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24年12月 〇 AI マルチエージェント

 AIマルチエージェントとは、人のように自分で情報を集め、考え、行動できるAIエージェントをさらに進化させたもので、複数のAIエージェントが協力して1つの大きなタスクを解決するAIシステムのことです。

 各エージェントはそれぞれ独立して動き、自分の役割を果たしながら他のエージェントと情報を交換し、協力してタスクを遂行します。

 他のエージェントとの協調なしで単独でタスクを遂行する自立型AIエージェントとの違いは、複数のエージェントが相互作用し、協調しながら目的を達成する協調性が異なります。

〇 マインドセット(mindset)

 マインドセットを直訳すると人の考え方や好み、習慣ですが元々は心理学の用語で人間が持つそれぞれの「無意識の思考・行動パターン」「固定観念や思い込み」「物事を捉える時の思考の癖」を意味する言葉で、過去の経験や教育などで形成された思考や価値観になります。

 このマインドセットは、人の行動の根幹を成すものであり、マインドセットの状態が仕事における自己成長や成果創出に大きく影響するものと捉えることができます。

なお、ビジネスにおけるマインドセットもほぼ同じで、経験や価値観に基づく考え方や枠組みを指します。

 マインドセットは個人だけでなく、企業や組織にも存在し、企業のマインドセットとは、いわゆる「企業文化」「企業風土」のことになります。

24年11月 〇 自律型AI

 自律型AIとは、人間の介入(人間による操作や対話)なしに目標に向けて自律的に行動し、高度で複雑なタスクを実行できるAIシステムのことです。「自律型AIエージェント」とも呼ばれます。

 自律型AIは特定のゴールを設定するだけで、AIがゴールに向けた行動を自律的に選択・実行します。行動と評価、修正の繰り返しによって設定されたゴールを達成することが、自律型AIの基本的な原理です。

 金融業界や自動運転、製造業など、さまざまな分野での導入が進んでおり、業務の効率化やコスト削減、意思決定の迅速化など、多岐にわたるメリットが注目されています。

〇 グローバルニッチトップ企業

 グローバルニッチトップ企業とは、ニッチ(規模が比較的小さい専門的市場)において、グローバルなサプライチェーン上で重要な役割を占めている企業を意味します。

 経済産業省は2014年と2020年に「グローバルニッチトップ企業100選」を発表し、また2018年には2014年認定企業の「5年後の現状と課題」を調査レポートにて報告しています。

 その2020年版におけるグローバルニッチトップ企業の選定基準は、「大企業の場合は、特定の商品・サービスの世界市場の規模が100~1,000億円程度であって、過去3年以内において1年でも、概ね20%以上の世界シェアを確保したことがある企業。中堅企業・中小企業の場合、特定の商品・サービスについて、過去3年以内において1年でも、概ね10%以上の世界シェアを確保したことがある企業」となります。

24年10月 〇 ASI(Artificial Super Intelligence:人工超知能)

 ASIとは、人間の知能を超えた知的範囲を持つ、ソフトウェア・ベースの仮想的な人工知能システムのことです。 ASIは、自我意識、創造性、論理的思考など、人間の知的能力の全域を超越し、これまでにない革新的な解決策を提供する能力を持っています。

 ASIが実現されれば、科学的発見、技術革新、社会問題の解決など、あらゆる分野で人類の想像を超える成果をもたらすことが期待されます。ASIの登場は、人類の生活、社会構造、さらには人間の存在そのものに根本的な変化をもたらす可能性があります。

〇 第二の死の谷

 スタートアップ企業には乗り越えなければならない壁が存在し、日本には更に成長するためにもう一つの壁が存在します。

 最初の壁は、創業から成長のフェーズに移行する段階で製品・サービスの事業化に成功しても収益化の壁に直面します。その壁を「死の谷」と呼んでいます。この谷は万国共通に存在します。

 その後、上場に成功しても、株式市場の主要な資金の出し手である、機関投資家からの支援が得られず、成長が止まってしまう「第二の死の谷」が存在します。

 日本の機関投資家は、上場スタートアップに投資したがらない傾向があります。なぜなら、投資単位が大口となる機関投資家が時価総額の小さい小型株である上場スタートアップに投資しようすると、それだけで株価が大きく動いてしまい、売買しづらくなります。
また、赤字の上場スタートアップも多く、企業価値評価がしづらい状況があります。
それゆえに投資対象から外している状況が多く存在します。

24年9月 〇 AIエージェント

 AIエージェントは、センサーからのデータ入力やカメラからの映像入力などの環境と対話し、データを収集し、そのデータを使用して自己決定タスクを実行して、事前に決められた目標を達成するためのソフトウェアプログラムです。目標は人間が設定しますが、その目標を達成するために実行する必要がある最適なアクションは AIエージェントが独自に選択します。

 AIエージェントには、スケジュールの管理、チャットボットによるカスタマーサポート、ロボットによるタスクの自動化などがあります。

 似たような言葉に生成AIや生成エージェントがあります。
従来の対話型の生成AIはコンテンツ生成に焦点を当てのに対し、AIエージェントはこれに計画、記憶、振り返りの機能を追加してタスク実行に焦点を当てます。
また、生成AIは生成に特化するのに対し、生成エージェントはその生成AIを活用して自律的にコンテンツ生成タスクを遂行します。

〇 レジリエンス経営

 レジリエンス経営とは、事業において困難な状況に陥ったり、前例のない問題が起こったりしたときに、「諦めずに立ち向かって乗り越える力や方法」のことを指します。

 例えば、起業したあとに顧客が減ってきたり、材料などの調達先を失ったりすることがあります。そんな困難を抱えたときに、事業継続を諦めないためにはどうしたらよいかを考え、新しいアイデアを出したり他の方法を試してみたりと、状況に合わせてしなやかに対応することが大切です。これがレジリエンス経営の考え方です。

 そもそも「レジリエンス(Resilience)」とは、英語で「回復力」「しなやかさ」を意味します。形容詞のResilientは、逆境や不振などの状態から容易に回復するさまを表しています。

 レジリエンスは逆境や困難な状況に直面しても、物事を前向きに考えて自分や状況をポジティブに捉える能力、さらにはストレスや不安から回復して元の状態に戻る能力を指します。レジリエンスを高めると、困難な状況下でも自信を持って対処し、失敗や挫折を乗り越えて成長することができるとされます。

24年8月 〇 BPaaS(Business Process as a Service)

 BPaaS(ビーパース)とは、業務プロセスそのものをクラウド経由でアウトソースできるサービスのことで、ソフトウエアを提供するSaaS(サース)と、業務の外部委託であるBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を組み合わせたサービスのことです。

 自社の業務プロセスを外部企業に委託し、外部企業の知見やITツールの力を借りるサービスです。

 具体的には、経理・人事・顧客サポートなどの業務が対象となり、BPaaSを利用することで企業は、業務の効率化や柔軟的な対応、コスト削減を実現でき、労働生産性を向上させることが可能になります。

 BPaaSは、IT人材が乏しい中小企業でも導入しやすく、デジタル化を進めやすくなります。インボイス制度や定額減税の導入などで経理・労務の負担が高まる中、中小企業の人手不足解消につながる可能性があります。

〇 リテールメディア

 リテールメディアとは、小売(リテール)企業が保有する消費者の属性データや購買履歴など生活に則った顧客データ(ファーストパーティデータ)を活用して、広告やクーポンを効果的に配信する仕組みのことです。

 小売企業側は店舗での購買行動をより促進でき、メーカー(広告主)側は消費者ニーズに合致した商品の広告配信を介して収益を上げられ、小売企業側とメーカー側の双方にメリットが大きい仕組みです。

 米国企業が先行し小売り世界大手のウォルマートは成長事業に位置付けて力を注いでいます。国内勢ではイオンなどが参入し、新たな収益源として期待が高まっています。

 国内市場規模は2027年に9332億円と2023年の2.6倍に見込まれています。

24年7月 〇 AIアライメントとAIガバナンス

 AIアライメントとは、AIの目標を人間の意図や倫理原則に沿わせることを指します。
このアライメント(alignment)は本来「整合、整列、調整」といった意味で用いられます。
そして、AIの文脈では「人間の意図した目標に整合させる」といった意味で用いられます。
このAIアライメント分野自体は、2000年代前半から理論的または概念的に始まりましたが、深層学習ブームが始まった2014年頃から技術的にも本格的に取り組まれるようになりました。

 一方、AIガバナンスは人間社会の中でAIを上手く取り扱うための考え方のことを指します。
具体的には、AIを安全に運用するための法律制定や組織体制の構築といった行為のことを指します。

 したがって、AIアライメントはAI自体の枠組みであり、AIガバナンスはより大きな社会におけるAIへの枠組みとして捉えることができます。

〇 ナーチャリング(Nurturing)

 ナーチャリングとは、直訳すると「育成」を意味し、ビジネスでは「顧客育成」のことです。

 ナーチャリングは、顧客との継続的な関係を築くプロセスで、顧客満足度やロイヤリティ、利益などを高めるマーケティング活動の一部で、潜在的な顧客(リード)を購買の段階まで導くプロセスや、既存の顧客を継続的なリピーターとして育てるマーケティング戦略を指します。

 そのマーケティングの戦略の手法の1つとして「リードナーチャリング」があります。
「リード」の意味は「顧客」、「ナーチャリング」の意味は「育成」で、「リードナーチャリング」は、見込み顧客に対し中長期的なアプローチを仕掛けて育成し、将来的に購買・成約につなげる活動です。
リードナーチャリングはごく日常的に行なわれていることで、例えばある企業がWeb上で実施するプレゼントキャンペーンに応募したところ、以降その企業からメールマガジンが届くようになった経験などが該当します。

24年6月 〇 エッジAI

 インターネットに接続しなくてもスマホやパソコン、自動車などの端末側で動作する人工知能 (AI)のことです。

 文章の作成や要約といった高度な作業を担う生成AIは、ネット上のサーバーで運用するのが一般的でした。現状ではネットを通じて使う生成AIに比べ機能は限られますが、翻訳などの用途で導人が広がりつつあります。

 エッジAIは携帯電話の圏外などでも利用可能で、
 ①遅延がなく即座に処理できる
 ②個人データなどを扱う際のプライバシーやセキュリティー上の懸念を減らせる
 ③通信のコストを抑制できる
といった利点があります。

 世界市場は年平均3割のペースで拡大し2029年に1074億ドル(約兆円)に達するとの予測もあります。

 生成AIの急速な普及に伴ってデ ー タを処理するデータセンターの利用が拡大しており、データセンターでは電力消費の増加が懸念されています。エッジAIの活用が進むと処理が分散し、データセン
ターの電力消費が抑えられます。一方でスマホやパソコンの機能を充実させると端末価格の上昇などにつながる可能性があります。

〇 第二会社方式

 第二会社方式とは、過剰債務により財政状況の悪化した中小企業から収益性の高い優良な事業だけを別会社(第二会社)へ分離し事業再生を図るとともに、不採算事業・過剰債務が残された旧会社を特別清算してしまう事業再生手法の1つです。

 一方、許認可の再取得が必要になったり、移転や会社設立のコストが発生し、融資が難しくなり、スポンサーが見つからないなどのリスクが発生する可能性があります。
 また、ゾンビ企業の温床となる可能性もあります。

24年5月 〇 AGI(Artificial General Intelligence)

  AGIとは、人工汎用知能の略であり、人間のような汎用的な知能を持つ人工知能を指します。AGIは、さまざまなタスクに対して人間と同様の知識や能力を持ち、独自の学習や問題解決ができる能力を持っています。

 AGIの特長としては、汎用的な能力、学習能力、意思決定能力があります。
 汎用的な能力は、特定の領域に特化しているわけではなく、さまざまなタスクや問題に対応できる能力を持っており、多様な知識やスキルを駆使して活動することができます。

 学習能力は、AGIは経験から学習し新たな情報やデータを取り入れて自己進化することができるため、状況に応じた適切な対応や問題解決が可能です。

 意思決定能力は、AGIは独自の判断や意思決定を行うことができます。複雑な情報を分析し、最適な選択肢を選び出す能力を持っています。

〇 リバトリエーション(海外保有資金の国内還流)

 企業や個人などが海外で保有している資金を国内に戻す資金還流のことです。
もともとは人や物などの「本国への帰還」を意味する言葉で、略して「リバトリ」と呼ばれることが多かったです。資金還流が生じると大量の外貨売り・自国通貨買いが生じるため市場では自国通貨高要因として意識されています。

 2005年にブッシュ米政権は企業が国外利益を米国内に送金する際の税率を30%から5%程度まで引き下げる大幅減税を1年限りで実施しました。これによりドル高が進んだほか企業による株主還元拡大が意識され株価も上昇しました。2017年にはトランプ政権も減税を進めましたが、恒久的な措置だったことから駆け込みの還流は少なく、ドル高効果は乏しい状況となりました。

 2011年3月に発生した東日本大震災では保険会社が多額の保険金を支払ったり、企業が資金を確保したりするために海外で保有する外貨建て資産を国内に戻すという思惑が広がりました。震災直前に1ドル82円程度で推移していた円相場は10月に75円台と史上最高値をつけるなど大幅な円高が進みました。もっとも実際には保険会社や企業による資金還流はほとんど観測されませんでした。

24年4月 〇 マルチモーダルAI

  マルチモーダルAIは、異なる種類のデータ(映像、音声、テキストなど)を統合して処理するAI技術です。

この技術により、AIはより複雑なタスクをこなし、より正確な推論が可能になります。

 生成AIにも応用され、AIの進化において重要な役割を果たしています。将来的には、加速度や位置情報を取り入れることで、AIが自身の位置や周囲の環境を理解し、より高度なアシスタントロボットの開発につながる可能性があります。

 また、目線追跡技術の活用により、人間の注目点を理解することも可能になるでしょう。このように、マルチモーダルAIはAI技術の進化と応用範囲の拡大に貢献しています。

〇 フルホスティングモデル(Full Hosting Model)

 フルホスティングモデルはEC業界における新たなビジネスモデルのことです。

 そのホスティングとは、一般にサーバーやサーバーの一部を貸し出すサービスのことを「ホスティングサービス」と呼んでいます。

 ホスティングはインターネット上の店舗貸しをするamazonや楽天の様なインターネットショッピングモールなどのEC企業も意味し、フルホスティングモデルは今までの店舗貸しとは異なり、メーカーがEC企業に製品を納入するだけで、広告宣伝から物流、販売、苦情処理まで、すべてをホスティングEC企業が引き受け、世界中で販売する方式です。

 この方式により中国のEC企業であるTemuやSHEINなどの存在感が急速に高まってきました。

24年3月 〇 ドロップキャッチ(drop catch)

  ドロップキャッチとは、登録有効期限が切れたドメイン名を、再取得可能になったタイミングで第三者も含め取得することです。

 ドメイン名は基本的に早い者勝ちであり、同じドメインを重複して取得することはできないが、登録有効期限の切れたドメイン名は一定期間の経過後に再度取得できるようになっています。

たとえば、3文字程度の短い文字列や、魅力的な単語の文字列は、既にドメイン名として登録されている場合が非常に多いですが、ドロップキャッチによって取得できる可能性があります。

