(デミゲプ編)

 

ゲープを自宅まで連れ帰り、デミアは、さてと、と、思った。

どうやら、ゲープも、どうしてこう自分が落ち着かないのか、自覚したようだ。車から降りるときに、自分で持ったバックで前を隠したまま、興奮に赤い顔で困ったようにデミアを見る。しかし、媚薬などという都合のよいものが世の中にあることに対して、いまひとつゲープは信じきることができないようで、逡巡する顔は、突然の興奮の理由を自分の中に探しているようだった。

「ゲープ」

デミアが声をかけるより前に、不自然にジーンズの前をバックで隠したままゲープはキッチンに逃げていた。そこで、水を一杯飲み、まだ、納まらない興奮に、蛇口から流れる水へと、直接、頭を突っ込んだ。デミアは、戸口に立ったまま、とりあえず、ゲープの気のすむまで待つ。

「……くそっ……」

犬のように頭を振り水を切るゲープのジャケットの襟は水浸しだ。

「そんなんじゃ、無理じゃねぇ?」

「無理って、何がだ! お前、何かしたのか!」

全くデミアは何もしていない。こういうのを八つ当たりというのだ。しかし、腫れたように目元を赤くするゲープはかなり興奮しており、それにイラつく姿もなかなか色気があって、デミアはゲープの様子を楽しく見守る。

「したのは、フランクっていうか、得体の知れないものをいきなり飲むお前っていうか」

ついにやついてしまうデミアが気に入らなかったようで、ゲープは、肩からぽたぽたと水をたらし、キッチンの床を水浸しにしながら、デミアに近づいた。胸倉を掴み上げ、睨む。デミアは、唇を尖らし、ゲープへとちゅっとキスしてやりながら、股間をなで上げた。

「喧嘩するより、もう少し、お前にとってよさそうなことしないか?」

「お前っ!」

ゲープは、デミアを押した。

信じられないことに、ゲープは、今の今まで、自分が興奮してしまっていることを隠せていたつもりらしい。真っ赤な顔で、ジーンズの前を隠し、そのまま後ずさると、はぁはぁと苦しそうに喘ぎながら、冷蔵庫の前で座り込んでしまった。高ぶる体を抱きしめるゲープは乾く唇を時折ぺろりと舐める。

 

「……デミア、……」

赤い顔を膝に埋めるゲープを眺めていたデミアは、くぐもった声に呼ばれ、恋人の側に近づいた。髪を撫でてやろうと膝を付こうとしたところで、いきなり腰を抱かれる。焦るようにジーンズの前を強引に開けられ、デミアのほうが焦った。

ずり下ろされた下着から顔を出した半勃ちのものを、ゲープがいきなり咥える。

「ちょっ!」

見上げてきた顔の切羽詰り具合は、同じ男としては同情を感じるほどだ。大きく口を開け、陰毛に鼻を埋めるほどに咥え込むゲープは、がちゃがちゃと音を立てながら、自分のベルトを緩めだした。

白い尻にジーンズのウエストを纏わりつかせたまま、前だけ開けたゲープは、固く勃起したペニスを下着の中からつかみ出し、扱く。扱きながらも、懸命にゲープはデミアのものを大きくしようと舌を使う。顎へと垂れていく唾液を拭うことすら思いつかないほど懸命に吸い付くゲープは、デミアの下腹をいたく刺激した。

口から出すたびに、大きさを増していくペニスに、ゲープの目はうっとりと潤んでいる。こんなに興奮した目でゲープにペニスを見つめられるのははじめてで、デミアも酷く興奮した。

自慰するゲープは、漏れ出すもので濡れた手で、キッチンの床へと脱いだ靴を放ると、ジーンズを脱ぎ落とした。まだ太腿にずり下ろしただけの下着を絡みつけたまま、焦れたように腰をデミアの足へと擦りつけた。それを、はぁはぁと喘ぐ口に、でかいペニスを咥えたままするのだ。

「すげぇな。お前」

汗を浮かべたゲープの首に、デミアは噛み付いた。それさえ、ゲープはいいようだ。

 

力加減にまで配慮できず、デミアが突き飛ばすようにゲープを床へと転がせば、さっき、自分の投げた靴のすぐ側に頭を伏せたゲープは、四つん這いになると、尻の小さな窄みの位置を、自分から示してみせた。

今は、ただしたいばかりのゲープは、大きな尻を振るような真似までして、全く普段の慎みなど忘れ果てている。

たっぷりと肉のついた尻をデミアが両手で広げながら、舌を寄せようとすれば、興奮のあまり押し殺すこともできない息をふうふう吐き出しながら、尻を突き出すようにして待っている。

顔を近づければ、職場のソープの匂いに交じり、ゲープの体臭が鼻に押し寄せた。

突き出された尻が、焦れたように揺れ動き、その卑猥な動きをもっとして見てみていたいデミアは、わざと肛口の周りを取り囲むようにうっすらと生えた毛だけを舌先で舐めとる。

