*2005年3月のワタクシ。*

 

3/1

やれやれ、またしても一日遅れで原稿が完成。
「ネームを先に送れば2/28まで待てます」と言われて、結局28日に「もう一晩!」と泣きを入れて延ばしてもらった。ああ…。
お陰様で、少し寝られたので、原稿を届けに行った帰りがけにいっぱい寄り道をした。

出版社のある上野は美術館だらけなんだが、少し電車で移動して、今回は両国の江戸東京博物館エミ−ル・ガレ展を観に行く。

キレイな物がいっぱい。
有名なのは、とにかくアール・ヌーボーのガラス器で、それはそれは見ごたえがあって素敵だったのはもちろんだけど、意外にも陶器も多数展示されていて、こちらはむしろ悪趣味が際立って面白い。 (だいたいアール・ヌーボーって、悪趣味ギリギリだしね…笑)
ガラス器製造・装飾のテクニックの解説や、ガレの手によるデザイン画の展示等も興味深い。作品解説も分かりやすくまとめてあって、入り口からガレの58年の人生(白血病で亡くなったんだそうだ)をたどれるようになっている。
ガラス作品の、次第に洗練されていく流れがとても心地良く、最後に遺作である「手」(写真・色が悪いよ!)が登場するに至って、「ついにここまで来たか」という感慨めいた物すら感じてしまった。一本のドラマを見せてもらった気分。

しかし最後がいただけない。
ガレの没後、残されたアトリエでスゴ腕の職人達がガレのデザインで大量生産(と、言ってもさ程の数ではないだろうが…)の品を売るようになる。
展示会場の最後のコーナーを回ると、そこにズラリと並べられているのは、その「大量生産品」。あらら、なんて興醒めな演出!?
大量生産の商品を展示するなら、最後じゃなくて最初でしょうが。
作家の人生と共に盛り上がり、遺作によって昇華された感動が水の泡。
それほどに、その落差は明白で、そういう意味では作家の価値の再認識にはなるけれど。
デザインはまさしくガレの手による物であり、元々ガラスを扱っていたのは同じ職人達。例えば単品でショーケースや、あるいは美術館の展示でも、「本物」の作品が横になければ、「わーキレイ!」と心から言ったに違い無いレベルの物ではある。
でもね、並ぶとね、本当、痛いくらい、違うのよ。
なんというか、「ただの物」になっちゃってるな、と思い、ではガレの作品は、なに?と考えた。生き物に近い、という気がする。

 

特設会場を出て、美術館内のレストランで昼食。
実はウッカリして、財布の中身がとっても乏しい。
入場料を払ったら、千円札が一枚になってしまった。
比較的安い天ぷら蕎麦を頼む。
出て来たモノを見て、独り心で爆笑してしまった。
先日友人の脚本家・光益公映氏がブログで書いていたまんまのモノが出て来たんであった。(「蓮華…」の稿参照)
すなわち、「でかくて重い片手で持てない丼に、レンゲが添えてある」という野暮の極み的な外観。しかも、ゴロンと乗ってる海老天の横には、ワカメが盛ってある
ここは両国、おまけに江戸東京博物館ではないか。少し雰囲気考えたらいいのに…。

もう一つ。
色々言われる(思われる)のは分かっているけど、やっぱり書く。
江戸東京博物館は入り口近くに「授乳室」なるものが設けられている。
なんじゃあそりゃあ。
一抹の不安を抱えつつ展示会場へ向かったら、本当にいた。赤子連れ、と言うかベビーカーごと持ち込んでる、若い母親。
結構混んでる会場内には、ずっと赤子の「だーだー、ぶーぶー、ぴーぎゃー」が響き渡っていた。なんじゃあこりゃあ。
美術館や図書館というのは、そもそも静かが基本の場所だったはず。
今でも、じっさいに「普通」程度の音量で話し合っていれば係員に注意されるし、ウッカリ携帯なんぞ鳴らしたひには没収されそうな勢いだ。当然でしょう。
いや、当然だと思っていた。
入り口前に授乳室の看板をでかでかと掲げる、という事は、「赤ちゃん連れでおいでください」という意思表示だよね。もう一度、なんじゃあそりゃあ。

 