 失効したドメインであっても、以前の登録者がWebサイトを運営していたことで、多数のオーガニックリンク(検索エンジン最適化のSEOの一部であり、自然に生成されるウェブサイト間のリンク)を得ていたり、既に検索エンジンから一定の評価を得ていたりといたった、SEO的に有利な状況を当初から得ることができる場合があります。

 ドロップキャッチは、主に専門業者によって行われており、年々激しさを増し、 現在では高速回線を用意した登録を自動で試みるといった、 より高度な手法が用いられるようになってきています。

〇 JTC (Japanese Traditional Company)

 日本語のインターネットスラングとして用いられる「JTC」とは、伝統的な日本の大企業のことを意味ます。伝統的な日本の企業の悪しき風習や良くない文化、もしくは「ありがちなこと」に対して揶揄、冷笑、自虐する際に用いることが多いです。

 その特徴は、「長すぎる会議」「1 日中、社内向けの調整に奔走する」「責任回避に全力を尽くす文化」などなど多くありますが、 「会社でうまくやっていくためには、無駄で意味のない仕事にも一生懸命やっているというポーズを取らなければならない」という点が共通しています。

 顧客よりも、サービスよりも、製品よりも、会社内部のしきたりを最優先にして、非効率な仕事を無限に生み出してしまう大企業のことになります。

24年2月 〇 検索拡張生成(RAG:Retrieval Augmented Generation)

  RAGは、検索ベースと生成ベースの人工知能 (AI) モデルの両方の長所を組み合わせた、自然言語処理 (NLP) 技術です。

 RAGはユーザーが入力したプロンプトを基に、生成AIモデルが組織内データベースや外部データソースを検索して得られた情報をユーザーが入力したプロンプトと結合して生成AIモデルによって回答を返す仕組みです。

 生成AI(人工知能)を活用する際、ユーザーにとって大きな課題となるのがAIが間違った回答をするハルシネーション(幻覚)です。このハルシネーションを改善する手段として注目されている技術がRAGです。

〇 コモディティ・フロー法(コモ法)

 当該年における各商品の生産、輸出入、在庫増減等を把握して国内総供給側を推計し、これらの商品を流通段階ごとに消費、投資などの需要項目別に金額ベースで把握する方法を言います。

 これは日本の新国民経済計算体系 (新SNA) 推計の基幹的推計方法として採用されており,2178商品別に生産から各段階の需要の推計が行われています。
新SNAの中心となるのは国民所得勘定と産業連関表ですが、コモディティー・フロー法は国民所得勘定と産業連関をつなぐために必要な推計方法です。

24年1月 〇 人工汎用知能AGI(Artificial General Intelligence)

  AGIとは、人間のような汎用的な知能を持つ人工知能を指します。
AGIは、さまざまなタスクに対して人間と同様の知識や能力を持ち、独自の学習や問題解決ができる能力を持っています。

 AGIの特長としては、汎用的な能力(特定の領域への特化ではなく、さまざまなタスクや問題への対応能力)、学習能力(経験から学習し新たな情報やデータを取り入れて自己進化する能力)、意思決定能力(複雑な情報分析、最適な選択肢を選び出し、独自の判断や意思決定う能力)があります。

〇 インボイス制度

 インボイス制度とは、2023年10月1日から開始した消費税が10%と8%の複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式です。正式名称は「適格請求書等保存方式」です。
具体的には、インボイスは事業者ごとの登録番号や税率ごとの消費税額などを記載した請求書や納品書のことを指します。
仕入れ時に支払った消費税額を納税時の納税額から差し引くには仕入れ先からインボイスを受け取ることが求められます。

 インボイス登録の申請には、①国税電子申告・納税システム(e-Tax)の利用、②インボイス登録センター宛てに郵送、③納税地の税務署の窓口に提出の方法があります。 税務署の審査を経て付与された登録番号などを記載した通知書が事業者に届き、制度開始後も同じ方法で申請することができます。

 適格請求書発行事業者に登録できるのは消費税の課税事業者のみです。そのため、免税事業者が適格請求書発行事業者になる場合は、課税売上が1,000万円以下でも消費税の課税事業者となる必要があります。 この様に混乱しやすい内容ですので、不安を抱える免税事業者が多く存在します。
そこで、国税庁や中小企業庁は免税事業者を対象とした無料の相談会などを実施しています。

23年12月 〇 ハプティクス

  ハプティック(haptic)とは、「触覚の」「触覚による」といった意味のある英語の形容詞です。
 IT用語では、触れる感覚を通じた情報伝達の技術分野を形容する語として用いられています。
  ハプティックな技術やその研究分野は「ハプティクス」(ハプティックス)などと総称されます。
  例えば、スマートフォンやゲームコントローラーの振動機能は「haptic feedback」(触覚フィードバック)と呼ばれ、物理的な触感を通じてユーザーに情報を伝達します。

〇 ハイプサイクル

 ハイプサイクル(Hype Cycle)は、技術やイノベーションの成熟度を示すグラフィカルなモデルで、新興技術やトレンドが市場に導入される過程を表現するために使用されます。
 そそそも、ハイプ(Hype)の意味は「誇大宣伝」という意味で、技術等が急速に注目を集め、期待値が最高点に達した時期を意味しています。

 このモデルは、情報技術、ビジネス戦略、新興産業などの分野で広く利用されており、次のような主要な要素から成り立っています
 黎明期、過度の期待のピーク期、幻滅期、啓発期、生産性の安定期の5つのフェーズに分かれ、それぞれのフェーズの期待度の高さを曲線で表したモデルです。
 生成AIが登場した2023年、ガートナージャパンは「生成AIのハイプ・サイクル」を発表しています。
23年11月 〇 ブレインマシンインターフェース(BMI)

 BMI(Brain-machine Interface)はブレイン(人間の脳)とマシン(機械やコンピュータ)を直接的につなぐインターフェースの最先端技術です。
 脳波の検出や脳への刺激により人間の脳と機械を直結させるBMIは、革命的な技術として世界中で期待されています。

 一般的には、人の脳内から記録した神経活動によりロボットアームやコンピュータのカーソルなどを動かすことが狭義のBMIと言われています。BMIは脳を理解するニューロサイエンスの研究分野である解剖学や分子生物学、薬理学、生理学、行動学、情報科学がベースとなって進化しつつある技術です。

 BMIは大きな可能性を秘めている最新技術であり、脳とマシンとをつなぎ通信することは、将来的に一般化すると考えられています。

〇 ブラックフライデー・サイバーマンデー

 アメリカから始まったこのイベントで、アメリカでは11月の第4木曜日に感謝祭を開き、親族や友達と美味しい七面鳥を食べたり、フットボールを観たりして過ごすのが習慣です。そして、感謝祭の翌日の金曜日に多くのお店が最大のセールを行うのですが、これが「ブラックフライデー」です。

 そして、感謝祭のその次の月曜日がサイバーマンデーです。地元で家族や友達と過ごした人々が自宅に戻り、今度は職場や家からサイバー空間による買い物(オンラインでの買い物)をします。これに合わせたイベントがサイバーマンデーです。

23年10月 〇 ハイパーオートメーション

 RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAI(人工知能)など複数の技術を組み合わせ、ビジネスプロセス全体を自動化するためのアプローチのことです。
自動化により業務を効率化したり、生産性を向上させたり、人手によるミスを低減したりして、企業ビジネスの速度や正確性、効率性の向上に寄与することを目指します。

 現在、多くの企業がRPAを活用した業務の自動化を進めていますが、ハイパーオートメーションはRPAなど特定の技術だけでは実現できません。RPAやAI(人工知能)、プロセス・タスクマイニング、データ分析などの様々な技術を組み合わせる必要があります。

 またハイパーオートメーションは特定の部署や業務といった小さな範囲を自動化するものではなく、部門を越えたビジネスプロセス全体の自動化を目指します。そのため実現には、各部門や取引先までを巻き込んだ大規模な取り組みが重要になます。

〇 2024年問題

 2019年施行の働き方改革関連法で時間外労働時間の上限などが定められましたが、物流など一部業界では24年3月末まで猶予期間がもうけられていました。
同年4月以降はトラック運転手の時間外労働時間が年間960時間と制約が求められます。
物流業界は慢性的な人手不足が続いています。労働時間の上限が加わることで安定輸送がさらに困難になるとの懸念があることから「2024年問題」と呼ばれています。

   政府は2023年6月の関係閣僚会議で「物流革新に向けた政策パッケージ」も策定しました。ガイドラインでは、荷待ち・荷役作業を2時間以内とし、すでに達成している事業者は1時間以内を努力目標とするなどを示しました。
事業者間での共同配送により、積載効率向上に努めることも求めています。

 規制強化を受け野村総合研究所は25年に全国の荷物の28%、30年には35%が運べなくなるとの試算も示しています。こういった状況から、物流各社のほか、メーカなど幅広い業界で垣根を超えた物流改革が急務となっています。

23年9月 〇 ハルシネーション(Hallucination)

 ハルシネーションとは自然言語処理において、AIが事実に基づかない情報を生成する現象のことをいいます。
まるでAIが幻覚(=ハルシネーション)を見ているかのように、もっともらしいウソ(=事実とは異なる内容や、文脈と無関係な内容)を出力するため、このように呼ばれています。

OpenAIのChatGPTやGoogle Bardのような会話型AIサービスでは、ユーザーの質問に対してAIが回答しますが、どのようなデータに基づき回答されたのかが分からない場合、それが真実なのか嘘なのか、ユーザーが判断することは困難です。

ハルシネーションは、会話型AIサービスの信頼性に関わる問題であり、この問題を解消するために様々な研究が進められています。

〇 逆イールド

 証券用語で、短期金利が長期金利を上回り、イールドカーブ(利回り曲線)が右下がりの曲線となっている状態のことです。
市場関係者が将来的に金利が下がるとみている場合に起こる現象で、一般的に景気後退の兆候として捉えられます。

   この様な逆イールド状況が2023年に入り先進国で深まりつつあります。「G10」と呼ばれる主要10通貨のうち日本を除く9か国で債券の長短金利の逆転が発生する異例の事態となっています。インフレが長期化する中、6月22日に英国など複数の国が利上げに踏み切るなど、金融引き締めの流れは継続している状況で、景気の先行きに対する警戒感が一段と増している状況です。

23年8月 〇 SBOM

 SBOMは「Software Bill Of Materials」の略で、「ソフトウェア部品表」のことを指します。 SBOMはアプリケーションなどの製品に含まれるすべてのソフトウェアコンポーネント(部品)や、ライセンスなどをリスト化したもので、部品として使ったプログラムの名前やバージョン、著作権情報などを記載します。

それに加えて複雑に絡み合うサプライチェーンがあり、SBOMはそれらのセキュリティ・ライセンス・品質に関連するリスクを把握・管理するのに役立ちます。

 なお、経済産業省はサイバー攻撃対策で、SBOMの作成を促し、脆弱性が見つかっても浮き対応ができる様にする指針をまとめた。その背景には広く部品として活用されるプログラムを狙ったサプライチェーン攻撃の増加にあります。

〇 リーガルテック

 リーガルテックとは、法律と技術を組み合わせた言葉です。法律関連業務や手続きにIT技術を活用し、業務の効率化やコストカットの効果を狙うことができます。

 特にコロナ禍以降は、日本でも市場規模を拡大しているリーガルテック。電子契約に関するIT技術を始め、AIなどの自動化技術の導入により、企業・法律事務所などの業務を効率化・改善する効果があることが実証されています。

 企業法務向けに進むリーガルテックの例として、
①オンライン上で契約締結できる電子契約
②契約書の条項を点検し不利な点や抜け落ちを指摘するAI契約審査
③不正などの際に情報端末の電子データを解析するデジタルフォレンジック(電子警鑑識)などがありす。

 このほど法務省は企業間で交わす契約書のAI審査を容認しました。

23年7月 〇 SIMスワップ

 SIMスワップとは、サイバー犯罪者が他者のSIMカードの複製を入手することを指します。

そのために犯罪者は被害者のID、電話番号、フルネームなどの個人情報を手に入れる必要があり、それらの情報の入手にはフィッシングの手法が用いられます。 情報が手に入ったら、あとは被害者が契約している携帯電話会社に連絡し、被害者になりすますことで顧客サポートの担当者を騙し、被害者の電話番号をサイバー犯罪者が保有しているSIMカードへ移すよう仕向けます。その場合の口実の多くは、携帯電話が盗まれたか、失くしたため切り替えが必要になったというものです。

 SIMカードの複製を手に入れたサイバー犯罪者はそのカードを端末に挿入するだけで、通話記録やメッセージ履歴など、被害者のアカウント上の情報やデータすべてにアクセスできるようになります。その時点で、犯人はアカウントの支配権を完全に握り、被害者の銀行アプリにアクセスして別の口座へ資産を移動することも容易になります。その際には認証コードが必要になりますが、犯人は被害者の携帯回線にアクセスしているため、被害者宛てに送信されたコードをコピーして入力するだけで事は済みます。

 なお、警視庁は5月11日にSIMスワップの手口を使い、他人の口座から約200万円を出金したとして、無職の容疑者を電気計算機使用詐欺の疑いで逮捕したと発表しています。

〇 カスタマージャーニー

 顧客が商品やサービスを知り、購入・利用意向をもって実際に購入・利用するまでの行程のことです。また、利用後に利用の継続や再購入の意思決定をするまでに、顧客が辿る一連の体験をジャーニー(旅程)に例えたものです。

 この工程をマップ化することで顧客体験を効率的にマネジメントし、顧客とのタッチポイントを最適化するマーケティング施策が打てるようになります。

23年6月 〇 プロンプトエンジニアリング

 プロンプトエンジニアリングとは、AI に対して適切な質問や指示を与えることで、より望ましい結果を引き出す技術です。特に、ChatGPT のような自然言語処理を行う AI に対して、効果的なプロンプト設計を行うことで、意図通りの回答や文章生成が可能となります。

 効果的なプロンプトを設計するためのポイントは、①簡素な支持から始め、指示を複数回に分け要素を追加する。②事例を示すなど具体的で明確な指示を与える。③文章の形式や情報の範囲を指定する。④背景情報を提供する⑤「要約する」「翻訳する」など分かりやすく簡潔な言葉を使う。
などがあります。

 これらのポイントを踏まえて、効果的なプロンプトエンジニアリングを行うことによりAIを活用して業務効率を向上させることができ、ビジネスパーソンにとって大きなアドバンテージをもたらし、AI とのコミュニケーションを円滑にし、より高いパフォーマンスを引き出すことができるようになります。

〇 ステーブルコイン(Stablecoin)

 価格の安定性を実現するように設計された暗号資産(仮想通貨)のことで、証券用語です。 裏付け資産がないため価格変動が激しく、決済手段としての活用が進んでいない暗号資産の普及を促し、実用性を高めるために設計されました。

