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  未来流の身体からは、今朝トイレで麗二が嗅いだのと同じ花のような芳香がしていた。

   それを嗅いでいると麗二の身体も熱くなり、下腹部も自然に起ちあがってきた。


  未来流は、それに気がつくと、左手を麗二の股間へと伸ばした。

   ジーンズのジッパーを下げて腕を差し込むと、下着の上から硬くてゴリゴリしている

   兄のモノを摩った。


  「おっきい! オニ〜チャンの物凄くおっきい! 

   どんどん硬くなってくよ。ねぇ、気持ち良いんでしょ?」


  未来流は嬉しそうにそう言うと、兄の砲身の大きさと形を確かめるように、熱心に扱いていた。

  先ほどの二人組みと競り合うほど、いや、それ以上に大きく立派なモノだった。

  それが拍動しながら、太さを増し、鋼鉄の杭のように硬くなってゆく。

  未来流はごくんと唾液を飲み込むと、下着の中へ手を差し入れ、直接、兄の猛ったモノへ触れた。

  少年の手の平に、生き物のように生きづいている兄の熱い棍棒が握られた。

  「コレだよ、コレ。ねぇ、この太くて硬いのが良い。

   コレを、
ボクの中に入れて、奥をいっぱい突きまくってよ!

   オニ〜
チャンもボクが欲しいんでしょ? 」

  そう言って未来流は淫陶に笑うと、兄の顔を物欲しげに見上げた。

   その熱い身体の反応は、麗二も自分を欲しがっている。


  未来流は、そんな自信に満ちた表情をしていた。

  しかし、期待とは異なり、麗二は氷のように無表情のままだった。

   まるで弟の行動を静かに観察するように、鋭い視線を未来流の全身へと注いでいた。


  「なぁ、ちょっと聞きたいんだけどな? 」

  麗二は、野生動物のような鋭利な光を放つ金色の瞳で、弟を厳しく睨んだ。

  「テメェは。一体、ドコの誰だ? 何時からソコにいる?

   俺の弟とは別人だな。未来流は…………オレの弟は、一体ドコに行ったんだ? 」


  麗二からの、そんな奇妙な問いかけを聞くと、一瞬驚いたように未来流は身体の動きを止めた。

  それから、面白くてたまらない、と言う表情へと変わり、声を上げて笑い出した。

  「ウフフ。 さすが、オニ〜チャンだねぇ。 でもね〜一つだけ大間違い! 

   ボクが 《 本物 》 なんだよ! あんな嘘ツキなんて知らないよ。

   ボクの中で隠れているんじゃ無いかしら? アイツは臆病なんだから。

   そう言えば、オニ〜チャンと会うのは、ボク、初めてだったかしら?

   本当に会えて嬉しいよ! 」


   未来流は、金色の瞳を鋭く光らせて、麗二に対して牙を向き出し、低い唸り声を上げていた。

   それから、獣のように四つん這いになり、兄へいつでも飛びかかれる体勢へ入った。


  兄の麗二と、《 見知らぬ弟 》 は、お互いの出方を見るために、ベッドの上で激しく睨み合っていた。

  金色に輝く瞳を持つ、ニ匹の獣が出会った瞬間だった。



                               第5話  了




           
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