宍戸さんには、お金が無い!
その5 〜お風呂場パニック〜 の巻
鳳邸での入浴は、とても異様な雰囲気だった。
寿に連れられて南棟二階の浴場へ行ってみると、銭湯のように広い脱衣場に五人のメイドが
立っていた。 全員、二十代の若い女性ばかりだった。おまけに、彼女達は水着姿だったのだ。
驚いて固まっている俺を即座に取り囲むと、あっという間に衣服を剥ぎ取り、絶叫している俺には
かまわずメイド達は総出で、湯船へと運んで行った。
まず、腰の辺りしか湯の張っていない泡風呂へと俺を入れ、抵抗する間もなく、ゴシゴシと馬の毛の
ブラシで身体を擦ってくれる。
くすぐったいので、身体を捩って笑っているうちに、シャワーをかけられ、今度は外の洗い場のイスに
座らされ、髪の毛を二人のメイドが洗ってくれた。きちんと二度荒いし、トリートメントをする。
頭に蒸しタオルを当て暖めている間に、今度は柔らかいスポンジで再度、メイド達が俺の身体を
洗い始めた。
「うわっ! 自分で洗う。それだけは止めてくれ! 」
たまらずに声をあげると、メイド達からこんな返事が返ってきた。
「駄目です。これが私達の仕事です。寿さんに私達が怒られてしまいますので、亮様は、どうか
何もなさらないでくださいませ。」
寿に怒られる、と言う部分に反応して、俺が身体の動きを止めると、メイド達の手によって首筋から、
身体の中央、足の先、と滑らかにスポンジが移動する。
そのうちに、男の大切な部分にも、スポンジがすべり始めた。
「そ、それだけは、ちょっと。俺、自分で……。」
さすがに恥ずかしいので抵抗すると、その中で一番年長者らしい長い黒髪の女性がこんな事を言う。
「いけません。私達は亮様の身体を綺麗にする事も仕事ですが、体調や健康状態をお調べするのも
仕事なのです。例えば、ここの機能が正常か、どうか。これも私達は、確認しないとなりません。
とても大切な事なのです。」
そう言うと、石鹸の泡に塗れた俺の股間のイチモツをムギュッと掴み、そのまま、もみ洗いを
するように擦り始めた。
女性の柔らかな手の平が、自分のモノに触れ、それも意識的に摩り上げている。
あっと言う間に、俺のモノは大きく立ち上がってしまった。
「わ、わ、わ。何、するんだぁ!! 」
思わず立ち上がって逃げようとした俺を、メイド達は五人で四方を取り囲み、動けないように
俺の身体を押さえると、そのまま続けようとする。
「うわっ、うわっ、止めッ! 」
俺だって、青春真っ只中と言うか。もう、夢精もあるわけだし、普通の男なので自慰だって経験がある。
とにかく、こんなふうに他人にされたら、当然、出るモノが出てしまう。
「ウグッ! 」
泡塗れの俺のモノがあっさりと射精してしまうと、メイド達は、ほ〜と変な溜め息を吐いて五人そろって
嬉しそうに笑った。
「亮様がお元気で何よりです。」
「やはり、お若いですので、射精までは早いですね。」
「でも、男性の機能には何も異常はございませんわ。」
綺麗な女性達に、そんな事を真顔で言われて、俺は顔面が真っ赤に染まるのがわかった。
「では、もう一つの方も拝見いたします。」
「そちらも綺麗にいたしましょう。」
背後にいたメイドの二人がそう言うと、突然、俺の尻に手を触れたので、反射的に
飛び上がってしまった。
「うわっ、今度は何だ? 何するんだ? 」
俺が驚いているうちに、細い女性の指先が尻の窄みへと当てられ、そこが大きく押し開かれた。
すかさず、もう一人のメイドがシャワーノズルでお湯を当ててくる。
「アウッ! 」
俺が全身を硬直させているうちに、メイドの指が肛門内に入り、その部分を洗い始めた。
こんな事は、普通の状態では有り得ない。
俺が必死に尻を動かし嫌がるが、彼女達には止めるそぶりは微塵も無かった。
それどころが、前に立ち、俺を押さえている別のメイド(俺のイチモツを持っていた髪の長い女だ)が、
こんな質問を浴びせかけた。
「亮様は便秘がちでしょうか? それともお通じは毎日ありますか? 」
何、言ってるんだ、この女!
俺が睨むと、その女は困った顔をして、さらにこんな恐ろしい事を言った。
「今日、お通じが無いのでしたら。これから、お浣腸をしないとなりませんので。」
驚きのあまり、俺は目を見開いていた。
一体、何だ、それは?!
