お気楽スナップ講座
目次 > お気楽スナップ講座 > 4. 画面構成と構図
「写真は、ただ撮りたいものを撮りたいように撮れば良い」こんな言い方をよく耳にします。ですが、実は、その「撮りたいものを撮りたいように撮る」ことが、撮影においては何よりも難しいことなのです。どんな被写体のどんなところを見せたいのか、見る人にきちんとわかってもらうためには、そのための撮り方を考える必要があります。そして、写真において、そのどんな被写体のどんなところを見せたいのかを決めているのが、主に、画面構成と構図です。

写真の画面構成や構図は実に様々で、一概にこういうのが良いとは言えません。ですが、ほとんどのケースに共通する基本的な考え方があります。ここでは、細かな撮影のノウハウではなく、撮りたいものを撮りたいように撮り、見せたいものを見せたいように見せるためには、何をどう考えればよいのかを、主に、キャラのポートレート撮影について、考えます。

なお、この項だけは、PSOスナップに限った話ではなく、リアルでの写真、絵画、イラストなどとも考え方はほぼ同じです。なので、それらの参考書や解説書を参照したり、優れた作品を見ることも多いに参考になるでしょう。

4. 画面構成と構図
何を撮りたいのかを意識する

まず、最も大切なことは、自分が何を撮りたいのか、何を見せたいのかをはっきりと意識することです。何を当たり前のことを、と思われるかもしれませんが、実際には、撮影者自身にそれがわかっていないケースがとても多いのです。

ただなんとなくカッコよく撮りたいくらいの気持ちで撮影したスナップは、それを見る人にも、やはり「なんとなく」程度の印象しか与えません。撮影者自身が何を撮りたいのかを明確に意識した方が、他の人により強くそれを伝える写真を撮ることができます。

撮影の際には、まず、ウォーミング・アップも兼ねて、お遊びで、モデルの様々なポーズ(モーション)を様々なアングルで撮影してみます。そして、それを通してモデルをよく観察し、モデルのどういうところがフォトジェニック(写真写りが良い、写真に向いている)なのかを考えます。

もちろん、その答えは、実に様々です。キャラのキリリと締まった表情、楽しそうな笑顔、攻撃モーションの躍動感、力強さ、しなやかさ、セクシーなポーズ、コミカルなポーズ、武器やマグ、あるいは、それらのコーディネート…こうした様々な要素が一枚一枚の写真の主題になるのです。

そうして、モデルの最もフォトジェニックな面が見つかったら、あるいは、自分が最も見せたい要素が決まったら、今度は、それが最も印象的に見えるポーズやアングルを探し、さらに、背景や演出方法などを考えます。例え、技術的に拙くとも、主題のはっきりしている作品は見る人に強い印象を与えます。写真の見栄えを良くするための撮影技術はその後で良いのです。
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画面をフルに使う

初心者に典型的に見られる構図が、いわゆる「日の丸構図」、メインの被写体をフレームの中央で捉えた構図です。安定感のある構図として、敢えて「日の丸構図」を選ぶケースもないわけではありませんが、こればかりでは写真の持つ表現力を充分に活かすことができません。

一般に、人物を撮る際には、真正面から撮る場合を除いて、モデルをフレームの中心に据えるより、モデルの視線や動き、感情などが向かう方向に広めに空間をとった方が、画面に自然な流れが生まれ、見る人に空間の広がりをイメージさせ、それによってモデル自身もより活き活きとしてきます。また、その空間をどれくらいとるかによっても写真の印象は違ってきます。ちなみに、逆に、敢えてモデルの後方に空間をとることで、不安、恐怖、後悔…といったネガティブな心理状態を演出する方法もあります。

初心者の方は、まず、フレームのいろいろな位置でモデルを捉えることを試してみましょう。きっと、それによって、キャラや写真全体の印象が様々に変化することに気付くでしょうし、それだけでも作品のグレードはぐんと上がります。フレームは隅から隅までフルに活用しましょう。
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写真は引き算