渋谷に戻って、お金を引き落とし、 東急ハンズへ。
お目当ては、浴槽に沈めておくとお湯が冷めない、というグッズ。
うちのお風呂は湧かし直しができないユニットバスなので、以前一つ買って使ってみた。
電子レンジで10分チンして使うタイプ。
冷めるペースは遅くなるが、あまり使い勝手が宜しく無いし、もう寿命らしいので、今度は電源を繋ぐタイプの物を使ってみようかな、と思って来たんだけど。
5万3千円。高いわ。
高いので、もう少し考える事にして、アロマオイルだの小物をポンポン買ってたら、サ−ビス券を使うのを忘れてた。残念!3月末が期限なのに。
駅へ戻る途中の生地屋でパジャマ2着分を買い、気が付けば大荷物。

今日は本当は、もう一つお目当てがあった。
下北沢で「青池保子原画展」をやっているのよ。
北口前のピーコックの3階。(本屋さんだったなんて知らなかった…)
最新単行本の生原稿がガラスケースに入って並べられていた。
単行本の表紙と背表紙のカラーイラストも。
うわわー、目が潰れそう!な美しくも細かい原稿。
己の不甲斐無さを痛感するひととき。
ワタクシ、心得違いをしておりました。
マンガってこうも密度と完成度の高い物(もある)なのよね………。
3月半ば頃までやってるらしい、入場無料。オススメです。

さて。
コ−ヒ−飲んで、帰って一泳ぎしようか、と思ったんだが、蕎麦食いながら思い出した光益さんはこの近所に住んでいるので、電話してみた。
暇だというのでプールはやめにして(疲れたし…)久しぶりに一緒に飲んだ。
映画「さくや」はDVDが物凄く売れた大ヒットだったんだが、なかなか次の仕事に繋がらないらしい。でも「新・さくや妖怪伝〜さまよえるオランダ船の伝説」の小説を書き下ろしで書いていて、一冊持って来てくれた。買ってなくてすんません、ありがとう。
今3分の1位読んだ所。なかなかスケールが大きくて楽しい。
次の依頼が「闘病モノ」だと言ったら、早速難病の紹介とかしてくれた、ありがたや。
仕事が終わって飲む酒のウマイ事ったらありゃあしない。
別れ際に「仕事明けに良く飲むよね」と呆れたように言われて、そう言えば疲れてるんだよな、と思い出した。
家にたどり付いたら0時を回っていた。
寝るぞ!

 

3/5

マツケンサンバを観た。

心配した雪も殆ど溶けて、今日はそれ程激寒でもないみたい。
中野サンプラザで開場は6時。チケットを取ってくれた友人てふてふさんと渋谷で待ち合わせの約束。
逆算して、プールで一泳ぎして直接出かける事にして、水着と下着と化粧道具一式持ってスッピンにベロアのワンピースという変な姿でスポーツクラブへ向かう。
途中、コート(膝丈ギリギリくらいのハーフコート)の下がなんかゴソゴソするので「?」と見たら、ワンピースの裾が摩擦でたくし上がっている!慌てて裾を引っ張っても、乾燥のせいか静電気でベロアが磁石状態になって身体にまとわりついていて、なかなか引き剥がす事ができない。人通りの無い時を狙ってコートの裾に手を突っ込んでやっとの思いで整えても、数歩歩くとまたずり上がって来る。
すぐ泳ぐのだからと、実はスリップを着ないで(鞄に丸めて突っ込んで)来たんだが、そうか。スリップってこういう役に立っていたのね(笑)。
泳いだ後は、ちゃんと下に着て歩いたら、大丈夫でした。

化粧の時間をプラスして、いつもより早めにプールからあがり、シャワーを終えて髪にドライヤーを当てている時、突然思い出した。
チケットを持って来ていない!!
うわぁ。
プールから家までは10分程度だが、駅へは反対方向になってしまう。だいたい20分のロスタイム。焦って身支度、引き返して、チケットを持って駅へ向かう頃には、寒空に汗だく。

すっかり疲れて電車に乗って、また気が付いた。
…この(静電気の溜る)ワンピースは、一昨年秋のショーケンのコンサート(今どうしてるの…泣)に着て行ったもの。同行者は今日と同じ、てふてふさんだった!
うわぁ。年に2、3回しか会わない人と、同じ服着て会ってしまう。しかもワンピ。不覚。

