1ページ目/全2ページ <第3話>プリンス様はレベル1 ゾロは正直に言って、かなり困惑していた。 城に入って、1万段もある階段を駆け上がり、最上階のこの部屋に 辿り着いたのは良いが、室内の壁に書かれている文字には面食らった。 確かにベッドには、《 金髪の王子様 》らしい男が眠っている。 自分と、同じ年くらいだろう。 立派な男性であり、顎の先には、ほわほわと産毛のような髭まである。 (こんな野郎と接吻するのかよ? ) 今まで、ゾロが世界中を探索して、様々な困難にぶち当たってきたが、 かつて、これほど悩ませる難問は無かったかもしれない。 ゾロが部屋に入った途端、石で出来た扉は開かなくなってしまった。 しばらく扉を押したり、引いたり、と頑張ってみたが、重い扉はびくともしない。 さらに、この部屋には明り取りの窓すら、一つも無いのだ。 他に脱出経路があるとは、到底、思えなかった。 部屋の中央に、ただ天蓋のついたベッドがあるだけで、その周囲がランプに 照らされて、ぼんやりと光輝いていた。 (やっぱり書いてある通りに、コイツに接吻しなきゃならね〜のかよ? ) 度胸の据わっているゾロも、さすがにこれには、躊躇していた。 しかし他に方法も無く、しばらく悩んだ末、指示通りに事を起こしてみた。 金髪王子の顎を掴んで仰向けにすると、ムニャムニャと寝言を言っている唇に、 恐る恐る接吻をする。 ゾロの目には、王子の奇妙な具合に巻いた眉毛が映っていた。 (なんだ〜この眉毛は?? ) ゾロが不可解に思って気を抜いていると、突然、その男が抱きついてきたのだ。 驚いてそのまま固まっていると、今度はゾロの口の中へ王子の舌が進入してきた。 (うわ〜なんだよ?! ) (やめろよ! てめぇ! 舌を入れてくるんじゃね〜よ! 薄気味の悪い野郎だぜっ! ) ゾロが引き剥がそうとした途端、舌先にチロリと男の柔らかい舌が当たってきた。 その途端、ゾロの背筋から腰骨の辺りへ、ゾクゾクとした感覚が走っていった。 さらに男の舌が、ゾロの舌へと激しく絡まり始めると、その感覚はダイレクトに 腰のさらに下へと到達したのだった。 見る間に、ゾロは股間が熱くなるのが自覚できた。 (何だ?? こりゃ? ) 自分の腕を差し入れて、股間に触れてみると、明らかにゾロの局部は 立ち上がっていた。それも、かなりの勢いでズボンの布地を押し上げ、 脈を打つように拍動しているのもわかった。 金髪の変な男と接吻しながら、自分はものすごく興奮しているらしい。 そう言えば、しばらく荒野を放浪するばかりで、女を抱いていない事に 気がついたゾロだった。懐には、商売女を買うような余計な金なんぞ、 全く持ち合わせていなかったからだった。 (こいつぁ〜マズイな。) ゾロは、止めないとマズイと思っていたが、離れるどころか、 自分から男の身体をベッドへと押さえ込み、その温かい口内へ深く舌を 差し入れて、何度も愛撫を繰り返していた。 相手の金髪男は、フウフウなんて苦しげに息を乱している。 間近で良く見ると、相手は、かなり整った綺麗な顔をしている。 その眉をひそめた切なげに歪んだ表情や、快楽で真っ赤に上気した頬が、 妙に色っぽく見えたりする。 (コ、コイツは、かなり力を持った魔物かもしれねぇな。 魔法には、チャーム(魅了)なんて技もあるからな。 俺は、気がつかね〜うちに、コイツにそういう魔法をかけられたのかもしれねぇ。) そうで無ければ、初対面の男相手に欲情する自分の心理が説明できなかった。 (くっそぉ〜!! 魔物なんかに、俺が負けるかよッ!! 俺は、世界一の剣豪になる男だっ! ) ゾロは、普段でも恐ろしいと良く言われる顔を、ますます厳しい凶暴面に変えて、 王子とまるで格闘でもするように、ベッドの上で組み合い、口づけを交わしていた。 ゾロが抱き締めている相手の身体は、男とは、思えないほど華奢だった。 王子は、サラサラしたシルクのような寝巻きを着ているが、ゾロは、その中へ 強引に腕を差し込んで、スベスベしている腹や背中をさすっていた。 時々、尖った乳首らしいモノへ、手の平が触れる。 ゾロは、その柔らかな感触に驚きながらも、芯の硬い突起物へもっと触れようと、 奥へと手を潜りこませていた。 そのうちに、腕の中で暴れ始めた王子が、ゾロの腹部へ足蹴りを入れてきたので、 その強い衝撃で、やっとゾロはベッドから後退した。 その蹴りは、実に見事で、ヒットしたゾロのわき腹は、 骨の隋までビリビリと痺れてしまった。 (コイツ?! 優男の癖に、かなりの格闘センスを持ってやがる。 なるほど。確かに、この森の化け物どもの親玉に違いない。 コイツが、どうやら、ボスキャラらしいな。) ゾロは、いつでも、男に攻撃をしかけられるように、 1歩分の間合いを取って対峙した。 きっと、この男を倒すと、特殊なアイテムが入手できたり、 レベル上げのヒントがあるのに違い無かった。 2ページ目へ進む ![]() |