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ZIGZAGに向かう路地で (2)
「失礼しました。もしかしてあなたもZIGZAGに向かう途中ですか?」 「そうですけど・・」真悠子は不機嫌になった。
何で見知らぬ男性に、私の行動を教えなくてはいけないのかしらと思いながらも、返事が自然と出てしまっていた。
「8時からのボディコンバットに出たいので急いでいたのです。ごめんなさい」
「エッなんですって、今夜のボディコンバットは8時30分からですよ。曜日を間違えていませんか?」
「アッそうだった、今日は金曜日だった。月曜日と間違えていました。大変失礼しました。」「ハッハハハハー」
真悠子は余計不機嫌になった。 誰が金曜と月曜を間違える人がいるか、と思った。
真悠子は決して男性に対する接し方が不慣れという事はない。鍛え抜かれた身体から発するフェロモンは、男が放っておくはずもなかった。
彼女には恋人がいた。ただ商社マンの彼はブラジルに赴任してから日本に帰ってくることは数少なかったし、お互い連絡も途絶えがちになっていた。かといって、他の男性と付き合うという事はなく、それまでの2年間が甘酸っぱい想い出に変わって行き、なんとなく3年の月日が流れていた。
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