 

まあ私の衣装なんかはどーでもいい訳で、無事中野サンプラザに到着。
ロビーのグッズ販売所は黒山の人だかり。オリジナルグッズが山積み。ラメラメのハッピ、団扇に扇子、バックダンサーが持ってるみたいなキラキラの房が付いた棒は、中に電球が仕込んであって点滅する。売店横では、ショーケースに入ったマツケンフィギアがくるくる回っている。タッキーからの花環も飾られてる。
てふてふさんは何か買いたそうにしていたが、とても割って入れる状態じゃない。
「いいわ、8日のドームならもっと売店も広いだろうから、そっちで買う」えっ。
東京ドームも行くんかいっ!?実はかなりのコアなファンらしい。
買い物は一旦あきらめて席へ向かうと、中央右寄り、前から12列くらいのすごいいい席。
客層に興味津々だったんだが、前にズラリと並ぶはキレイドコロのお姐さん(と、お婆さん)方、右隣は地味〜な老夫婦(スタンディングに耐えられるのか!?)、後ろの二人は若くて始まる前から異常興奮気味。通路を隔てて左側は、一見して筋金入ってる感じの、おそらくは昔ながらのファンクラブ一同。綺麗なママさん風がお着物の上に例のラメラメハッピを羽織っていたりする。迫力!

幕が開く前から物凄い面白かったんだが、いよいよ開幕、いやぁ、ハデハデ。
いきなりオーロラカラーのラメ着物だものー。
衣装も舞台装置も小道具も、みーんなキラキラのラメラメで、目がハレーション起こしそう、マジ目が疲れた(笑)。
コンサートと言っても寸劇程度は入るのかと思って来たが、今回は本気で歌と踊りのみだった。あとMCが少々、マツケンさんは、なかなか話もうまくて面白い、サスガはベテラン。
曲はアップテンポの物と演歌調が半々位かな。美声ではないが、なかなか良く伸びる声で、これまた危な気が無く、サスガはベテラン。
右隣の老夫婦は(ちょっと心配したけど)本当にファンだったようで、すごく楽しそうにしていた。さすがにラストで皆が立ち上がった時には付き合い切れない、といった感じで、椅子を畳んで高くした上に腰掛けてしのいでいたけど。
前と左側の綺麗なお姐さん、おばさん、お婆さん、(着物、ドレス姿が多く、本当にキラビヤカ!)そして少数ながら紳士達(ナニモノ!?という紳士風多数)のテンションも凄い。手に手に例のキラキラ棒を持って振り回し、スローな曲では揺れている。
幕が開いた時からなんか空調がキツイなーと思ったら、後ろの二人が団扇を振り回している風だった。少し気ィ使って扇げや、と思ったけど、会場はすぐ熱気のるつぼと化したので、涼しかったわ、ありがとう(笑)。
でもさぁ、若いと言っても20台後半(27歳らしい)、マツケンが女性ダンサーとからむたびに「いや〜ん」「ずるいー」とかはやめろや。なんか違うぞ、と。
途中ダンサーの男性が中央階段で滑ってカツラがズレるという超おいしいアクシデントもあり、退屈しない2時間でした。
お年寄りも多いのに、オールスタンディングになっちゃったらどないしょう、と心配してたんだけど、ポッと出の若い客は比較的後ろの方に多く(我々より前は、殆ど古参のファンクラブ会員と思われる)会場全体が立ち上がったのはアンコールの「マツケンサンバ2」のみ。これ位がよろしいかと。しかし皆振り付け覚えてるのよ!
アンコールの合間に後ろを振り返ったら、凄い騒ぎになっていてたまげた、みんな発光棒振ってる!前の席の玄人っぽいお姐さん達も、2階席の盛り上がりを口を開けて見上げていた(笑)。

友人のてふてふさんは、3日後のドームにはハッピを着て行くそうな。
そう言えば昔から、打ち込むタイプだったなあ(笑)。
「不景気で仕事は皆明日をも知れないし、北朝鮮はミサイルで狙ってるし、堤だって2代で終わっちゃうし。平成の‘ええじゃないか’だから。」なるほどね、説得力あるわ。

 

