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ムミア=アブジャマルの再審請求コンサート

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コンサート開催の背景

1999年1月28日にレイジが死刑囚ムミア・アブ・ジャマルの再審を請求するためのコンサートをニュージャージー州、イーストラザフォードのコンチネンタル・エアライン・アリーナで開催した。
コンサートにはレイジ以外にも、ビースティー・ボーイズ、バッド・レリジョンらも参加して成功をおさめたが、このコンサートが開催された背景について簡単に触れておきたい。
ムミア・アブ・ジャマルは、人種差別反対運動に参加し、15歳でブラック・パンサー(黒人の政治的、社会的平等を求める政治団体の一つ。)に入党。その後、ラジオの仕事などを通して反政府的な言動を起こしていた。
81年12月9日に交通違反で警察に暴行を受けていた弟を助けるため、止めに入ったところ白人の巡査が銃弾に倒れ、ムミア自身も重症を負った。
ムミアは警官殺しの犯人として、死刑を宣告されるが、その時の裁判の内容がムミアを死刑にするために作られたようなもので、レイジはこの裁判のやり直しを訴えるために立ち上がったのであった。

アメリカでの反応

このコンサートに対して、アメリカでは賛否両論が巻き起こった。
開催地のニュージャージー州では、ホイットマン知事がこのコンサートを警官殺しの犯人を支援するものであると非難し、州警察もコンサートの開催に反対をした。
殺された巡査の未亡人は、1月21日にラジオを通じて、ムミアが殺人犯であることは明白であると改めて訴えると、レイジのトムが同じラジオ局に電話をかけて反論するといったことも起こった。
チケットはソールド・アウトであったが、コンサートの主旨に賛同できないと16,000枚のうちの2,000枚ほどが払い戻された(その後、そのチケットはすぐに売りきれたが)。
テレビでは、「コンサートに行くべきかどうかよく考えて。行く事は殺人犯を支援することになる」と最後までコンサートに行くことを止めるようにとのコメントが流れていた。

コンサート前の記者会見

コンサート前日に記者会見が行われる予定であったが、前日の記者会見はお流れに。
最終的にはコンサート当日に約20分の会見が行われた。会場には音楽以外の普通の報道陣が多くつめかけ、このコンサートの全米での注目度がいかに高いかをうかがわせた。
会見に臨んだのは、レイジのメンバー全員にビースティーズからも全員が出席し、その他にバッド・レジジョンのグレッグ・グラフィン、チャンバワンバのダンバード・ノバコンそして、ムミアの弁護士であるレナード・ワイングラスが顔を見せた。
始めにザックが声明文を読み上げ、その後にもアムネスティ・インターナショナルの声明文、全国黒人警察連合の代表取締役の声明文などが読み上げられた。
さらに質疑応答が続き、このコンサートの主旨が歪曲して報道されていることや、裁判の再審を重ねて訴えるといった内容が続いた。

コンサート

コンサートに訪れたのは10代の白人がほとんど。このコンサートの主旨をしっかりと理解している者から、ただコンサートを楽しみにきた者まで様々。
コンサートはチャンバワンバのMCをはさみながら進行し、ブラック・スター、バッド・レリジョン、ビースティー・ボーイズと進み、いよいよレイジに。
アンプに掲げられているいつもの逆さ星条旗には"FREE MUMIA"と書かれ、バスドラには"FAIR TRIAL NOW"(公平な裁判を今すぐに)と記されている。
いつも以上にテンションを上げたコンサートは全12曲。途中ザックは何度も"FREE MUMIA"と叫び、オーディエンスを熱くさせていた。
アンコール前にパブリック・エネミーのチャック・Dが登場。「ここにみんなが集まったのは音楽のためだが、大切なのはその音楽を通じてコミュニケートすることだ。肌の色は関係ない。正しいことは正しく、間違っていることは間違っている。」と演説し、最後に"KILLING IN THE NAME"でコンサートは終了した。
コンサート自体は成功し、ムミアに再審をするための収益金は上げることが出来たが、ムミアの事が書かれているチラシが紙飛行機と化して会場を飛び交ったりするなど、会場に足を運んでくれたファンたちはどれぐらいこの事件に対して真剣に考えてくれたかは疑問の残るものとなっている。
まあ、少しでもこのような事がきっかけで、社会の問題に面と向かってくれる若者が増えることを今後も期待したいものである。

セット・リスト


6:45 CHUMBAWANBA SPEACH
7:00-7:15 BLACK STAR
7:20-8:05 BAD RELIGION
8:20-9:20 BEASTIE BOYS
9:40-11:00 RAGE AGAINST THE MACHINE
1. BULLS ON PARADE
2. KNOW YOUR ENEMY
3. VIETNOW
4. ROLL RIGHT
5. BOMBTRACK
6. MIC CHECK
7. GHOST OF TOM JOAD
8. HENDLIX
9. BULLET IN THE HEAD
10.MARIA
11.NO SHELTER
12.FREEDOM
CHACK D(PUBLIC ENEMY)のSPEACH
アンコール
KILLING IN THE NAME


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