7:ベタ塗り・ホワイト

これでもう、ペン描き作業は終了。
ここから、と言うか消しゴムかけも含めてその先を、通常「仕上げ」と呼ぶようです。
アシスタントに呼ばれて「仕上げだけですから」と電話で言われ、いざ行ってみると山のよーにパース取りをやらされた……、なんて話はよく聞きますが(笑)。

まず、ベタ塗り
先程赤でマークした箇所を黒く塗りつぶしていきます。
ペン描きはインク<道具20>を使うけど、ベタは墨汁<机12>を使っています。
今は色々便利な道具があって、筆ペンを使う人や、中にはマジックで塗るというツワモノも。
ハッキリ言って、黒ければ何を使っても印刷になれば変わらない。
後は好みと、仕事のはかどり具合、だと思うんだけど、私はダンゼン毛筆+墨汁派。私は「削用筆」という、比較的太めでも毛先が細く使える筆を主に使います。<道具13>
少〜しだけ技術がいりますが、慣れてしまえば、広いスペースも細かいニュアンスも早くてキレイに仕上がります。筆ペンなんかでチンタラ塗ってる暇は無い!
インクの方が乾きが早いので、引きずって汚す可能性は低くなるんだけど、塗ってるそばから乾いてしまってかえって筆の滑りが悪くなるし、圧倒的に筆が痛む。使い易いベタ筆は財産ですから。
生原稿は、濃いめの墨汁で塗った方が塗りムラも無くキレイにできますが、私は少し薄めた方が好き。濃い墨汁は、やはり筆先がモタつくし、かすれたり、乾きが遅い(濃過ぎると永遠に乾かない事も!)し、薄めを使うと全然早いし小回りがきく。
どうせ印刷でムラが出るワケじゃなし…とは言え、オフセット印刷はハーフトーンが出てしまうので要注意。活版印刷だからいいや、と思っていたら、「薄過ぎて印刷に出ないよ」と印刷屋さんにクレームを付けられた経験もアリ。ほどほど、と言う事ね。

 

ベタが終わったら、ホワイト
文字通り、白い色でハミ出しの修正や、ベタの中に細かい白線を描く(黒髪の中の線や夜空の星等)作業です。
基本は、やはり毛筆に、ポスターカラーの白<道具21>を使用。
ベタ同様、削用筆<道具14>を主に使います。
書き損じて、一度消して上からまた線を引きたい場合は、ポスカラではペンがうまく乗らないので、耐水性の修正液を使います。
修正液も、ペンタイプの物なんかも出ているけど、ボトルタイプで蓋に刷毛が内蔵されてる(マニキュア方式ね)の<道具22>がいい。ペンにつけて描線も引けるスグレモノ!
私は水で薄められて乾くと耐水性の「ミスノン」がお気に入り。
匂いもいいのよ。クンクン。

 

 

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