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テロ後のアメリカ

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アメリカは戦争状態へ

テロに襲われたアメリカでは、ブッシュ大統領が「テロがビルの基盤を破壊することが出来ても、アメリカの基盤までもは破壊することは出来ない」と声明を発表。翌日には「この行為はテロではなく、戦争行為である」とまで言及し、現在アメリカが戦争状態に入っていることを示した。
それに伴い、国民のブッシュ大統領に対する支持率が90%にまで上り、議会でも超党派でブッシュ大統領を全員が支持し、危機に国民が団結するというアメリカの伝統は今回も生きていた。
今回のテロの黒幕として浮上している人物ウサマ・ビンラディン氏の関与を裏付ける証拠集めを急ぐと共に、91年の湾岸戦争以来となる5万人に登る予備役の召集と400億ドルの(約4兆8000億円)の緊急テロ対策費を計上。着々と報復処置に対する準備を進めている。

各国の首脳も米を支持

今回のテロに日本やヨーロッパ各国、ロシアや中国までもがアメリカを支持し、それぞれの首脳が声明を発表。アメリカの報復にも賛意を表している。北大西洋条約機構(NATO)は結成して初めて集団的自衛権の行使もあり得ると発表。冷戦時代にソ連の脅威から結成されたNATOは元々西欧諸国が攻撃された時にアメリカをはじめとするNATO軍が集団的自衛権を行使することが想定されていたと思われるが、この集団的自衛権がアメリカがやられて初めて行使されるとはなんとも皮肉である。
そんな中で、チベットのダライラマ14世は持論の非暴力主義から報復を思いとどまるようブッシュ大統領にメッセージをだしている。
テロの実行犯がアラブ人であったことから、アラブ各国はこのテロ行為に関与してはいないとの声明を次々と発表し、パレスチナ解放機構(PLO)のアラファト議長も「心からの追悼の意を米国民に送る。本当にショックだ。信じられない」と語った。
当初犯行声明を出していたパレスチナ解放民主戦線(PFLP)も事件との関わりを否定する声明を発表、さらにはウサマ・ビンラディン氏をかくまっているとされるアフガニスタンのタリバン政権も今回のテロへの関与を否定。
湾岸戦争以後もアメリカからの経済制裁を受けつづけているイラクは「アメリカの今までの政策に対する神からの罰であり、当然の酬いである」とテロを受けて当然といった論調の記事が唯一目立った。

被災地の救助活動

テロによって崩壊した世界貿易センタービルと国防総省のペンタゴンでは24時間体制で救助活動が行われている。しかしながら、センタービルでは45万トンを越える瓦礫の山があり、その中から埋もれている被災者を助け出すのは困難極まりない作業である。
救助中に瓦礫の山が崩れるといった二次災害の恐れもあり、救助活動はなかなか進まないのが現状である。携帯電話で居場所を知らせて救助された人もいたが、その携帯の電源切れなどもあり、遅々として進まない救助作業に疲れもピークに達している作業者たちの苛立ちは募るばかりである。
そんな中、ブッシュ大統領は12日にペンタゴン、14日にセンタービルを訪れて救助隊らを激励、一時USAコールが起こるなどの一幕も見られた。
行方不明者の家族は写真を持って懸命の捜索を続けている。

アメリカの報復

焦点はすでにアメリカがどのような報復に出るかに移っている。どのようにして黒幕を特定し、どのような報復にでるのか。
ビンラディン氏をかくまっているとされるアフガニスタンは攻撃を受ければ攻撃を仕返すと表明。隣国パキスタンはアメリカへの協力を要請されているが、同国内のイスラム原理主義からの反発もあり、苦しい選択を迫られている。
巡航ミサイルのみなのか、地上戦も考えているのか、現時点では多くを語らないブッシュ大統領だが、決断の時は近づいている。
アメリカの報復行動へ続く


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