愛でなる病 4
「……なぁ、ヴィゴ。もう、いいよ?」
体温を上げ、頬をうっすらと赤くしたショーンが、ヴィゴの体を足で挟んで、声をかけた。
自分で舐めていたのか、ショーンの唇が濡れていた。
ヴィゴは自分の唾液で濡れた顎を挙げ、気持ちのよさそうなショーンの顔を楽しんだ。
「もう、飽きたか?」
「いいや、でも、ヴィゴが疲れるだろう?」
「疲れない。とは言わない。でも、まだまだ、ショーンを可愛がってやりたいって気持ちはあるよ。でも、ショーンが、負担だったらやめておく」
ショーンは、ヴィゴの体をゆっくりと押しのけ、陰毛の中にうずくまるペニスを指先で摘んだ。
ヴィゴの口内に含まれ通しだったペニスは、すっかり温まり、ぐしょりと濡れていた。
「今日は、どうしたって、勃たないようだし……」
ショーンは、あれほどヴィゴが大切に扱ったものを、乱暴に放り出した。
小さいままのものに、苛立ちを見せていた。
ヴィゴは、ショーンの足の間で、口元を拭った。
「ショーン、そんなに短気になるな。あんたさえ、嫌でなければ、こうやって、いつでも付き合ってやるよ」
「ヴィゴ……」
ショーンは、喜んでいるというには、戸惑いがちな目で、ヴィゴを見下ろした。
ヴィゴには、ショーンの戸惑いがわかった。
過度の奉仕は、相手に負担を与える。
それでも、ヴィゴは、ショーンがこういった愛撫で喜びを得ているということに勇気を得て、説明を始めた。
「ショーン。本当に、こうやってEDは治療していくらしいんだ。まず、性的なことに、いいイメージが持てるよう、好きな妄想を楽しんで。そして、自分を開放する。つまり、セックスそのものを受け入れられるように努力ってことだな。そして、逞しくした妄想で勃起できるようトライする。……それが、できるようになったら、できるだけ、そのイメージを頭の中で楽しみつつ、パートナーとの接触をする。勿論、一回でなんか、治らないぞ。本当は、まず、裸のままベッドに入るとか、抱き合って眠るとか、そういうことをして、セックスそのものは、嫌だったらしないんだ。嫌じゃなければ、パートナーに触ってもらったり、口で愛撫してもらったりして。……でも、それで勃起することができたら、とてもすごいことなんだ。俺の説明でわかる? そうだな。大雑把に言えば、EDは、セックスしたくないっていう表現の方法だと思ってくれればいい。今は、したくないんだ。セックスが楽しくないんだ。っていう、メッセージだ」
ヴィゴは、ちらりとショーンを見た。
「そう、ショーン。あんたは、今セックスがしたくないから、勃起しないんだよ」
「やりたくないわけじゃ……」
ショーンは、すかさず否定した。
ヴィゴは、ショーンに優しく笑いかけ、ショーンの自分が性的に怖気づいているわけではないと主張したい気持ちを否定しなかった。
「悪かった。俺が言い過ぎた。そうだったよな。ショーンは、やりたくないわけじゃなかった。勿論、やりたくても出来ないって人も一杯いる。それは、前に失敗した経験がプレッシャーになってたり、自分に対するセルフイメージが、大きくなりすぎていてそれがプレッシャーだったりするらしい」
ヴィゴは、ショーンの意見を受け入れ、理解を示した。
ショーンは、複雑な表情のままだ。
「ショーン。辛いだろうけれど、何も焦ることはない。前にも言っただろう? 失礼なことを言うようだが、ショーンは今、セックスして喜ばせてやらなきゃならない相手がいるわけじゃない。俺相手になんか、見栄を張る必要はないだろう? 別に俺は、あんたにセックスを強要したりしない。そんなことしたら、俺達の場合、あんたの同意がないわけだから、レイプになっちまうからな」
ショーンの目がじっとヴィゴを見ていた。
ヴィゴは、ショーンの洋服を直してやりながら、言葉を続けた。
