任務遂行当日、すでに格納庫にはジンが配備されあとは時間を待つだけ。
パイロットは最終確認をしていた。

「ディアッカ!」
格納庫の出入り口付近にもたれて相変わらずイザークの行動を目で追ってたらしいディアッカに声をかける

「んっ?」
「“んっ”じゃない!昨日からいったいなんだ?言いたいことがあるならはっきり言え!」
「言いたいこと…ねぇ」
かなりお冠のご様子。とりあえず、イザークの側に行かないと逆に突っ込んできそうな雰囲気。
「で、なんだ?」
「いや、軍に入って初めて離れ離れだなぁって」
「…軍にいるのに、ずっと一緒なんてありえる訳ないだろう。バカか?」
「バカって。あのさぁ、離れて寂しいって思うの俺だけ?」
と、覗き込むようにイザークの顔を見る。
「…っ」
意外な反応真っ赤になって俯く。
「本当はさ、行かせたくないんだよね。俺の目の届かないところに行ってほしくない。」
ぎゅっとイザークの腕をつかむ。
「無理言うなよ。」
「わかってる、言ってみただけ。昨日からさ色々考えてたんだけど、結局さ俺が今出来るのはイザークを待つしかないってこと。
だから、ちゃんと戻ってきて」

俯いてた顔を上げて、まっすぐにディアッカを見て
「あぁ、一応帰還までが任務だからな」
「帰還…ってそうじゃなくてさも。戻ってきてってのは」
「だから、ここに帰還すればいいんだろう?」
何言ってるんだと小首を傾げられる。

周りにいた連中はその意図が分かったらしく“頑張れ”とまで野次を飛ばされる。
どうせイザークとの関係はほとんどバレているに等しい。(イザーク本人はバレて無いと思ってるみたいだが)

と、頭上のコックピットからひょっこり顔を出してラスティがトドメとばかりの言葉を投げかける。
「イザークは鈍いんだから遠まわしじゃわかんないよ、ディアッカ。」
「誰が、鈍いって!帰還するのはここでいいんだろうが!!」
「だ〜か〜ら」
ラスティの方を向いていて文句を言っているイザークの頭を自分の胸に抱き寄せて
「お前が戻るのは、ここ」
「!」

一瞬目を見開いて、ビックリするが、−戻る場所―が分かって
耳に届くディアッカの心音が意外に早くて…キュッとディアッカの服を握る。
「…わかった。ちゃんと帰るから」
「無理はするなよ。俺が待ってるってこと覚えてて」
今度はしっかりと、自分よりほんの少し小さな身体を抱きしめる。
本当はこのままずっと抱きしめていたいけど、時間もせまっていた。
名残惜しむように額にキスを落として身体を離す
「気をつけろよ」


“じゃあ”とイザークの側から離れようとした時突然腕をつかまれて引き寄せられる。
そして、イザークから触れるだけのキス。

「行ってくる、ちゃんと待ってろよ」
普段はあまり見ない穏やかな笑みを見せて――
そして、ディアッカから離れコックピットへと向かう。
驚いたなんてものではなかった、人前で触れられるのも嫌がるのにこんな公衆の面前で
しかもイザークから周りの連中もあっけに取られた感じだったが、先程のように野次は飛ばしてこなかった。
いくら輸送艦の護衛といってもまったく安全と言うわけじゃない――
それがわかっているから、イザークのその行動に冷やかしの言葉なんて言えなかった。その想いがわかっていたから。

軽く触れた唇から想いは伝わってきたから。
――だから、イザークが帰って来る場所でいられる。

大切な人がいる――戦争の時代においてそれがいいのか悪いのか。

それは分からないけど。
少なくとも自分には…自分たちにはそれが力になる
守る人、守られる人ではなく対等に、同じ位置でいられる。

帰ってきたらどんな風に出迎えてやるか
「不意打ちくらっちゃったからねぇ」
クスクスと笑いながらディアッカは格納庫を後にした――


初の短編です。幼少の頃もいいんだけどやっぱりザフトに居た頃が一番好きvv
もちろんこの後無事ディアッカの元に帰還いたしますv


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