 価格を安定させる仕組みの違いから、ステーブルコインは主に4つの種類に分けられます。米ドルなどの法定通貨を担保にコインを発行し、その法定通貨との交換比率を固定する「法定通貨担保型」、特定の暗号資産を担保にコインを発行し、価格を連動させる「暗号資産担保型(仮想通貨担保型)」、金や原油などの商品(コモディティ)価格の値動きに連動させる「コモディティ型」、アルゴリズムによってコインの流通量を調整する「無担保型」があります。

 なお、米ドルや円など法定通貨を裏付け資産とするステーブルコインが日本で発行できるようになりました。ステーブルコインを電子決済手段と定義した改正資金決済法が6月1日に施行されたためです。モノの受け渡しと決済を同時に済ませられるほか、企業や個人の送金にも使えるようになります。

23年5月 〇 クロスリアリティ(XR:Cross Reality)

 XRとは、現実世界と仮想世界を融合する先端技術であるVR(Virtual Reality:仮想現実)やAR(Augmented Reality:拡張現実)・MR(Mixed Reality:複合現実)・SR(Substitutional Reality:代替現実)の総称です。読み方は「エックスアール」や「クロスリアリティ」とさまざまで、英語で「Cross Reality」と表記します。

 XRの概念が誕生した背景には、複数の先端技術を組み合わせたコンテンツが提供されるようになった技術革新が挙げられます。先端技術の垣根は徐々に取り払われており、「このコンテンツはVRなのか?それともARなのか?」とひとつの言葉に集約して表現することは難しくなってきています。そこで、先端技術を包含した概念として、XRが定義されるようになりました。

〇 ラボラトリーオートメーション

 人工知能(AI)やロボットを活用して研究や実験を自動化する取り組みのことです。 製造部門では加工や組み立てなどの工程を自動化するファクトリーオートメーション(FA)が20世紀に進展しましたが、薬や素材の研究開発は人間の経験や勘に頼り、手作業による実験も残ってきました。AIの技術革新や新型コロナウイルス禍を受け、研究の領域でもデジタル化が加速しつつあります。

 調査会社マーケッツアンドマーケッツによると「ラボオートメーション」の世界市場は年平均約6%のペースで拡大し、2028年に71億㌦(約1兆円)に達する見通しです。 新薬開発の難易度の高さなどを背景に、製薬業界などで導入が先行しています。研究者の作業を代替するロボットも登場しており、研究の高速化や実験の正確性の向上につながると期待を集めています。

23年4月 〇 ジェネレーティブAI(生成AI)

 ジェネレーティブAI(generative AI)とは、生成AIとも呼ばれ、扱うタスクは画像生成に限らず、文章生成、音楽生成、図面生成などを含めた「0から1を生み出すAI」のことを指します。

 生成AIによって市場が大きく変わると報告したガートナー社は、生成AIを「コンテンツやモノについてデータから学習し、それを使用して創造的かつ現実的な全く新しいアウトプットを生み出す機械学習手法(産総研訳)」と定義しています。

 生成AIは人間と違ってたった数秒から数分で1つのコンテンツを作り上げます。これは人間のクリエイターやエンジニアにとっては脅威であり、産業革命以降繰り返されてきた「機械に仕事が奪われる」という恐怖を身近に感じさせてくれるものとなりました。

〇 カスタマー・アドボカシー志向(Customer Advocacy Orientation:CAO)

 CAOは、企業が透明性を高め誠実に活動し、顧客との相互支援活動を行い共に知識を高め顧客にとって最高の製品を目指す戦略的な志向のことです。その結果、顧客との長期的な信頼関係を構築することになります。

 デジタル時代では、販売優先で顧客満足を重視しない企業が勝ち残るケースは徐々に減少し、目先の利益を追求して顧客志向を疎かにする企業は生き残ることが厳しくなります。

 この時代は、利益を求めれば求めるほど利益が得られない時代です。

23年3月 〇 ChatGPT

 ChatGPT はChat Generative Pretrained Transformerの略でOpenAIが開発した言語モデルである対話型AIチャットボットです。

 2022年11月に公開され、ユーザーの質問に対する精度の高い回答、あるいは一見それらしく見える誤答や自己訂正の対応例等が話題となり、全米ニュースでも大きく取り上げられました。 2023年2月には、公開から2か月でアクティブユーザーが推定1億人に達したと報道されています。

 ChatGPTは、大量のテキストデータを与えて、タスクを通して学習させる「大規模言語モデル(Large Language Model)」と呼ばれるAI技術を活用しています。利用されているエンジンGPT3.5は、インターネット上の膨大なデータを集積し、人間からの質問に的確に回答できるように処理することができます。 また、質問を通じてプログラミング言語によるソースコードを生成する、あるいはバグを修正する能力も備えています。

 なお、このチャットボットは、犯罪・危険につながる質問を制限していますが、セキュリティ研究者がこの制限をうまく回避することで、悪意ある機能を持つソースコードをAIに回答させることができると報じています。フィンランドのセキュリティー企業では、ChatGPTを悪用し説得力の高いフィッシング詐欺メールを作成できることを確認したとリポートしています。

 また、十分に学習できていない分野については間違った答えを事実のように回答したり、一見すると人間らしい回答であるため誤りに気がつきにくいといった課題もあります。現状は技術の黎明期であり様々な欠点がありますが、能力が桁違いに向上していることを鑑みれば、これらの欠点は修正していけば良いとの意見もあります。

〇 ハイプ・サイクル(ハイプ曲線:hype cycle)

 ハイプサイクルとは、主にIT関連で話題となる新技術がの認知度や期待度が、時間経過と共にどのように変化していくかを表した図のことです。

 調査会社ガートナーによって考案された。 ハイプサイクルにおいて、認知度の推移は、大きく分けて「黎明期」「流行期」「幻滅期」「回復期」「安定期」の5段階に分けられます。

 「流行期」の中で期待度が最高潮に達した段階は、特に「過度な期待のピーク」(Peak of Inflated Expectations)と呼ばれます。

 ハイプサイクルの典型的な流れは、まず、新技術の登場時は盛んに紹介され(黎明期)、その可能性や将来性がもではやされます(流行期)。 やがて、空騒ぎの状態に陥った過度の期待は逆に幻滅を招き、期待度の急落します(幻滅期)。 その後、生産性が安定していくに伴い、期待度も緩やかに上昇していき(回復期)、市場の成熟を迎えていきます(安定期)。

23年2月 〇 プロセスマイニング

 プロセスマイニング (Process Mining) とは、企業内の業務のログを収集・分析(イベントログを可視化)し、課題となる箇所の特定を行い可視化するもので、業務改善や生産性の向上に活用するための分析手法で、ビジネス全体の設計を見直す際に使われる手法です。

 多くの企業ではデジタル化が進んでいるため、業務に使用するグループウェアやソフトウェアなどで操作した内容はログとして取得することが可能です。イベントログの可視化とは、これらのログを収集し、操作ログをイベントとして分析し、「プロセスモデル」としてフローチャートのような形で可視化することをいいます。

〇 特別目的事業体(SPE)

 証券化やプロジェクト・ファイナンスを目的とする事業のことで、特別目的事業体やSPE(Special Purpose Entity)とも呼ばれます。

 SPEは、法人格を有する特別目的会社(Special Purpose Company:SPC)や投資法人のような特別の法律にもとづく事業体のほか、株式会社、合同会社、任意組合、匿名組合など、その形態はさまざまです。信託もその一つと考えられます。

 また、資産(不動産や貸付債権)を保有、運用し、収益を得て、それを投資家に配分する役割を果たし、投資収益を投資家に運搬するというイメージから「ビークル(SPV(Special Purpose Vehicle)」といわれることもあります。

23年1月 〇 VDI(Virtual Desktop Infrastructure)

 VDIはデスクトップ仮想化と呼ばれ、サーバ上にあるデスクトップ環境を遠隔地にある端末に転送して利用することです。

仮想化とは、ソフトウェアを用いてハードウェア(デスクトップ)上の仮想環境で動作させることです。

端末では最小限の処理を行い、ほとんどの処理をサーバ側で行うシステム構成をシンクライアントといい、実現するのがVDIです。ちなみに、シンクライアントの実行方法はネットワークブート型と画像転送型があり、VDIは画像転送型の一種です。

利用者の作業は、自身の端末ではなくサーバ上で実行され、データもサーバに保存されます。そのため、利用者の端末には、データが保存されないため情報漏えいのリスクが低減します。

〇 ポップアップストア

 「ポップアップストア」とは、数日~数週間程度の、比較的短い期間限定で開設されるショップのことです。

「ポップアップ(Pop up)」は、英語で「突然現れる」といった意味を持ちます。
その名の通り、いきなり出店してすぐに消えてしまうのが特徴で、海外では空き地などの何もない場所に1から店舗を立て、期間が終わると取り壊してしまうこともあるそうです。

また、催事に出店する期間限定のお店とは異なり、イベント性が重視される傾向にあるのがポップアップストアの特徴のひとつです。そのため、実施する企業や企画ごとの個性が表れやすい傾向にあります。

22年12月 〇 秘密計算

 秘密計算とは「データを暗号化したまま計算するプライバシー保護技術」です。

 秘密計算では、データを保持する側がデータを暗号化した上で、分析・計算する側へ渡します。分析の過程では、暗号化が一度も解かれることなく、データの中身が分からない状態で計算され、計算結果のみが出力されます。

 従来、暗号化して保存しているデータも分析の際は必ず復号する必要がありましたが、秘密計算を活用すれば復号せず分析することができ、よりセキュリティレベルが向上します。

 秘密計算によって、これまでなかなか進まなかった企業間でのデータ流通・活用が促進されることが予想されます。

〇 パーセプション(Perception)

 パーセプションとは、「認識」「認知」「知覚」という意味で訳される言葉で、存在や名前を知っていることの「認知」を超えて、そのものがどのような価値があるか、どんな存在であるかを知って覚えている「知覚」している状態のことを指します。

マーケティングにおいては、人が商品や企業に抱く認識のことを指し、消費者の顧客行動を左右する非常に重要な要因となっています。

 「認知度は高いのに売れない」 、「広告宣伝費を多く使っているのに売れない」などが良くあります。これは製品・広告に対する売り手と買い手の認識の違いであり、これをパーセプション・ギャップ (perception gap) といいます。

 また、消費者の中ですでに形成された自社の商品やサービス、ブランド、企業に対するパーセプションを変化させ、理解や購入を促すことを、「パーセプションチェンジ(認識転換)」といいます。

22年11月 〇 ソブリンクラウド(Sovereign Cloud)

 ソブリンクラウドとは「セキュリティ」「コンプライアンス」「データ主権」が各国の法律や規則に則ることを保証したクラウドサービスです。

 クラウド上のデータは国外で利用されることはなく、各国の司法権の範囲内で保存・処理されます。また定期的な監査によって、データが変化し続けるセキュリティ基準に準拠していることを保証します。

 日本や欧州では経済安全保障上の懸念からソブリンクラウドの考え方を推進する動きが出ています。
〇 システミックリスク

 個別の金融機関の支払い不能や一部の市場の決済取引システムの目詰まりが網の目のように相互に結ばれている他の金融機関や他の市場に連鎖し、金融システム全体が機能不全に陥るリスクのことです。

 金融機関が決済不能に陥ると利用している企業や個人の決済もできなくなり、実体経済に重大な影響を及ぼします。日本では1997年に三洋証券が経営破綻し、金融機関が資金をやりとりする短期金融市場でデフォルト(債務不履行)が起きました。資金の出し手が減り、北海道拓殖銀行や山一証券、日本長期信用銀行と大型破綻につながっていきました。

 信用不安の連鎖を止めるためには、国が救済合併などで金融機関の破綻処理に関与したり、金融機関に資金注入したりする手法が一般的ですが、通常時から資産査定などを通じて金融機関の健全性を確認することなども重要とされます。

22年10月 〇 サイバー攻撃

 情報端末やネットワーク上を経由して弱点を突き、情報の漏洩や改ざん、機器の動作異常などを引き起こす起こす攻撃のことです。標的のパスワードを盗みシステムに侵入する不正アクセスや、メールでマルウエア(悪意のあるプログラム)を送りつけて感染させるなど手口は幅広いです。

 警察庁が2021年に検知したサイバー攻撃とみられる不審なアクセスは1日あたり7335件にのぼり、2016年(1692件)から4.3倍に増えました。とりわけ「IoT」を主に狙うアクセスは21年に8割近くを占め、ウェブサイトなどを狙ったアクセスを大きく上回っています。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)で製造現場のIoT機器が増えて外部のネットワークとつながり、攻撃の標的となりやすくなっています。本社のITシステムに比べて防衛意識が低いことも多く、対策の見直しが求められています。

〇 トークンエコノミー

 トークンは、プログラミングコード上でコードを構成する最小単位の要素であり、変数名、予約語、演算子、定数などが該当します。 トークンが持つ「意味を持つ最小単位、証拠」という意味を起点に、近年は複数の意味を持つ多義語となりました。

 その代表例が、ブロックチェーン技術を利用して発行された暗号資産などのデータです。 そのトークンは、「他の価値と交換できるもの」であり、暗号資産(クリプト:Crypto)をはじめアマゾンポイント、楽天スーパーポイント、商品券などもトークンの一種です。

 このトークンを発行して、独自の経済圏を新たにつくろうというのがトークンエコノミーです。一般的には、商品やサービスを購入する際、円やドルなどの法定通貨を決済に利用します。給与や報酬も、トークンの経済圏(エコノミー)です。

 トークンエコノミーでは、商品やサービスを提供する事業者が独自のトークンを発行することができます。 その独自トークンを利用する人が増えれば、トークンに新しい経済的価値が発生したことになり、トークン価値は、需要によって決まるという仕組みになります。 発行枚数(供給)が限定されている暗号資産(クリプト)などのトークンであれば、需要が高まるほどその価値は上昇します。

22年9月 〇 オープンRAN

 オープンRAN(O-RAN)とは、携帯電話基地局の設備を構築する際の考え方のひとつで、オープンインタフェース仕様に基づいて構築し、機能を分離したRAN(無線アクセスネットワーク)のことです。

 オープンRANで定められた共通規格に基づいた装置であれば、基地局設備のアンテナ部分、無線装置、ベースバンド装置のベンダーを統一する必要がなく、さまざまなベンダーの機器を柔軟に組み合わせることが可能になります。

 なお、O-RANとは、Open RANの中でも特に、業界団体「O-RAN Alliance」の活動、もしくは同団体で策定された仕様を指します。

〇 エコーチェンバー(Echo chamber)現象

 エコーチェンバー現象とは、自分と同じ意見があらゆる方向から返ってくる「反響室」のような狭いコミュニティで、同じような意見を見聞きし続けることによって、自分の意見が増幅・強化されることを指します。
ツイッターなどのSNSや、インターネット掲示板など「同じ趣味・思想の人とつながることができる」場で起こりやすい現象です。


22年8月 〇 差分プライバシー(Differential privacy)

 差分プライバシーとは、個人データが識別されないようにしながら大規模なデータセット(一定の形式に整えられたデータの集合)から学習できるようにするアプローチです。

 また、複数のデータを組み合わせて個人情報を特定するリンケージ攻撃がります。 これは、ターゲット情報(個人情報など)以外の情報を公開された情報と組み合わせターゲット情報を特定する方法です。