「ショーン、それこそ、俺相手なんだ。もっと尊大に構えてくれてもいいぞ。いくら舐められたって、ヴィゴが相手じゃ勃たなくて当然だって胡坐をかけばいい」
ショーンは、濡れた下着を引っ張り上げられるのが嫌だったようで、ヴィゴの体を跨ぐと、ジーンズと下着を下ろしてしまった。
今までだって、ペニスを晒していたのに、上着を引っ張り、ペニスを隠す。
その格好は、情けなくも、可愛らしかった。
ヴィゴは、ショーンの膝小僧にキスをした。
「ショーン。俺は、あんたが大好きだよ。でも、ショーンの嫌なことをする気はない」
ヴィゴは、両手をショーンの膝において、顔を見上げた。
「あんたの良いように、どれだけでも付き合う。あんたが、この方法を続けてもいいと望むんなら、いつまででも付き合う。だが、あんたが、俺にフェラさせたことを今夜ベッドの中で後悔したって言うなら、もう、しない。俺は、あんたが気持ちよく過ごせるようにだけ努力したい」
「……ヴィゴ」
ヴィゴは、唇を大きく引き上げ、ショーンに笑いかけた。
「本当だぜ? 俺は、今晩あんたの体に唇を使って触ることが出来たというだけで、とても満足している。信じられない僥倖だと思っている。あんたは、十分な支払いをした。なんだって、俺から取り立てていい」
ヴィゴは、ショーンが納得していないことはわかっていた。
だが、ヴィゴはゆっくりと立ち上がった。
「今晩は帰る。結論を出すのもゆっくりでいいから」
ヴィゴは、ショーンの頬にキスしようとして、自分が先ほどまでしていたことを思い出した。
ショーンの頼りない頬に手で触れるだけにして、ヴィゴはドアを出た。
撮影所は慌しかったが、それで、雰囲気がすさむようなことはまるでなかった。
青い空の下、それぞれが、それぞれの仕事に熱心に取り組んでいた。
「ここは……お邪魔だよね。勿論?」
笑いを含んだオーランドの声が、ヴィゴとショーンの背中からかかった。
長い金髪の鬘を、癖がつかないよう緩く結んだオーランドは、ヴィゴの肩に手をかけて、並んで立っていたヴィゴとショーンの顔を覗き込んだ。
オーランドは室内で撮影していたはずだった。
それがどうなったのか、ここまでの道のりを歩いてでも来たかのように、オーランドの頬がうっすらと赤くなっていた。
ヴィゴは、振り向くとオーランドの白桃のような頬を撫でた。
「別に、邪魔なんかじゃないぞ? どうした? 中の収録は終わったのか?」
「そう。で、ヴィゴのところに行って、混ぜてもらって来いって」
オーランドは、ヴィゴの手に頬ずりするようにとても機嫌良さげに目を瞑った。
ショーンは、マントの裾を捌きながら、緑の目を細めて笑った。
「混ぜてもらえって、オーリ。それは、また、大雑把だな」
オーランドは笑顔を返した。
「そうでしょ?」
目の前では、小型のクレーンが巨大な石のセットを組みなおしていた。
見かけよりは重くない発砲スチロールで作れられた石は、ピッチよく積み上げられていく。
「あれ? 組みなおし?」
「そう。ライトが上手く当たらなかったんだ」
「ふーん」
今日の空には、雲ひとつなく、撮影が順調に進むことは間違いなかった。
だが、皮肉にもそんな日に限って、雨のシーンを撮るのだ。
「ショーン。隣にいてもいい? ここの間に入り込むと、王様、俺のこと崖から突き落とすかもしれないし」
オーランドは、ヴィゴのいないショーンの右側に回り込んだ。
幾何学模様のバンダナで髪をまとめたエルフが唇の端を思い切り上げ、にこりと笑う。
「ねぇ。ショーン。王様と何、しゃべってたの? なんかひそひそ話しっぽかったけど」
ショーンは、無邪気に顔を覗き込んでくる若いエルフに苦笑した。
二人が交わしていた会話は、決して、人に話せるようなものではなかった。
ヴィゴは、ショーンの隣に並んでいたオーランドの首を捕まえた。
「そう思うなら、お前には秘密の話なんだよ。オーリ、ショーンの隣じゃなくて、俺の隣に来い」
