2003.02.16
札沼線漫遊(石狩当別−新十津川)
綾小路さんは今日、札沼線の石狩当別駅から終点である新十津川駅までのまだ訪ねていない駅を中心とした漫遊に出かけた。
この札沼線沿いには食堂や売店が少ないのでまずは札幌駅で駅弁を買い込み、さらに朝食として駅のホームで駅そばを食べたのである。
札幌駅そば 天ぷらそば ¥380
ところで札沼線は基点である桑園駅(実際は全列車が1駅手前の札幌駅から運行)から
石狩当別駅の1駅先である北海道医療大学駅までは通勤通学列車として賑わっている。
しかしそこから終点である新十津川駅まではローカル線そのものの様相を呈すのである。
列車は7時04分に札幌駅を3両編成で出発し全長1074m、国鉄時代に全国で第3位の長さを誇った石狩川鉄橋を越え、しばらくして石狩当別駅に到着した。
石狩当別駅では3分の乗り継ぎで7時51分に出発したがここから先、列車は1両編成となる。
綾小路さんは30分後にまずは知来乙駅にて下車した。
ホームの脇に小さな木造の待合室があったが扉は凍結してか半開きのままであった。
知来乙駅
ここで365歩のマーチ作戦で8時52分発の上り列車で石狩金沢駅へ行く事にする。
なにしろ下り列車を待っていても11時44分まで来ないのである。
一旦戻って別の駅を探索し、この駅が11時44分発となる列車に乗るのが得策なのである。
石狩金沢駅には客車タイプの待合室があった。これは廃車を改造したものだとか。
古い木造の駅舎が取り壊されこれに取って変わられている訳である。
JR北海道ではこのタイプの待合室しか見たことがないが他のJRでは違ったタイプの待合室がある。
(左)石狩金沢駅 (中)JR四国 予讃線 堀江駅 H14-12-27撮影 (右)JR東日本 奥羽本線 長峰駅 H15-1-24撮影
ここで綾小路さんは石狩金沢駅から北海道医療大学駅まで徒歩で行く事にした。
時刻表上で2.2キロ。両駅の探索も含め47分しかない。しかしここは決行。
札沼線と並行している国道275号を急ぐ急ぐ。
(左)国道275号 (右)国道275号を歩くこと20分、やがて北海道医療大学が見えてきた。
幸にも歩道の上はよく除雪されていて結構歩きやすく、20数分後には北海道医療大学駅に到着。
ちなみにここの他にも沿線にはあいの里教育大等もあり札沼線には学園都市線の愛称が付けられている。
札沼線は大別すると札幌−石狩当別間と石狩当別−新十津川間で列車を運行している。
それとは別に大学用に札幌−北海道医療大学間が運行している。この大学用の専用のホームもある。
北海道医療大学駅 (左)駅舎 (中)時刻表 上り札幌方面と下り新十津川方面の列車本数はかくも違う。(右)ここは終点?大学の専用ホームの駅名標
北海道医療大学駅からは10時00分発の上り列車でいったん石狩当別駅を通り越して石狩太美駅へ。
太美温泉の最寄り駅とは思えないようなメルヘンチックな駅舎があった。
石狩太美駅
つぎに10時34分発の下り列車で石狩当別駅へ向かった。
開駅 昭和9年11月20日。石狩太美駅にもあったがここ石狩当別駅にも看板が掲げられていた。
札沼線が全通したのが昭和10年10月3日。それに先立ち、札沼南線として桑園−石狩当別間は開通していたのである。
石狩当別駅
綾小路さんは石狩当別駅を11時15分発の下り列車にて再び新十津川へと向かった。
列車は例によってディーゼル単行。もうお昼時とあってそこそこ混んでいる。
しかし綾小路さんはこのあとどうなって行くのかを知っていた。
列車は約20人程を乗せ石狩当別駅を出発した。
隣駅の北海道医療大学駅では2人下車したが乗車はなかった。
次の石狩金沢駅では下車、乗車ともなし。本中小屋駅では3人下車して乗車はなし。
そして中小屋駅では5人程降りた。依然乗車してくる客はいない。
この時点で乗客は10人強。月ヶ岡駅を過ぎ知来乙駅では2人が下車した。
やがて列車は石狩月形駅へ。ここでは3人が下車したがようやく2人が乗車してきた。
ちなみにここ月形町にはその昔に網走、空知、釧路、帯広と共に集治監があり鉄道、道路等囚人によって開かれた路線は数多いのである。
実はこの月形町の地名は初代典獄(てんごく:刑務所の所長)である月形潔の名前をとって付けられたものだと云う。
ここには網走同様に監獄博物館があり、町の歴史を知る上でも貴重な施設である。
その後列車は豊ヶ岡駅を過ぎ、札比内駅で2人が下車して乗客は7人となった。
晩生内駅で1人乗車したが札的駅ではまた下車、乗車ともなし。そして列車は浦臼駅へ。
もう1度言うが札沼線は札幌駅からは通勤通学電車であり北海道医療大学駅からローカル線となる。
しかし、実はここ浦臼駅から新十津川駅までは1日3往復しか運行していない。
ここで4人が下車して乗客は綾小路さんを含めなんと4人となった。
もういつ廃止となってもだれも文句が言えないのではないか。
実際に新十津川から先の石狩沼田までは廃止となったのである。
もともと札沼線とは札幌と石狩沼田とを結ぶ路線だったのだ。
現在札沼線は桑園−新十津川間である。
しかし昭和47年6月18日まで新十津川から先、留萌本線の石狩沼田駅までレールは敷かれていたのである。
実は札沼北線として開通した石狩沼田−中徳富(現新十津川)間 が昭和6年10月10日の開業で一番早い。
