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   それは、熱い真夏の日の事だった。

   サンジはベッドの中で、ゆったりと煙草を吸っていた。

    先ほどまで、子供の頃の夢を見ていたらしい。


    今は、サンジも立派なコックになっていた。自分の努力で、夢を果たしたのだ。


   今日は仕事が久しぶりに休みだったので、のんびりと過ごす事ができる。

   クーラーの涼しい風に火照った身体を晒し、汗が引くのを待っている。

   身体がべたつくので、シャワーを浴びたい気もするが、だるくて、しばらくは動けそうも無い。

   サンジは全裸のままだったが、その身体中には、虫に刺されたような真っ赤な跡が残っていた。

   サンジはそれに気がついて、隣に寝ている 《 その虫 》 に足蹴りを入れた。

   「こういう事はやめろって言ってんだろ〜が、成長しねぇ〜マリモ頭だなぁ。」

   「いてぇぞ。何だよ、うるせぇなぁ。」

   隣でイビキをかいて寝ていたゾロも、さすがにサンジの蹴りは痛い様子でうめき声をあげた。

   安眠妨害されたのに怒ったのか、ゾロはサンジにタックルしてきた。

   「あ、あ、馬鹿。止めろよ! 煙草が! 煙草が! 」

   慌てているサンジから、煙草を取り上げると灰皿に投げ捨て、ゾロは空いたその唇に

    口づけをしてきた。


   サンジは、ソロにされるままに、あっと言う間に組みしかれていた。

   何年経っても、この男の腕力には勝てそうも無い。

   自分の身体をまさぐっている大きな硬い手の感触が心地良い。

   昔は大嫌いだったその男らしい腕が、今の自分には、とても大切になってしまったのだ。

   サンジは自分の下半身に、ゾロの他にもある 《 硬い男らしいモノ 》 がゴリゴリと

    当たる感触に気がついた。


   それは、ゾロの身体のサイズと一緒で、やはりサンジよりも遥かにビッグなシロモノだった。

   サンジは、今は、コチラを不快に感じていた。同じ男として、負けたくは無いのである。

   まあ、努力しても、ココは鍛えるわけにもいかないので仕方が無い話なのだが。

   おまけに、このサイズはサンジにはかなり厳しいのだ。

   最初に抱かれた時は、本当に死ぬかと思った。

   それも、頑張って努力したよな〜なんて、サンジは思っていた。

   「お前なぁ、またかよ? 信じられねぇ。どうなってんだよ? 

    お前の大砲は何連発可能なんだ? 昨日から何回やれば、気が済むんだよ? 」


   元気の良い息子に呆れているサンジに、ゾロも言葉を返した。

   「うるせぇ〜な。それは、お前が……。」

   可愛いから仕方無いじゃねぇ〜か、と言う言葉は恥ずかしいので飲み込んだ。

   その言葉は今まで一度もサンジには言った事が無い。

   恐ろしいので、八歳のあの夏の日から、ゾロが封印している言葉だからだ。

   男が男に言うような言葉じゃねえ〜と、ゾロは今でも思っていた。

   だから、変わりに、またサンジの唇を奪い、細い滑らかな身体を、ゾロは強く抱き締めた。





                             幼馴染み〜はないちもんめ記念日〜  了






                                     
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