3/6

平成のええじゃないかの翌日は、母校の大学のマン研の「追い出しコンパ」にお邪魔。
午後2時から、というので、モタモタしていて今日は泳げなかった。
いつもおバカに付き合ってくれるR子さんが不調のため、2年先輩でレディスマンガ家のN先輩と行く。
いただいたお誘いメールには「会場は生協前広場、雨天決行」え!?
この寒いのに野外で宴会?と思ったけど、行ってみて思い出した、生協前広場は壁こそ無いけど屋根はちゃんとあるんでした。
ベニヤで風避けも作ってあり、シートの下はダンボ−ル敷き。電気は入ってないけどコタツが中央に据えられていて、携帯式コンロの上には巨大な鍋でカレーが煮えている。
う〜ん、懐かしい、このえーかげんな雰囲気。タイムスリップ気分。

道程長かったので、トイレに行って戻って来ると、途中の道端で数人が立ち話をしており、N先輩もその中にいるので聞いてみると、去年当たりの卒業生らしきハンサムなお兄さんが、在部生を叱っているところだった。
コミケに出店できなくなったとか、そんな内容。コミケの仕組みは私は全く分からないんだが、懐かしい〜、この雰囲気(笑)。青春ぽいです。
しばらく聞いていたら、今度は今日の段取りが悪い話になった。
こっちは少し分かる。最初の連絡では5日に集会室、という話だったのが、直前に6日生協前広場に変更になったんだった(おかげで私はマツケンとカブらずに来れたんだが)。
しばらく立って話を聞いていたが、寒いし飽きたのでNさんと会場へ戻る。♪OBは気楽な商売と来たもんだ♪

寒いので中央コタツに入ると、同期のK君、T君が先にくつろいでいる。
なんかカレーの匂いが怪しいのでお玉でかき混ぜると底にこびり着き始めている、「焦げるよ−」と言いながら混ぜていたら、もう一方の手に持ってた鍋蓋がコートに触れて、ギャー!!アイボリーのコートの胸に、カレーがくっ付いている!!
蓋とお玉を放り出して、先程行ったトイレへシミ抜きに走る。
まだお話は続いているらしく、深刻な顔のOB君と在部生達の脇を走り抜けて行く。
幸い手洗い場には固形石鹸が据え付けてあり、黄色い色はすぐに落ちた、ヨカッター!!
濡れたコートを抱えて戻ると、お話はまだ続いている。
会場では乾杯が済んで、宴会が始まっている。寒いけど、ビール!
カレーが配られ、K君の差し入れのカニや、卒業生の女の子が作って来たというフキノトウの天麩羅(感動!)、みんなおいしかったー。カニの甲羅で手を切ったけど(怪我が多いのよ…)。

卒業生追い出しコンパってなモンで、今年卒業する各人にお祝品贈呈のイベント等があり、なんだか本当に、こういうのって卒業すると無い感覚だよなあ、としみじみ。
「懐かしいって、そんなにいい事?」って、クレヨンしんちゃんに聞かれちゃうかも(笑)。今日の私は頷いてしまうかもしれないな。
マン研の会誌をいただき、携帯を落として見つけてもらい、現役の男の子の腹筋が割れているというので触らせてもらい(なんか酒飲むと人様の腹筋を触ってしまうんです…)、そんなこんな、宴会は大盛況、日曜日だから他に殆ど人影も無く、貸し切り状態。
N先輩が途中「寒いから帰る」と行ってしまった。
実はもう一人、今日来たがっていたF君が、途中で合流したいというので私は連絡係になってしまって、抜けられない。
そろそろお開きにして別会場へ、と言い出した6時頃、F君は最寄り駅に到着、メールが入る。(便利な世の中になったもんじゃ、かえって忙しくなった気もするが…)
駅前でF君を拾って、2次回のカラオケBOXへ…という流れなんだが、個室でソファに座ったら疲れを感じた(当たり前だ…)。
F君も無事合流したし、2連チャンでオ−バ−ワ−ク気味。先に抜けさせてもらいました。
…それにしても、マン研とはいえ、現役学生(20歳くらい?)が「宇宙戦艦ヤマト」だもんなあ。ビックリ。聞いてみたら「親の影響で…」おお。そうでしょうとも。

 

3/16

確定申告終了!!

