翌朝、ゲープと、コニーは、酷く疲れ果てた様子で、出勤してきた。ふらつく足取りは、3番、4番隊員に、さりげない支えを要求するほどだ。
二人とも、体は重く、人に打ち明けるには、恥ずかしすぎる部分が、しくしくと傷んだ。
歩みに擦れて痛むそこに、自分から圧し掛かった夕べのことを思い出せば、叫びだしたいほどの恥ずかしさに身を焼かれ、頭を抱かえ込んで、しゃがみこんでしまいたくなる。
「もう、やめろ」と、何度も警告されたのだ。
しかし、要求し続けたのは、恥ずかしくも、盛り切った自分であり、疲れた体を引き摺る二人には、八つ当たる先すらない。
「あ、来たか」
大抵1番に出勤してくるゲープがまだ来ておらず、一人着替えをしていたフランクが、にこにこと爽やかに朝の挨拶をした。
週の途中でするには、いささかハードすぎるセックスに疲れてはいたものの、さすがにあそこまではなかなか拝めない恋人の痴態を、十分満足させてもらった3番と、4番は、軽い笑顔を返した。
しかし、さすがに、夕べの原因となったフランクに、ゲープとコニーの顔は引き攣る。
枯れ果てている声も手伝い、俯き気味の二人は、口の中でもごもごと挨拶を返すだけだ。
フランクは、そんなゲープと、コニーの顔色に顔を曇らす。
「どうした? ……もしかして、昨日の土産のせいで、腹でも壊したのか?」
慌てたようにフランクがロッカーをごそごそと漁りだした。
「あのな、これ、家族への土産にしようかと思ってたんだが、やるよ。多分、効くんじゃないかな。昨日の飲み物を売りつけたばあさんが、一緒に買えって」
チーム一体格のいい男は、申し訳なさそうに背をまるめ、手のひらを開いた。
乾燥された葉っぱに包まれた毒々しい赤の丸薬を、チーム50の面々は、じっと見つめた。
見つめ続けた。
「えっ? どうした?」
しつけ良く育てられたフランクは、いつだって土産を買ってくるが、そのチョイスの基準が、うかつなまま育ってしまったのも、また、フランクなのだ。
END