 差分プライバー技術は、このリンケージ攻撃に有効な対策とされています。
ただ、これだけでは完全ではなく、匿名化や暗号化等の技術、秘密計算や連合学習等の技術などを組み合わせることが大切です。

〇 インボイス制度

 インボイス制度とは「適格請求書保存方式」のことをいいます。所定の記載要件を満たした請求書などが「適格請求書(インボイス)」です。インボイスの発行または保存により、消費税の仕入額控除を受けることが可能です。

 インボイス制度は売り手側、買い手側双方に適用されます。売り手側は、取引相手(買い手)から求められたときには、インボイスを交付しなければなりません。買い手側は、原則として取引相手(売り手)から交付を受けたインボイスの保存が必要となります。

 インボイス制度は2023年10月1日からスタートします。それまでに、売り手側は「適格請求書発行事業者」になっていなければなりません。適格請求書発行事業者でなければ、インボイスを発行できないからです。 登録申請書の提出は、2021年10月1日以降で、既に開始されておりe-Taxで申請が可能となっています。

22年7月 〇 エモテット

 エモテットは2014年に存在が確認されたコンピューターウイルスです。  ワードやエクセルなどメールの添付ファイルに潜み従来型の対策ソフトでは検知しづらいウィルスです。 受信者が添付ファイルを開封し、「コンテンツの有効化」「編集を有効にする」といった動作を実行すると感染します。

 このウィルスは端末内の情報を基にメールを自動で周囲に広げ、データなどを盗み出すのが特徴で、世界中で170万台以上の端末が感染したとされています。

 また、このウィルスはランサムウェア(身代金要求型ウイルス)など別のウイルスを招き入れ、被害を甚大化させるタイプもあります。米国やド イツで行政システムを停止させ、日本でもNTT西日本や日本医師会、首都大学東京(現東京都立大学)などで感染が確認されています。

〇 エンゲージメント(engagement)

 エンゲージメントは、「婚約、誓約、約束、契約」を意味する言葉です。ここから派生して、人事領域におけるエンゲージメントでは「個人と組織の成長の方向性が連動していて、互いに貢献し合える関係」という意味合いで使われています。 大きく分けて、社員と会社が信頼して貢献し合う状態を示す「従業員エングージメント」と、仕事にやりがいや熱意を持ち生き生きとしている状態を示す「ワークエングージメント」の2つがあります。 生産性改善や社員の離職防止などにつながるとして、重視する企業が増えています。

 自社のエンゲージメントの水準を測定する企業も多いです。人材関連のアトラエが提供する測定サービス「Wevox」の導入企業は2200社超と、2019年9月末比で2倍になっています。数値化により組織が抱える課題を客観的に把握できるようにし、改善につなげ様としています。

 投資家がエンゲージメントを非財務情報として活用する動きも進んでいます。リンクアンドモチベーションが3月にまとめた機関投資家に対する調査では、企業の開示が必要だと考える人的資本(複数回答)に「組織文化(エンゲージメント)」を挙げたのが41%と、10項目中4番目に多かったです。企業側でもエンゲージメントのスコアや指標を開示する動きが出ています。

22年6月 〇 コンティ(Conti)

 ロシア系ランサムウェア集団のことです。この組織は、ロシアによるウクライナ侵攻に絡んで話題になりました。その話題は、2022年5月16日新聞に「世界最大級サイバー攻撃集団 『身代金』で100億円奪取」と「まるで会社、渉外・調査部も 仮想組織でサイバー攻撃」という2本立ての特集記事を掲載されました。日本でも増えているランサムウェア(身代金要求型ウイルス)攻撃を行ってきた犯罪組織についてまとめた記事です。

 簡単な経緯は、ロシアがウクライナに侵攻を始めた翌日の2月25日、Contiはロシアのウクライナ侵攻を支持すると宣言しました。しかし、数日後にウクライナの研究者と名乗る人物が「conti leaks」というツイッターアカウント(@ContiLeaks)を立ち上げ、そのロシア支持の宣言に反対する形で、Contiの組織内部のやりとり(チャットの会話など)を大量に暴露し始めました。そこには2月27日までの最近のやりとりも含まれていました。

 これまでこうしたランサムウェア攻撃を行う犯罪集団の内部の生々しいやりとりが明らかになったことはありませんでした。それだけに非常に重要な資料となるので、いくつもの世界的なセキュリティ企業で分析が行われています。
Contiの実態を知ることは、日本の政府機関や民間企業、団体などが今後のランサムウェア攻撃に対峙(たいじ)していく上で価値があります。
〇 オープンデータ

 誰でも自由に利用できる公開データのことです。総務省は複製や加工による二次利用が可能で、無償公開されているといった一定の条件を満たしたものをオープンデータとしています。 一般の人々が自由にデータを活用できるようにして、課題解決や新しいビジネスの創出などに役立てる狙いがあります。米国や欧州を中心に2000年代から政府や企業の持つ情報のオープンデ―夕化が進みました。

 日本では2012年に「電子行政オープンデータ戦略」を掲げてから取り組みが本格化しました。政府のオープンデータサイトは人口や気象など各省庁のデータを横断的にまとめています。
2018年までにすべての都道府県がオープンデータの公開を始め、市区町村でも1000を超える自治体がデー夕を公開しています。ただ公開するデータの量が少なかったり、公開
していても更新が遅いといったケ―スも目立ちます。

22年5月 〇 メタバース ( Metaverse)

 メタバースは「メタ(高次元の)」と「ユニバース(宇宙)」を組み合わせた造語でコンピュータやコンピュータネットワークの中に構
築された現実世界とは異なる3次元の仮想空間やそのサービスのことを指します。

 利用者はオンライン上に構築された3次元CG空間に世界中から思い思いのアバターと呼ばれる分身で参加し、相互にコミュニケーションし
ながら買い物やサービス内での商品の制作・販売といった経済活動を行なったり、そこをもう一つの「現実」として新たな生活を送ったり
することが想定されています。
〇 敵対的買収とポイズンピル

 敵対的買収とは、買収企業が買収対象企業を実質的に支配することなどを目的として、当事者(支配される立場の企業や株主など)の合
意を得ないまま、買収対象企業の株式の多くを買い集めることをいいます。2022年春、テスラCEOマスク氏によるツイッター社の敵対的買収
が話題となっています。ツイッター社は取締役会でポイズンピルと呼ばれる買収防衛策を導入したと発表しています。

 買収防衛策には一般的に20種類ほどあり、買収が仕掛けられる前に自社で行える予防策と買収を仕掛けられたときに自社で行える防衛策
と買収を仕掛けられたときに第三者に頼る防衛策などがあり、ツイッター社が導入した策は、買収が仕掛けられる前に自社で行う予防策で
あるポイズンピルです。
 ポイズンピルは、有利な条件で株式を追加購入できる権利を敵対的買収者以外の株主に与えるなどの仕組みで、買収を仕掛けられた際の
予防策として発動し、全体の株式数を増やすことで買収者の議決権比率を下げ、買収を困難にする方法です。「食べたら毒(ポイズン)が回
る薬(ピル)」という例えから、このように呼ばれるようになりました。

 M&A(合併・買収)が盛んな米国で生まれ、1980年代か一ら急速に普及したといわれています。法制度が違う日本でも似た手法が可能で、
2005年に当時のライブドアに買収を仕掛けられたニッポン放送が買収防衛策として使おうとしたことなどをきっかけに注目を集めました。

 買収防衛策として強力な効果が見込まれる一方、既存株主にとっては株式の価値が低下したり、経営者が保身を目的に乱用したりする負
の側面も懸念されます。そのため防衛側の企業が発動したポイズンピルに対し、買収者側が「無効だ」と裁判に訴えることもあります。裁
判所は、その敵対的買収が企業の経営や効率性に脅威だとする合理的な根拠があるかなどの基準でポイズンピルの発動が正当かどうかを判
断します。

ツイッター社については、結局、ポイズンピルでの株式売買先が見つからずマスク氏からの買収を受け入れることになりました。

22年4月 〇 ハプティクス(haptics)

 ハプティクスとは、仮想モデルによって利用者に力、振動、動きなどを与えることで皮膚感覚フィードバックを得る技術です。触覚技術(haptic technology)とも言われています。
ハプティクスは、ギリシャ語における「触覚について」の意味である(haptikos)が由来となります。

 触覚を再現させる方法として大きく分けて2つあり、触覚に直接刺激を与える方法の他に、クロスモーダル知覚といわれる、触覚だけではなく複数の感覚(視覚・力覚など)を組み合わせて触覚を再現させる方法があります。
〇 PFI

 PFIとはPrivate Finance lnitiativeのことで、民間資金を活用した社会資本整備を指します。公共施設の整備や運営を民間セクターに委ね、その資金やノウハウを活用する手法です。
従来は国や地方公共団体などが担っていた公共事業を、民間が主導権を持って維持管理まで一貫して行い、より効率的で良質な公共サービスの提供を目指します。

 PFI方式は1990年代に「小さな政府」を標榜した英国で財政改革の一環として導入されました。日本でも99年にいわゆるPFI法が制定され、導入が広がりました。
公園や上水道などの整備のほか、関西国際空港や伊丹空港の運営権売却もPFIを活用したもののひとつです。
22年3月 〇 サイバー攻撃

 パソコンやサーバーのネットワークを経由してシステムや機器に対し、データの搾取、改ざん、システムの動作異常や破壊等の攻撃の総称です。関係者を装ったメールにコンピューターウイルス(マルウェア:悪意あるソフトウェアの総称)を仕込んだファイルを添付して開封させたり、機器やソフトのセキュリティー面の「脆弱性」を利用して不正アクセスするなど、様々な手法があります。攻撃の対象は無差別から、特定の企業をターゲットにイメージ毀損など明確な目的を持つものまで、多岐にわたります。

 マルウェアの中にはシステムを停止させて解除と引き換えに金銭を要求する「ランサムウエア」があり、また、窃取した機密情報を転売するといった利益目的の攻撃があります。最近は工場やインフラ運営を担う制御システムに被害を与える攻撃が拡大しており、国家の関与も疑われています。

米国では2021年に石油パイプラインや水道施設にサイバー攻撃された事例があり、政府は情報通信や電力など14分野の重要インフラ事業者に対しサイバー攻撃への備えを義務付ける重要インフラ行動計画を抜本改定し2022年度から適用する方針です。
〇 パテントプール

 特許権を持つ複数の企業が、それぞれの特許を持ち寄って共同管理する団体のことです。特許技術を使いたい企業とのライセンス交渉などを一括して進めます。
標準規格を満たす製品をつくるのに必須となる標準必須特許(SEP)に関して設置されることが多いです。通信特許を扱うアバンシはその代表格で、米国に拠点を置いて通信や電機の大手が参加しています。日本企業ではNTT,ソニーグループ、パナソニック、シャープなどが加わっています。

 インターネットに常時接続する「コネクテッドカー(つながる車)」などが注目される自動車業界だけでなく、家全体がネットにつながる「スマートハウス」など、あらゆる産業で通信技術が重要になっています。同業種間の特許交渉では、お互いが持つ特許の利用を認め合う「クロスライセンス」が多い状況でしたが、異業種間では成立しにくい状況です。特許料の相場観の違いなども課題で、パテントプールにはそうした異業種間の特許交渉を円滑にする役割も期待されています。コネクテッドカーについては、トヨタ、ホンダなど3社に特許料の支払いを求めています。

 外部から買い集めた特許を使って他社を訴える「パテント・トロール(特許の怪物)」と呼ばれる企業もあります。パテント・トロールは和解金などでの利益獲得がもっぱらの目的で、パテントプールとは全く別の性質のものとみなされています。

22年2月 〇 スミッシング

 通販サイトなどを装って、SMSをスマホに送り付け、偽サイトに誘導するフィッシング詐欺のことで、SMSとフィッシングを掛け合わせた造語です。

 具体的には「お荷物をお届けにあがりましたが、不在の為持ち帰りました。ご確認ください」というメッセージをSMSに送り付け、そこに書かれている偽サイトのURLをクリックさせ、認証情報やカード番号を搾取し、被害者になりすまし不正利用や不正送金に悪用する攻撃です。とりわけ深刻化しているのは、マルウェア(悪意のあるプログラムの総称)を感染させ端末内の情報搾取や保存されている電話番号宛てにSMSを送信し、さらに被害を拡散させているケースです。
 その他、通販業者からの支払方法の変更や通信業者からの本人確認依頼などの文面を装いIDやパスワードを搾取するケースもあります。近年では、特別定額給付金の申請や自治体からのワクチン接種案内を装い受け手に信じ込ませる内容など巧妙になっています。


〇 カーボンネガティブとDAC(Direct Air Capture)

 カーボンネガティブとは、日々発生するCO2をマイナスにすることです。
しかし、再生可能エネルギーや省エネではCO2の発生はマイナスにはできません。マイナスにするためには空気中に排出されたCO2を回収することが求められます。その回収技術がDACです。
DACは主にファンで空気を取り込み、噴霧したアミン溶液やアミン入りフィルターなどでCO2を集める方法で、加熱などでCO2を取り出し貯蔵したりプラスチックの原料などに変換したりする方法です。

 外部から買い集めた特許を使って他社を訴える「パテント・トロール(特許の怪物)」と呼ばれる企業もあります。パテント・トロールは和解金などでの利益獲得がもっぱらの目的で、パテントプールとは全く別の性質のものとみなされています。
22年1月 〇 Web3.0

 web3.0とは、ブロックチェーン技術によって実現される分散型のWebです。
1995年からの一方向性のホームページ世代であるWeb1.0、2005年からの双方向性、データ独占型(中央集権型)であるSNS世代のWeb2.0、今後期待されている分散型ネットワーク(Decentralized Web)、P2Pを特徴とするブロックチェーン世代がWeb3.0です。

 分散型ネットワークの大きなメリットは、ユーザー自身がデータの所有権を持ち、かつデータの利用をコントロールできるようになることです。これは、個人情報などの膨大なデータが大企業や一部の機関に集中・独占されている中央集権的のWeb2.0で起こっている問題を解決し、誰でも相互閲覧・検証が可能なクリーンなネットワークが構築されることを意味しています。
〇アフィリエイト広告

アフィリエイト広告とはWeb広告の一つです。
Webサイト・ブログサイト・各SNSなどの一部のスペースに広告を掲載して、そのページの訪問者に会社や商品をアピールする仕組みで、一般的にユーザーがそのサイト等を通じて商品を購入すると、Webサイトやブログサイトの運営者に報酬を支払う成果報酬型となっている場合が多いです。

 報酬は掲載期間などによってを受け取る形式の広告とは異なり、「アフィリエイター」と呼ばれる広告の制作者が広告を通じた消費者の購買行動などの成果に沿って対価を得る仕組みです。

 消費者庁の資料によると、正確な数は不明なものの、1万1000程度の広告主がアフィリエイト広告を利用し、サイト数は600万ほどにのぼるとされます。成果報酬や手数料を合算した市場規模は3000億円超に達するといわれています。
21年12月 〇 アドフラウド

