宍戸さんには、お金が無い!


    その7 〜悪夢の夜〜 の巻


   俺が、黒沼によって、ベッドの上に寝かされると、鳳は近づいてきて声をかけてきた。

   「宍戸さん、どうしたんですか? 具合が悪いんですか? 」

   鳳はかなり驚いた様子で、しきりに俺の身体の事を心配している。どうも、薬の事は

    知らないようだった。


   黒沼と寿達が勝手にやった事なのだろうか?

   「なあ、何で俺なんだ? そういう事をやるプロだって、この世の中にはいるだろ? 

     何で男の俺じゃ無いとならないんだ! 」


   俺は、必死になってそんな言葉を吐いていた。

   口唇が少し震えていた。

   認めたくないが、俺は脅えていた。

   誰だって、そうだろう。

   俺は、今から、たぶん……。

   いや、間違い無く、鳳長太郎と性行為をさせられるのだ。

   黒沼はベッドに寝ている俺を一瞥すると、耳元でこんな厳しい言葉をかけてきた。

   また小さな声だった。

   どうも、鳳には聞かせたく無い様子だ。

   「亮様を選んだ理由が知りたいのですか?

   男性でしたら、妊娠なさいませんので。大変、都合が良いのです。勝手に後継ぎでも

    身ごもられたら、相続問題で、こちらが困るのですよ。


   それに亮様は健康ですし、性行為の経験もありません。まだ、童貞でいらっしゃいますな。

    だから、性病などの心配も全く不要です。身元もはっきりとしておりますので、どこの誰とも

    知れない商売人を雇うより、ずっと安全になります。


   それに、このような事を誰かに話す事も、亮様でしたら、一生無いでしょうから。」

   確かに、絶対に人には言え無い。

   これでもプライドは高い方なのだ。

   俺が今まで性的な経験が無い事も、女性と全く付き合った事が無いのもバレている。

   全部、調べて知っているのだ、俺の事を。

   でも、俺は、それでも逃げるだろう。この場から。

   人の言いなりになるなんて、絶対にごめんだからだ。

   それで、薬を盛られたのに違いない。俺の性格を把握しているからだ。

   黒沼が食堂で言っていた《 仕事をするには少し準備がいる 》と言う言葉の意味を、

    今、やっと理解できてしまった。


   俺はゆっくりと、もう一度言った。

   「それでも、俺は絶対に嫌だ。断る、こんな事は。」

   黒沼は目を見張った。この返答は、彼の予想と少し違っていたのだろうか?

   その時、鳳長太郎が口を挟んできた。

   「黒沼。どういう事なんだ? 宍戸さんは、望んでここに来たワケじゃ無いのか?

