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≪フリーゲームレビュー「らんだむダンジョン」≫

注:パソコン(Windowsのみ?)用無料RPG/作:はむすた様
 ダウンロードサイトなどは攻略wiki、または作者のブログであるはむすたブログ様をご覧ください。プレイするために必要なものを一応書いておきますと、RPGツクールVXのRTPとゲーム本体、そしてそれらを解凍するために必要な解凍ツールです(“解凍ツール” で検索すればすぐに見つかります)。いずれも無料でダウンロードできます。全部で約300M+パッチ80Mくらいあります。
 なおこのレビューは、Ver1.24(前半終了+後半作りかけ)の時点で書いたものです。
 現在は最後まで完成しており、その部分を含めたレビューの補足を追加しました。



 魔王が滅びて5年、冒険者特需で栄えていた故郷の村はさびれる一方。そんな故郷のために立ち上がったのが、仲良し3人組の若き女性たち。3人は冒険者となってダンジョンに挑み、魔物を倒して財宝を持ち帰り、村に投資して、かつての繁栄を取り戻すために奮闘する・・・そんなRPGです。

 タイトルのイメージとは異なり、ストーリーが非常に作り込まれているゲームです。メインストーリーはシリアスに、でも膨大なサブイベントはほとんどがコント仕立てになっており、そのどれもが大変面白く作られています。シナリオの面白さは市販ゲームと比べてもそん色ないどころか、最高レベルと言っても過言ではありません。しかもただ面白いだけでなく、きちんとキャラクターが描かれており、村人との交流もあり、「RPGをプレイしている」と実感できる作りになっています。そのためRPGが好きな人ならば、あるいはお笑いが好きな人ならば、きっとだれもが大好きになれる物語だと思います。
 もっともパロディが多い(元ネタを知らなくても大丈夫)ため、フリーソフトとしてしか発表できない作品のような気もするのですが。それでも作者のシナリオライターとしての力量には驚かされます。

 その一方で、ゲーム部分には荒っぽさも目立ちます。例えば敵の強さと獲得経験値を比例させないという、強引な手段でバランスをとっていることなどです。このゲームはシンボルエンカウントであるうえにザコ敵が強いため、見返りが割に合わないと強敵と戦うのが苦痛になっていきます。かといって弱い敵とばかりは戦えない仕様になっていますので、嫌でも割に合わない強敵と戦い続けなければなりません。つまり自分のペースで遊ぶことが出来ないのです。
 戦闘バランスの厳しさは、崩壊一歩手前と言ってもよいくらいです。一歩手前で安定しているため決して悪いわけではなく、またそれが楽しさを生み出すために必要になっているとはいえ、ある程度の戦術を必要とする高難度のバランスは人を選ぶものであり、この部分に苦痛を感じるプレイヤーは少なくないと思います。全滅してもペナルティがないというフリーゲームならではの仕様に助けられていますが、そうでなければこの作品はきっと、マニア向けという評価になっていたことでしょう。
 また基本的には豪快にダメージを受けて、それを全体回復魔法で豪快に回復させるという大味な戦闘であり、レベル1でHPが400前後あるという部分からも想像できる(?)ように、数値バランスは割と大雑把で結果オーライ的な作りになっています。

 それでもゲーム部分の総合的な出来は中の上。村に1つだけ隣接する深いダンジョンをひたすら探険していくだけという、一見単調そうなゲームではありますが、イベントでは他の場所へ行くこともありますし、探険後のお楽しみである福引きや作物の収穫というおまけ要素も用意されているなど、飽きさせない工夫がしっかりされています。また先ほど絶賛したサブイベントの多くは、特定のアイテムを所持した状態で宿に泊まることで発生しますので、イベント見たさに冒険へ行くという好循環ができています。
 そのうえ大量に存在するイベント戦闘は非常に凝っており、力押しではまず勝てない作りになっています。装備と戦術を工夫してようやく勝てるバランスなので、1度目の戦闘では全滅することも珍しくないという問題もありますが、ペナルティは無し。再戦も容易。ゲーマーならば逆にやりがいを感じると思われます。

 ただし装備を工夫するという作業に手間がかかるのが残念です。というのもこの作品、膨大な装備品が存在するため、必要なものを探し出すのが大変なのです。膨大な装備品はそのすべてに面白い解説が付いており、それゆえアイテム入手に力が入るのですが、それが快適さを損ねる原因となっているのが皮肉です。またバランスが厳しすぎるうえに耐性の影響が大きすぎるため、せっかく面白そうな装備品を入手してもその大半が使いにくいというのも残念です。
 結局、様々な部分でのバランスが最大の欠点であると思います。この辺りがもっと良ければ、間違いなく傑作と言える作品になっていたでしょう。

 このように、構成、バランスともにアラがある作品ですが、大きな欠陥は特に無く、面白さは抜群です。きちんとした製作姿勢にも好感が持てます。
 こんな優れたRPGがタダでプレイできる・・・って、夢のような話ではありませんか。でももちろん夢ではありません。ボリューム的にも市販RPGに負けていませんので、長く楽しめると思います。興味を持った方は、是非ダウンロードしてみましょう。厳しい意見を数多く書きましたが、最高レベルの質と驚異的な量を併せ持つ、信じがたいゲームであることは確かです。自信を持ってお薦めします。


【後日追記(完成版の補足レビュー)】
 前半終了の時点で充分に完成品だと思える出来だったため、そこからさらに物語が続くことへの不安がありましたが、面白さは衰えないどころか、むしろ増しているようにも感じました。

 ただし前半にはほとんど無かったどうしても納得できない要素が、後半の終盤にかなり目立つのが残念です。というのも防御力無視攻撃や耐性無視攻撃、そして最大HPに比例したダメージという、本来はきわめて特殊な存在でなければならない技を使ってくる敵が非常に多いのです。そのうえほぼ100%全滅につながる技さえも存在します。
 このゲームの防具に付与されている、状態異常に対する耐性のほとんどが「100%(完璧)」であることなどから、作者がゲームバランスに関する高度な理論までは持ち合わせていないと感じていましたが、これらはいくらなんでも酷すぎます。全滅してもペナルティがないといっても、このような仕様(特に全滅直結スキル)にストレスを感じない人はいないと思います。

 結局、シナリオは最高でゲーム部分は中の上というVer1.24プレイ時の総合評価は、完成版になっても変化なしです。ゲーム部分が中の上と言っても、それ以上のRPGは市販作品の中にもあまりないのですから、総合的には最高のRPGと言ってもよく、これはもの凄いことなんですが、それだけに終盤での「やりすぎ」が残念でなりません。



【おまけ:強ザコ敵が強すぎると思う人へ】
 1ターン目から鈍足シズナにリカバーを使わせ、他の人は強化と弱体を中心に行い、2ターン目から本格的に攻撃開始、という戦術を試してみてください。ずいぶん違ってくるはずです。
 また強ザコ敵は瀕死になると強烈な攻撃をしてきます。回復が追いつかなくなるため、攻撃を優先して一気に倒してしまいましょう。



 はむすた様の新作RPG、ざくざくアクターズのレビューはこちらです。

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