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アメリカの報復行動

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無限の正義から不朽の自由へ

テロ後の会見で戦争状態とまで言いきり、すぐさまの報復攻撃も辞さない感じのブッシュ大統領だったが、その後は対イスラム圏を避けるためか穏健派のパウエル国務長官側に軸足を置いた外交努力に務め、テロ組織の資金源を断つための銀行口座の凍結やイスラム諸国への外交努力が目立っていた。
その中で着々と報復攻撃の準備を進めて行くアメリカ国防省は英国と共に10月7日ついに「不朽の自由」作戦を決行した。
当初「無限の正義」とつけられたこの作戦名だが、これはイスラム圏ではアラーの神をことを示すため変更された。今回の空爆は91年に多国籍軍が行った湾岸戦争の空爆や99年のNATOのユーゴ空爆に比べ規模はかなり小さいようだ。ようするに空爆するほどの施設がアフガニスタン国内にはそれぼど無いということのようだ。
空爆と同時にアメリカは食糧も投下。あくまでも敵はテロ組織であり、一般市民には救いの手を差しのべるという主旨らしいが、爆弾と食糧の同時投下は単なる政治的パフォーマンスにしか見て取れない。
今回も誤爆でNGOのオフィスを破壊し、4人のスタッフが亡くなっている。99年に中国大使館を誤爆した時は古い地図を使っていたと言っていたが(設備があれだけハイテクなのに地図が古かったなんて下手な言い訳にしか聞こえないが)、今回は新しい地図をちゃんと使っていたのか? ブッシュさんよ。
連日の空爆でブッシュ大統領はアフガンの制空権を確保したと宣言。作戦は成功し、反タリバンの北部同盟と共に地上戦のためにアフガンの近隣諸国に特殊部隊が配備されつつある。
また、アメリカは攻撃の視野をイラクにまで向けているようである。

ビンラディンが声明を

一方、空爆が開始された直後に米同時多発テロの黒幕とされるビンラディン氏がカタールのCNNといわれるアルジャジーラ放送局にビデオを送り、全てのイスラム教徒は聖戦に参加するべきであるとの声明を発表する。空爆が予想されていたため、事前に収録されていたこのビデオではさらにアメリカ国民に平穏な時は訪れないと第2のテロが起こる可能性を示唆させる声明も含まれていた。
さらに、テロ組織のアルカイダのスポークスマンも同じような声明を出し、タリバンの最高指導者のオマル師の肉声もBBSラジオを通して放送された。これに呼応するようにイスラム諸国では反アメリカのデモが激しさを増している。
この声明が新たなテロへの暗号かもしれないと、米政府はメディア各局にこれらの放送を自粛するよう要請。自由の国を自負するアメリカから自由が奪われていく。
フロリダでは炭そ菌(アンスラックス!)による死亡者が出ているため、テロではないかとの不安がアメリカ国内で広がり、防毒マスクなどが飛ぶように売れているようだ。

日本はどうする

そんな状況下で日本は何が出来るのか? 湾岸戦争時に130億ドルもの支出をしたにもかかわらず感謝されなかったことがトラウマとなっているのか、"Show the flag"とアメリカに言われ、自衛隊の海外派遣まずありきで新法が国会で協議されている。
このまま日本はなし崩し的に自衛隊の活動範囲を広げていこうとしているのか。
今後の戦況を考えると自衛隊がパキスタンへ行ってもあまりすることは無いようであるが、小泉首相は是が非でも自衛隊を派遣したいようだ。

空爆に対するイスラム諸国の反応

空爆が始まってからイスラム諸国では反アメリカのデモが頻繁に起こっている。ブッシュ大統領に見たてた人形や星条旗を燃やしたり、ビンラディンをヒーロー扱いしアメリカを悪魔だと罵る映像が至る所で映し出されている。
イスラム諸国会議機構(OIC)緊急外相会議が10日に行われたが、親米路線の指導部は反米感情を持つ国民に配慮する形でテロを非難してもアフガン攻撃に対しては支持も非難も無く、ビンラディン氏については言及されなかった。
パレスチナ問題での米国の不公平さに対する不満は指導部にもくすぶっているが、アメリカを支持しなければ経済が立ち行かなくなるイスラム諸国の内情の難しさを表した会議の結果となってしまった。

一触即発のパキスタン

アメリカへの支援を打ち出しているパキスタンだが、元々パキスタンはタリバン政権を承認していたため、タリバン寄りの国民も多く軍部にも原理主義者がいることもあり内部クーデターの可能性も捨てきれない。
またアメリカが支援している北部同盟はパキスタンにとっての宿敵であるインドからの支援も受けていることもあり、紛争後に北部同盟が中心となる政権は阻止したい思惑もある。
ムシャラフ大統領は非常に難しい舵取りをしていかなければならない。


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