(カスコニ編)

 

部屋へと連れ帰ったコニーに、ドアを閉めるなりしがみつかれ、カスパーは苦笑した。

車を降りるところまでは、それでも多少の理性を残し、引っ張りだしたシャツで勃起してしまっている前を隠していたはずのサブリーダーが、柔らかな髪が乱し、大きな音が立つのも構わず、ドアへとカスパーを押し付ける。

「コニー……」

所構わずされるキスは、焦るあまりか、あまり唇には当たらなかった。それよりも足へと触れた固い勃起が生々しい。体が触れ合ってしまえば、キスよりも、もっとダイレクトな快感の方をコニーは欲しがり、両足でカスパーの左足を挟み込むと、盛るように、ペニスを擦りつけるように動かし始める。

「……っ、っン……っ」

カスパーをドアへと押さえ込んだまま、肩へと額を押し付け、俯く金髪は夢中だ。

一体どんな顔をして、普段は取り澄ましたようなコニーがこんなことをしているのか、カスパーは、金色の頭を両手で挟み、顔を上げさせた。整った顔が、赤くなり、興奮で歪んでいる。開いた唇からは、はぁはぁと熱く息が漏れていた。顔を上げられたことを、キスだと思ったのか、興奮するコニーは、焦ったように長い睫を伏せ、自分から伸び上がった。

カスパーがキスに応えると、コニーは、精一杯舌を伸ばして、自チームの隊員の口内を蹂躙し始めた。

しかし、興奮しすぎなのか、キスは情熱的ではあるものの、熱くなっている舌に出来ることがいつもよりずっと少なかった。しかも、濡れた口内で得られる快感に夢中になりはじめると、腰の動きがぎこちなくなってしまい、焦れたのか、コニーはむずかるように体を揺すりだした。白いシャツは皺くちゃだ。

カスパーは、吸い付いてくるコニーを押し留めると、柔らかな髪をかき上げてやり、額に唇を押し当て、一つキスをした。

「せめて、ベッドまでいかないか? コニー」

少しばかり笑いを含んだカスパーの声に、コニーは気まずそうに緑の瞳を揺らしたものの、体を突き上げる興奮は、もうどうにも切羽詰まっているのか、もどかしそうな顔をし、カスパーの服の端を握ると引き寄せ、強引な続行を選ぼうとした。

しかし、カスパーは、興奮に汗をかくコニーの体を押し留めると、嫌だと首を振った。

忌々しげにコニーは、大きく舌打ちした。

「したいんだ」

「わかってる。コニー。でも、こんなところでか?」

「そうだ」

コニーがこれほど欲望だけに、支配されてしまうのは、珍しいことだ。できるだけクールでいたがる金髪が、焦る自分の手つきのおぼつかなさを、悔しそうにしながらカスパーの前をがちゃがちゃと外そうとする。カスパーがその手を払いのけると、コニーの手がカスパーの頬を打った。

「やらせろ」

手加減を忘れた平手だ。

「……コニー、お前な……」

「やらせろ。カスパー」

胸倉をつかんで、齧り付くようにコニーがキスを仕掛けてきたが、やはり、そのキスは、無理やり口内を嘗め回そうとするだけの、いつもより、ずっと下手くそなものだ。キスの合間には、苦しそうに、ふうふうと、唸るような息遣いのコニーが、潤んだ目でカスパーを睨んでいて、仕方なく、カスパーは、興奮した汗の匂いを振りまく、浅ましくもセクシーなきれいな男を抱き上げた。

腹いせか、しがみつくコニーは、カスパーの首筋に歯を立てるようなキスをしながら、靴を脱ぎ落としている。

 

ベッドにコニーを放り投げ、カスパーは片膝をかけた。

コニーは、自分から腰を上げて、ジーンズを脱ぎ落とす。きれいな、普段はまるで欲望があるのさえ、匂わさないクールぶったきれいな男が前を濡らしてしまった下着を、自分で脱ぎながら、カスパーににじり寄った。

勃ったそこを、触って欲しいと、おずおずと手を伸ばしてきたコニーの髪に、カスパーはキスをした。

握ったペニスを、扱いてやれば、きれいな彼はとろけそうな表情で腰を揺する。鼻からくふんとかわいらしい音を漏らして、もっとと、カスパーの手に高ぶったペニスを押し付ける。

抱きしめた背を、撫でながらキスをすれば、手の中のペニスは、ヒクヒクと動いた。

「カスパー、カスパー」

得体の知れないドリンクの効果は絶大のようで、やはり大人しく待ってはいられないコニーが、カスパーを脱がせ始めた。興奮しきった様子で、焦ったように開いた胸へと唇を押し当てる。チュ、チュと濡れた唇の押し当てられるくすぐったい感触は、カスパーを少し幸福にした。