「いいじゃん。ショーンの方が優しいもん」
「俺の方が、もっと優しいね」
ヴィゴは、オーランドを引き寄せ、髭で覆われた自分の頬をオーランドのつるりとした頬に擦り付けた。
「ほら、優しい」
「やめてよ! ヴィゴ!!」
オーランドは、嬉しそうに笑いながらも、ヴィゴの胸に手を付いて、体を離そうとした。
ヴィゴは、力強くオーランドを抱きしめ放さない。
「王様、嫌だってば。あんた今日、ちゃんと顔を洗った? 俺、鬘がぐちゃぐちゃになったら、叱られるんだって!」
「大丈夫。大丈夫。どうせ、雨に濡れちまえば一緒」
「だから! あんた達は、びしょぬれになるシーンを撮るのかもしれないけど、俺は、アレの前に立つシーンを撮りに来ただけなの!」
オーランドは、ヴィゴたちへと降りかかる雨を横殴りにするため、用意された大型の扇風機を指差した。
ヴィゴは、へぇ。っと、少し拘束する腕を緩め、オーランドを解放した。
ショーンの目は、楽しげにヴィゴとオーランドを眺めていた。
その目は、優しげな共演者の目で、さっきまでヴィゴに見せていた頼りなげな目付きではない。
ヴィゴとショーンとの治療は、あの後も続いていた。
撮影が終わり、時間的に無理がなければ、ヴィゴがショーンの家を訪ねた。
ヴィゴは根気よくショーンの話を聞いたし、ショーンがその気になれば、ショーンの足の間に膝をついた。
ヴィゴの態度は全く誠実だった。
その甲斐あってか、たまに、ショーンのペニスはヴィゴの口の中で勃起することも出来るようになった。
だが、全く、射精に対して、コントロールができない。
これは、ED患者が陥りやすい症状だった。
ほんの少し硬くなったと、ショーンが嬉しそうに頬を緩めてから、一分も保たず、ショーンは小さなうめき声とともに射精してしまった。
あまりの早さに、ヴィゴも避けることも出来ず、顔に浴びてしまうことがよくあった。
撮影中には、殆どこういう話をしなかったショーンだったが、昨日は、精液がヴィゴの目に入り、今日、ヴィゴの目が少し赤かった。
メイクの最中にヴィゴはそのことを注意され、ショーンは、ぼそぼそと耳元で謝罪をしていた。
こんな話題では、どうしたって、顔を寄せ合う近さで、ひそひそとやっていなければならない。
「あれ? 王様、夜更かしした?」
「ばれたか。そんなに赤い?」
「ううん。そうでもないけど」
ヴィゴの目を覗き込もうとするオーランドに、ショーンが気まずそうに視線を外した。
それに気付いたヴィゴは、オーランドに台詞についての話題でも振ろうかと、椅子の上に置かれてスクリプトを取った。
「オーリ!」
やっとオーランドが移動したことを知らせる連絡が入ったらしい。
この現場の責任者が、オーランドを大きく手招いた。
「先、お前のことを撮るぞ!」
オーランドは、残念そうな顔をヴィゴに見せ、ショーンにも笑いかけた。
「俺の方が先だって。せっかく二人の邪魔をしてやろうと思ったのに」
「若いんだから、働いてこい」
ヴィゴは、オーランドの背中を押した。
「だってさ、すごく仲良さそうなんだもん。特に、近頃仲良しだよね。俺だって、大きい方のチームなんだから、俺のこと仲間はずれにしないでよ」
拗ねるような声を出したオーランドは、テストで回り始めた巨大な扇風機に近づいていった。
俊敏な動きは、風景の中に溶け込んで、そこには物語の中にしかいないはずの若々しいエルフが駆けていた。
「オーリ。先にこっちに寄って。髪を直すわ」
「どのシーンかわかってるか?」
次々と、オーランドに声がかかる。
ヴィゴは、オーランドの背中を見送りながら、ショーンに視線を移した。
ショーンは、決してオーランドの方を見ないと決めているように、積みあがっていくセットを見つめていた。
「ショーン?」
「ああ、いや、ちょっと恥ずかしかった」
ショーンの目元が赤くなっていた。
