第2回その2
【僕等が方向音痴と思う4つの理由】
 
 
 

1.道順の記憶(紫分野)

まず、第一に、当たり前のよーですが、ルートの道順を覚えられないと、
「私って方向音痴だ」と思うことが多いようです。
それも一回で覚えられないと方向音痴だと思われる方が多いようですね。
そして、ルートの順序を覚える時に役立つ、目印(ランドマーク)や景色の記憶が
できないという発言もこれに付随して出現してきます。
こうやって見ると、方向音痴の人って単に記憶力が悪いようにみえますが、
果たして、本当にそれだけなのでしょうか?ちょっと振り返ってみてくださいよ。
さっきまであなたの後ろに広がっていた景色が見えるはずですが、
思っていた通りの景色でしょうか?見知らぬ景色ではありませんか?
知らぬ景色に見えても、それは決してヘンではありません。
だって、左右は反対になってるし、行きに見えてたものが見えなくなっていたり、
見えなかったものが見えてたりしませんか?あんまり鋭敏に景色を見過ぎていると、
かえって同じ場所だということを見逃してしまい、
全然別の場所だと思ってしまうのかもしれませんね。
なにごとも過ぎたるは及ばざるが如しということでしょうか?
 
 

2.方向の認識と移動に伴う更新(水色分野)

このあたりから、いかにも「方向音痴」らしくなるでしょうか。
「方向」ってついてるだけに、現在地から目的地がどちらの方向にあるかとか、
二つの場所の「位置」関係がわからない時に方向音痴と思う訳ですね。
確かに、移動する時には単に経路を順に記憶するだけよりも、
自分と目的地の方向関係や場所と場所の位置関係がわかる方が
断然柔軟性があるといえましょう。
目的地の方向がわかれば、近道ができるし、
もし、道を間違えたとしてもすぐに方向修正が可能になります。
しかし、便利な分、頭の中でなかなか複雑な仕事をしなくてはならなくなります。
なぜなら、方向は停止してわかるだけではいけないからです。
移動時には常に自分の位置も体の向きも変化しているから、
その変化に応じて目的地の方向が変わっていることがわかってなきゃいけないのです。
例えば、自分の目の前に東京タワーを見た後で、くるっと180度回転したら、
当然東京タワーは自分の後ろにくるってことがわかってなきゃいけません。
東京から新幹線に乗って大阪に行く時に、
はじめのうちは富士山が自分の右斜め前に見えるんだけど、移動しているうちに
自分の右斜め後ろに来てるってな〜って自然な感じでわかればいいのですが、
方向音痴だと思っている人にはこれがなかなか難しい。
もちろん、普段方向音痴ではない人でも、自分の動きがよくとらえられてないと、
目的の方向を見失うことが生じてきます。
デパートで色々物色しているうちに元来た方向がわからなくなったり、
電車に乗って駅で降りて、ホームでは目的地がどっちかわかっていたのに、
階段降りて、改札抜けた時には、
どっちだったかわかんなくなっちゃうことって誰しもあるはずです。
 
 
 

3.方角(東西南北)の認識(緑分野)

「方向音痴」と聞いて、一番先に思い浮かぶのは、
東西南北の方角がわからないということではないでしょう。
特に、女性では、かなり多くの人が方角の認識にに苦手意識を持っているようです。
では、まず、日常生活において東西南北を認識することが
どのように有利かを考えてみたいと思います。

2.で述べたように、自分と目標物の位置関係を知ろうとする場合、
自分の身体を中心にして、右、左といった認識の仕方をしようとすれば、
自分の移動に合わせて常に位置関係の更新をおこなわねばなければなりません。
この方法はこれまた先に述べたように、もし自己の向きの変化や
移動に気づかなかった場合には、位置関係を誤って認識する原因になります。
この危険を減らする方法として、ある程度広い範囲をカバーする
グラフのX、Y軸ような固定された座標系を設定してやり、
その座標系を用いて自己と目標物、または物体同士の
位置関係を把握する方法があります。
この最もポピュラーなものが東西南北といった方角系な訳です。
東西南北を用いれば、身体の向きがいくら変化しても
自己と目標物の位置関係は変化しないことが理解できます。
例えば、東京駅から新宿駅は、八重洲方面に向いていれば右ななめ後ろだけれど、
丸の内側を向いていれば、左ななめ前になります。
しかし、東西南北の絶対系を用いれば、
いつだって誰がどっちを向いていたって東京駅から新宿駅は
北西にあるとだけ言えばいい訳ですから、すっごく簡潔かつ簡単ですよね。

