前回、私は、ロボットが意識を持つことは不可能と書いたが、あるロボット研究者から、
「ロボットが心を持つ研究をしているが、ロボットに心を持たせることに少し成功している。・・・・意識は無意識の一部で、それほど重要ではないのでは・・・・」
というメールをもらった。
今日、NHKで「鉄腕アトムはつくれるか」という番組をやっていたが、「心」と「意識」という言葉をごちゃ混ぜに使っていた。専門家の間でも混乱しているようだ。
多くのロボット研究者が「意識」「無意識」「心」という言葉を正しく使っていない。
あんまり情けないので、私がこの場を借りて解説する。
まず無意識だが、これは心の一部だ。
通常、意識されない心を無意識という。
心は脳の機能だ。
脳の機能で重要なものの一つに「連想」がある。
これは、脳がある刺激を受け取るとそれに関連する事柄を連想するというものだ。
「連想」は脳を作っているニューロンの働きそのものだ。
心は脳の作用であり物質である。
物質だから、コンピュータで実現することも不可能ではない。
また心が物質であるからこそ、精神病院で心を治療することが出来るのだ。
ところが、意識は脳の機能でない。
意識の役割は、心の動きを「意識」することだ。
今のところ、精神科医と心理学者は「心」の研究しか行っていない。
今の科学レベルでは「意識」を研究するのは無理だ。
科学技術に関する常識の必要性
以前、テレビでインドに出現する空飛ぶ怪物の話をやっていた。
怪物に出会った人は、「円盤形の怪物が窓から入ってきて、刃物のようなものを出して人を襲った後、また窓から飛んで出て行った」と言っていた。
これを調べた現地の警察官は、「おそらくロボット兵器だ」と言っていた。
このコメントに対するロボット研究家は、「そんなロボットは100年位先でないと実現しない」とコメントしていた。
確かに最もな意見だ。
現地の警察官に科学的な知識があれば、"ロボット”などとは言わなかっただろう。
私も、子どものころ、科学的な知識がなかったため、これに似た経験がある。
当時テレビを見て「すごい、人間が月に降りた」と思った。
今考えれば、人間が月に降りて地球に帰ってくるなんてことは、100年位先でないと無理だとすぐ分かる。
月に人間を降ろすためには、100回位、無人着陸船でテストしなければならない。
実験の度に不具合を修正しなければならないからだ。
これくらい大きなシステムになると、普通は100箇所くらいの不具合がある。
ぶっつけ本番で月に人を降ろして無事に生還させることの出来る確率は、良くて1パーセント。
これをテレビで生中継するのだから、スゴイ!
失敗することが絶対に無いシナリオでやっているから、まあいいか!