「別に気にすることはない。俺の目が赤くなったわけなんて、全く、あいつは気付いちゃいないんだから」
ヴィゴは、ショーンの肩に手を置き、必要以上に顔を近づけるとショーンの目に悪戯に笑った。
ショーンが眉を寄せた。
「……ヴィゴ」
「ごめん。ショーンがかわいらしいから、いじめただけだ。ああ、でも、ついでに、業務連絡しとくな。今日も邪魔するって言ってたけど、さっき、スタントチームから、誕生日パーティをするって連絡が回ってきたから、今日はそっちに顔をださせて貰う。明日は、俺は、午前中休み。昼からは出てくる。ショーンは、明日、夜、用事があるか?」
ヴィゴは、出来る限りの時間をショーンのために割いていた。
いや、ショーンのために時間を割くという言葉はふさわしくなかった。
ヴィゴは、楽しんで自発的にショーンの時間に割り込んでいた。
「ない……が、大丈夫か? ここんとこ頻繁に俺の家に来てくれるけど、ヴィゴ、あんた自分の時間はあるのか?」
「ショーンと過ごす時間が俺にとっての大事な時間の使い方って奴なんだ。だから、俺の方は、全く平気だ。ただ、ショーンが自分のために時間を使いたいから、ちょっと遠慮して欲しいということなら、ちゃんと遠慮する。その辺りははっきり言ってくれるとありがたい」
ショーンは、一人で悩みを抱かえ込んでいる時間が、耐えられなくなっていた。
事務的に交わされる、離婚に対する様々な手続きの電話に応えた夜でも、大丈夫だと笑うヴィゴの優しい声を聞いていさえすれば、みっともない下半身を抱かえた自分も普通の人間の仲間入りをしていられるような気がしていた。
遠慮がちにショーンは切り出した。
「……明日、待ってていいか?」
「勿論」
ヴィゴは、大きく笑って請合った。
遠くでは、髪をたなびかせたエルフが、巨大扇風機に立ち向かうように、必死になって顔を上げていた。
ショーンの家を訪ねたヴィゴは、バスローブ姿のショーンに小さな口笛を吹いた。
「悪い。早すぎたか?」
「平気だ。入ってくれ」
性器をヴィゴの口で愛撫されることが日常的になりつつあるショーンは、ヴィゴの訪問前に、体をきれいにしていることが多かった。
ヴィゴが、ジーンズの前を広げてやると、清潔な石鹸の香りをさせているのだ。
間を一日開けただけの今日、ショーンのペニスが反応させることができるかどうか、ヴィゴには自信などありはしなかったが、バスローブ姿のショーンが自分の行為を期待しているのだと思い、顔に笑顔が浮かんだ。
ふざけるように、ショーンの首元に鼻を突っ込む。
「いい匂い」
「くすぐったい。ヴィゴ」
本当に、まだシャワーから出たばかりらしい、いかにも清潔な手が、ヴィゴの頭を押しのけようとした。
ヴィゴは、ショーンの手を掴み、ずんずんと奥へと進んだ。
「ヴィゴ?」
「せっかく、きれいにして待っててくれたんだ。さっそくチャレンジしてみよう」
きれいにして、つまり、ヴィゴにフェラチオをされることを期待して待っているということが知られたくないのか、ショーンは、いつも髪まできちんと乾かしてヴィゴを待っていた。
とうとう逃げも隠れもできない現場を押さえたヴィゴは、楽しい気分になって、ショーンをソファーに押し倒した。
「ショーン。あんた、かわいいな。やっぱり、すごく素敵だよ」
ヴィゴは、ショーンの上にのしかかり、驚きを隠せずにいる頬にキスをすると、クッションをショーンの頭の下に入れた。
「今日は、こうやって、寝転んでしようか。眠くなったら、寝てしまって構わない。ここんとこ、わりあい上手く勃たせることができただろう? 間があいてないから普通だって、勃たないことだってある。今日は、ダメかもしれないからな。そのくらいの気持ちでいろよ」
ヴィゴは、見開いている緑の目に、キスをして、ショーンの体の上を移動した。
バスローブの前をめくり、僅かに丸みのある腹にそっと唇を寄せる。
ショーンの足が、ヴィゴの体を挟んだ。