では、なぜこんな便利な東西南北を使うのが難しいのでしょうか?
小学校でも使い方を習うっていうのに・・・・・。
その理由、ワタクシが考えるには2つあると睨んでおります。
まず一つ目は、どちらが東でということを生理的に認識することを人はできない。
なんらかの手がかり(方位磁石、太陽、星など)を方位との対応を勉強しなくてはならない、
ということです(その昔、。先程の道順を記憶することや、方向関係の更新は
身ひとつでも基本的にできますが、方角の認識はそうはいきません。
また、東西南北を知らなくっても、目的地へ辿りつくことはできるし、
地図だって、難しくはなりますが、東西南北がわからなくても使用することは可能です。
つまり、実際の生活の中で方角(東西南北)を使わなければいけない場面が少ないために、
方角利用のスキルが上達しないということです。
日本にずっと住んでたら、英語を上達させるのが難しいのと一緒ですね。

二つ目に、2つの方向づけの仕方の葛藤があげられます。
東西南北の方角座標系を用いれば、位置関係を単純に知ることができますが、
実際それを移動に使用するとなると「自分がどちらに向かう」のかという
身体を基準にした方向づけをしなければなりません。
先程の東京駅の例でいえば、「新宿駅は東京駅の北西にある」ということは
わかっているとします(路線図などを見たらわかりますよね)。
しかし、この知識を上手く用いて、どちらに向かえばいいかを決定するためには、
1.現在地において、東西南北の方向を確認する。
2.「北」の方向へ体の向きを変える。
3.新宿の方向(北西)がどちらになるかを確かめる。
4.確定した方向に自己の向きを変える。
という4段階の手順を踏むことになります。
この時、現在地で北以外の方向を向いたままで
以降の手順を踏もうとすると混乱が生じることがあります。
こうして見てみると、東西南北の利用は情報が単純な割には、
それを使用する手続きがたいへんややこしいのです。

もちろん、ややこしくしない手だてはあって、
それは東西南北を常にわかるようにしておくことなのですが、
東西南北を知る手がかりがない場所では、結局、わかる場所での東西南北を
自分の移動に応じて更新維持することが必要になります。
これでは単純な更新情報のみの方が楽ちんということになってしまうのでした(あーあ)。
やっぱり東西南北を利用することは敷居が高い方略という訳なのでした。
もちろん高級なだけにあれば色々と特典もあるのであるのですが・・。
 
 
 

4.地図の読解(黄分野)

私達は通常、場所と場所の位置関係や地域の様子を表わすのに地図を使います。
地図があれば(厳密には地図とコンパスなんだけど)、
一度も行ったことがないところにでも行くことができるようになります。
だから、街のいたるところに色んな形で案内板や地図が置かれることになる訳です。
しかし、方向音痴だと思っている人の多くには、地図読みを苦手にする人も多いようです。
方向感覚が優れているから見ると、地図が読めないことが本当に不思議だそうですが、
そうなんだから仕方がないのです。
そりゃ、現在地も目的地も地図上にすぐに見つけることができるのなら、
地図からどの道を歩けばよいかを読み取るのは簡単でしょう。
しかし、実際には、現在いる場所が地図上であると
どこになるかを見つけ出すことから難しいことがあります。
また、現在地がどこかわかっていても、
今どちらの方向を向いているか、つまり地図のどこを「上」にしたらよいかを
現地と見比べて決定することは案外大変なことです。
もし、そこで間違えてしまえば、「目的地はこっちだー」と確信しつつ、
全く違う方向へ歩いていくことになってしまうでしょう。
このような場合、地図は役立たないどころか、
誤った情報を人に伝えることになるのです。
 
 

あー、今回はかなり長くなってしまいましたね。
途中、説明がややこしいところなど多々あったことをお詫びいたします。
しかし、人間のやってることは簡単なようでいて、
きちんと説明しようとすると思いのほか複雑で
、細かいスキルの積み重ねなのだということが
少しでも感じていただければ筆者の喜びといたす次第であります。
えっ?たんにこちらが難しくしてるだけのように感じるって?
・・・・あはは、そうかもしれませんね。
では、また、いずれ機会にか、わかりやすくかつ面白く話し直しますということで・・。
では、今日はこのへんで。
第3回へ )


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