5ページ目/全5ページ ゾロが湯船につかって、必死になって、己の<暴れん坊君>と死闘を繰り広げていると、 「何で、お前逃げるんだよ!!」 なんて、叫び声が耳に入った。明らかにサンジの声だったので、ゾロは焦って全身から汗が噴き出した。 それから、ザバッとお湯が動く音がして、ゾロの隣にサンジが入ってきた。 サンジはきちんと洗い場で、身体を洗ってからやってきた。 湯船に居れば、こうなる事をゾロは完全に忘れていた。 驚いて後ろに下がったゾロだったが、浴槽の壁に逃げ道を完全に阻まれてしまった。 八方塞がりとは、この事である。 「お前、何隠してんだよ?」 「別に隠しちゃいね〜よ」 平静を装って答えたゾロだったが、大粒の汗を流したその顔は、誰が見ても「隠し事をしてます」と 自白していた。 サンジは無言でゾロをひと睨みすると、いきなり湯の中に右手を入れ、巻かれたタオルと一緒にゾロの 股間のイチモツを力いっぱい握りこんだ。 ウギャ〜〜〜!! 銭湯の浴室全体が震えるほどに、ゾロの甲高い絶叫がこだました。獣じみた声だった。 ゾロはたまらず湯の中に白濁液を発射してしまった。 そのまま痛みで悶絶して、湯船にプカリと浮いてしまった。 身体の前面ご開帳のまま、湯に浮かぶゾロの奇妙な姿を見て、サンジが何を思ったのかは、 ゾロには全くわからなかった。ただ変な奴だ、とは思うだろう。 ゾロがサンジの反応を気にしていると、奴は顔を真っ赤にして、こう叫んだ。 「ゾロのアホ!! 死ね!!」 サンジは激しく怒っていて、とっとと一人で湯殿を出ていってしまった。 (死ね、まで言われる理由は無ぇ〜だろう) (それとも、湯船に発射したのがバレちまったか??) 怒りたいのは、急所を握り潰される所だった自分の方だと思うのだ。 さらに耐えられない事は、サンジの裸を見て勃起してしまった事実だった。 おまけに、射精まで見られた可能性がある。 (死んでも知られたくねぇ〜なぁ) (奴が気がついてなければ良いけどな) ぼんやりする意識の中で、ゾロはそれだけをひたすら祈っていた。 そのままの姿勢で、両手の平をヒラヒラと動かし、湯をかき回したりした。 悪あがきだったが、少しは湯が拡散して、水中の子種も目立たなくなるかもしれない。 そのゾロの努力(?)の成果で、子供が悪ふざけをして、溺れたくらいにしか周囲の大人には 思われなかったらしい。銭湯の職員には、湯船で泳ぐな、と注意された。 何も知らずに、次にその湯に入る客達には申し訳無かったが、ゾロは一生秘密にする事にした。 この日の出来事をゾロは忘れる事は無かった。 こんな恥をかいたのは、生まれて初めてだったからだ。 そして、彼の中ではっきりと一つのジンクスが出来たのだった。 <サンジに関わるとロクな目に合わない> 出来れば縁を切りたいが、親が引っ越しでもしない限りは無理な話だった。 この先も長い年月、付き合う事になるのだろう。 そのため、ゾロはサンジに対して新たな誓いを立てたのだった。 (いつもヤラレル側に俺がいるとは思うなよ!!) サンジには、いつも嫌な目にばかり合わせられるゾロだった。 良い加減に堪忍袋もはちきれる寸前で、もう限界がきていたのだ。 自分が主導権を取らないと、この先、どんな目に合うかわかったものではない。 (絶対に奴には負けねぇ!!) (好き放題にはさせねぇ!!) (こうなりゃ、全面戦争だ!) (そのためには、どんな特訓でも耐えてみせるぜ!!) 何の戦いなのか良くわからないが、一人メラメラと燃えるロロノア・ゾロだった。 サンジに握られた股間は3日間も鈍い痛みが続き、ほんの少し微熱まで出てしまった。 満足に歩く事もできず、生まれて初めて、剣道の練習も休んでしまった。 家でじっと寝ていると、ナゼかサンジの真っ白な裸なんかが、頭に浮かんできてしまう。 (こりゃ〜最初の特訓は、精神統一からだな) 山ごもりでもして、滝にでも打たれそうな勢いのゾロだった。 腫れあがった股間はかなり熱いが、心も真っ赤に熱い男である。 END お風呂屋パニック〜サンジ編〜へ続きます |
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