≪RPGコラム、その7:オンラインRPGは男性向け?≫
ゲーム系サイトを見ていると、オンラインRPGの広告バナーをよく見かけるのですが、なんでほとんどのゲームで女性のイラストばかり描かれているんでしょうね。男性のイラストを描いたっていいと思うのに。
あえて肯定的にとらえるならば、男性の中には女性プレイヤーの多そうなオンラインRPGを望む人がいるでしょうし、女性は女性プレイヤーが多そうなオンラインRPGだと安心すると思われますので、「このオンラインRPGは女性が多いですよ」という主張をするのは一理あると思います。でも、それはそれでどうなのさ。
そんなことをこのサイトの雑記に書きましたら、「なるほど」と思えるご意見をいただきました。なんでも現在のオンラインRPGは、男性プレイヤーが明らかに多く、それが原因ではないだろうかと。今思うと、以前に見たオンラインRPGのバナー広告に書いてあった文章からも、そんな男女比率の偏りがある実態が読みとれましたから、現在のオンラインRPGが男性中心の娯楽であることはおそらく事実でしょう。
男性プレイヤーが中心なゲームだから広告に女性を描く。そんな発想に行きつく理由はいくつか考えられるのですが、今は「男性の目を引くために女性を描いている」という、単純な理由が大きいのではないかと考えています。
でもこれが事実だとすると、あまりにも短絡的すぎる発想であると思います。本来ゲーム会社が目指さなければならないのは、楽しいゲームを作って多くの人に喜んでもらい、その見返りとして大きな利益を上げることであるはずです。利益を上げることが大きな目的の一つなのですから、男女を問わずに人を集めることができるならば、それを目指すべきではないでしょうか。
男女を問わずに人を集める、そのために必要なのは男女を問わずに楽しめるゲームを作ることです。そしてオンラインRPGはしないけれど、オンライン版のファイナルファンタジープレイ日記は1つ読んでいる(注:そのサイトの管理人は女性)という私が知る限り、少なくともそのゲームの開発者は意図的に男性向けにしようとはしていないように感じます。でも結果にはつながっていそうにありません。そこで今回は、なぜオンラインRPGの男女比率は偏るのか、ということを考えてみようと思います。
ようするにこの文章は、オンラインRPGをプレイしたことのない私がほとんど想像だけで書く、2本目のオンラインRPGコラムです。
かつては男の子の娯楽と言ってもよかったコンピュータゲームですが、現在の男女比率は大差ないと感じています。実際このサイトの場合、掲示板に書き込んでくださったり、メールを送ってくださったりしたゲームファンの半分くらいが、女性という印象を持っています。
オンラインRPGと個人用ゲーム(作品によってかなりの差があるでしょうが)では、明らかに男女比率が異なっている。となれば理由があるはずですが、私にはオンラインRPGが、個人用よりもよりゲーム的(ゲーマー向け)だからではないかと思えます。オンラインだからこその交流を楽しむゲームであれば、女性の方が多くなっても不思議ではないと考えているからです。
例えばこのサイトを訪れた女性の大半が、牧場物語かルーンファクトリーのファンのようです。これらのゲームは、登場人物との交流を楽しむという要素を強く持っています。女性ファンの多いゲームにそんな傾向があるのは、おそらく事実でしょう。これは「女性は交流を楽しめるゲームを好む傾向にある」と言いかえることができると思います。もっとも男性の中にもそんな要素を好む人は多いはずなので、女性に限った話ではないのですが。でもなにを最も重視するか、ということに関しては、かなりの差があるのではないかと思っています。昔読んだテーブルトークRPGの本でも、女性が執筆した文章の中に似たようなことが書かれていましたから、これは私だけの印象ではありません。
そしてオンラインRPGの話ですが、前述のFFプレイ日記サイトを読んでいて思っていたのが、個人用とはかけ離れたゲームになっているな、ということです。
オンライン版は現実的な思考や行動(+作業)を楽しむゲーム、個人用はゲームらしいデフォルメされた生き方を楽しむゲーム、と言えばいいのでしょうか。オンライン版を楽しむためには、高難度の世界で生きていくために、あるいは他のプレイヤーに迷惑をかけないために、ある程度のプレイング技術も必要になり、それを身につけるためにはゲーム経験に加えて努力が必要になると思えてなりません。ゲームのために努力をする。それはゲーマーでなければ困難なことであると思います。
そう考えると、ゲーマー向けゲーム経験の浅い人が多いと思われる女性は、オンラインRPGについていけなかったり、方向性が合わなかったりする傾向にあるように思えます。中には低難度の作品もあるのでしょうが、割合としてはどうなんでしょうね。そしてオンラインRPGの難易度の、未経験プレイヤーにとってのイメージはどうなんでしょうね。
ともかく、男性は交流の楽しさよりもゲーム的な楽しさを重視する。女性はその逆である。そんな傾向があるように思えてなりません。ならばゲーマーでなければ思うように楽しめないという方向性を改めるのが、より喜ばれ、より儲かるオンラインRPGを作る手段ではないかと思うのです。これは開発者が、本気で考えなければならないことではないでしょうか。
余談ですが、プレイヤー側が本気で考えないといけないこともあります。それはネットだからという理由で本性丸出しプレイをする人がいるのではないか、ということです。もしそんな人がいたり、いると思われたりしたら、怖がって入っていきにくい人がいるでしょうし、そんな恐れを抱いている人の割合は、男性よりも女性の方が多いように思うのです。これも男女比率を偏らせる一因かもしれません。
そんな男性プレイヤー中心の現状において、そして明らかに問題のある人がいる可能性が高い現状において、オンラインRPGに慣れていない女性が女性プレイヤーとの交流(安心できる環境)を求める傾向は強いと思います。
そう考えると、プレイヤーと性別が一致しないキャラクターは、公表していない限り信用の面で、そして男女比率の偏り解消を目指すうえで、問題となるかもしれません。なにせ信用は、交流を楽しむために重要な要素ですから。「プレイヤー(現実)とキャラクター(ゲーム)は別物だ」というのがRPGにおいて重要な心構えの一つではあるんですが、それを知らない人も多いでしょうし、知っていても実行するのは難しいですからね。
この男性プレイヤーが女性キャラクターでプレイする(もちろんその逆もあるでしょうが)ということは、本来なんの問題もない行為です。でも男性中心のオンラインゲームにおいては問題となる可能性がある。これは一部に問題のある人がいるせいで、まっとうな大部分の人が迷惑を被るという、実社会においても多々見られる現象です。
でもこの場合の対策は簡単です。それは男性プレイヤーが女性キャラクターでプレイする場合に限り、性別を公表するというものです。恥ずかしいとは思いますし、この考え方に反対する人も多いと思いますけどね。でもプレイヤーも開発者も、このことをちょっと考えてみてほしいと思うのです。
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