渡名喜島
旅の後半は渡名喜島。「となきじま」である。この名を口にすると、みんな不思議そうな顔をする。
沖縄で出会った人たちでさえ。「それってどこにある島? どんな字を書くの?」と。
そして、「何があるの?」と・・・
何も無いことを期待しているのである。あってほしいのは、昔ながらの赤瓦の街並みなんだけれど・・・
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那覇の泊港を出るときにはスコールだった。
しかし、航海に出ると晴れ渡った空!
2時間ちょっとの航行も、慶良間諸島付近まで来ればもう半分を過ぎたところ。
御嶽の麓に下りてきた。
左はもちきび。穂が出ている。台風が来る前に収穫できるタイミングで育つらしい。
右はあがり浜。きれい・・・
続き
うかつなことに、ふと右舷側を眺めたら、すでに渡名喜島は近くに浮かんでいた。
時折、トビウオが海面に銀色の筋を引いていく・・・

島の姿が近付くと、いつもわくわくする。
やはり島には船で行く方が良い。
港には宿の人が迎えに来てくれていた。
泊まったのは「民宿ふくぎ」というところで、昔の民家を復元して宿泊棟として貸してくれるのである。島内に6軒ほどあるのだそう。左が、私が泊まったところ。復元と言っても限りなく新築に近いので、中はきれいでとても快適。シャワー室もトイレも清潔だった。一人で泊まるのはもったいない。
窓を開け放しておけば涼しい風が過ぎていくので、とても気持ち良い。唯一の難点は蚊が多いこと(苦笑)。
そして宿の前も、フクギの防風林と白砂の美しい小路。集落内の路は、住民のみなさんが週に 3回、早起きして清掃されているのである。もちろん子どもたちも一緒で、なんと大正から続く伝統だとか。
これは上門家(うぃじょーや)という名家。石垣が立派で品がある。
昔の人たちは、これらの石垣は家主が自分で積んだという話である。その労力と技術に感心する。石垣は、今でこそコンクリートブロックになっているけれど、昔はやはりテーブルサンゴなどを使っていたらしく、屋敷の内側の石垣にはまだ多くが残っている。
フクギはこの石垣の外側と内側の間に植えられている。
また、屋敷の敷地は道路より低い。これは暴風を避けるための工夫。「浸水は?」と心配になるのだが、砂が10mもの厚さで堆積しているらしく、水はすぐに浸透してしまうらしい。(敷地が低いほど「働き者」とみなされたのだそう)
結果、路を歩いていると赤瓦が目線のすぐそばにあり、それも街並みの美しさにつながっているのだとか。
左上は集落の「メインストリート」である。軽自動車でも、やっと通れるくらいの幅。
左下はおなじみのシーサー。でも、シーサーは、比較的最近のものだそう。
右はフクギのトンネル。実際はもっと暗かったかな? 陽射しが照りつけても、中は暗くて涼しい。そして、もちろん台風の時は頼もしい砦になるのだろう。
集落内はどこもこんな様子で、東の古い地域の方などは路が曲がりくねっていることもあり、狭い割には迷う。でも、迷って歩くのもなんだか楽しいのだ。
角々にある石敢當(いしがんとう)や要所要所にある拝所の「ドゥン」にぶつかるたびに、「あれ? ここに来たのか?」なんて。
島に来たなら、まずは聖地にお参りしなければ。
ここは島一番の聖地、「里御嶽」からの集落の眺め。
右の外側に港や学校、浄水場(海水淡水化施設)などがあって写って無いけれど、それを除けばこれで集落の全て。人口が500人程度。そのわりには子供を見かけるけれど。

この島は、古くは2つの島があり、その間に砂が堆積して平たん地ができたのだそう。そこに人が住んでいる。
昔は山の上まで段々畑になっていて、さつま芋を植えていたらしい。今は段々の痕跡が残る程度。集落の周囲では特産のもちきび畑がある。
与那国もそうだったけど、この島もチョウがたくさん飛んでいた。
与那国ではリュウキュウアサギマダラが一番多かったと思うけど、この島ではこのチョウが一番多かった。モンキアゲハの小さいやつかと思ったら、ベニモンアゲハあるいはシロオビアゲハのメスのようである。ベニモンアゲハは毒があるらしく、シロオビアゲハのメスはベニモンに擬態するらしい。シロオビも飛んでいたので、たぶん両方いるのだろうけど、この写真がどちらなのかは・・・
あとはクロアゲハもたくさん飛んでいて、とにかく黒い蝶が多かった。

右はあがり浜という遠浅の浜。ここでは毎年、水上運動会が行われるらしい。楽しそう!
これも大正からの伝統だとか。すごい。
と言うような話は、まぁ多少は予習したり現地で入手したパンフで見たりしてはいたけれど、詳しくはこの「憩い処 西門」(ゆくいどぅくる いりじょー)さんに教えてもらったのである。
この食事どころのお手伝いさん?の方がお話し好きなお母さんで、私ともう一人のお客さん、そして自転車を借りていたお客さんの男3人を連れて集落を一回り案内してくださったのだ。ありがとうございました!
で、写真の通り佇まいも素敵なのだけれど、ご飯も美味しかった。日替わり定食で、刺身とカツとゴーヤーチャンプルーで、味も良ければボリュームもたっぷり。島では「お米」の味は最初からあきらめているのだけれど、お米もちゃんと美味しかった。そして驚いたのは「おいくらですか?」と聞いたら、「65 0円です」って・・・思わず「えぇ?! そんなに安いんですか?」と言ってしまった。
散策後にビールを頼んで上記のお2人としゃべっていたら、島らっきょうもサービスしてくれて・・・

帰宅してあらためてこちらのお店について検索していたら、甘味も魅力的らしい。またいつか行こう・ ・・
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