宍戸さんには、お金が無い! その6 〜当主様の秘密〜 の巻 その部屋は、外国製と思われるソファに、大きな鏡のある鏡台、暖炉、それから、天蓋のついた ベッドが置かれていた。一目見て、寝室なのだとわかった。 それも、置かれているのは、かなり大きなキングサイズのベッドだった。 二人どころか、三人でも四人でも寝られるんじゃ無いかと思われる特大サイズだ。 誰と誰がそこに寝るのか、なんて考えたくも無かったが。 とにかく、俺が呆然としていると、背後で扉は閉まってしまった。ガチャリなんて、外から鍵を 締めた音がした。 な、何で、鍵を閉めるんだよ、おい。 俺が慌てていると、ベッドの天蓋から降りている白いベールの後ろに人がいて、こちらに声を かけてきた。 「亮様。そちらのソファにお座りください。今から説明をいたします。」 そう言って、姿を現したのは、黒沼だった。 その後ろには、ガウンを着ている鳳長太郎がいた。無言のままで、黒沼の背後に隠れるように 立っている。普段通りの笑顔だったが、何となく恥ずかしそうな様子で、俺が睨みつけると 視線をそらして下を向いてしまった。 とにかく、相手を睨んでいても仕方無いので、俺はドカリとソファに腰を下ろした。 事情を説明してもらわないと、どうしようもない。 その話を聞いた後で、鳳でも、このジーさんでも、構わない。 とにかく殴り倒す! 俺は拳を握りしめていた。 黒沼は、俺が座ったのを確認すると、鳳を促してベッドへ上がらせた。 「説明に移る前に、ご当主様のお体について話さないとなりません。とにかく、黙って しっかりと見ていてくださいませ。何も言わず、途中で長太郎様の邪魔する事の無いように お願いいたします。」 俺がコクリと頷くと、鳳長太郎はガウンを脱ぎ始めた。 俺の一つ年下の十三歳とは思えない立派な身体つきだった。上半身は筋肉がしっかりとあり、 腹筋が綺麗に割れている。その胸元で十字架のチェーンが揺れていた。 手も足も長く、上背のある分、全てのパーツが大きかった。 身体が小柄で、どちらかと言うと、痩せ気味の俺には、それが羨ましくてならなかった。 アレだけの体格なら、高速の力強いサーブが打てるのも頷ける。 「宍戸さん。これから俺の秘密を知ってもらいたいんです。それで、考えて欲しい事が あるので。嫌かもしれないですけど。少しだけ我慢していてください。」 そう言って鳳は裸になると、俺の前で足を広げた。 男性自身が剥き出しになっており、その状態に俺は唖然とした。鳳のモノはすでに硬く立ち上がり、 どう見ても限界状態になっていた。 俺は、人の勃起したモノを見た事は無かったので、比較は難しいのだが。自分の物と比べると、 三倍くらいの太さがある。長さも倍くらいはあるだろうか。 それは、しっかりと皮がむけており、色も俺のモノなんかよりもずっと黒いように思う。 子供の癖になんてモノを持っているのだと、俺が度肝を抜かれているうちに、鳳の方では、 次の作業へとどんどん進んでいる様子だった。 鳳は、黒沼からローションらしい瓶を受け取ると、その中身を手にとり、俺の前で突然、 その巨根を摩り始めた。 「なっ! 」 俺が驚いて声を出すと、黒沼に睨まれた。彼の口は「お静かに」と言っている。 鳳は、目を閉じ、眉をつらそうにひそめながら、必死な様子で自慰をしている。 いつも、そうしているのか、右手で亀頭部をいじりながら、左手で砲身をダイナミックに摩っていた。 そのうちに、声を小さく上げながら、腰を痙攣させて白い液を吐き出した。 吹き上がる精液を見ながら、俺は眩暈を覚えていた。 何で、俺が後輩の自慰を真面目に見守らないとならないのだ。 「一体、これがどうしたんだよ! 」 俺がもう辛抱できずに、声を出すと、黒沼は鳳の身体を指差した。 見ると、放出が終わったのに、鳳のモノは全く萎えていなかった。それどころか、もっと硬く 大きくなっているような気がしてならなかった。 