あー、慣れない脳味噌使うと疲れるっつーか、本当に毎年来年はちゃんとするぞって思う(んだけどできない)…。
あと、毎年次は青色にしようかな、って思うんだけど、帳面つける自信が無くて踏み切れないっ!
いえね、タダの心配性じゃないの、以前、もう10年位前、2年間程青色申告やってた時期があるんだけど、もう本当地獄の責め苦だったのさ。
恥ずかしながら私って、家計簿とかもつけた事無いの!
だって、片付けられない女なんだもんー。
整理整頓というのは脳の問題で、部屋が散らかるのも書類整理ができないのも同次元。
で、今私はクタクタな訳です、白色申告でさえも。

金曜日にシナリオの集まりに出て、その足で実家に帰り、確定申告の書類を書いた。
住民票は実家に置いたままなので、申告用紙も実家に届く。
店鋪経営の母も、こちらは青色申告。3年前父が他界して以来、不動産関係もやらねばならないのでテンパッている。
週末と月曜日を、母娘共申告用紙とニラメッコで過ごした。
日曜日の夜、すっかり治ったと思っていた右足首が、何となく痛い気がしたが、よく月曜の朝起きてみたら、本格的に痛みがぶり返してしている!
なんなんだ、今年な入った頃から殆ど痛まなくなっていたのに、ストレス!?とか思って湿布を貼っていたら、母も「中指が痛い」と言い出した。
二人共、ぶつけたとか、ひねったとか、そういう覚えは全く無し。
知恵熱みたいな物だろうか、なにしろ痛い。

いざ書類作成となってから、出版社から送られて来る源泉徴収表が一枚足りないとか、保険の支払い証明書が見当たらないとか、母娘で大騒ぎの末、なんとか全て揃って完成したのが今日の昼。
今日、とは、つまり確定申告の締切り日。
つくづく、ギリギリにならないと仕事ができない体質?なのね。
これも母譲りかも、なんて思ったりして。
正直母は私よりひどくて、最後は夜も殆ど寝られず、ワケが分からなくなってあきらめて寝た、という、まさに締切り前の私状態。
今朝突然「新聞に載ってるパズル、解いた?」と聞いて来た。
母がパズル好きなのを知っているので、私は手を出さないようにしているんだが、何かと思ったら「2、3問解けないからあきらめて寝たつもりだったのに、翌朝見たら全部解けていた」だって。
かーちゃん。ついに生き霊と化したか。

母は店があるので、私が二人分の申告書を持って税務署に届けに行く。
足が痛いが仕方無い。
税務署は、実家から近いがものすごく不便な所にあって、乗り物が使えない。
山越えして徒歩30〜40分。
去年も、一昨年も、道に迷った。
毎年だけど年に一度きりしか行かない道だから、案の定今年も迷った。足痛いのに!
今年は梅が遅いな、と思っていたら、去年は満開だった桃の木が、全然開いていなかった。
やっぱり寒かったのかなあ。
とは言え今日は日射しが強く、セーターを脱いでも汗をかきジャケットも脱いで歩いた、大荷物。足が痛くなったのでスニーカーを履いて、履いて来たブーツは紙袋に入れて持ち、たださえ大荷物なのに。足痛いのに。
やっと税務署に着いたら入り口でビラを渡された、大荷物の上持参した書類を出さねばならないのに、ナゼこんなタイミングで両手をふさぐ!?と、憤りつつビラを読むと、「来年度は税制改革に伴い本年よりさらに混雑が予想されます」。要するにギリギリに持って来たんでウラミゴトな訳ね。気持ちは分かるけどさぁ。

帰り道で映画を観るか、渋谷まで出てBunkamuraの展覧会に行くか、それとも鎌田で生地を買うか…なんて考えていたんだが、荷物は多いし足が本当に痛くなって来たんで、もう寄り道はやめた。
このところ、すっかり首の調整になっていた整体へ電話して、足首痛くなっちゃったんですけどー、と言って診てもらう。
右側が背中から堅くなってる、と言われた。
なんだろう…変わった事と言ったら、本当に確定申告くらいしか、してないのに。
やはり知恵熱みたいなモンなんだろーか。

 

