11特に理由なく収納をテーマに小話を書いた。
配役等の説明
特になし。
「ショーン、これ、何?ねぇ、ちゃんとこれ、中に入るの?」
オーランドは、ショーンの持ってきた荷物をぎゅうぎゅうにトランクへとつめていた。
「ねぇ、これ、本当に、最初閉まってた?一体何が増えたんだよ」
別れを惜しんで、少しでも側にいたかったオーランドだったが、ショーンは、少しも荷物の片づけをしようとしなかった。
トランクのふたは開いたまま、着ていた服も、くしゃくしゃのまま、オーランドのベッドの上に重なっていた。
その状態で、ショーンは、のんびりとソファーで雑誌を読んでいた。
オーランドが片付けてやらなければ、荷物は、紙袋にでも詰め込まれて空港へと行きそうだった。
「ショーン!忘れ物してもしらないよ。この辺にあるものしか、俺詰め込まないからね!」
オーランドが、ショーンにプレゼントしたもののせいで、荷物が膨れ上がっていたせいもあった。
オーランドは、一生懸命トランクのふたを閉めようとしていた。
「オーリのものじゃないのが、俺のだよ。ちゃんと見分けはつくだろう?簡単には、取りにこれないんだ。しっかり荷造りしてくれ」
ショーンは、ソファーに転がったまま、オーランドにエールを送った。
「何でこんなにトランクが閉まらないんだ!」
オーランドは、ショーンのトランクの上に座り込んで、ふたを閉めようとした。
ショーンが、大きな声を出した。
「オーリ、トランクを大事に扱ってくれ。
荷物が膨れ上がってるのは、間にお前の愛が詰まってるからだろう?
つぶれたら困るから、そっとトランクのふたを閉めてくれ」
ショーンは、にやにやと笑っていた。
口先だけの言葉なことは、間違いなかった。
しかし、オーランドは、苦心して、そっとトランクのふたを閉めた。
ショーンに近づき、抱きしめると優しいキスを繰り返した。
「荷物なんかどうでもいいから、出発まで側にいてくれって、言えばいいのに。ショーン」
オーランドは甘く言った。
苦笑というには、すこし照れくさそうなショーンに笑顔に、オーランドはもっとキスを繰り返した。
おわり。
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