとダンパも交換.これから部品注文書を作ります.
しかし,カムギヤトレインのせいか,エンジン自体は好調で,各部の痛みもほとんど無いように見えます.
クランクのメタルの当たりも良好.(あとで写真載せます)
トランスミッションのギヤやドッグも損傷は見受けられない.すごいエンジンです.
汚れは全体的にオイル分で茶色く着色している程度で特に洗う必要も無いでしょう.
あとはパーツがちゃんと来て自分がうまく再組み立てできるかどうかです.
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外れた部品を並べてみるとこんな感じです.これでも内部の回転部品とオイルパンで,他にもカバー類がたくさんあります.
(拡大写真あります)
オートバイは分解すると部品が場所を取って困る.1台のオートバイにまとまっている時は良いのだが,
外した部品を並べたりすると本当にかさばる.いかに小さいところに部品が詰め込まれているか,を証明しているのだが.
車だと,多少は外した部品を車内に置けるけどね.
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