ゲープはしきりに瞬きをくりかえした。止められないのか、尻を振りながら、しきりに唇を舐める。

「デミア、…………もっと、中、……」

きゅっと皺を寄せる肛口の表面を舐めた舌をぐるぐりと中へと押し込めば、ゲープはぎゅっと拳を握った。

突き刺すように入れた舌で中を舐めるうちに、床をみつめるように伏せられていた頭が上がってきていた。尖らした舌を何度も出し入れすれば、あ、あ、と、声を聞かせて反り返る。

 

舌で濡らしたところに、指をねじ込み、デミアはそこを拡げていたのが、それはゆっくり過ぎたようだ。

体を火照らせ喘いでいたゲープが、デミアを押しのけ、ジャケットを脱ぐと、それで前を隠して立ち上がる。

「デミア、……、ちょっと、待ってて、くれ」

一体何をゲープがしたいのか、とっさに思いつかなったデミアが少しよろめき気味の熟れた尻を見送ると、ゲープはすぐ帰ってきた。

手に持つのは、ローションだ。

濡れないゲープのために用意してある透明なそれを、もどかしげに蓋をあけた口から溢れさせると、チーム50の隊長は、膝立ちのまま自分で尻の合間に塗りたくる。

ねばりのあるローションは、ゲープのペニスまで濡らし、濡れてひくひくと動くいやらしい姿のそれは、興奮のあまり、先端にぷちりと溜めていた雫を、ぽとりと床へと零した。

はぁはぁと熱く、何度も腹をへこませ息を吐き出すゲープは仰向けに寝転がると、デミアの前で、大きく開けた膝を折り、床から浮かした尻の合間に手を突っ込む。

指で、中を濡らしながら、自分でペニスを扱いて見せた。

ゲープは、ローションで濡れる自分の指をずぼずぼと尻の穴に突っ込んで、腰を揺する。

「デミア、……デミア、欲しい」

涙の湧く、潤んだ目で見つめられれば、ごくりとデミアの喉が鳴った。

にじり寄るように膝で進んだデミアは、固く勃ったペニスを、ゲープの太腿に押し付けた。

掴み上げられることを期待するように、爪先立ちになった足首を見つめながら、デミアは、ゲープが広げている箇所に自分も指を近づける。

「……緩んでねぇと、切れるかもしんねぇ」

濡れた場所を自ら指で大きく開いて、尻を揺するゲープに、デミアの声がかすれた。

「大丈夫、だ。……いい、から、……平気」

しかし、デミアのものは、普段より格段に興奮状態なのだ。挿入前から、カウパーが滲みだすほど高ぶったペニスは、ゲープを傷つけかねないサイズであり、しかも固い。

しかし、見られているというのに、穴の中へと入れた自分の指を抜き差しさせ煽るゲープは欲しがるばかりだ。確かに、もう2本の指がずぶずぶと入っている穴は、柔らかくなっていそうで、デミアはゲープの指を抜かせると、そろえた指を突き立てた。

「……あっ! あ!!」

ぎゅっと噛んでくる肛口、入り口付近の肉を押し開くように、デミアは指を回す。

「……あっ! アっ!! んっ! 」

あっさりデミアの指を2本咥え込み、ぶるりと震えた大きな尻に、にんまりと顔を緩めたデミアはもう一本捻じ込み、捏ねるように肉壁を押し開く。濡れた中の感触を確かめながら、すばやい掘削を始めてやれば、きゅ、きゅっと、デミアの指を締め付けた。

薬の効能のせいか、普段より緩みがちなゲープの尻穴の状態に満足なデミアは、良く締まった足首を掴むと、それを頭のほうへと持ち上げ、押し付け、ゲープを恥ずかしい形にしてしまう。

足首を顔のすぐ側へと押し付けられたゲープは、恥部全てをデミアに見せる形だ。

よく見える穴にねじ込んだ指をぐりぐりと動かし、掘り広げても、ゲープは腕で顔を隠すだけで、酷い格好のままはぁはぁと息を漏らす。

指で広げられた穴は、物欲しげに卑猥な赤色をパクパクと晒す。

 

「入れるぞ」

あまりの恋人の痴態に、興奮に声を擦れさせるデミアは、固いペニスで、ゲープの入り口が切れないよう、慎重に押し進めていたのだが、傘の張る先端が、白い尻の皺をひとつもなくしながら、なんとか潜りこんだところで、びくりとゲープが体を震わせた。

やっぱ、切れたかと、思わずデミアが抜きかけると、

「あ!……アッ! ア!!」

それだけで、ゲープはいった。

取っている体位のせいで、まだひくつくペニスから飛び出す精液は、ゲープ本人の顔まで汚していた。だが、さすがに早すぎる射精に、ゲープは腕で隠す顔を真っ赤にして、しきりと首を振った。

「まだ、……デミア、違」

まだも、何も、腹も胸も、精液を飛び散らせ、もうゲープが射精してしまったのは事実だ。

にやりと、デミアは笑った。

 

「オーケー。ゲープ。まだ、全然満足できてないって?」

 

 

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