3/17

ミュシャ展に行った。
あいにくの雨、しかし花粉症には救いの雨か?
午後2時に上野駅集合、友人二人と都美術館へ。

平日の昼間、悪天候にもかかわらず、すごい人出!入り口から圧倒されてしまった。
デザイン化されたお馴染みの完成作品と、パステルによる下絵(と言っても殆ど絵画になっている状態)が並ぶ。
少し意外と言うか、とても好感を持ってしまったんだけど、すごく下絵を描く人なんだな、と思った。
有名なアール・ヌーボー調の絵は美しいけれど、まあパターンは決まっているし、(今となっては)類型的に見えなくもない。
でも、そこに行き着くまでに、積み上げられる数々のポージング(後半は写真も多用)、エスキース、スケッチ、そして絵画的表現によるかなり精密な下絵があって、初めて完成スタイルにはめ込まれて行く、という過程が良く分かって、画家の生真面目さに触れた気がした。
ミュシャ風を描く人は多くても、美しさではやはりミュシャが一番なのは、この積み重ねがあったればこそ。
と、勝手に悦に入る私であった(笑)。
夏には大好きなギュスターヴ・モローが来る。彼も、同一テーマで膨大なエスキースを描き残し、さらに水彩画、油彩画と、何度も作品を積み重ねた画家だ。
気になるテーマを掌でころがす楽しさ、形が心に近付いて来る気持ち良さ。
ヒラメキを描き殴るタイプの作家は、私は好まない。

ところで。
ア−ル・ヌ−ボ−調の美しく装飾的なポスタ−画しか知らなかったんだが、ミュシャは実は、かなりの数のパステル画や油彩画を残している。
先に述べた、ポスタ−画の下絵としてではなくて、独立した絵画としての絵だ。
それがさ(笑)。何と言うか、ヘンなのよ。
薬でもやってるんかい、と言いたくなる、マカ不思議世界。
幻想的と言うには、あまりにも美的でない(ミュシャなのに!)、殆ど何が描かれているのか分からないようなのまである。まるで心霊写真、いやマジで。
皆が知ってる、ち密で完成度の高い商品を追求するかたわらで、時折感性の爆発に身を任せる。
そうやってガス抜きして、バランスを保っていたんだろうか。
ますますミュシャが好きになった。

ミュシャはおフランスのイメージが強いけど、チェコの出身。
晩年は国に戻り、教会のステンドグラスのデザインや、役所関係の壁画なんか描いてて、いわば文化人、色々大変な祖国に貢献したらしい。
正直、この時代の油彩画にはあまり魅力は無いが、人生としてはなかなか素敵なんじゃないだろうか。晩婚で生まれた娘を絵のモデルに使ったりして、その子がえらい美少女だったりもする。
あーだこーだ言いながら、混んでる中夢中で観て回ったら、3時間がアッと言う間で、閉館時間ギリギリになってしまった。
今度の日曜で終わっちゃうけど、観てほしいなあ、すごくいい展覧会でした。
東京の後名古屋、浜松、松江、大阪を回るみたいです。

 

3/22

ところで花粉、凄くない!?
抗アレルギー剤、飲んでるのに。目薬も、鼻の穴に塗る軟膏も、もちろんマスクも使ってるのに。
実家に帰る週末は、とってもキツイ。
だって家の中、花粉だらけなんだもん。
悔しい事に、我が家で花粉症は私一人。
そんな事を主張しようものなら「規則正しい生活をしないからだ」と言われるのがオチだが、こちらの苦しみを全く汲んでくれないのよ。
この週末で、すっかり悪化してしまった。

さらに、ところで。
ダイエットの経過報告も入れておこう。
2月頭に「始めるかー」と思って、2週間で2Kgスルリッと落ちて、その後少し」ゆっくり1Kg落ちたあたりで締切りが迫り、2、3日それどころじゃねー!生活をしたら2Kg近く戻ってしまった。締切り終わって20日ばかりの現在、変動はあるけど3〜3.5Kg減の状態。
締切り近辺と、ネ−ム中は、どうしても食べ物が暴力的になっちゃうんだよなぁ。
ちゃんと作って、3食食べる、米も肉も甘い物も禁じない、野菜を多めに、夜は軽めに。
この年齢になると、マジ骨粗鬆症とかコワイので、自分に「どう、どう」って言いながらやってます、気が短いので、つい走ってしまうから。
当初の目標では、あと4ヶ月で1.5〜2Kg。いけるとは思うけど、あまり劇的じゃなくてつまんないかも(笑)。
ああ、こうやって、やり過ぎてしまうのね。
一応夏までやってみて、目標クリアしててもまだやりたければ継続して落とそう。