「お気がつきましたか? ご当主様は、自慰ごときの刺激では萎える事がありません。 問題は、鳳家の男子に共通のこの問題にあります。」 鳳長太郎は、黒沼が話をしている最中、テッシュで自分の吐き出したモノを拭いていた。 その表情は熱があるように真っ赤になっており、陰部にかかった汁を拭き取るたびに、 辛そうに顔をしかめていた。 「鳳家の男子は、みなさま。このように多感、多情でございます。言うならば、一度勃起 してしまうと、ご自分の行為では萎えず、それはかなりの苦痛を伴うモノでございます。 亮様も男性ですので、記憶にあるかと思います。勃起したままでは、普通、歩く事も 思うように出来ませんし、何より、人前に出る事ができません。 鳳家の方達は、それよりも、もっと状態が悪いのです。熱が出て動けなくなってしまいます。 これは病気と同様とお考えになってください。」 なんとなく、俺は嫌な予感がしてきた。 と言うよりも、本当は、入浴中に考えなくも無かったのだ。 それで、俺がここに呼ばれた理由は、もう一つしか無いような気がする。 俺が、もし女だったのなら、もっと早くその可能性に気がついたはずだ。 黒沼は俺のそばに近づいてくると、鳳には聞こえないような小さな声で囁いた。 「賢い亮様には、もうわかっていらっしゃるでしょうが。亮様のお仕事は、ご当主様の 性処理を手伝っていただく事でございます。」 やっぱり、そうか。 俺は涙が出そうになった。 よりにもよって、この俺が。 何で、後輩の下の世話係をせんとならんのだ! 「冗談じゃ無い! お断りだ! 今すぐ、俺は帰る! 」 俺のものすごい剣幕に、鳳は脅えたように身体をふるわせた。その火照ったような赤い顔は、 今すぐにでも泣き出しそうにクシャリと歪んだ。 何で、お前がそんな顔をするんだ。 泣きたいのは、俺の方だ! 黒沼は、家に帰るために、立ち上がろうとしている俺のそばにやってきた。 俺は逃げようとしているのだが、どういうワケなのか、全く立ち上がる事ができなかった。 足に力を入れるが、身体を持ち上げる事ができない。 俺の身体は不規則に何度もぐらぐらと揺れていた。手も足も、弛緩したようになり、 思った通りに動かせないのだ。 そのうちに、腰が抜けたように、ソファの中へ俺はぐったりと倒れこんだ。 「お前ら! お前ら! 」 怒りのあまり、他の言葉は出てこなかった。 薬を盛られたんだ、俺は。 きっと、風呂場で飲んだ紫色の液体だ。絶対にそうだ。 黒沼は、罵倒している俺を抱きかかえると、鳳のいるベッドへと運んだ。 その途中、俺の耳元でこんな嫌な話を聞かせた。 「亮様。あなた様に拒否する権利などは、もともとありません。 私どもが、宍戸家のみな様のために、今までどれほど資金をかけてきたのか、わかりますか? あの家にせよ、あなた様の学校の授業料にせよ、テニスをするための道具にスクール費用に。 すでに巨額の費用が使われております。あなた様が仕事を放棄して帰ると言う事は、契約違反を するのと同じ事です。宍戸家は信頼を無くし、任を解かれます。それに応じて、今までの費用 全てを返還してもらう事になります。 お父上にお支払いができるとは、到底思えません。それで失業してしまうのですから。 では、あなた様が替りに支払いますか? 中学校を中退して、働きに出ますか? 」 俺は唇を強くかみ締めた。 父の言った《 金が無い 》と言う言葉がやっと実感できたからだ。 確かに、俺達、宍戸家の人間には、そんな金が支払えるはずが無かった。 父と母が泣いていた理由もなんとなく理解できた。何も言わなかったけれど、ここに連れて 来られた俺がどんな目に合うか、両親はきっと知っていたのだ。 その7 〜悪夢の夜〜の巻へ→行ってみる ![]() 小説目次ページへ戻る
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