 「Ad:Advertisement」=広告、「Fraud」=詐欺を意味します。
アドフラウドとは、無効なインプレッション(広告が表示された回数)やクリックによって広告費用に対する成約件数や効果を不正に水増しする不正な広告のことです。別名、広告詐欺や広告不正とも言われています。

 アドフラウドには様々なタイプがあり、例えばプログラムを悪用した手法やユーザー行動に合わせて自動リロード(再読込)を引き起こす仕組みを仕込んでいるもの、システムの脆弱性をついたものなどが存在します。もちろん、各広告配信プラットフォームは対策を進めてはいますが、新しい手法が生み出されており根絶するのは難しいのが実情です。
〇 人権デューデリジェンス

 デューデリジェンスとは、企業資産価値などを適正に査定、評価する業務のことを意味し、人権デューデリジェンスは、企業が事業活動に伴う人権侵害への対応や予防策を講じる仕組みのことを意味します。

 自社内や直接取引先だけでなく、2次以降のサプライヤーを含め間接取引などサプライチェーン全体での対応が求められます。

 人権侵害の例として、児童労働、強制労働、低賃金やハラスメントの問題などが挙げられます。
21年11月 〇STEM

 ハイテク分野の研究開発に欠かせない教育分野として、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の頭文字を取り「STEM」と呼びます。アート(Art)とロボティクス(Robotics)を加え「STREAM」と呼ぶこともあります。

 2000年代半ばから米国などで広がり、米国ではオバマ政権で教育政策として本格導入されました。小中学校に3Dプリンターを設置し、生徒が自由に造形できる環境を整備しました。プログラミングやCGによるデザイン教育などを職業訓練につながる実践的カリキュラムを導入する高校もあります。

 日本では、DXの推進に不可欠な先端IT人材の育成が遅れており、2030年には27万人不足する見通しです。その様な中、このSTEM分野の卒業者数は米国の10分の1にとどまっており、今後人材投資を積極化する必要があります。
〇 東証プライム

 2022年4月に東京証券取引所の市場が再編されて誕生し、実質的な最上位の区分のことです。 現在の東証は1部、2部、マザーズ、ジャスダックと分かれていますが、プライムのほかに「スタンダード」と「グロース」という 区分に整理され、市場は3区分となります。 プライムは現在の東証1部とは区分に入るための条件は異なり、現在の1部上場企業がすべて新たな最上位区分に入るとは限りません。既に現状でどの新区分の基準に適合しているかは企業に通知されています。2021年9~12月の間に、企業はどの区分にするかを選び、これを受けて22年1月に新区分の選択結果が公表される予定となっています。

調査の方法 瀧俊雄氏の協力を受け、 日本経済新聞に複数回登場 めて幅広い年代が意味合いを理解しておきたい金融用語を24個 会員を対象に8月中旬、 「わかる」 「曖昧」 「わからない」 の3つ 実施。 20代から90代まで1067人から回答を得た。
21年10月 〇 ノーコード(NoCode)開発

 プラグラム言語の知識がなくてもソフトウェアやアプリが開発できるツールのことです。

 例えば、Webサービスを開発する際、従来必須であったプログラミング言語によるソースコードを、パーツとしてビジュアル化しておきます。欲しいパーツを置きたい箇所に配置していくことで、Webアプリを開発することができるようになります。


 ソースコードの記述が必要ないため、「誰でも簡単にWebサービス開発ができる」として注目を集めています。
〇 リスキリング

 リスキリングとは、新しい職業に就くため、あるいは今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、主には企業が従業員に必要なスキルを獲得させることです。

21年9月 〇 量子超越性

 量子コンピュータにおいて最先端のスーパーコンピュータの能力を上回ることです。
 量子超越した量子コンピューターには気候変動問題の解決や創薬の幅広い分野への応用が見込まれています。
〇 オルタナティブデータビジネス

 オルタナティブデータとは、政府や企業が公式に発表する統計データや決算データとは異なり、IoT機器や衛星画像、SNSなどから得られる「非伝統的なデータ」を指さします。
もともと、オルタナティブデータとは経済分析や投資判断などで伝統的に用いられてきた決算開示や一般的な公開情報・公的統計以外のデータの総称のことで、海外を中心に機関投資家などの投資判断で活用が進んできました。

 オルタナティブデータビジネスは、人工知能(AI)や機械学習(ML)の活用が注目される中、新たなタイプのデータビジネスとして脚光を浴びてきました。
21年8月 〇NOTICE(National Operation Towards IoT Clean Environment)

 NOTICEは、総務省、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)及びインターネットプロバイダが連携し、IoT機器の安全管理を促す取組です。

 NICTが自動プログラムでIoT機器に対する調査を実施し、サイバー攻撃に悪用される恐れのある機器が見つかった場合は、プロバイダー経由で注意を喚起します。
そして注意喚起を受けた利用者が、注意喚起内容などに従って、適切なセキュリティ対策を行うことになります。
〇フリーキャッシュフロー ( FCF)

 本業で稼いだ資金から設備投資などで使った資金を差し引いて手元に残った資金のことです。日本語では「純現金収支」と呼びます。キャッシュフロー(CF)は利益と異なり、実際の資金の動きだけに着目しています。

CFは3つの要素からなります。営業CFは本業で稼いだ現金を示し、投資や株式還元の原資となります。設備投資やM&A(合併・買収)などに使った資金の出入りを示すのが投資CFで、営業CFと投資CFの合計がFCFとなります。

配当や自社株買いなど株主還元や借入金での調達・返済などが財務CFとなります。FCFがマイナスの場合、現金の量を維持するためには借り入れや株式発行によって外部から資金を調達する必要があります。

上場企業の5割超は営業CFがプラスで投資CFと財務CFのマイナスを賄っています。 営業CFと投資CFがともにマイナスで、財務CFがプラスとなっている企業は1割弱にとどまります。


21年'7月 〇チーム ビューア(TeamViewer)

 外部のパソコンを自分のパソコンから遠隔操作することができるソフトのことで、初めて使う人でも専門の知識がなくても使えるリモートデスクトップツールです。
 操作する側と操作される側の両方でTeamViewerがインストールされていれば遠隔操作が可能となります。操作するだけではなくて、チャット機能やボイスチャット機能があります。話しながら遠隔操作をすることも可能となります。

ただ、TeamViewerを悪用して、不正なログインが行われ、PayPalやオンラインバンキングのアカウントを窃取する事例が多数報告されています。また、米国フロリダ州で2021年2月に浄水施設がハッキングされました。これは、管理システムのディスクトップ画面をTeamViewerによって外部から共有状態にされ、有害の化学物質の濃度がコントロールされた事例です。

〇 EDLP(イーディーエルピー)

 EDLPは、Everyday Low Price の略で、特売期間を設けず、各商品を年間を通じて同じ低価格で販売する価格戦略のことです。これに対し、特売により価格を変動させ、集客を図る手法は HILO(High-Low Price の略)と呼ばれます。

 広告により消費者に特売を告知する必要が無いため、販促費の軽減が可能になります。また、特売期間中に利幅の小さい特売品のみが売れる事による粗利の低下を避けることが出来ます。

 反面、常時低価格販売を行いながら利益を確保するためには、徹底した売上原価の低減とローコストオペレーションが不可欠となります。そのために品目を絞り込んで、1品目辺りの取扱数量を大量に取るため、定番品以外の販売数量の少ない品目は扱われないこともあります。


21年6月 〇 非代替性トークン(NFT:Non-Fungible Token)
 

 非代替性トークンとは、データの改ざんが難しいブロックチェーン(分散型台帳)と呼ばれるデジタル台帳上のデータのことです。
この技術を活用し、作者や所有者の情報や取引履歴を管理して、無限に複製可能なデジタル作品を「一点もの」にして、クリエーターが自らのデジタルアート作品をデジタル資産としての価値を高め、販売することを可能にしました。そして、これらのデジタルアート作品が売買されたり、投機目的で転売されたりする市場が形成されています。

 世界中のアート関係者を驚 かせたのが、世界最大のオークション「クリスティーズ」で2021年3月11日に落札されたデジタル作品です。デジタルアート作家のピープル氏が作成した「毎日 最初の5000日間」に6935万(約17億円)の値がつきました。同氏が13年半にわたってコラージュしたものです。この状況はバブルに近く、適正な価格を見つける市場に変えていく必要があります。
〇 サイバー攻撃のアトリビューション

 サイバー攻撃の攻撃者を特定することです。もともとアトリビューションは「帰属」や「特定」を意味する言葉ですが、サイバー攻撃におけるアトリビューションでは、攻撃者の特定だけでなく、サイバー攻撃に使われた手法や目的までも明らかにすることもあります。

 アトリビューションは主としてマーケティング用語として用いられることが多く、アトリビューション分析というと、マーケティングの成果への貢献度を測る際、顧客がそこに至るまでに通過したさまざまな広告やメディア、展示会などの貢献度を測定する分析手法を意味します。
21年5月 〇 ギットハブ(GitHub)

 ソースコードのバージョンを管理するツールであるGitを利用した、ソフトウェア開発者を支援するWebサービスの名前です。
GitHubは、クラウド上でGitを用いたバージョン管理をすることができ、さらにGitには無い、開発者に便利な機能を追加されています。いまやユーザ数は1000万人を超え、世界中のソフトウェア開発に利用されているサービスです。

 また、新型コロナ対策に必要なデータの管理においても、GitHubを通じて公開することを英国の非営利団体のオープン・データ・インスティチュートが提唱しています。日本ではデータ開示が貧困国と言われるほど遅れており、この遅れがコロナ対策の足かせになっている状況です。
〇 ダークパターン

 ダークパターンとは、消費者を不利な決定に誘導する表記やサイト設計を指します。
英国の著名ウェブデザイナーによる造語で、約10年前から問題視されるようになりました。
実際に電⼦商取引(EC)サイトでは、身に覚えのない料金請求などの被害が増えています。

ダークパターンは十数種に分類され、在庫の少なさを強調する「あおり」や、特定のボタンを目立たせる「誘導」などが代表例です。
2019年の米プリンストン大による研究では、英語のECサイトの1割強でダークパターンが見つかりました。

欧米で規制が進んでいますが、日本では大半が合法とされ、対応が遅れていまる。日本経済新聞の調査で国内主要サイトの6割でダークパターンが確認されました。
21年4月 〇 サードパーティクッキー
(3rd Party Cookie)

 サードパーティークッキーとは、アクセスしたWebサイトと異なるドメイン(インターネット上に存在するコンピューターやネットワークを識別するための名前)が発行したCookie(サイトを訪問したユーザーの情報を一時的の保存する仕組み、またはそのデータ)のことです。
直接訪問したWebサイトのドメインから発行されたCookieは「ファーストパーティークッキー」といいます。

つまり、サードパーティークッキーには、訪問Webサイトのドメインと関係のないドメインの情報(例えばバナー広告)を複数横断して付与しています。

これにより、自社サイトと他社サイトを横断したユーザーの行動履歴が必要となるリターゲティング広告(1度サイトを訪れたユーザーを、サイト離脱後も追跡する広告)やアトリビューション(Webサイトに来訪したユーザーの資料請求、会員登録、購入など利益につながるアクションへの貢献度)の測定など、インターネット広告にはサードパーティークッキーは欠かせない仕組みになっています。

しかしサードパーティークッキーを使った情報取得の制限が増えてきています。Cookieの情報を個人情報とみなしプライバシー保護の観点から制限がされ、GDPRのような法令や、ITP(Intelligent Tracking Preventionの略で、AppleがSafariに搭載しているトラッキング防止機能)のようなブロックしてしまう仕組みなどが生まれています。
そのため、Googleでは、2年後の2022年にサードパーティクッキーの Chrome 上での利用を廃止する計画を発表しました。
〇 現代貨幣理論(MMT:Modern Monetary Theory)

 日本の様に独自通貨を持つ国は債務返済のための自国通貨発行額に制約を受けないため、借金をいくらしても財政破綻は起きないと説く経済理論です。
その理論は、巨額債務があっても、インフレを抑制すれば、社会保障やインフラなど公共サービスの拡充は可能だと訴えています。
言い換えれば、財政赤字や国債の累積(日本政府の借金1,100兆円)の大きさよりも、人々の暮らしや雇用、通貨価値の維持が重要であると説いています。

ただ、やみくもに赤字財政支出を増やすことではなく、完全雇用、穏やかなインフレ、持続可能な成長、格差是正といった公益を実現するために財政政策に用いる機能的財政の重要性を説いています。

しかしながら、いったん財政規律や中央銀行への信認が失われてしまうと、通貨の下落や輸入物価の上昇を通じ、深刻なインフレと経済の大混乱が発生する恐れがあり、実現困難な理論ともいわれています。

21年3月 〇 eKYC(electronic Know Your Customer)

 電子的に本人確認する仕組みのことです。

 もともと「KYC」という言葉自体は銀行口座開設などで必要になる本人確認手続きの総称として使われておりました。その言葉に「electronic」が付くことによって、「電子(オンライン)での本人確認」という意味になります。
〇 電子インボイス

 インボイスは商品ごとの税率や税額を示した請求書で,適格請求書とも呼ばれます。
ネットワーク上で管理されているインボイスが電子インボイスです。わが国では2023年10月に消費税を正確に徴収するためにインボイス制度が始まります。

企業は仕入れ先が発行するインボイスに基づき税務申告をします。これに合わせインボイスを普及させるため、大手会計ソフト会社10社は2020年7月に電子インボイス推進協議会を発足させました。請求書の電子化に対応しソフト導入を促すことになります。

また、その会計ソフトは、全銀協の送金データ管理システム(ZEDI)と連携し、個別請求番号ごとに入金データを対応させ、入金確認の手間を大幅に削減することになります。
21年2月 〇 マルバタイジング

 マルバタイジングとは、「マルウェア」と「アドバタイジング(広告)」という言葉を組み合わせた造語です。
不用意に広告をクリックするだけで、パソコンやスマートフォンがマルウェアの感染したり、詐欺サイトへ誘導されクレジットカード゙情報
などを抜き取られたりする被害につながります。

 この様に最近のマルウェアは非常に悪質で、特に新型コロナウィルス蔓延に乗じて悪質広告が増えています。

 また、単に、コンピュータやスマホに感染して連絡先などの情報を取得したり、スパムメールを送信したりするのみならず、データを暗
号化してすべて読めなくして身代金を請求するランサムウェアのようなものや、ログイン情報を盗むキーロガー、ネットバンキングなどで
不正送金を行うようなボットなどもあります。
〇 キャズム理論

 キャズム(chasm)とは、隔絶・溝を意味する言葉です。
キャズム理論は、導入期で成功した製品が、成長期において様々な制約条件に負けて溝(キャズム)に陥り消えていく現象を捉え、キャズム
を乗り越えるためのマーケティングアプローチを示した理論です。
 米国シリコンバレーの老舗コンサルティング・ファーム、McKenna GroupのパートナーであったGeoffrey Moore氏が、独立した後の1998年
に「Crossing the Chasm」という題名で出版し、一般に広まった理論です。

