これはウォンディポダン・ゾン。ゾンはもともとの成立から、「砦」のような軍事的な機能も重要だったようで、それは立地にも反映されている。
これはメンバル・ツォという聖地。グル・リンポチェが仏像・宝具類を淵に沈め、その転生者であるペマ・リンパがこれを迷いなくみつけ「輪廻転生」を証明したという伝説がある。
あきらかに「淵」にも関わらず、“湖”と呼ばれている。ガイドさんに「湖に行くよ」と言われて、お菓子や飲み物を持参してのんびりするつもりであった一行は、ちょっと困惑気味であった・・・(苦笑)。手元の本によると、ブータンには海や湖が無いのでこのような大げさな表現になるらしい。逆に、「山」と呼ぶのは5000m級の山からで、3000m級だと「丘」らしい・・・
ゾンの中ではお祭りの練習が行われていた。ブータンにはブータン暦があり、その特定日にはツェチュという大きなお祭りがある。これは宗祖を祭るものらしい。日本からのツアーもそれを目的にしたものもあるのだけれど、今回のわれわれは残念ながら日程が合わなかった。でも、こうしてその雰囲気にちょっとだけ触れられたのも嬉しいこと。
ウォンディポダンからペレ・ラ、ヨートン・ラの2つの峠を越え、ブータンの東側のブムタン地方に到着。今回の旅はここから折り返し。
左はジャンパ・ラカンというお寺。ブータンでもっとも古いお寺らしい。他の多くの寺が宗祖のグル・リンポチェ(インド人のパドマ・サンバヴァ)や建国の祖であるチベット仏教カーギュ派のドゥルック派のンガワン・ナムゲル(尊称シャプドゥン)を祭っているのに対し、ここでは弥勒菩薩が本尊だった。「師」を祭るというのは密教ならではと思うものの、日本的な感覚からはちょっと理解が難しい気がする。真言宗でも「大師に帰依します(南無大師遍照金剛)」と唱えるものの、肖像はあっても本尊にまではなって無いし。お寺の通称にはなってるけれど。
そう考えると、逆にこのお寺で弥勒を祭っているというのも意味ありげに思ったりする。この日、中では 21日前に亡くなった高僧の法要が営まれていた。こういうときは、特に強く「邪魔な観光客」になってる自分を自覚してしまう・・・すみません、お邪魔しました。
右は、門前にいたカササギ。日本のとは少し白黒のバランスが違うかな? 日本にいるのと似たような鳥、ぜんぜん違う鳥などなど、森林が豊かなうえに農耕地もあるのでいろいろな鳥が見られた。
これはクジェ・ラカンというお寺。岩山にへばりついた建物である。岩にも経文や仏画が描かれている。岩山とセットになった宗教建築というと、峻厳さや崇高さが強く感じられそうなものだけれど、ここは不思議と洗練された印象のお寺だった。
このお寺では、王族の葬儀が営まれるらしい。
ちなみに、ブータンでは「お墓」を目にすることがない。気になってガイドさんに尋ねたら、亡くなった後は荼毘に付されて灰は川に流されるらしい。輪廻転生を信じているので、お墓どころか仏間に遺影や位牌なども置かれていない。この点については、私は強く共感した。
なお、偉い人の場合は灰の一部を使ってチョルテンを建てたりすることもあるらしい。
どこのゾンも似たような装飾なので、似たような雰囲気のようにも思うのだけれど、どうもそうでもないような気もする。気配のようなものがなんとなく違うような。
ここのゾンは、一番神秘的というか、少し恐ろしさを感じるような、そんなような印象が残っている。ここでは、たまたま現地ガイドさんがここの偉いお坊さんとお知り合いだとかで、通常は入れない神聖なエリアまで入れさせていただいた。貴重な体験だった。
ブムタン地方のジャカールの「中心街」。いずこも似たような「雑貨屋」が軒を並べている。買う方がどうやって店を選んでいるのかは謎である。また、なぜか靴とバッグ類を置いている店がとても多かった。民族衣装が半強制されているので、足元や携行品でおしゃれを楽しんでいるのかもしれない。
右の写真は、街中で寝ている犬たち。けっして具合が悪いわけではない(苦笑)。むしろみんな健康的。こいつら、朝から日中までこんな感じでずーーーーっと寝ている。どの街でもそうだった。そして、なぜか朝の3時過ぎくらいにワンワンぎゃんぎゃんとわめく迷惑な奴らなのである。ちなみになぜか黒い犬がとても多かった。なお、ウシも犬も放し飼いで、かなりな山の中でも出没していた。人に対して攻撃的なところはまったく無く、とても平和である。人との間に信頼関係があるのだろう。