「ヴィゴ。くすぐったい」
「わかってる。まず、挨拶したんだよ」
ショーンの腹が、笑いの振動で揺れた。
ヴィゴは、濃いブロンドの陰毛にもキスをして、それから、小さなピンクのペニスを口に含んだ。
ペニスはまだ、湿っているほどで、とてもいい匂いがしていた。
ショーンの体温そのままの柔らかいものを口に含み、ヴィゴは満足に目を細めた。
「……ヴィゴ」
ショーンは、嬉しそうな声でヴィゴの名を呼んだ。
優しく愛撫されることにショーンの精神が癒されているようだった。
ヴィゴは、柔らかなものをくちゅくちゅと口の中で弄び、愛撫に、十分な手加減を加えていた。
ショーンのペニスは、正常な状態であれば、すこし物足りないと感じる程度の刺激しか、受け付けることができない。
それ以上だと、痛みだと捕らえ、ショーンは快感を味わうことができなかった。
ヴィゴは、遊びのように軽くショーンのペニスを唇で挟んだ。
そして、そっと、舌で、裏筋を舐める。
「ショーン、いい匂い」
今日は、完全に現場を押さえているヴィゴは、ショーンの股の間に鼻を突っ込み、くんくんと匂いを嗅いだ。
柔らかな肉をつけたショーンの太腿が、ヴィゴを挟んだ。
「やめろ、ヴィゴ」
不機嫌を装ったショーンの声が、ヴィゴを叱る。
ショーンの治療に付き合うことになって、ヴィゴを楽しませていることの一つに、このショーンの太腿の柔らかさがあった。
緩やかな快感が長く続くと、ショーンは、次第にヴィゴの頭を太腿で挟み込み、そこから離れられないようにした。
体温が上がり、少し汗がふき出て、しっとりとしたショーンの太腿が、ヴィゴの頬と耳を押さえつけ、放さない。
ショーンの手は、大抵ヴィゴの髪を撫でているのだが、その手も、力が強くなっている。
「ショーン。でも、あんた、本当にいい匂いがする」
ヴィゴは、ペニスにチュっと、キスをすると、指で持ち上げ、その下の陰毛に舌を這わせた。
時々、手で柔らかく揉んでやる玉を舌で舐め、性器を口に含む時と同じ慎重さで、口の中に招き入れた。
性器と同じくらい柔らかな玉を口の中で、遊ばす。
右と、左と交互に。
持ち上げているペニスも、そっと握って、扱いてやる。
「いつも思うけど、あんた本当にここの間の毛が薄いな」
ショーンの股の間は、舐めるという作業には、ぴったりだった。
ジーンズを脱がしてしまって大きく足を開かせた時に、ヴィゴはかなり驚いた。
ショーンは下腹を覆う毛は十分人並みなのに、その裏側ときたら、ほんの短い毛がまばらに生えているだけなのだ。
それは、ヴィゴが、玉の後ろから続く、ショーンの体の縫い目を辿ってやるのに、本当に具合が良かった。
ヴィゴは、キスで何度もそこを辿った。
そして、小さいままのペニスに戻ると、それを口の中に咥え込んだ。
愛撫するという努力よりも、ヴィゴは、自分の口内でその柔らかな肉の感触を味わうことを楽しんだ。
攻撃的なやり方では、ショーンは、全く感じることができない。
湿った温かな口内にペニスを入れているんだという感覚だけを与えるだけで十分だった。
とにかく緩やかに、それが、ショーンに快感と安心を与えた。
「ヴィゴ……」
「うん?」
髪をかき混ぜるショーンの指を心地よく思いながら、ヴィゴは、少し顔を上げた。
ショーンが、ヴィゴの口に含まれたペニスを見ていた。
「どうかな? 勃ちそう?」
「焦るなって。目を瞑って、のんびりしてろよ。勃ったら今日は、すぐ教えてやる」
ヴィゴは、ショーンの腰骨を軽く叩き、優しく撫でた。
ショーンが甘いため息を落とす。
ヴィゴは、しばらくそこを撫で、背中に向かって指を動かしていった。
骨盤を辿るように、ショーンの尻の肉を緩く撫でる。
ショーンの唇が緩んでいた。
気持ち良さそうな息遣いを繰り返しながら、目を閉じている。
ヴィゴは熱心に、ショーンの体を触りながら、小さなペニスを舐め続けた。