2ページ目/全2ページ 「お〜スゲェ〜広いじゃね〜か!!」 銭湯の玄関口でサンジは感嘆の声を上げた。 リニューアルオープンしたばかりの施設なので、入り口にある受付も、鍵つきの白いロッカーも新品で、 廊下なんてピカピカにワックスが塗られて輝いていた。 昔の銭湯のイメージとは明らかに違う。 サンジは<感動したがり屋>なので、一つ一つ眺めては歓声……と言うより、奇声を上げていた。 「お〜、サウナや薬草風呂もあるぞ。ミルク風呂ってのは何だ?」 はしゃぐサンジと対象的に、めっきり無口になるゾロだった。さっさと受付を済ませて浴場へと急ぐ。 その後ろでキャイキャイ騒ぎながら付いて来たサンジは、突然小声になってゾロに囁く。 「なあなあ、女風呂はどっちだと思う?」 「知るかよ!」 それまでサンジを無視していたゾロも思わず返事をしてしまった。 サンジはニンマリと笑うと、こんな事を言ってきた。 「お前って、ホントはムッツリスケベだよな」 よしよし俺はわかっているぜ、なんて言いながら、サンジはポンポンとゾロの肩を叩いたりする。 ゾロは額に青筋を浮かべつつ、脱衣所へ入ると、黙々と衣服を脱いだ。 さっさと入って、とっとと帰りたいと思っていた。 サンジのせいで腹も立つが、夕飯前で腹が減ってきたのも事実だった。 ゾロがあっという間に全裸になり、青いタオルを肩に乗せて準備OKって感じに、サンジの方を向いた。 すると、サンジはやっと上着とシャツを脱いだところで、ナゼかタオルを腰に巻いて慌てている。 「お前、遅いぞ」 「うるさい!! もう少し待てよ!」 怒鳴りながらゾロの方を見たサンジは、今度は驚いたような表情になり、変な声を上げた。 「お前、何で前を隠さないの? 露出狂か??」 どうやらサンジは銭湯に来るのが初めてらしい、とゾロは思い当たった。 「アホか、何で前を隠すんだよ。風呂入るんだろ? 良いからとっとと脱げよ」 サンジの腰のタオルをゾロは引っ張ってみた。すると、サンジは頬を赤く染めると必死になって タオルを押さえて抵抗している。 「お前、女じゃね〜のに止めろよな」 ゾロはその姿が可笑しくなって、思わず吹きだしてしまった。 普段、顔や趣味の事で<女みたい>と馬鹿にされるサンジは、その言葉にキレた様子でゾロの 向う脛を蹴ってきた。それから、衣服を投げ飛ばすように全部脱いでしまった。 そして、「これでど〜だ!!」と言わんばかりに、サンジは仁王立ちになった。 腰に両手を当てがい、しっかりと胸を張り、ゾロに挑戦するような眼差しを送るのだった。 それを見て、今度はゾロの方が動揺してしまった。 サンジの未発達の身体は、まるで少女のようなのだ。 手足が長くスタイルは均整が取れて美しい。ゾロはクラスの女達の水着姿を見た事があるが、 サンジの方が随分と綺麗な気がする。 それに、白くてスベスベとした滑らかな肌をしている。シミも傷も一つも無い。 その白い胸に二つ。ピンク色で柔らかそうな小さな突起があった。サンジの乳首だった。 寒いせいか、それはツンと膨れて尖っていた。 なんとなく焦ってゾロが下を向くと、赤ん坊のように皮を被ったサンジのピンク色のチンポコが ゆらゆらと揺れているのが見えた。それもまたツヤツヤと輝き、やたら綺麗に見えてしまった。 おまけに、サンジの股間に毛はまだ無かった。 どこもかしこも白くてツルツルだったりする。 思わず、ゾロは自分の股間をタオルで隠してしまった。 条件反射と言うか、そうしないとかなりマズイだろうと、ゾロは思ったのだ。 自分の股間に、朝立ちの時のような痛みとムズ痒い感じがあったのだ。 さらに背筋から脳天にかけて、何か熱い電気のような物が走っていった。 サンジを見ると、すぐゾロの様子に気がついたらしく怪訝な顔をしている。 サンジには「タオルを外せ」と言いながら、ゾロがタオルで前を隠すのは不思議で無いはずが無い。 それに、隠し事をすると、サンジはその事に強く興味を持つ習性があるのを、ゾロはすっかり 失念していた。 「何で、タオルを当ててんだよ!!」 サンジはゾロの股間に当てたタオルを取ろうと、いきなり飛び掛ってきた。 ゾロは片手でタオルを持ちながら、サンジと掴み合いになった。 サンジは全裸で容赦なく接近戦を挑んでくる。蹴ったり叩いたり、メチャメチャだった。 ゾロも必死だったが、サンジの白い肌が接触する度に、そのスベスベした感触に驚いて 力が抜けてしまう。普段なら、力でサンジに負ける自分では無いはずなのに、かなり苦戦していた。 さらに目の前でサンジの乳首が、興奮のあまりか少しずつ赤く変化するのに目が釘付けになっていた。 綺麗な桜色になり、柔らかそうにふっくらと大きくなっていた。 それが、ゾロの背中や胸をサラリとかすめるのだ。 尖った粒が、肌に押し当てられる刺激にもゾロは参ってしまっていた。 そのうちにプ二プ二した感触の物が、膨らんだゾロの股間をタオル越しに刺激するのにも気がついた。 慌てて下を見てみると、サンジのフニャチンがゾロの股間にぶつかっているのだ。 サンジとゾロは同じくらいの身長だったので、正面で組み合うと必然的にそうなる。 サンジが激しく攻撃をしてくる度に、股間の棒やら、タマタマやらが激しくぶつかり合うのだった。 