続いて昭和9年に札沼北線の中徳富−浦臼間、札沼南線の札幌−石狩当別間が開業した。
最後、昭和10年10月3日に札沼南線の石狩当別−札沼北線の浦臼間が開業して全通。札沼線と改称した。
全線開業後に戦時中の資材供用での休止をはさみ、昭和31年には再度桑園−石狩沼田間がレールで結ばれた。
しかし、乗客の減少で新十津川−石狩沼田間は廃止され、現在の札沼線となったのであった。
4人の乗客を乗せた列車は新十津川駅を目指して浦臼駅を発車した。
鶴沼駅、於札内駅、南下徳富駅、だーれも降りん。だーれも乗らん。
下徳富駅でも下車、乗車ともなく列車は終点新十津川の1駅手前の中徳富駅へ到着。
ここでやっと1人が下車した。綾小路さんである。
列車は運転手と乗客3人を乗せ終点の新十津川駅へと向かった。
さてその中徳富駅であるが片面ホームだけで待合室もない。
北海道の冬は寒い。ほとんどの駅は簡素でも待合室があるがここは例外であった。
綾小路さんは列車待ちの人は大変だと思った。
しかしよくよく考えればここから乗車する人はほとんどいないのである。
けれども今日はここに1人いる。新十津川から折り返しの列車に乗車する綾小路さんである。
中徳富駅 (左)駅全景 (中)時刻表。上り下りとも3本 (右)駅周辺は一面の雪。農耕地帯だ。
片面ホームだけの小駅のため、探索はあっと言う間に終了。
折り返しの列車が来るまでの26分。寒さの中待つ事となった。
そして来た。今度は乗客はおばちゃん1人だけだった。
車内の様子。左奥に1人だけ
うわっ。おばちゃんと2人きりだぜ。
襲われたらどうしよう?
ぶるぶるぶるぶる!
13時00分、中徳富発の上り列車にはその後浦臼まで誰1人乗車してこなかった。
車内で何が起こったのかは2人だけの秘密である。(何もあるか!)
1時間程乗車して着いたところが中小屋駅。
そこには石狩金沢駅同様の客車タイプの待合室があった。
ここには50分の滞在となるのでストーブがないと大変だと思ったが有りました。
ラッキー!
駅前には食堂もあった。しかし実は石狩当別駅から中徳富駅へ行く列車の中で駅弁を食べていたのある。
ここにストーブがなく寒ければ多分入っていた。
これが中小屋駅の駅前食堂であろう。
中小屋駅 (左)待合室 (中)ストーブには赤々と炎が (右)駅前食堂?
札幌駅弁 石狩鮭めし ¥900
さて、ストーブで暖まりながら時間をつぶした綾小路さんは14時50分発の下り列車で浦臼駅へと向かった。
待合室はなんと歯科診療所と併設であった。
駅舎レストランや温泉併設駅は知っていたが、医療施設が併設なのは初めて見た。
浦臼駅 (左)待合室 (中)歯科診療所と併設 (右)北海道医療大学で減った列車がここからは3本になる
16時03分、上り列車で1駅先の札的駅へ。
片面ホームと木造の待合室があった。
何故か待合室周辺は除雪の雪捨て場となっていた。
札的駅
札的駅ではストーブもなく長時間待つのはつらいので16時52分発の下り列車で一旦浦臼駅へ。
その後17時32分発の上り列車で豊ヶ岡駅へと向かった。
豊ヶ岡駅に到着。ここは林の中である。周辺に人家は見当たらない。
誰がこんなところで乗降するのか。
綾小路さんはいつだったか運転手に質問した事がある。
1日に1人2人はいるらしいが、鉄道ファンのほうが多いのではないかと思ったものだ。
豊ヶ岡駅
18時15分、綾小路さんは新十津川駅へと向かう最終列車に乗車した。
新十津川駅 (右)駅から先の線路はアパートの前で終端となる。かつてはここから石狩沼田駅までレールは続いていた。H14-9-13撮影
本日の漫遊は終わった。もう札幌に帰る列車はない。
5分ほど歩いてバス停へ。そこから滝川まで行き函館本線で札幌に向かったのである。
綾小路さんの漫遊は来週につづく。
今回の漫遊で探索できなかった駅
(左)本中小屋駅 (中)月ヶ岡駅 (右)石狩月形駅 全てH15-1-26撮影
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(左)札比内駅 (中)晩生内駅 以上はH15-1-26-18撮影 (右)鶴沼駅 H14-2-17撮影
(左)於札内駅 (中)南下徳富駅 (右)下徳富駅 全てH15-1-26撮影
至 桑園 | ![]() |
石狩当別 | ![]() |
北海道医療大学 | ![]() |
石狩金沢 | ![]() |
本中小屋 | ![]() |
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中小屋 | ![]() |
月ヶ岡 | ![]() |
知来乙 | ![]() |
石狩月形 | ![]() |
豊ヶ岡 | ![]() |
※2 |
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札比内 | ![]() |
晩生内 | ![]() |
札的 | ![]() |
浦臼 | ![]() |
鶴沼 | ![]() |
※3 |
※3 | ![]() |
於札内 | ![]() |
南下徳富 | ![]() |
下徳富 | ![]() |
中徳富 | ![]() |
新十津川 |
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