リアルの撮影では、初心者へのアドバイスとして、よく、「写真は引き算だ」という言い方をします。これは、フレームの中からできるだけいらないものを取り除き、見せたいものだけを見せるようにしろという意味です。

初心者の方は、概して、メインの被写体をフレームに収めることに一生懸命で、そこからいらないものを取り除くということにまではなかなか気が回りません。人間の心理は、雑然とした画面の中から、自分が見たいものだけをイメージとして取り出すことができてしまうので、そこに邪魔なものが入っていてもあまり気にならないのです。

ですが、これは、その被写体(モデル)に何らかの特別な興味や感情を持っている場合の話であり、その写真をまったくニュートラルな気持ちで見る人の目には、邪魔なものはしっかり邪魔なものとして映っています。

一般に、フレームの中にいらない要素が増えるほど、見る人の視点は分散し、その分、写真自体のインパクトが薄れます。写真を作品と考えるのであれば、自分が気に入るかどうかだけでなく、他人の目にどう映るかを考えることも大切です。本人にとって「あってもなくても良いもの」は、他の人にとっては「ない方が良いもの」なのです。いらないものはガンガン取り除いていきましょう。初心者の方なら、まずは、自分が最も見せたいものだけを画面いっぱいに捉えてみましょう。写真が見違えるほど印象的になるはずです。
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優先順位を明確にする

とは言え、そのためにキャラのアップばかりというのでは、あまりにも芸がありません。また、言うまでもなく、PSOにおいてはアイテムも重要な要素です。キャラだけでなく、武器やマグなどお気に入りの装備品を見せたいという場合もあるでしょう。

ですが、キャラそのものを魅力的に見せることと装備品をきちんと見せることとは、実は、両立させるのが非常に難しい要素なのです。これは、リアルの写真で言えば、あくまでモデルが主役のポートレートと、モデルが身に付けているものがメインのチラシやカタログの写真との違いです。リアルでも、これらを両立させるのはとても難しいことなのです。

下の左の写真は、キャラと一緒に武器を見せるため、フォロースルーの状態でキャラの後方をやや多めに取り込んだ構図です。主に武器を見せるための写真としては比較的無難にまとまっていますが、一方で、キャラのポートレートとしてはとても窮屈な構図になっており、キャラの躍動感が死んでしまっています。

ここでのキャラ(の動き)と装備品とのように、いくつかの要素を同時に見せたい場合には、それらの優先順位を明確にしましょう。そして、優先順位の低いものは、あくまで優先順位の高いものを引き立てるためにあるのだとはっきり意識しましょう。この場合であれば、キャラの迫力や躍動感を強調するための小道具として武器を使うのか、武器をカッコよく見せるためにキャラに振らせているのかを明確にすることが必要です。

この作例では、装備品よりもキャラの躍動感を見せたいのであれば、例えば、右の写真のように、武器やマグは多少見えにくくなっても、アングルを変えてキャラの前方に空間が感じられるようにすると、キャラの動きが活きてきます。ただし、もちろん、これらを両立させることに挑むのもとても意義深いことです。非情に難しい課題ですが、我と思わん方は、是非、挑戦してみてください。

最初に言ったとおり、これらの話は、リアルの写真や絵画、イラストなどにも通じます。映画やドラマ、アニメなども参考になります。動画も、一つ一つのカットの画面構成や構図の考え方は、基本的に、静止画と同じです。普段の生活の中でこうしたものに接するうちに、特に意識しなくとも、漠然と、優れた構図のイメージができあがってくるものですが、それと意識して見れば、さらに多くの学ぶべき点が見つかるでしょう。

このページで使用されている画像は(株)ソニックチームの許諾を得て、ニンテンドーゲームキューブ用ゲーム「ファンタシースターオンライン エピソード1&2」よりキャプチャーしたものです。配布や再掲載は禁止されています。
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