 

3/26

劇団☆新感線公演「荒神〜AraJinn〜」を観た。

今回、客演が田辺誠一。全く個人的に諸事情あって、とっても楽しみ。
土曜日なので2回公演の、昼の部、一時からの会。
暖かいので、冬の間中履いてたブーツをやめて久々、パンプスを履いて出かける。
あー、春っていいなぁ。
花粉症だけどさ。
渋谷から宮益坂を登って青山劇場へ向かう途中、卒業式なのか、袴姿の若いお嬢さん達をいっぱい見かけた。やっぱりいいなあ、春。

席は前から15列目位でド真ん中、視力が不足で舞台上の顔がやっと見える距離だが、全体が一目で見渡せるいい席だ。
芝居は、このところ再演ものが多い中、完全な新作。
日本の時代劇に魔法のランプが登場、魔物と人が入り乱れて…と、いう、「ザ・新感線」な企画。
…でも、なんかチョイ地味な印象、と思ったら、ダンスが殆ど入ってないんであった。(だから短いのね。)従って音楽も控えめ、ちょっと寂しい。
ランプの精役の森田剛君の衣装は、真っ赤なタキシード。Oh!ジャニーズ!!
小柄で色黒で、身が軽い。声が意外に太い。なるほど、妖怪と言うより「魔物」がピッタリ。
川原正嗣さんの立ち回りもタップリ堪能、も、ホンットーに、惚れ惚れしまっせ。
…でも私のお目当ては、あくまでも田辺誠一様。
ものすごく劇団☆新感線らしい役だ。
スラリとした長身に、ギンギラの侍装束がお似合い。怪しいいや妖しくも麗しい。
適度な軽さと暗さ。立ち姿が美しい。良く通る声。屈折したキャラクターはまさしく新感線流で、物語りが進むにつれ、私的には彼が主役になっちゃいました。
アドリブに即答できないのも、ご愛嬌。
我らが逆木圭一郎は、今回ナント28歳の役!
とは言え、年を言った途端場内大爆笑だったんだけど(笑)。

公演後、楽屋を訪ねる。
舞台メイクのままの逆木圭一郎が出て来る。スゴイ顔!
今回3回メイクが変わるので、上演中のお化粧直しが大変なんだとか。
(ゴメン、一回目、出てるの分からなかった。)
しばらく話してたが落ち着かない。
「田辺さんをチラッとでも見たい…」ともらしたら、(覚悟してたのかな)楽屋前に連れて行ってくれた。
着替え中だと言うのでドアの前で待っていたら、背の高いスウェット姿の青年がヒョロッと前を横切った。
髪がボサボサで顔が見えないけど、でも、アレって………と、思ったが、逆木圭一郎が無反応で話し続けているので言いそびれていると、すぐ戻って来てドアの向こうに消えた。
「あ、いた」。やっぱりそうか。
ドアの前まで呼んでくれて、出て来た田辺誠一様は、なんと言うか、拍子抜けするくらい、普通の雰囲気。
ぜんぜんキザッちくない。もちろん、妖しくなんかない。
殆ど開口一番、「感じ違いますね」と言ってしまった。2、3回言った気がする。失礼だったかしら(私だって緊張するのよ)。
背は高いし、顔立ちはもちろん整ってるんだけど、例えば「バイトのスタッフです」でも通りそう。
植物のような、無機物のような。でも冷たくも暖かくもない。
ボサボサ髪(カツラを脱いだばかりだからな)の奥の瞳の色が、とても黒い。
思い余って握手をお願いしてしまった私の脳細胞は。※*◇ξ♪ΩЫж◎☆∴

ああ。喉がカラカラだ。
今回は公演時間が2時間と短いので、夜の部まで3時間あって、わりと余裕がありそうだったので、楽屋の廊下のソファに座って、逆木圭一郎と話をした。
逆木家にドロボーが入った(!)けど被害は少なかった話。九州の地震(彼は九州出身で、実家は博多にあるらしい)から、スマトラ沖地震。息子さん達が、テニスとサッカーに熱中してる事。私の描く雑誌が、どうやらまた潰れる事。MacとWinについて(彼はとても詳しいのよ)。
なんだかのどかな気分になって、長居をしてしまった。