滑らかな頬から項へとキスをしながら、コニーをベッドに寝かし、カスパーは枕元からジェルを取り出す。シーツが濡れるのも構わず、大きな手で太腿の付け根まで濡れるほど股の間をジェルまみれにすれば、冷たいそれが触れた一瞬、コニーは僅かに身をすくめたが、自分から足を抱え込むようにして開いてみせた。

興奮に緑の瞳を潤ませるこのきれいな男が、そこをこじ開けられ、突き上げられる刺激を期待していることは十分承知で、カスパーはもう一度手のひらへと出したジェルを、忙しない呼吸に隆起を繰り返す胸へと塗り広げる。

小さく尖って存在を主張する乳首を指先で押しつぶした。

「アっ!」

声を上げる金髪の眉間に寄った色気のある皺を眺めながら、カスパーは胸を揉みしだいた。たちあがった乳首には、最初触れただけで、その周囲ばかりを撫で回していると、そろそろとコニーの手が伸びてきた。

「触りたいのか?」

額にかいた汗に髪を張り付かせるコニーは、熱に浮かされたような顔で、小さく頷いて、自分でたっている乳首を摘まむ。強弱をつける指先をジェルで濡らして、自分の乳首を摘まむコニーのために、カスパーは開いた足の間へと回る。

せっかちにベッドから持ち上がった尻をなだめながら、指先を小さな穴の中へともぐりこませた。

「ア、んンッ!!」

小気味ぎゅっと締めてきた汗のにじむ盛り上がった尻は、いつもに比べれば、あの得体のしれない飲み物のせいか、熱く蕩けていたが、どうしても固い入り口付近に、カスパーは小刻みに指を動かす。体の中へともぐりこんだものに、すばやく揺さぶられ、コニーの腰がガクガクと揺れた。

「あ! アっ、カスパー!」

自分の乳首を摘まんだまま、顔を真っ赤にして広げた足をピクピクとさせる。

 

まだ全く準備が整っていないというのに、身を起こしたコニーは、カスパーにしがみついてきた。落ち着きなく揺れる尻を撫でながら、熱く火照る体をもう一度ベッドに寝かそうとしても、離れようとしない。

「……入れ、ろ……」

上ずった声で、短く命令する声のコニーは、尖った乳首でカスパーの胸を擦る。

「まだ、無理だ。コニー」

拡がり始めてはいるものの、まだ指は、楽に動くことができない。それを示して、強引に抽送しようとも、コニーはあきらめようとはしなかった。

「いやだ」

カスパーの体を挟んだまま膝立ちになると、股の間に手を潜らせ、もう入っているカスパーの指に交じって自分の指を、無理やり突っ込み、動かす。

「んっ、ん」

早く解そうと、目を瞑る顔は、目尻が赤く、懸命な様子だ。

赤い唇は、はぁはぁとせつなく息を漏らす。両手になった腕の指は、3本を数えて、強引にそこを拡げている。

 

「カスパー」

顎を上げ気味に、見下ろしてくるコニーの顔は、今日見た中では、一番彼らしい顔だった。

思い通りカスパーに乗り上げることに成功したコニーは、しかし、さすがに準備不足を自分でも感じているのか、曖昧に開いた唇へと小さく不安をみせながらも、掴んだペニスへと自分の体を落とし始める。

発情中のコニーに、聞き分けさせるのは無理だと、カスパーは悟った。

強い圧迫で、痛みをカスパーに感じさせる挿入に、コニーは感じ、瞑った目からは、涙が目尻を伝っていた。しかし、緩んでいないそこに、全てを受け入れるのは、やはり無理で、腰を浮かしたままコニーは、尻を上下させ始める。

「あ、あ、」

カスパーの腹に手をついて、上下する体は、頼りなくブルブルと震えていた。数度の動きで、もう膝に力の入らなくなったコニーは、自分のいい部分を擦るためだけに、前へと倒れそうな体を懸命に支え、腰を揺する。潤む緑の目を隠す金色の睫は、盛り上がった前立腺をカスパーのものが押すたびに、ふるふると震えた。

 

締まった腰を引き寄せ、カスパーが突き上げてやれば、抽送に押し出されるように、アッアッとコニーの喉から短い声が零れた。次第に奥深くまで貫通させるようになった、肉壁を突き上げてやれば、その度、熱くキュ、キュと締め付けてくる。

恍惚の表情を見せて揺さぶられる恋人は、次第にカスパーも夢中にさせた。

つい、加減を忘れ、腹の上で跳ねるほど、コニーを突き上げているうちに、太いものに尻を串刺しにされたまま、きれいな男は、顔を歪ませた。

「……イ、クっ!!!」

大きく口を開いたまま震え、たわいなく、射精してしまったくせに、コニーはまだ、腰を揺する。

繋がった部分から、ジェルを、そして前からはとろとろとまだ白濁を漏らしている。

カスパーは、楽に動ける体位に変えるため、はぁはぁと喘ぐコニーの穴からペニスを引き抜いた。

コニーは顔にありありと不満を浮かべる。

 

カスパーの顔に浮かぶのは苦笑だ。

 

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