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 1994仏

 監督:クシシュトフ・キェシロフスキ  
 主演:ジュリエット・ビノシュ

 ヴェネツィア映画祭、金獅子賞、
 主演女優賞、撮影賞受賞


 
自由・平和・博愛・・・フランス革命の精神 を象徴する<青 白 赤>
をモチーフに、3つの異なる愛の形を描いた「トリコロール三部作」

「青の愛」がパリ「白の愛」がパリからポーランドへ、「赤の愛」がジュネーヴと、ヨーロッパを舞台に、三つの物語が紡ぎ出される。
三部作は全く別の作品だが、それぞれの物語の中で主人公が偶然にすれ違うシーンがあり、愛というキワードで繋がっている


Story
主人公ジュリーの夫である現代音楽家の作曲家のパトリスは
各地の12の交響楽団が演奏する事になっていた欧州統一を
記念した協奏曲を作曲中だったが、交通事故に会い、娘と共
に死亡する。
最愛の夫と子供を亡くして、失意の底にあったジュリーには、
更なる悲しみが待ちうけていた。
夫の子供を宿した女性の存在を知り、大きな波に飲みこまれ
そうになりながらも、夫の友人で作曲家のオリビエのジュリー
への愛や、ジュリーを取り巻く様々な人々の温かい優しさによ
って哀しみの底から浮上し、夫の愛人と子供を許容し、自らは
魂を再生するように、夫の意思を継いで協奏曲を完成させる。

ガラス細工の様に壊れそうな心。再生へ向かう意思的な目。
心に染み入る音楽と、あえて台詞を少なくし、ジュリーの哀
しみの表情をなぞるカメラワークの美しさが印象的。
全編に流れるブルーグレイの色調は、ジュリーの心の闇の
ようでもあり、ジュリーを愛する夫の友人、同じアパルトマン
に住む心優しい娼婦、ボヘミアンの様なフルート奏者、夫の
子供を宿した愛人の、複雑な心模様を重ね合わせた様な色
のように感じられる。
エンディングの、深く慈愛に満ちた包容力のあるメロディーに
乗せられて流れる歌が、心に沁みる。
喪失から再生へ変化する愛の形・・忘れられない映画です。
             







「愛の賛歌」



  たとえ私が天使の言葉を話しても、
  愛がなければ、それは虚しい限り
  唯、鳴り響く鐘に過ぎない。

  たとえ私が奥儀に通じても、
  あらゆるに知識に通じても、
  山を動かすほどの信仰があっても、
  愛がなければ、無に等しい。

  愛は寛容なり。愛は善意に満ちる。
  愛は決してねたむ事もなく、
  決して高ぶらない。
  愛は耐え忍び、すべてを信じる。
  すべてを望み、ひたすら耐える。
  愛は決して滅びない。
  予言はいつしか終わりを告げる。
  言葉はいつしか沈黙する。

  知識もいつかは消滅するだろう
  最後の残るのは、信仰と希望と愛。



美しい旋律の協奏曲の中で歌われている歌詞は、新約聖書のパウロの書簡の中のひとつ、コリントの信者
にあてた書簡に含まれる有名な聖句で、結婚式などでも良く読まれる「愛の賛歌」とよばれている箇所です





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