1ページ目/全2ページ <第1話>冒険者レベル99の男 《 三刀流のロロノア・ゾロ 》は、諸国を巡りながら賞金稼ぎをしている。 世界のシステムにのっとり、きちんとギルド(賞金稼ぎの組合)にも登録していた (正確には、同業者のジョニーとヨサクが面倒な手続きを全てやってくれた)。 ギルドに登録しないと、タダの人殺しになってしまうので仕方無い。 その時、窓口で《 ギルドメイツ 》なんて旅の心得の書かれた小冊子と、 都心部にあるギルドの営業所が記載された世界地図と、それから、白い楕円形の 変な機械を渡された。 その卵型の機械は、賞金稼ぎの必需品。 《 冒険者レベルカウンター 》と呼ばれていた。 《 ギルドメイツ 》は、入手してから、十日程度で紛失した。 たぶん寒中水泳をしていた時に、氷河にでも置き忘れたのだろう。 しかし、腹巻の中に入れていた《 レベルカウンター 》は今も手元にある。 これがまた、実に可笑しな代物だった。 卵のてっぺんを押すと、花ビラのように上部が開き、中には数字がいくつか 書いてある。それを見ると、まずゾロの名前が書かれてあり、その下には、 《 冒険者レベル.99 》とある。 敵と戦って勝利すると、少しずつ数字があがってゆくのだった。
その他にも、物理攻撃力、物理防御力、魔力、運、回避能力、すばやさ、などの 多くの項目が記載されている。 面白いのは、古城や地下道や森で迷子になると、やたら数字が上昇する事だった。 (そういう場所には強ぇ〜敵がいるからな。) (早く腕を上げるには、一番良い場所だ。) 旅を始めた十三歳の頃、ゾロの能力はレベル15程度だった。 普通なら、レベル90まで能力を上げるには、数十年は月日がかかる。 下手をすれば、その前に寿命が尽きる冒険者が大半だった。 ゾロのように十代で、上級者ランクに到達する者は大変まれである。 なぜかゾロは、恐ろしいほど強敵と遭遇する割合が高いのだ。 早い話、ゾロの方向音痴が功を奏したと思われる。 不幸なのか、幸運なのか、良くわからない男である。 ただ、ここ最近になって、レベルが99から、いっこうに上昇しない。 いくら戦闘をしても、経験値が上がらないのだ。 (このままじゃ、いつまでもあの男には勝てねぇ。) (世界一ってのは、どのくらいのレベルのモノなんだ? ) ゾロは焦りを感じる事があった。 あまりに世界は遠いのだ。 ゾロは、大陸の東にある生まれ故郷を出た時から ずっと 《 鷹の目の男 》を探している。 倒さなければならない世界一の剣豪である。 そしてゾロの父親でもあった。 その昔、ゾロは十一歳の時に、ミホークとの親子喧嘩に負け、 ばっさりと袈裟懸けに切られてしまった。 全治二年の大怪我だった。今も胸にはその時の傷が残っている。 (あのアホ親父、見つけ次第ぶった切る!! ) ゾロはその怒りを全て修行への熱意へと変えていた。 今日もまた、父の行方を探して旅を続けている。 まさに父を尋ねて三千里(?)である。 ★ 2ページ目へ進む ![]() |