 ベンチャーの世界において、この言葉は技術ベースの製品やサービスを市場で「成功」させるため、すなわち対象市場を独占するために
どうしても超えなければいけない一線を指し、また、主に製品の技術進化の激しい「ハイテクマーケティング」で適用できる理論です。

21年1月 〇MR(複合現実)

 仮想世界と現実世界を融合させる技術です。現実世界にある物体の位置や形などを認識し、目の前に立体的な映像を表示します。空間に情報を浮かべて操作したり、遠方にいる人と同じ空間でコミュニケーションを取れたりします。

 似たような技術に、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)があります。ARは現実の風景にCGなどを重ねて表示する技術で、スマホゲーム「ポケモンG O」が有名です。VRは360度見えるもの全てが仮想空間で、没入感があります。
〇 オルタナティブデータ(代替データ)

 政府の経済統計や企業の決算など公表されるデータとは別の新たなデータの総称です。
スマートフォンの位置情報やクレジットカードの決済情報などが代表例です。
経済や消費活動がデジタル化されたのに加え、膨大なデータを人工知能(AI)などで分析できるようになり、資産運用業界でも活用が進んでいます。
例えば、三井住友トラスト・アセットが開発した巣ごもり指数は、対話アプリの「チームズ」の通信状況や交通系ICカードの「スイカ」の利用状況からAIで解析し算出しています。
20年12月 〇 暴露型ウィルス

 暴露ウイルスとは、感染するとコンピュータ内部の情報をファイル共有ソフトのネットワークやインターネットに不特定多数の人が見られるようにするコンピュータウイルスの総称です。

暴露ウイルスに感染すると、マイドキュメントやOutlook Expressのメール履歴やデスクトップ画面(スクリーンショット)などのデータを圧縮し、ファイル共有ソフトや画像アップローダなどを通じて外部に送信したり、自らがHTTPサーバーとなってインターネット上に公開するものもある。

仮にコンピュータ内のデータが流出してしまった場合、膨大なネットワークデータの中からそれらのデータを完全に削除することは、たとえ国家の力でも原理的に不可能であり、流出したデータ(メールの内容やアドレス帳、写真、パスワード一覧など)の内容によっては、パソコンが感染したユーザだけでなく、そのユーザと関わりのある多くの人々が社会的に深刻なダメージを被るため、ある意味では“極めて危険な”ウイルスであるとも言えます(逆に、コンピュータ本体に致命的なダメージを与えるタイプの暴露ウイルスは確認されていません)。
〇スプリンターネット

 破片を意味する英語の「スプリンター」と「インターネット」を組み合わせた造語です。
政治や宗教などを理由に、自由なはずのサイー空間が国や地域間で分断されてしまう状態を指します。
20世紀にバルカン半島で民族国家が乱立した様子から「ネットのバルカン化」と表現されることもあります。

 例えば中国では多くの米国発SNS(交流サイト)やネットサービスを利用できず、様々な情報が検閲の対象となっています。ロシアも国内のネット網を世界から遮断する技術を開発したとされています。
米国は中国アプリの排除に動く一方、同じ自由主義陣営の欧州とも個人情報の取り扱いを巡り対立しています。
そのため、企業の集めたデータの移転が制限される可能性が出ています。

 米フリーダムハウスがまとめた「ネットの自由度」の調査では、2020年は「不自由」とされた国の割合が34%でした。2015年に「不自由」が「自由」を逆転し、その差は広がっています。スプリンターネットが加速すると政府は自国内のネットを管理しやすくなり、ネット上の言論やデータ流通の自由度がますます低下する恐れがあります。
20年11月 〇 スピアフィッシング(Spearphishing)

 スピアフィッシングとは、フィッシング詐欺と呼ばれるインターネット詐欺の手口の中でも、特定のターゲットに対して重要なデータや個人情報を奪おうとする手法のことです。

 スピアフィッシングは、もともとは魚釣りの用語で、モリで魚を直接に刺しとどめる手法のことです。それが転じて、「狙いを定めて直接働きかけるフィッシング(詐欺)」という意味で用いられるようになりました。

 スピアフィッシングの特徴は、詐欺行為をけしかける対象に合わせて手口がカスタマイズされるという点を挙げることができます。主に上司を装って従業員からパスワードを聞き出そうとする場合が多く報告されており、あるいは企業や組織の幹部を対象に、得意先企業からのメールを装ってアクセスし、企業情報や知的財産を盗もうとする場合などもあります。
詐欺の対象となる人は、アプローチの内容が自分にとって関係の深いものであるため、一般のフィッシング詐欺に比べても警戒を解きやすいという特質があり、また、対象があらかじめ定められているために、スピアフィッシングによって盗まれる情報も通常より重大なものである場合が多いです。
〇 リープフロッグ現象

 リープフロッグ現象とは、既存の技術を経ることなく、いきなり最新の技術に到達する現象のことで、カエルが一足飛びにジャンプするように大幅なステップアップを遂げることからリープフロッグ(カエル跳び)現象と呼ばれています。

 例えば、既存の社会インフラが整備されていない新興国において、新しいサービス等が先進国が歩んできた技術進展を飛び越えて一気に広まることをいいます。
一例として、多くの新興国において固定電話の普及を待たずに携帯電話およびスマートフォンが急速に普及したことが挙げられます。
20年10月 〇サプライチェーン攻撃

 サプライチェーン攻撃とは、攻撃の直接のターゲットが正面突破が難しい大手企業や政府機関など大きな組織ではなく、比較的セキュリティ対策が手薄な取引先をを踏み台にして攻撃する点を特徴する攻撃です。

 サプライチェーン攻撃の手法が広まるにつれ、以前は大企業主体だったのが中小企業もターゲットとなり、脅威にさらされるようになりつつあります。

 新型コロナウィルス感染拡大でテレワークを拙速に導入した企業が狙われています。
〇 CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)

 現金を商品の製造・仕入れのために払ってから、販売で回収するまでの期間のことです。
売掛債権回転日数と棚卸資産回転日数の合計から、買い人れ債務回転日数を差し引いて求められます。

 短いほど事業継続に必要な現金を早く回収できることを表します。
20年9月 〇 スーパーアプリ

 対話や配車、決済など日常生活で使うサービスを一括で提供するアプリのことです。
金融全般に機能を拡大する中国の「アリペイ」や、配車アプリを起点に機能を拡大したインドネンアの「ゴジェック」などが有名です。
「PayPay」も店頭決済だけでなく、オンライン決済や金融など利用の幅を広げスーパーアプリを目指しています。
スパーアプリは自社のアプリ内にミニアプリを設けることで利用者をさらに取り込んでいます。顧客との接点や情報がスーパーアプリの運営会社に集中しています。
〇 レジリエンス

 レジリエンス(Resilience)とは「回復力」「復元力」あるいは「弾力性」とも訳される言葉で近年よく聞かれる言葉です。元々は物理学や生態学などの用語として知られる言葉ですが、最近ではとりわけ心理学の分野でよく聞かれる言葉です。また安全工学やリスク管理の分野においても注目されている概念でもあります。

 また、経営学においても、危機対応力として、状況変化を織り込んで変化に強い事業体制を構築することを意味しています。

 なお、軍事用語に於いては、同様の意味で、「抗站性」という言葉があります。
20年8月 〇 ネットの闇市場

 インターネット上に存在する非合法的な商品・サービスを取引するサイトのことです。対象はマルウェア(悪意あるソフトウェアの総称)や流出情報といったサイバー攻撃関連や違法薬物、ポルノなど幅広くサイハー犯罪の温床となっています。

決済手段として、匿名性の高い暗号資産(仮想通貨)が一般的に使われ、多くは「Tor(トーア)」など発信元を隠す匿名化ソフトを使わないとアクセスできない「ダークウエプ」上に存在しています。しかし、近年は一般的なサイトと同様にアクセスできる「サーフェスウェブ」上の闇市場も増えています。

 捜査当局の摘発で、2013年は「シルクロード」、17年は「アルファベイ」など大規模な闇市場が閉鎖されましたが、その度に新たな闇市場に参加者が流れていく状況となっており、完全な取り締まりが難しく、いたちごっこが続くとの指摘があります。
〇 コロナテック

 新型コロナウイルスに端を発した諸問題を解決する技術やサービスのことです。感染を防ぐためオンラインで仕事ができるクラウドサービスや、電子商取引(EC)、治療薬やワクチンなどが該当します。
20年7月 〇 デジタルツイン

 デジタルツインとは、物理世界(現実世界)に実在しているものを、デジタル空間でリアルに表現したものを
指します。
現実の研究所や生産設備などをデジタル空間に再現させて、双子(ツイン) のように連動させる仕組みで、現実世
界の稼働状況などをデジタル空間に構築し、リアルなシミュレーションを可能にし、開発期間の短縮や、投入す
る部材の削減などの効果が期待されています。
IoTが普及し、あらゆるモノのデータ取得が可能になったことで、デジタルツインの技術も飛躍的に進化しました


 米調査会社のマーケッツ・アンド・マーケッツは、デジタルツインの市場規模が年平均成長率を45%と推定し、
2025年には2019年の9倍の358億㌦ (約 4兆円)になると予測しており、自動車や航空・医療関係がけん引し、する
ことを見込んでいます。

〇 ダークデータ 

 企業が製品開発や販売促進に生かせていない休眠データを指します。
「光が当たっていない」という意味からダーク(暗い)データと呼ばれ、2015年ごろに調査会社が使い始めて広
まりました。

 企業が価値を認識できていなかったり、分析手法が分からずに死蔵されていたりするケースが多いです。古く
なった顧客リスト、撮りだめたままの監視カメラ映像が代表例です。整理して分析すれば「宝の山」にもなり得
ます。
20年6月 〇 ディープフェイク

 AIに使うディープラーニング技術を悪用し、人物の顔や音声を本物と差し替えて、意図的にフェイク情報の動
画を流布することです。

 ディープフェイクは2017年、米国のネット掲示板に有名女優らのフェイクポルノが投稿されたことで注目を浴
びました。
〇 eKYC(electronic Know Your Customer)

 KYCは銀行口座開設などで必要な本人確認手続きの総称を指し、これを“電子的”に行なう仕組みが「eKYC」で
す。
KYCで必要な本人確認をオンラインで行なうことを指しており、すべてオンラインで完結することがポイントです


具体的には、銀行などの金融機関、または電子マネーの発行企業などが、対面や郵送での物理的な本人確認を省
略し、パソコンやスマートフォンを利用してオンラインで本人確認を実施、完結することを指します。

因みに、3メガバンクなどの金融機関では印鑑がなくてもオンラインで口座振替を設定できる枠組み共同での立
ち上げをスタートさせました。
20年5月 〇 インフォデミック

 ネットなどで噂やデマも含めて大量の情報が氾濫し、現実社会に影響を及ばす現象を指します。
「情報(Information)と、感染症の広がりを意味する「エピデミック(Epidemic)を組み合わせた造語です。
世界保健機関が2020年2月、新型コロナウイルスの感染拡大とともに世界に警戒を呼びかけました。

 歴史的にも大きな自然災害や疫病流行の際には、偽情報や出所不明の噂が流れやすいです。さらに現代はSNS (交流サイト)などのテクノロジーが発達したことで、従来のロコミやメディアとは比較にならないスピードで情報が拡散するようになりました。誰もが容易に発信源になれる分、 内容も玉石混交になりやすいです。

コロナ禍を巡っては、米国で も詐欺目的のSNS投稿や偽情報サイトの開設が相次ぐなど、世界規模で影響が広がっています。ウクライナでも中国からの帰国者が感染しているとの偽 ニュースが流れ、 一部で暴動が起きたとされています。ウィルス感染被害の拡大同様、世界中の政府や当局が対応に頭を悩ませています。
〇 ファクタリング(Factoring)

 ファクタリングとは、企業から売掛債権を買い取り、売掛債権の管理や回収を行う金融サービスのことです。
売掛債権の早期現金化が可能となる比較的新しい資金調達方法です。

新型コロナウィルスショックに対する政府の緊急事態宣言を受けて、中小企業の経営環境が一層厳しくなる中、フィンテック勢が資金繰り支援に、オンライン上で最短、即日入金する新たなファクタリングの動きがでています。
20年4月 〇 シャドーITとBYOD

 シャドーITとはスマホやタブレットなどの私用端末を業務用のクラウドサービスなどに接続して使くことです。

 BYOD(Bring Your Own Device)はシャドウーITの利用を前提としたセキュリティ対策を行うことで、業務効率を上げやすいメリットを積極的に活用する取り組みのことです。
〇 スタグフレーション
 
 スタグフレーションとは、景気が後退していく中でインフレーション(インフレ、物価上昇)が同時進行する現象のことをいいます。
この名称は、景気停滞を意味する「スタグネーション(Stagnation)」と「インフレーション(Iinflation)」を組み合わせた合成語です。
通常、景気の停滞は、需要が落ち込むことからデフレ(物価下落)要因となりますが、原油価格の高騰など、原材料や素材関連の価格上昇などによって不景気の中でも物価が上昇することがあります。これが、スタグフレーションです。

 景気後退で賃金が上がらないにもかかわらず物価が上昇し、資産価値が減っていくという生活者にとって極めて厳しい経済状況といえます。わが国では、1970年代のオイルショック後にこの状態となっていました。
また、2020年の新型コロナウィルスの影響で製造業の破綻が相次いだ場合、供給不足によって不況であるにもかかわらず物価が上昇するスタグフレーションが危惧されています。

20年3月 〇 CSIRT(シーサート)

 CSIRTはComputer Security Incident Response Teamの略でコンピュータやネットワーク(特にインターネット)上で何らかの問題(主にセキュリティ上の問題)が起きていないかどうか監視すると共に、万が一問題が発生した場合にその原因解析や影響範囲の調査を行ったりするチームの総称で企業内の組織です。情報システム部門だけでなく法務・広報など全社横断で組織する必要があるが、運用実態が不十分なケースも多いです。
〇 ペイロール

 ペイロールとは、あらゆる給与支払いシステムの総称のことです。
最近は、フリーランスなど個人事業主への報酬をデジタルマネーとして支払うサービスが増えており、LINEペイやKyashなども個人事業者向けのデジタル報酬サービスを提供しており、ペイロールにあたります。
この様にペイロールは非銀行企業によるデジタル給与の支払いサービスが拡大している状況ですが、現金の直接払いの労働基準法により拡大に壁があるとされてきました。しかし、ギグワーカーやフリーランスの多様な働き方が増加し、報酬を好きなタイミングで受けたいと考える人が増え、政府内でも解禁を検討し始めています。
20年2月 〇 アドフラウ

 アドフラウドとは、無効なインプレッション(impression:ネット広告における広告が表示回数)やクリックによって広告費用に対する成約件数や効果を不正に水増しする不正な広告のことです。別名、広告詐欺や広告不正とも言われています。

アドフラウドには様々なタイプがあり、例えばプログラムを悪用した手法やユーザー行動に合わせて自動リロードを引き起こす仕組みを仕込んでいるもの、システムの脆弱性をついたものなどが存在します。もちろん、各広告配信プラットフォームは対策を進めてはいますが、新しい手法が生み出されており根絶するのは難しいのが実情です。