    お前、一体、宍戸さんに何をしたんだ? 」


   鳳長太郎の表情は、今までの気の弱そうな感じとはうって変わって、主人らしく厳しい口調で

    黒沼を叱責し始めた。


   黒沼は舌打ちをすると、スーツのポケットから軟膏の瓶を取りだし、自分の指に黄色の

    クリーム状の物をすくうと、全裸でベッドに座っている鳳の陰部に突然、塗りつけた。


   「黒沼ッ! 」

   強い痛みがあるのか、何度も鳳は大声を出した。

   そのクリームを塗られた鳳のモノはさらに硬く大きくなり、鳳は全身を真っ赤にしてうめいていた。

   「う〜、熱い。熱い。宍戸さん、助けてください! 」

   ベッドの上でのたうっている鳳を放置すると、黒沼は、今度は俺に近寄り、尻に

    そのクリーム状のモノを塗りこめた。


   抵抗して大声を出す俺を、完全に無視し、黒沼は、尻穴の奥深くまで指を差し入れてきた。

   二本の指を上手に使い、敏感な襞へとクリームがなすられてゆく。その部分が、カーと

    腫れあがったように熱くなり、信じられないほど痒くなってきた。


   「うわっ! 止めろ! 痒い。何だよ、これ! 」

   俺は尻の中が痒くて、どうしようも無くなった。

   頭がぼんやりとして、どんどん思考がおかしい方向へ行こうとしている。

   もし、今、自分が動けるなら、自らの尻に指を入れてメチャクチャにかき回してしまうに違いない。

   その時、知らずに鳳を呼んでいる自分がいた。

   「鳳、鳳、助けてくれ! 尻が痒い、死にそうなんだ。助けてくれ! 」

   その後で、俺は、鳳に足を抱えあげられた事にも気がついたが、たぶん、

    抵抗するのでは無くて、とても喜んでいたような気がする。


   鳳の熱い大きな物で、尻を割られた時も、涙を流して腰を揺すっていた。

   裂けそうに広げられた俺の中で、鳳のモノが縦横無尽に動きまわる。

   きっと自分の指の長さでは、そんなに奥まではかき回せない。

   鳳の大きくて長いモノが、とても素晴らしいと思えていた。俺の痒くて辛い場所に良く届いて、

   擦られると本当に気持ちが良いのだ。


   そのうちに、何度も、身体の奥で温かいモノが爆発するように広がった。

   きっと、鳳が俺の尻の中で射精しているのだと思った。

   確かに、黒沼の言う通り、こんなふうに激しく何度も抱かれていたら、女だったらすぐに

   妊娠してしまうに違いない。


   鳳は、俺を抱き締めながら、熱にうなされた本当の病人のように朦朧としていた。

   首にさげている十字架が、俺の胸元で何度もしゃらしゃらと音を立てて擦れている。

   鳳は、その熱い唇を、俺の耳元に当て、ずっとこんな言葉を叫んでいた。

   「宍戸さん。好きです! 大好きです! 」

   ただ、鳳は薬のせいで、そう言う気分になったのか?

   それとも、本気で言っているのか?

   俺には良くわからなかった。


                             ☆



   俺が激痛に気がついて、目を覚ますと、そこはまた例の浴室だった。ぼんやりと目を開くと、

    夕べの水着姿のメイド達が俺の身体にシャワーをかけていた。


   小さな簡易ベッドのようなモノに寝かされたまま、俺は、足を大きく広げられていた。

   「気がつかれましたか? 亮様。お加減はどうです? 」

   あの髪の長いメイドが、そう話かけてきた。

   答えるまでもなく、最悪だ。

   彼女達にシャワーをかけられている場所は、傷でもあるのか、とにかくピリピリとした痛みが、

    絶えず起こっている。嫌なので、足を閉じようとすると、メイド達に制止された。


   「亮様。きちんと処理をしないと、ご病気になられますよ。痛むと思いますが、もう少し

    我慢してくださいませ。」


   メイドの誰かの指は、俺の尻の中に入っている様子だった。

   感覚が鈍くなっているのか、何本指が入っているのか、全くわからなかった。

   何となく、自分の下半身へと目をやると、俺の体内から白いモノが溢れていた。

    温かいシャワーの流れですぐに辺りへ散ってしまうが、尻から、信じられない量の精液が、

    かきだされている。


   これが誰の物か考えるまでも無かった。

   俺は、本当に鳳長太郎に犯られてしまったのだ。

   それも、俺は、自分から喜んでアイツに抱かれたのだ。

   それでも、少しだけ良かったのは、薬のせいで、細かい部分をあまり良く覚えていない事だった。

   きっと俺は、女のように喘ぎながら、腰を自分で振って喜んでいたに違いない。

   もし、その事を明確に覚えていたら、この場で泣き出してしまったかもしれない。

   俺が険しい表情をしているのに、気がついたのか、メイドの一人が温かい蒸しタオルを

    俺の顔にかけてくれた。


   俺は、そのタオルに隠れて涙を流した。

   メイドの他の一人は、ずっと俺の髪を優しくなでてくれていた。


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