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  銭湯を脱出したサンジは、その足でウソップの家へ向かった。

  ウソップも近所に住んでいる数少ないサンジの男友達の一人だった。

  突然、夕飯時にやってきたサンジにウソップはかなり驚いたが、もっと驚愕したのはサンジの

  変な要求だった。

  「ウソップ!! テメェ〜のチンポコを俺に見せろ!!」

  部屋の中で唖然としているウソップに馬乗りになると、さっさとズボンとパンツを脱がして、

  確認するサンジだった。

  ウソップのモノは、サンジのそれと大して違いはない。肌色の可愛らしい物だった。

  サイズはもしかすると、サンジのモノよりも短いかもしれない。

  「なんだ〜テメェも同じじゃね〜か?!」

  「クッソ〜!! ゾロの奴、ビビらせやがって!!」

  「あんなモン、怖くね〜や!」

  サンジがガッツポーズを取って笑っている横で、ウソップがパンツを履きながらむせび泣いていた。

  「……だから……お前、訳わかんね〜よ」

  サンジがクラスの男子生徒に嫌われる理由は、この横暴な性格だった。

  サンジの意味不明の言動に振り回されて、大抵の人間は離れてしまうのだが、ゾロやウソップは

  かなり忍耐力がある方だった。

  特にウソップは年齢の割りにしっかりとした子供だった。

  母一人、子一人の二人暮らし。しかし、今はその母親が入院中なので、家にはウソップ以外

  には誰もいない。

  「なあ、ゾロと何かあったのか?」

  ウソップはこれから夕飯の支度でもするのか、長ネギと生ウドンを冷蔵庫から出しながら、

  そんな事を聞いてきた。

  「あ〜、俺が作ってやるよ? サンジ様特製のスペシャル煮込みウドンでも良いか?」

  サンジは、そのウドンをウソップから取り上げると台所に向かった。

  ウソップは、サンジが決して悪人では無い事を知っていた。

  ただ、要領が悪かったり、口調が悪かったり、態度が悪かったり、人にごめんなさいと言えない

  ヘソ曲がりな人間だったりするだけなのだ。

  「ゾロと仲直りできれば良いな」

  事情を簡単に話すと、ウソップは煮込みウドンを啜りながら、サンジにそんな事を言う。

  「あ〜仲直り?? あんな奴、友達じゃね〜し別に良いよ」

  サンジはそっぽを向いて、ウソップの家を後にした。ただ、ウソップにはそれが嘘だとすぐに

  わかってしまった。その素直じゃ無い所が、とてもサンジらしいように思う。




  帰宅の道のりで、サンジは、どうやってゾロと話そうかと考えていた。

  (死ね……と言うのは、いくら何でもマズイよな)

  自分も外見の事を馬鹿にされたら、本当に嫌だと思う。

  ゾロは、そういう事でサンジをからかったりした事は無かった。

  (俺のピンクのフニャチンや、毛の無いのを見ても馬鹿にしなかったしな)

  (奴のブツがモンスターランクでも、差別はいけねぇ〜よな)

  勝手に<ゾロ=モンスター>と決めつけて、先に進もうとするサンジだった。

  どうすっかな〜と悩むサンジだったが、自分に出来る事は一つしか無いように思う。

  自分には料理しか無いのだ。

  (何かゾロの好きな物でも作って持っていこう)

  そう思ったら、サンジの足取りも軽くなった。

  ゾロの好きそうなレシピをいろいろと考えていると、楽しくてスキップしそうな気分になった。

  料理の事を考えるのが、サンジは何よりも好きなのだ。

  (今度の日曜日かな?)

  (アイツは道場に行くからな)

  (帰りのハラペコの時に、とっ捕まえるか)

  (スゲェ〜ご馳走を持って行ってやろう)

  その事を思うと、何だか浮かれた気分になってサンジは笑いが止まらなかった。

  二人の決戦(?)は、間もなく次の日曜日となった。

  サンジが勝手にそう決めてしまったのだ。

  どこまで行っても、<自分が主役>なサンジなのである。



                                   END
                            

                         第3話〜決戦は日曜日〜へ続きます



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