 この様な状況において、損害保険ジャパン日本興亜では、このアドフラウドで被害を補償する保険を2020年2月から売り出しています。

〇 スピンオフ税制

 スピンオフ税制は、企業において、特定事業を切り出して独立会社とするスピンオフの円滑な実施を可能とする税制措置をいいます。

 これは、今まではスピンオフが事業売却とみなされ、課税対象となっていましたが、2017年の税制改正により、企業の機動的な事業再編を促進し第4次産業革命を加速させるため、所定の適格要件を充足した場合、分割法人における「資産譲渡益課税」や、分割法人株主における「みなし配当」及び「譲渡益課税」を行わないとする措置です。

 スピンオフは、親会社が株式の多くを保有したたま子会社を上場させる親子上場に比べ、分離した会社の独立性は高く、外部への売却よりも機動性が高い。しかし、親会社には売却益は計上されず、メリット感がなく、これまで利用がありませんでした。
2020年3月にカラオケ事業のコシダカHDが傘下のフィットネス事業のカーブスHDをスピンオフさせます。国内では初めてのスピンオフ税制の適用事例となります。
20年1月 ○ トランステック

 IT(情報技術)に脳科学や心理学などを組み合わせ、人間の心身の成長をサポートする技術を指します。
トランスフォーマティブテクノロジー(Transformative technology=変化を促す技術)を略して、トランステックと呼びます。感情分析はその中核技術として成長期待が高く、世界の関連市場は2025年に37億ドル(約4100億円)に拡大する見通しです。

 具体的な導入先として活用が広がるのが「職場」です。アメリカIT企業のヒューマナイズはカード型センサーを突かった行動解析で客企業の業務改善を支援しており、サービス提供先は数社に及びます。日本でも音声から喜怒哀楽読み取るEmpath(音声感情解析AI)の技術が注目を集めており、コールセンターなどで採用が相次いでいます。
〇 リカーリングとサブスクリプション

 リカーリング(Recurring)とは、「繰り返される」「循環する」という意味で、単体の製品を売って終わりではなく、販売後も顧客から継続的に収益をあげるビジネスモデルのことです。例えば、水道や電気、ガスなどの公共料金などが代表的なリカーリングビジネスです。

 スクリプション(subscription)とは英語で「定期購読」「会費」といった意味です。特にIT業界では、サブスクリプションと言えば、アプリケーションやサービスを購入する際の契約を指します(昔からあるモデルとしては、新聞や雑誌の購読があります)。サブスクリプション契約は、基本的には月ごと、年ごとに結ばれます。契約期間内は、ソフトウェアのアップデート時に追加料金を支払う必要はありません。

 リカーリングとサブスクリプションの違いは、使用料などが定額のモデルか料金が一定ではなく使用量によって異なるかになります。

 なお、使用料を支払うビジネスモデルの対極的な言葉にフロービジネスがあり、フロー(Flow)が「流れ」を意味するように、顧客と都度関係を築き、都度収益をあげるビジネスモデルです。代表的なフロービジネスとしては、コンビニやアパレルショップなどの小売店です。
19年12月 ○ Webスクレイピング(Web scraping)

 Webスクレイピングとは、WebサイトからWebページのHTMLデータを収集して、特定のデータを抽出、整形し直すことです。「スクレイピング」(scraping)とは元々「削る」や「こすり落とす」といった意味があります。

 Webスクレイピングを行うことで、Webページを対象として、あたかもWebアプリを利用しているかのようにデータを効率的に取得・収集することが可能になり、部分的にコンテンツを取り出して携帯電話向けのコンテンツを生成したり、小見出しの一覧を生成したり、といった使い方があります。

 用途の例としては、消費者物価指数(CPI)などの算出において、例えば旅行サービスなどの予約・購入のネット上の情報を自動で取集することで算出することができ、総務省で2020年の調査から導入を予定しています。
○ データエコノミー

 データエコノミーとは、人の行動や企業の活動が生み出すデータを競争力向上に生かす新たな経済を指しています。

 昨今では、人工知能(AI)やビッグデータ解析の実用化が進み、社会に及ぼす影響が大きくなっています。具体的には、広告や販促、商品開発、機器管理、与信判断、災害対策、選挙、日常生活などへとデータを活用する範囲が広がり、また将来的には、社会保障費の削減やインフラの管理、地域の活性化などにも期待されています。
19年11月 〇 人間拡張 

 ITやロボット技術などの活用によって人間の能力や社会を拡張する概念のことです。
2010年に初の国際会議がフランスで開かれ、2016年から論文誌が発行されています。
また、人間の知能を高める意味から「拡張知能」の概念が2016年に米マサチューセッツ工科大学(MIT)から提唱され、人間が人工知能(AI)との対立ではなく協調する概念としました。
拡張知能は英語でオーグメンテッド・インテリジェンス(AI)とも訳され「もう一つのAI」とも呼ばれます。
人間能力を拡張する歴史は長く、顕微鏡で目に見えない小さなものも観察でるようになったこともその一つで、ITやロボットが進歩すれば、人間の物理的限界を超えた能力の獲得につながることになります。
○ ギグ・エコノミー

 「ギグ・エコノミー」とは、インターネットを通じて単発の仕事を請け負う働き方のことです。
 「ギグ(gig)」は英語のスラングで、ライブハウスでの短いセッションや、クラブでの一度限りの演奏のことを言います。クラウドソーシングで商品デザインを受注したり、オンライン配車サービスの運転手となったり、インターネットサービスの多様化に伴い、個人の働き方にも変化がみられています。
19年10月 ○ ノンスタンドアロン(NSA)

 通信事業者が5Gサービスを展開する場合、既存の4Gのエリア内に5Gのエリアを構築し、5Gの通信制御を4G側のコントロールチャネルで行うことで、4Gと5Gを一体運用する方法を「ノンスタンドアロン(NSA)型」と呼びます。
これに対して、5Gシステムだけで構成するネットワークを「スタンドアロン(SA)型」と呼んでいます。

 NSAとSAにはそれぞれ一長一短があります。NSAの場合には既存のシステムを活用することから初期投資を抑えられ、当初から安定した通信が期待できます。このため多くの通信事業者は、NSAを志向しているようです。
これに対してSAでは、データ伝送だけでなく通信制御まで5G仕様を採用するため、高速大容量通信や遅延時間を短くするなど5Gの能力を最大限に引き出すことが期待できます。中国の通信機器メーカーZTEなどは、SAを推しています。
〇 CASE(自動車業界)

 CASEはそれぞれ4つの用語の頭文字をあわせたもので、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の頭文字となり、読み方は「ケース」です。自動車業界における造語になります。

自動車業界では100年に1度の大変革期と言われ、近年、この「CASE」を呼ばれる社会変化・技術変化の動きがあり、世界の自動車産業は揺さぶられており、ソフトウェアなど慣れない領域での投資・開発の負担が膨らみ、IT大手など異業種との競争も激化しています。
19年9月 ○ ローカル5G

 企業などの組織が、自己所有の建物や敷地内で5G(第5世代移動通信システム)を「自営」で利用できる仕組みです。
地域や産業ごとのニーズに応じて柔軟に構築できることが特徴であり、ユーザーは、無線局免許を自ら取得することも、免許取得した他者のシステムを利用することのいずれも可能です。

 2019年6月18日には情報通信審議会が、技術的条件を答申しました。今後のスケジュールについて、総務省は2019年内の制度化・申請受付開始を予定しています。
ローカル5Gに割り当てられる周波数は、4.6G~4.8GHzと28.2G~29.1GHzの2つの周波数帯です。このうち当面利用するのは、28.2G~28.3GHzの100MHz幅で、これにより、ユーザーは最大3Gビット/秒の自営通信網を構築できます。

 用途としては、工場や農地内の制御・監視、エンターテインメント施設などの映像伝送やセキュリティ、電車などの公共インフラなどでの利用が想定されています。
〇 スモールマス市場

 マス市場が縮小し、スモールマスと呼ぶ一定の規模を持つ市場が数多く生まれている状況を示した市場のことで、花王が近年その概念を提唱し、マーケティングなどに生かし始めました。

 スモールマス市場においては。マーケティングも、画一的なマーケティングを行うのではなく、生活者それぞれのニーズや悩み、希望に沿った情報や商品を、一旦セグメント(=スモール化)した上で、より的確に発信していくことが求められます。
19年8月 ○ ネットワークスライシング  

 ネットワークスライシングとは、ネットワークシステムを構築する「無線ネットワーク」「有線ネットワーク」「コンピューティング・リソース」をそれぞれ仮想化し、用途に応じて構成要素をダイナミックにに組み替える考え方です。

  ネットワークシステム全体のリソースを「スライス」するように分割し、それを組み合わせることから名付けられました。  5G(第5世代移動通信システム)では、「低遅延かつ高信頼性」「低速かつ大量接続」といった異なる要件を持った複数のサービスが混在します。
ネットワークスライシングにおいては、物理的には同一のネットワーク上で複数の「仮想ネットワーク」を構築することによって、こうした複数の要件を満たすことができます。

 ネットワークスライシングにより、通信事業者はネットワークリソースの利用効率を高められ、ユーザーには安価な通信サービスを受けられる期待がります。
○ 2025年の崖

 この言葉は、9月7日に経済産業省が公開した『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』に登場した言葉です。

 この報告書は、デジタル技術を活用した新しいビジネスモデルの参入がゲームチェンジを起こそうとしている時代になっているにもかかわらず、日本では経営者の理解不足や既存システムが足枷となり、2025年以降には年間で最大12兆円の経済損失を生じさせてしまうという予言の書になっています.
19年7月 〇 ディープラーニングとフレームワーク

 ディープラーニングはAIの開発手法のひとつで、データから規則性や判断技術を学習する「機械学習」を発展させ、人の脳の神経細
胞をモデルにした情報処理システム「ニューラルネットワーク」の概念を用い、膨大なデータの中からより精度の高い結論を素早く導き
出します。「深層学習」とも呼ばれ、現在のAI開発の主流となっています。
2006年ごろにカナダ・トロント大のジェフリー・ヒントン教授が提唱し、第3次AIブームのきっかけとなりました。処理過程の解明が難
しく、判断基準がブラックボックスになるリスクも指摘されています。

 そのディープラーニングのプログラムを書く際に使う数式やコンピューターヘの命令を体系化して書かれた基盤のソフトウエアがフレ
ームワークです。
これらを組み合わせれば、一から命令を記述しなくても簡単にディープラーニングのプログラムが記述できます。
大手のIT企業などが独自のフレームワークを開発し、無償で世界のエンジニアに公開しています。
グーグルは「テンサーフロー」を開発したほか、日本勢でもプリファード・ネットワークス(東京・千代田)が「チェイナー」、ソニーは
「ニューラルネットワークライブラリーズ」をそれぞれ提供しています。
〇バーチャルスラム

 人工知能(AI)で個人の信用力を数値化するスコアリングで「バーチャルスラム」とも呼ばれ、新たな貧困を生み出すとの懸念が広がっていま
す。機械的なデータ分析でいったん低い評価を受けると、あらゆる社会サービスから除外され、その状態からなかなか抜け出せなくなる
状態で、格差の固定化を招きかねない状況です。
 スコアリングの代表格がAIを使った与信審査です。「信用スコア」と呼ばれ、収入や借り入れ状況をもとに個人の信用力を点数にして
、高いスコアを得れば、低利融資などの恩恵を受けられます。
 代表例が米専門会社のフェア・アイザックが算出する「FICO」です。850点満点でユーザーのスコアを出します。「貧困」とされる579
点以下の層は全体の16%。クレジットカードの発行やローンの審査で不利になります。

 現在はスコアは主に金融分野で使われていますが、今後は就職や賃貸住宅、婚活サービスなど金融以外のあらゆる分野で共有されてい
くことが予想されてます。

低スコアの人は人生のあらゆる場面で不利な状況に置かれ、再挑戦する機会も失われかねなく、。慶応義塾大学の山本龍彦教授はこうし
た状態を「バーチャルスラム」と表現し、貧困層の拡大と固定化を懸念しています。
 山本教授は「AIの判断の根拠を明確にし、低スコアから抜け出す方法も示すことが重要だ」と話しています。スコアが深刻な貧困問題
を引き起こさない、活用法の工夫が重要課題です。
19年6月 〇 WPS(Wi-Fi Protected Setup)

 Wi-Fi機器のネットワーク接続やセキュリティの設定を簡単に実行するための仕様です。メーカが異なる製品同士でも、プッシュボタンなどの簡単な操作で設定できることが特徴です。なお、バッファロー製品にはAOSSという類似機能のものもあります。
〇 ライドシェア

 主に一般人が自家用車で乗客を送迎する「相乗り」を指します。乗客はスマートフォンで簡単に予約でき、どこからでも乗れるなど利便性が高く、海外では急速に普及しており、米ウーバーテクノロジーズや米リフト、シンガポ=ルのグラブなどが配車サービスを手がけています。

日本では駐車場などを拠点に車を時間借りできる「カーシェアリング」が普及している一方で、ライドシェアは「白タク」とみなされて原則禁止されており、一部地域での実証実験などにとどまっています。タクシー業界からの反発も根強いです。
19年5月 〇メッシュWiFi

 WiFiルーターと複数のWiFi機器が連携して広範囲をカバーするネットワークのことです。
WiFi中継器より速度の向上が期待できます。スマホアプリで設定できる製品が多いです。
〇 スコアリング

 人工知能(AI)などを使い、個人の信用力を数値で示すサービスです。分析対象は収入や借金の金額などの金融情報にとどまらず、世界
各国の企業がそれぞれ独自の採点手法を開発しています。スマホの位置情報や通話の頻度、Webの閲覧履歴のほか、SNSの友人.関係など
、様々なデータを分析して採点する仕組みが出てきています。

 最も注目を集めている仕組みのひとつが、中国アリババ集団傘下の金融会社「アント・フィナンシャル」が2015年に始めた「芝麻(ゴ
マ)信用」です。資産状況やクレジットカードの返済履歴だけでなく、ネットを通じた購買履歴や交友関係など生活ぶりを幅広く分析す
るのが特徴で、利用者は5億人とされています。

 ゴマ信用は点数が高いと融資の条件が有利になるうえ、ホテル予約の保証金が不要になったり外国のビザが取りやすいくなったりもし
ます。スコアが低いと就職や結婚で不利になるともいわれ、生活への影響が強まってきます。
19年4月 〇 フィルターバブル (filter bubble)

 フィルターバブル とは、インターネットの検索サイトが提供するアルゴリズムが、利用者が見たくないような情報を遮断するフィルター機能のことです。

 また、利用者が好ましいと思う情報ばかりが選択的に提示されることにより、思想的に社会から孤立する様子を表しており、まるで泡の膜に包まれているように、自分が見たい情報しか見えなくなる状態にたとえられています。
〇 エシカル消費

 エシカルとは「倫理的・道徳的」という意味で、環境や社会に配慮した商品やサービスを選んで消費することです。

 エシカル消費は、最近日本でも注目され始め、学生、企業の経営者、サラリーマン、主婦など、どんな人も消費者であるという点から、エシカル消費(倫理的消費)という概念が注目されてきています。消費者庁が2017年にまとめた意識調査では、10.4%が「エシカル消費」という言葉を知っているという結果が出ています。
19年3月 〇 ハイブリッドHDD