ゾロはもうギブアップしか無い状況に陥っていた。 このままだと間違いなく<暴発する>。 公共の場でとんでも無い事になるだろう。 ゾロはサンジを必死の力で押しのけると、風呂場に向かってダッシュした。 それもチョッピリ前かがみで、小走りになっていた。 銭湯の人間か誰かが「走らないように」と注意した様子だったが、ゾロの耳には全く入らなかった。 そして礼儀を一切無視して、いきなり湯船の中へ飛び込んだ。 身体も洗って無いわ、タオルを股間に当てたままだわ、お湯を辺りに飛び散らかすわ。 最低のマナーで他の客の白い目を一身に浴びて痛かったが、それでもサンジから離れられて ゾロは心底ホッとしていた。 しばらく湯船につかってリラックスすれば、自然に元のサイズに戻るかもしれない。 そんな風に考えていたのだ。懸命に深呼吸をしたり、数を数えたりするゾロであった。 ゾロは、まだ夢精くらいしかした事が無かった。 そのため、こういう時の対処方法がまだ良くわかっていなかった。 本当は湯船ではなく、トイレにでも行って自分で処理すれば良かったのだ。 そう気づくのは、数ヶ月のちの事だった。 ゾロが湯船につかって、必死になって、己の<暴れん坊君>と死闘を繰り広げていると、 「何で、お前逃げるんだよ!!」 なんて、叫び声が耳に入った。明らかにサンジの声だったので、ゾロは焦って全身から汗が噴き出した。 それから、ザバッとお湯が動く音がして、ゾロの隣にサンジが入ってきた。 サンジはきちんと洗い場で、身体を洗ってからやってきた。 湯船に居れば、こうなる事をゾロは完全に忘れていた。 驚いて後ろに下がったゾロだったが、浴槽の壁に逃げ道を完全に阻まれてしまった。 八方塞がりとは、この事である。 「お前、何隠してんだよ?」 「別に隠しちゃいね〜よ」 平静を装って答えたゾロだったが、大粒の汗を流したその顔は、誰が見ても「隠し事をしてます」と 自白していた。 サンジは無言でゾロをひと睨みすると、いきなり湯の中に右手を入れ、巻かれたタオルと一緒にゾロの 股間のイチモツを力いっぱい握りこんだ。 ウギャ〜〜〜!! 銭湯の浴室全体が震えるほどに、ゾロの甲高い絶叫がこだました。獣じみた声だった。 ゾロはたまらず湯の中に白濁液を発射してしまった。 そのまま痛みで悶絶して、湯船にプカリと浮いてしまった。 身体の前面ご開帳のまま、湯に浮かぶゾロの奇妙な姿を見て、サンジが何を思ったのかは、 ゾロには全くわからなかった。ただ変な奴だ、とは思うだろう。 ゾロがサンジの反応を気にしていると、奴は顔を真っ赤にして、こう叫んだ。 「ゾロのアホ!! 死ね!!」 サンジは激しく怒っていて、とっとと一人で湯殿を出ていってしまった。 (死ね、まで言われる理由は無ぇ〜だろう) (それとも、湯船に発射したのがバレちまったか??) 怒りたいのは、急所を握り潰される所だった自分の方だと思うのだ。 さらに耐えられない事は、サンジの裸を見て勃起してしまった事実だった。 おまけに、射精まで見られた可能性がある。 (死んでも知られたくねぇ〜なぁ) (奴が気がついてなければ良いけどな) ぼんやりする意識の中で、ゾロはそれだけをひたすら祈っていた。 そのままの姿勢で、両手の平をヒラヒラと動かし、湯をかき回したりした。 悪あがきだったが、少しは湯が拡散して、水中の子種も目立たなくなるかもしれない。 そのゾロの努力(?)の成果で、子供が悪ふざけをして、溺れたくらいにしか周囲の大人には 思われなかったらしい。銭湯の職員には、湯船で泳ぐな、と注意された。 何も知らずに、次にその湯に入る客達には申し訳無かったが、ゾロは一生秘密にする事にした。 この日の出来事をゾロは忘れる事は無かった。 こんな恥をかいたのは、生まれて初めてだったからだ。 そして、彼の中ではっきりと一つのジンクスが出来たのだった。 <サンジに関わるとロクな目に合わない> 出来れば縁を切りたいが、親が引っ越しでもしない限りは無理な話だった。 この先も長い年月、付き合う事になるのだろう。 そのため、ゾロはサンジに対して新たな誓いを立てたのだった。 (いつもヤラレル側に俺がいるとは思うなよ!!) サンジには、いつも嫌な目にばかり合わせられるゾロだった。 良い加減に堪忍袋もはちきれる寸前で、もう限界がきていたのだ。 自分が主導権を取らないと、この先、どんな目に合うかわかったものではない。 (絶対に奴には負けねぇ!!) (好き放題にはさせねぇ!!) (こうなりゃ、全面戦争だ!) (そのためには、どんな特訓でも耐えてみせるぜ!!) 何の戦いなのか良くわからないが、一人メラメラと燃えるロロノア・ゾロだった。 サンジに握られた股間は3日間も鈍い痛みが続き、ほんの少し微熱まで出てしまった。 満足に歩く事もできず、生まれて初めて、剣道の練習も休んでしまった。 家でじっと寝ていると、ナゼかサンジの真っ白な裸なんかが、頭に浮かんできてしまう。 (こりゃ〜最初の特訓は、精神統一からだな) 山ごもりでもして、滝にでも打たれそうな勢いのゾロだった。 腫れあがった股間はかなり熱いが、心も真っ赤に熱い男である。 END ![]() ![]() ワンピース小説目次へ戻る |