「亮様には、外見だけではなく、身体の中も綺麗にしていただきたいのです。
寿さんに、そのようにしろと言われておりますので。申し訳ありませんが。お答えできないのでしたら、
これからお浣腸をいたしますね。」
「うわっ! 出てます。出てます。今日の朝。目覚めてすぐ。俺、毎日、朝に出るから! 」
思わず、大声でこんな事を力説してしまった自分に、俺は情けなくて涙が出そうになった。
ショックのあまりうな垂れている俺は、メイド達にシャワーをかけられ、そのまま、身体をタオルで拭かれ、
浴室の置くにある部屋に連れていかれた。
そこでは、簡易ベッドのような物が置かれ、俺は寝かされるとマッサージのような事をされた。
身体中に冷たいローションを塗られ、五人のメイド達に揉み解される。
そうしているウチに、室内に白衣を着た女性達が三人ほどやってきて、俺の髪を乾かし綺麗に毛先を
切り揃え、手足の爪の手入れをし、耳掃除も鼻掃除も、身体のあらゆるところを掃除していった。
「亮様の長い髪はとても美しいです。艶も良いですし健康な証拠です。でも、もっと手入れは
きちんとした方が良いですね。少し切れ毛がございました。私が、髪の手入れを担当させて
いただきます。トリートメントもいたしましょうね。ご当主様は、この髪がとてもお好きだとの事です。」
「亮様のお体はキメも細かく、肌のみずみずしいハリも素晴らしいですわ。ほとんど染みや黒子も
ございません。ただ、テニスをやっていらっしゃるので、日焼けが多いですね。このローションは
角質化を押さえ皮膚を柔らかくいたします。さらに、色素沈着も改善いたしますので、毎日、
行う事にしましょう。続ければ雪のように白いお肌になりますよ。」
全員が、口々でこんな説明をしていたが、とても聞いている場合ではなかった。
何で、俺がこんな目に合わないといけないんだ!
この屋敷の連中は、みんな頭がオカシイとしか思えなかった。
俺の頭は混乱していたが、彼女達の所業を拒否する元気もすでに無くなっていたので、ひたすら、
変態どもの親玉=鳳長太郎を心の中で罵倒していた。
アイツ、風呂から出たら、絶対に殴ってやる!
俺がどうやって、鳳にブチかまそうかと考えているうちに、謎のエステは終了した。
入浴時間と全部足すと、俺は二時間も浴場にいたらしい。
ぐったりとして、ガウンを着てその部屋のソファに座っていると、紺色のメイド服を着た別の女性が
手にお盆を持ってやってきた。
女性と言うよりも、少女と言った感じだった。俺とほとんど年が違わないかもしれない。
癖毛を三つ編みに結び、頬にソバカスのある可愛いらしい子だった。
「どうぞ。亮様、喉が乾いていらっしゃるでしょう。」
見ると、紫色の水のような物がグラスに入っている。透明なグラスには水滴がつき、かなり冷えている
様子だった。俺の喉はごくりとなった。確かに、喉は渇いてカラカラになっている。
グラスを受け取ると、いっきに飲み干した。
葡萄ジュースかと思ったが、どうも違うらしい。味はカキ氷のシロップのように甘ったるく、少し喉に
苦味が残る。予想と味は全く違ったが、別に不味くも無く、良く冷えていたので、喉ごしも
かなり良かった。
もっと水分を取りたかったので、お替りを頼むと、そのメイドはかなり慌てた様子で断ってきた。
「亮様、これは……! たくさん飲んでしまったら、大変な事になってしまいます! 」
「なっ! えっ? コレは、一体何なんだ? 」
俺が尋ねると、メイドは焦ったように「失礼いたします。」と言い、走って部屋の外へ出て行ってしまった。
追いかけようと、俺が立ち上がると、入れ違いに寿が現れた。
「おい、何か飲んだんだけど。アレは、一体、何……。」
尋ねるが、寿は興味も無い様子で完全に無視し、無表情のまま自分の来た用件だけを伝えた。
「ご当主様がお呼びでございます。亮様。お部屋までどうぞ。」
そのまま、俺は寿の案内で、当主の部屋まで連れて行かれる事になった。
俺はガウンを脱ぎ、素肌のまま白い着物のような物を着せられた。その下は何も身につけていなかった。
当主に会うのに、こんな格好で良いのかと寿に訊ねると、「それはシキタリですので。」と意味不明の
返答が帰ってきた。
廊下を歩くたびに、素肌にサラサラとした心地良い布地の感触がする。これは絹では無いかと俺は
思っていた。
南棟の五階に当主・鳳長太郎の部屋はある。
エレベーターで五階へ向かい、当主の部屋へ向かって歩いていた俺は、廊下の角にある大きな鏡に
映った自分の姿に、心臓が跳ね上がった。
その姿がとても奇妙だったからだ。
長い髪は後ろで括られ、白く細い紐のような物で結ばれていた。そして、真っ白な着物を着た姿は
遠目から見ると、女にしか見えなかった。
皮膚は、メイド達に磨かれたせいか滑らかな艶があり、自分で驚くほど顔色も良かった。
色は透けるように白く、頬はバラ色とでも言うのだろうか?
さらに、白い着物はかなり薄いらしく、うっすらと布越しに皮膚が透けて見えている。
淡い桃色の乳首も、下腹部の茂みも、その下の男性自身の盛り上がりも、全部、外から見えているのだ。
それどころか、裸になっているよりも、嫌らしい感じがする。
「ちょっと……。寿さん。俺、何でこんな格好・……。」
質問を俺が言うよりも、先に、当主の部屋へと到着してしまった。
「宍戸亮様をお連れしました。」
ギギ〜なんて、重苦しい音をさせて、部屋の扉が俺の目の前で開いていった。
メイドの寿の手によって、俺の人生を狂わせてしまう、その運命の扉が開かれてしまったのだ。
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