 フラッシュメモリーを内蔵するハードディスクのことです。
大量のキャッシュメモリーとしてフラッシュメモリーを利用することで読み書きが速くなり、ディスク面のアクセスが減るため省電力にな ります。
SSHD(solid state hybrid drive)とも呼びます。
〇 ニューモノポリー(新独占)

 ニュー・モノポリー(New Monopoly)は、米国経済が直面している、新たな寡占のことをいいます。これは、IT企業のビッグ5である、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)とマイクロソフトが独占する多様なデータが吸引となり、世界中から投資マネーや人材などを引き寄せる現象を指し、2017年には一時、この5社合計の時価総額が世界第5位の経済大国である英国の国内総生産(GDP)を超えました。

 なお、この5社の巨額な利益の源泉は、デジタル時代の原油と言われるデータの独占ですが、原油を精製するようにデータは解析して初めて価値を生み出すため、今後のカギを握るのは急速に高度化するAIと言われ、現在、本分野への集中投資が行われています。
19年2月 〇 ブロッキング

 ブロッキング(Blocking)は、インターネットサ
ービスプロバイダなどがインターネット等を通じて 出入りする情報を監視し、アクセス先への接続を偽装・拒否・遮断する技術のことです。インターネッ トブロッキング(internet Blocking)、強制遮断措置ともいいます。

 ブロッキングを行うことにより通信の秘密や表現の自由など人権を侵害することから、違法性阻却事由など法的な根拠が求められます。
〇 シェアリングサービスとディスラプション

 シェアリングサービスとは物品を多くの人と共有 したり、個人間で貸し借りをしたりする際の仲介を 行うサービスのことです。
ディスラプション とは「創造的破壊」という意味で 、シュンペーターが提唱したイノベーションンの前提です。

 シェアリングエコノミーの代表格はライドシェア
や民泊であり米国のシェア経済は拍車がかかり既存 ビジネスをも創造的破壊する勢いです。しかし、日本では既存ビジネスからの抵抗や行政による制限であまり進んでいません。
19年1月 〇 ハッシュタグ

 ハッシュタグとはFacebook、インスタグラム、
Twitter、といったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)において、キーワードの前に「#」(ハッシュマーク)を付ける形のラベルです。これにより投稿をカテゴライズして検索が容易になり利用が広がりました。

例えば2018年の「新語・流行語大賞」にノミネー された「#MeToo」は「私も」を意味するハッシュタグで、セクハラの被害者たちがSNSで声を上げるために使われました。
〇 SDGs

 2015年に国連で全会一致で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のことです。

30年までに達成を目指す17分野の目標で示すターゲットには「食品廃棄を半減させる」や「育児や介護、家事という家庭内の無報酬労働を評価し、責任を分担する」など日常生活でも取り組めるものが多くあります。
18年12月 〇 CDN

 CDNとはコンテンツデリバリーネットワークの略で、大容量のデジタルコンテンツをイン
ターネット上で大量配信するためのネットワークのことです。

従来、サイト上で大容量のデジタルコンテンツを公開する場合、アクセスが集中した際はコ
ンテンツをのせているWebサーバーがダウンしたり、ネットワークに過剰な負荷がかかって
しまう問題がありました。
CDNではそういった問題を解決するべく、大量配信や高速配信に耐えうるような最適化が施
されています。
Webサイトのコンテンツは、テキストベースの簡素で小容量なものから、画像・音楽・動画
・ゲームといったリッチコンテンツ、大容量なものへと変化したことで、CDNの需要が生じ
たといえます。

〇 トークンエコノミー

 仮想通貨において、トークン(貨幣の代わりになる価値のあるもの、代替貨幣)を用いた
経済のことを指します。これはサービスを提供したい側が、貨幣の代わりにトークンを発行
し、それをユーザーが購入することによってトークンに価値が生まれます(上がります)。
この価値のついたトークンを通貨として取引を行うことで、トークンエコノミーが成り立ち
ます。

そもそもトークンは英語で「しるし」「証拠」などを指します。これが転じて、特定のコ
ミュニティーでお?の代?品として通?するものを指すようになりました。

18年11月 〇 ダークウェッブ

 暗号化された闇サイト群の意味です。
通常のブラウザや検索エンジンでは接続できないサイトで、利用者の身元を隠す特殊なソフ
トウェアなどを使用してアクセスができるようになります。

 ウィルスなどのサイバー攻撃用のプログラムや個人情報、薬物などの取引場として使われ
ています。また、サイバー犯罪者の攻撃の情報交換の場でもあります。

 この様なダークウェッブサイトに侵入し、サイバー攻撃の手口や標的を事前に予測する手
法があり、「脅威インテリジェンス」と呼ばれています。
〇 CBPR(Cross Border Privacy Rules:越境プライバシールール)

 アジア太平洋経済協力会議(APEC)が2011年に合意した域内でのデータ移転ルールです。
現在まで米国、日本、韓国、カナダ、メキシコ、シンガポールの6カ国が参加しています。
オーストラリアも昨年、導入を表明しました。米国が中心になり、環太平洋地域に普及を働
きかけています。

これは、CBPRの参加国間で、企業が持つ個人データをやり取りできるようにしたものです。
企業が顧客から集めたクレジットカード情報などを国外に持ち出すには、各国の個人情報保
護ルールに従う必要があります。だが国ごとに違う基準に合わせるのは煩雑です。そこで統
一基準を設け、各国企業は認証団体の審査に通れば、データを国外に移転できるような枠組
みです。

ネットの普及でデータが絡まないビジネスはほぼなくなり、データ規制を複数国で統一すれ
ば域内での企業活動が活発になることが見込めます。一方、EUや中国も独自の規制を導入し
、各地に「データ経済圏」が乱立しかねない状況のため、関連規制の擦り合わせなど、デー
タを巡る外交戦略が重要になってきます。

 経産省によると、2017年度ファッション分野の電子商取引(EC)の市場規模は、1兆6,454
憶円で、13年度比41%増えています。
18年10月 〇 モデルベース開発(MBD:model based development)

 コンピューターによるシミュレーションを積極的に取り入れた製品開発の手法です。
従来、実物の試作品などで行われていた動作や性能の検証をコンピューター上でモデル化し てシミュレーションを行い、製品開発の期間短縮や高効率化を図ります。
特に、自動車開発の分野で広く用いられています。

 似た様な言葉に、ソフトウェア開発手法で、小単位で実装とテストを繰り返して開発を進 める「アジャイル開発」や要件定義の段階で、最低限の機能を実装したプロトタイプを作成するプロトタイプ開発などがあります。
〇 D2C(Direct to Consumer)

 D2Cは実店舗を持たずネット限定で商品を販売するビジネス形態。中間業者や店舗の運営
費用を削減して質の高い商品を手ごろな価格で提供します。

インスタグラムなどSNSを駆使し、最小限の広告費用でブランドの認知度を高めています 。
米国で約5年前から始まり、日本でもここ2年でD2Cをうたうブランドが増えてきています。

 最近、新興ネットアパレルでは活況を呈しており、一般的アパレルの原価は概ね2〜3割に対し、D2Cネットアパレルの場合は、原価率7割でも採算が合う場合が多いです。

 経産省によると、2017年度ファッション分野の電子商取引(EC)の市場規模は、1兆6,454
憶円で、13年度比41%増えています。
18年9月 〇 アドテクノロジー(ad technology

 アドテクノロジーとは、別名アドバタイジングテクノロジー(advertising technology)ともいい、文字通り広告(advertising)の技術であり、インターネット広告の配信およびその最適化に利用される技術の総称です。

 アドテクノロジーの語が指す範囲は幅広く、広告配信および広告流通に関連する技術はすべてアドテクノロジーに該当します。
代表的なアドテクノロジーとしてはアドネットワーク、アドエクスチェンジ、行動ターゲティング広告、リターゲティング広告、DSP(Demand Side Platform)、SSP(Supply Side Platform)、RTB(Real Time Bidding)、DMP(Data Management Platform)、第三者配信(3PAS)などが挙げられます。

 電通などによると国内のネット広告市場は2018年に1兆439億円と前年から2割増える見通しで、このうち行動ターゲティング広告の比率は初めて8割の1兆1000億円まで拡大する見通しです。ネット広告全体では地上波TVの8割に迫る勢いです。
〇 サンドボックス制度(regulatory sandbox system)

 ドローンや自動走行などの革新的技術・サービスを事業化する目的で、地域限定や期間限定で現行法の規制を一時的に停止する制度です。
サンドボックスsandboxは英語で砂場を意味し、子供が小さな失敗をものともせずに自由に砂遊びするように、企業が制約にとらわれずに革新的技術の事業化に向けて試行錯誤できるところから命名されました。「日本版レギュラトリー・サンドボックス」「規制の砂場」ともよばれます。
ドローン、自動走行、フィンテック、人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)、ロボットなど既存の法律では想定していない革新的技術が相次いで誕生していますが、その実用化には既存の法律や規制が足かせになるケースが多いことから、安全な実証環境を提供して技術革新の加速をうながすねらいがあります。

 なお、このサンドボックス制度は、安倍政権が成長戦略の一環として、2017年に国家戦略特区法や構造改革特区法を改正し2018年度から導入されています。
18年8月 〇 りんな変換

 ”りんな”とは、マイクロソフトが開発した会話用チャットボットです。チャットボットとは、人間と会話するために開発されたAIのソフトです。

 この”りんな”の会話を取り込んだのが”りんな変換”です。ユーザーが読みを入力すると、予測候補に”りんな”がおしゃべりするような候補が表示されます。2018年4月に提供開始され、Win10のバージョン1803から利用可能になりました。その設定の初期は無効となっていますので、設定のチェックを入れる必要があります。

 なお、”りんな”は、東京生まれの女子高校生という設定でLINEなどにも登場し、あたかも女子高校生と自然な会話ができるとして話題になりました。

〇 サブスクリブションモデル

 サブスクリブションモデルとは、利用期間に対して支払いをする形式のことです。「月額制」や「年額制」などの料金設定がこのモデルにあたります。企業としては安定した収益を見込むことができます。

 サブスクリプション方式については、本サイトで、ソフトウェアの利用形式の一形態としてその用語を取り上げましたが、現在では、音楽、動画などデジタル系のサービスではもう当たり前となっていおり、一般化しています。

 現在、このサブスクリプション型モデルが人々の購買行動に転換をもたらそうとしています。自動車、洋服、コスメなど「非デジタル」なプロダクトにもこのモデルが取り入れられるようになっています。

18年7月 〇 USBドングル

 ドングル(Dongle)とは、コンピューターのUSBポートやパラレルポートなど各ポートに接続する装置の総称です。主に、プロテクトドングルと呼ばれる、ソフトウェアの違法コピーを防止する目的で作られたドングルを指す場合が多いです。

ソフトウェアに同梱されているドングルをパソコンへ接続しなければ、ソフトウェアを使用することができない仕様となっているものがあります。その際、ドングルはユーザーライセンス認証の役割を担っています。

〇 ダイナミックプライシング

 需要と供給の状況に応じて価格やをリアルタイムで変動させる技術やサービスのことです。利益最大化を目的にしたレベニューマネジメントの一つです。
需要が集中する時期は価格を上げて需要を抑え、閑散期は値下げして喚起します。航空やホテルの価格決めに導入され、電気料金での活用が検討されています。AIの予測精度が上がっており、様々な産業で広がる見込みです。
18年6月 〇 +メッセージ

 株式会社NTTドコモ、KDDI株式会社、ソフトバンク株式会社の3社が2018年5月にスマートフォン、タブレットを利用するユーザー向けに開始したメッセージサービスで、対象となる通信事業者のユーザー同士であれば携帯電話番号だけでチャット形式のやり取りができるサービスです。

従来のSMS(ショートメッセージサービス)でも他社の携帯電話番号宛てに最大全角70文字のテキストと絵文字を1通3円程度の料金で送受信することができましたが、このサービスでは最大全角2,730文字のメッセージ交換、写真・動画・専用スタンプの送受信、グループトークなどがパケット通信料のみで利用可能となります。

携帯電話番号を知っていれば相手とやり取りができるため、LINEやフェイスブックのメッセンジャーのように、あらかじめ相手と友だちになっておく必要はありません。

〇 持分法適用会社

 連結財務諸表上、持分法の適用対象となる関連会社のことを持分法適用会社といいます。 連結財務諸表の処理では持分法適用会社は、連結子会社とは異なり財務諸表を合算することはなく、議決権所有企業の持ち株比率に応じて「投資有価証券」の勘定項目に被所有会社の損益等を反映させるように数値を修正するだけになります。

 2018年5月にソフトバンク傘下のスプリントとドイツテレコムが5Gを見据え合併に合意し、ソフトバンクの持ち分比率が下がり持分法適用会社となります。これにより、懸案の有利子負債と利払い費が和らぐ見通しとなります。
18年5月 〇 データ・ローカライゼーション
   (Data Localization)


  ネット上のサービスに対し「そのサービスを実行する物理的なサーバはサービス対象国で運用しなければなない」という規制のことです。言い換えると、「サービス提供に必要なデータはすべてその対象国内に存在しなければなならい」規則といえます。

ビジネスへの影響としては、その国で新規にサービスを行う際は、物理的なサーバをその国に置かなければならないということです。また、オフショア開発(海外にソフト開発をアウトソースすること)する際も、物理的なサーバはオフショア化できないことです。

注意点として、このサービスには社内イントラのような従業員向けサービスも含まれる点であり、「社員データベースのようなイントラサービスについても各国単位で配置が必要」というのがこの規則のポイントになります。

この規制の目的は個人データの保護でになります。つまり、国によってはデータ保護のルールが脆弱であり、個人データをそのような国に移転させることは、大きなリスクとなります。そのため、様々な国では、データの越境移転を制限する規制が存在することになります。

〇 レベニューマネージメント

  レベニュー(revenue)とは、そもそも(税金などによる国の)歳入、(国家・団体・個人などの)総収入、総所得、(土地・財産などからの)収益、収入などを意味しますが、そこで、レベニューマネジメントとは固定費としてコストが日々発生し、その在庫を翌日に繰り越せないビジネスにおいて、需要を予測して収入(レベニュー)の最大化を目ざし、適切な販売管理を行うことを意味しています。

 レベニューマネジメントは、顧客に提供できる供給量に制約のあるサービス業で採用されており、ホテル業界や航空業界で良く採用している施策です。ホテルの場合、宿泊時期や予約のタイミングによって料金を変動させ、長期的に決った固定費の中で売上高の最大化を図っていいます。

18年  4月 〇 フィルターバブル(filter bubble)

 インターネットで、利用者が好ましいと思う情報ばかりが選択的に提示されてしまう現象のことです。

サーチエンジンなどの学習機能によって、利用者の望む情報が優先され、望まない情報から遠ざけられることにより、自身の作り出したフィルターで泡のように包まれて、思想的に社会から孤立する様を表します。
米国の活動家イーライ=パリサーが自著で用いた造語です。
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