帰り道、田辺さんの事を思い返して、ふと思った。
「良い役者は“白”である」と、どこかで聞いた言葉。
素材がフラットだから、「紫のバラの人」もイヤ味無く演じられたのかも。
今回も、物凄く劇団☆新感線してたしな。
お会いする前よりも、ずっとずっと先が楽しみに思えて来た。
不思議な、魅力的な人。

 

3/29

土曜日(26日)に大興奮イベントがあって、すっかり舞い上がってしまった私。
しかし、翌朝目覚めると、起き上がれなかった。
頭が、重い。
と、言うと、頭痛みたいだけど、そうじゃなくて物理的に重くて動かせない感覚。
2.3日前に寝違えて、首が動かなくなって、また整体で押さえてもらってたんだが、見事ぶり返すどころか、腰まで痛くなっている。
どうしよう……整体に駆け込もうにも、徒歩数分が恐ろしい状態だ。
モチロン、プ−ルどころの騒ぎじゃない。
仕方ない、今日はネーム考えながらゆっくり休もう。
と、思ったら、丸2日寝込んでしまった。
舞い上がりすぎたか?まるで、知恵熱。

3日目に、やっと寝床から這い出して(ネームは真っ白、当然か)接骨院に行く。
整体師さんは「またうつぶせに寝たの?」と言うが、してない(前回はそれがマズかったらしい)。
本気で知恵熱とも思えないので、色々思い返して、
「久しぶりに履くパンプスで外出したんですけど」「それだ」。
うわ。春っていいなあ!なんてウカレている間に、身体はダメ−ジ受けてたのか。
って言うか、パンプス履いて歩く事もできないのか、私の身体。
その前のうつぶせ寝がダメってのも衝撃だったけどさ。
あー。

 

3/31

そんな弱り切った中、初めての人間ドックへ行った。
とは言っても半日で、婦人科系とかはナシの簡易なものだけど。
実家の近くなので前日は実家に泊まり、朝9時から母と連れ立って検査開始。
恥ずかしながら、珍しく早起き(笑)なので緊張して、昨夜はあまり眠れなかった。
採血は、いつもの事ながらサクサクと一発OK。私だって刺せそうな分かり易い静脈だもんな。
体脂肪はかなり増えてて、ちょっと落ち込んだけど、仕方ない。今減らしてるとこだから、見てろよ!
そしてなんと身長が、1cm伸びていた!でかいじゃん、私。
肺活量測定は、初体験。技師のお姉さんに「うわー、すごいいっぱい吐きましたね」と感嘆?されたのは、やっぱりしぶとく水泳続けてたおかげかな、ちょっとエッヘン。
バリウムも初体験。うえー、キモチワリ。ゴトゴト動く台の上で転がったり斜めで制止したり、息吐いて止めたり、結構ハードで、待ち合い室で見かけたお年寄りが心配になった。
すぐにお腹がゴロゴロして来て、聴力検査は自分のお腹の音が邪魔だった。
糖尿検査のブドウ糖液も、バリウムの後だからキツかった。
…みんな、頑張るなあ。

検査は午前中に終わり、待ち時間に昼食が出るが、バリウムのおかげで食欲ナシ。
正式な結果報告は2週間後だが、最後に医者から診断があるというので1時過ぎまで待たされる。
でもまあ、係の皆さんもだいたい「問題ないですねー」と言ってくれていたので、楽勝でしょ!
と、ノンキに構えていた。
ところが。
「尿に潜血が出てますね」ほえ!?
けつにょー?ってコト?
腎臓に疾患の疑い。秋に再検査ですって。
うわわー、やだ。腎臓悪いと食餌制限とかって大変なのでわ!?
…でも正直、ここ半年ばかりの疲れ易さの言い訳は立つか。
って、立たんでええわいっ!そんなん。

帰り道、実家の前の桜並木は桜がチラホラ咲き始めてる。
今日は花粉症の症状が物凄く、検査の合間の待ち合い室で知らないおばさんに「花粉症なの?」といたわられた。
春、好きなのになあ。